農林水産省・新着情報

金子農林水産大臣記者会見概要

日時 令和4年2月18日(金曜日)10時46分~11時9分 於: 本省7階講堂
主な質疑事項
  • (大臣から)「森林×脱炭素チャレンジ2022」の募集開始について
  • ウクライナ情勢による食料供給への影響等について
  • 自民党の食料安全保障に関する検討委員会設置について
  • 三幸製菓の工場火災への対応等について
  • 2,4,5-T系除草剤の処理について
  • 熊本県のあさりの産地表示への対応等について
  • 水際措置の緩和に伴う外国人技能実習生の入国について
  • IAEAによるALPS処理水の調査について

冒頭発言

大臣

  本日は私から1点、御報告がございます。新たな顕彰制度である「森林×脱炭素チャレンジ2022」の募集開始の御案内であります。我が国の森林は、炭素の吸収・貯蔵を通じまして、カーボンニュートラルの実現に大きく貢献しています。こうした森林の機能は、適切なタイミングで「伐って、使って、植える」という循環利用を推進することで更に高まります。今、大変嬉しいことに、こうした森林の循環利用を企業等が支援して進めていただいている事例が増えてきています。そこで、こうした企業等の森林(もり)づくり活動を広く募集し、顕彰を行うことによりまして、優れた取組を広く発信し、SDGsにもつながる森林(もり)づくりの意義の普及、更なる取組の拡大を目指してまいります。皆様、奮って御応募いただきたいと思います。詳細は、この後プレスリリースをさせていただきます。

質疑応答

  • ウクライナ情勢による食料供給への影響等について(1)

記者

  質問1点お願いします。ウクライナ情勢についてお聞きします。緊迫した状態が続いていると思うんですけれども、直接の貿易の関係はあまりという話でしたが、穀物相場に及ぼす影響についての御見解をお願いします。また、穀物相場を通じた日本への影響を考えた場合、具体的にどういった懸念があるかという辺りをお聞かせください。

大臣

  小麦及びとうもろこしの国際相場につきましては、中国の旺盛な需要増加や北米の収穫減少などによりまして、昨年来、高い水準で推移しています。他方で、ここ1~2か月の相場の動きを見ていますと、ほぼ横ばいで推移しておりまして、現時点でウクライナ情勢による影響を評価することは困難と考えています。

  • ウクライナ情勢による食料供給への影響等について(2)

記者

  今の幹事社質問の関連でお伺いしたいんですけれども、ウクライナとはあまり貿易関係はそこまで強くないというふうな前回のお話だったと思うんですけれども、対ロシアで見ますと、木材ですとか魚介類の輸入が結構あるのかなと思っておりまして、ウクライナ情勢がより緊迫化した際の、そういった農林水産物のロシアからの輸入の影響はどういうふうに御覧になっていますでしょうか。

大臣

  食品関係で、大体ロシアから2,000億円ぐらいでありますけど、全体的に見て、2020年の我が国の農林水産物の総輸入額のうち、ロシアの割合は約2パーセント、内訳としては、製材が20パーセント、かにが19パーセント、さけ・ますが12パーセントとなっています。制裁措置についてのコメントは差し控えさせていただきます。今、外交努力中でございますので。

  • 自民党の食料安全保障に関する検討委員会設置について

記者

  自民党が食料安全保障に関する検討委員会を立ち上げる方針です。生産資材の輸入依存や食料・農業・農村基本計画の検証などが論点になる見通しですが、農水省としてどう対応されていくのか教えてください。

大臣

  報道については承知していますが、自民党内における議論についてのコメントは差し控えます。ただ、自民党において食料安全保障に関する議論が具体的に開始されれば、農林水産省としてもその議論に適切に対応してまいりたいと思います。

  • 三幸製菓の工場火災への対応等について

記者

  11日の深夜に新潟県村上市で起きた三幸製菓の工場火災についてお伺いします。この火災では6人の方がお亡くなりになり、三幸製菓の全工場が3か月の生産停止を決めるなど大きな影響が出ています。食品製造業を所管する農水省として、今回の火災の受け止めと、何か対応する予定などがあれば教えてください。

大臣

  11日に起こった火災で亡くなられた6名の方々の御冥福をお祈りするとともに、御遺族の方々に対しまして、心よりお悔やみを申し上げます。本件については、警察が業務上過失致死の疑いで家宅捜索に入っており、消防による原因究明などと併せて、状況を注視してまいりたいと思います。農林水産省としては、食品製造業の現場における労働災害の防止や、作業安全の確保に向けた普及・啓発に努めているところでありまして、引き続き、関係企業における法令遵守などの必要な取組を求めてまいります。

記者

  関連で1点お願いします。三幸製菓なんですけれども、発生から1週間経った今でも記者会見を開いていません。三幸製菓が、こういった火災を起こしたんですが、公式の場で説明していないことについて、大臣が何か思われることなどがあれば教えてください。

大臣

  特別、私の方からコメントするのは遠慮しておきましょう。

  • 2,4,5-T系除草剤の処理について

記者

  2,4,5-Tというダイオキシンを含んだ除草剤が全国に埋設されている関係で、林野庁が新年度から、今後、撤去も念頭に置きながら調査をするということを現在進めておられますが、これについての大臣の受け止め、所感等お聞かせいただければと思います。

大臣

  昭和40年代の中頃に、国有林野事業で使用していた2,4,5-T系除草剤につきましては、微量に含まれるダイオキシン類により人体に影響を与える可能性が提起されたことから、昭和46年4月に使用を中止し、未使用であったものを埋設処理いたしました。これまでの土壌・水質調査によって、環境基準値を超えるダイオキシン類は検出されていません。しかしながら、近年の災害リスクの高まりから、撤去を求める自治体等もあり、今年度、新たに掘削処理を行うことを想定いたしまして、委託事業を発注したところであります。この中で、除草剤を周囲に飛散させずに掘削処理をする手法についても技術的な調査を行うこととしておりまして、今後とも住民の不安解消に向けて努力していく考えであります。

  • 熊本県のあさりの産地表示への対応等について(1)

記者

  あさりの産地偽装問題について伺わせてください。この問題が明るみになる前から、これまでも農水省として適正な産地表示をされているかの監視業務というのは行われてきたと思います。そこで、農水省として、このあさりの産地偽装問題が明るみになる前からこの問題を把握していたのではないかとの印象を受けるのですが、その辺の御見解を1点伺わせてください。もう1点、長年にわたり、ここまで大規模な産地偽装問題が横行していたということで、農水省として対応が後手に回っていたのではないかとの印象を受けますが、その辺の御見解も併せてお願いします。

大臣

  農林水産省といたしましては、あさりの産地偽装事案に対しましては、これまでも食品表示法に基づきまして、違反事業者への是正の指示・公表を行うなど、厳正に対応していたところであります。当省といたしましても、実は平成30年の3月9日に福岡で、令和元年の12月27日に佐賀で、令和3年12月8日熊本、12月16日熊本ということで、事案に応じて適時・適切に対応してきたと考えておりまして、今後とも法に違反する事実を確認した場合は、関係機関とも連携を取って、厳正に対応してまいりたいと思います。

記者

  これまでも情報提供に基づいて立入検査等を実施して指示・公表等されてきたと思うんですけれども、にも関わらず、産地偽装の問題というのが、未だ根絶されていないという点に関しては御見解いかがでしょうか。

大臣

  なかなか難しい問題ですよね。今回のあさりについて、これは私の私見ですけども、今回20トンということで、すごく少ない量でしたね。その前は、500トンとか400トン獲れているんですよ。500トン、400トン獲れていると、なかなか産地偽装の調査というのは非常に難しいと思うんです。ところが今回は20数トンの中で相当な数のあさりが販売されているということだったので、非常に、そういうふうな疑問を持つことができたと思うんです。それで調査をしたと思うのであって、なかなかある一定の量が獲れている時に調査をするというのは難しいんじゃないかと思うんです。これは私の私見ですよ、私見。だから、そういう中で、今回はたまたま20何トンしか獲れていないのに各スーパーとかお店で売っているというので、これはおかしいなという話。今まで、農林水産省が調査を始めた時は、ほとんど垂れ込みとか情報があってやっていましたので、なかなか食品のそういったものをするというのは、非常に難しいところもあると思いますよ、量的な問題もあって。だから、ほとんど今まで摘発したのは、情報が入ってというのが多いんじゃないでしょうか。これから、いろんなことを考えながら、我々としても、今後は食品の適正な表示を確保するために、立入検査や表示の是正の指示など、監視業務を行ってまいります。消費者庁も徹底してやると言っていますし、熊本の蒲島知事からもいろいろお話がありましたので、これからも我々としては厳しく取り組んでいきたい。そういったことが起こらないようにしていくためには、どういうふうなやり方であればいいか、トレーサビリティーも含めて、産地表示というのは、結局、消費者が安心して買うことができる、また、信頼を損なわないようにするためには、どういうやり方がいいかということについては、関係省庁とよく話し合いをしながら取り組んでいきたいというふうに思っています。

記者

  1点だけ伺いたいんですけれども、先日、市場調査の結果を公表されていたと思うんですけれども、熊本産と表示されたあさりの97パーセントに外国産の混入の可能性があるということで、あの市場調査よりも前に、こういう規模感の産地偽装が行われていたということは把握されていたのか、それとも、それより前は、あくまで情報提供に基づいて立入検査等をしていたに過ぎないので、この規模感というのは農水省として把握されていなかったのか、これはどちらになるんでしょうか。

大臣

  さっきから私が話しているように、なかなか難しいと言ってたでしょう、水揚げが300トン、400トンある時には、それだけ市場に出回っていると、果たして、それがどれだけのものが輸入されてどうなっているかというのは、チェックするのが僕は非常に難しいと思うんですよ。今回、非常に少なかったから、結果的にはこういう形でやったということですから、これは私見だけど。だから、農林水産省としては、今回初めて分かったと。

記者

  規模感については、あくまで今回の市場調査で初めて把握されたと。

大臣

  だから、極端に少ない中でね、これおかしいんじゃないかというのは誰が考えたって分かるでしょう。しかし、500トンとか400トンが出回っていると、なかなかこれは分かりづらいと。だから、結局、今までは垂れ込みで来たから、そういうのは適時やっていたと。例えば、2019年には339トン、2018年には527トン、2017年には730トン獲れているんですよ。そういうのが出回っている中で、なかなか、そういった誰かからの情報提供がないと難しいと思いますよ。

  • ウクライナ情勢による食料供給への影響等について(3)

記者

  ウクライナ情勢にまた戻るんですけれども、対ロシアの制裁について、岸田総理は14日の役員会で欧米の主要国と調整しているという具体的な話をしているんですけれども、農林水産物に関しては、何か制裁というのを検討していたりだとかするんでしょうか。

大臣

  今、交渉中ですから、このコメントについては差し控えたいと思います。

記者

  ちなみに、これまで農林水産物が制裁の対象になったということはありますでしょうか。

大臣

  2014年のウクライナをめぐる情勢を受けて発動されたロシア向けの経済制裁において、クリミア地方で生産された全貨物の輸入が停止されたものの、これとは別に農林水産分野に限定された措置はなかったと承知していますが、その他の事例については、外為法に基づく貿易管理を所管している経済産業省にお尋ねいただきたいと思います。

記者

  現在はもちろん公表できないとしても、検討はしているということですかね、何かしらの。いわゆる頭の体操みたいな。

大臣

  いや。情勢がまだ分からないんですから、どういう状況なのか。

  • 水際措置の緩和に伴う外国人技能実習生の入国について

記者

  水際規制強化措置の緩和についてお尋ねします。3月から外国人技能実習生も含めて、また新しく緩和ということですけれども、農業とか漁業の現場にまた来られる可能性があるということで、現場を所管される農水省としての見解を教えてください。

大臣

  昨夜、総理から、外国人の新規入国につきまして、観光目的以外の新規入国者に限って認める旨の発言があったところであります。1日当たりの入国者数に制限が残るとはいえ、生産現場における人材の確保にとって前進であると受け止めております。農林水産省としては、引き続き、外国人の入国の状況を注視し、現場における労働力の状況を把握するとともに、産地内外の労働力の募集やマッチングの取組、掛かり増し経費等への支援などによりまして、労働力の確保を後押ししてまいりたいと思います。

  • IAEAによるALPS処理水の調査について(1)

記者

  ALPS処理水の海洋放出をめぐるIAEAの調査が今日まで行われる予定なんですけれども、海洋放出による風評被害で、各国の輸入規制の撤廃を遅らせるとの懸念の声もある中で、この調査に対して、どういった期待があるかお聞かせください。また、来年春を目途に放出される予定ですけれども、まだ地元の漁業者などが反対したままで、農水省として今後どういうふうに向き合っていくお考えでしょうか。また、大臣御自身としては、この問題について、政府としてはどう対応するべきとお考えかお聞かせください。

大臣

  農林水産省としては、今回来日した調査団による評価などが国内外に発信されることによりまして、処理水の安全性がしっかりと確保されることについて、透明性と信頼性が高まることを期待しております。今回のIAEAの調査団によって、安全だと、大丈夫だと、この情報を発信していくしかないんじゃないでしょうか。

  • 熊本県のあさりの産地表示への対応等について(2)

記者

  あさりの関係で、ちょっと1点。先ほどの御説明の中で、トレーサビリティを含めて、産地表示について、安心して、信頼を損なわないようにというようなお話があったと思うんですけれど、熊本県の方からは、トレーサビリティ制度の創設とかですね、そういった話も出ていますけれども、農水省においては、米とか牛肉とか、あと水産物流通適正化法で、あわびとかなまことか、ああいったものが、これからあったりしますけれど、この辺り、あさりなのか水産物なのかあれですけれど、御対応としてどういったことが考えられますでしょうか。

大臣

  消費者庁の定める食品表示基準では、「食品の表示に関する情報が記載された書類を整備して、これを保存するように努めなければならない」と定められています。まずは、適正な表示を確保する上で、これをしっかりと実行していただく必要があると考えております。農林水産省といたしましては、2月1日の調査結果の公表の際に、関係者や団体に、産地伝達の確認の徹底などを要請する通知を発出したところであります。なお、食品表示の制度やルールについては、更に改善すべきことがあれば、制度やルールについて所掌する消費者庁において検討されるものと考えています。これから検討していくということだね。

  • IAEAによるALPS処理水の調査について(2)

記者

  先ほどの質問で、私が聞き逃していたら申し訳ないんですけれども、地元漁業者などに対しては、どういうふうに向き合っていかれるべきと。

大臣

  それはもう、説得に説得を重ねていくと。それはやっぱり科学的な知見ですから、IAEAの調査の結果というのは非常に大事だと思いますから、それを基にして、あとはもう本当に大丈夫なんだと、風評被害が起きた場合はこういった対応します、そういったことを、説明を丁寧に丁寧にやっていくしかないと私は思います。

記者

  それは、放出までにその姿勢が変わらなくても。

大臣

  それはもう、放出するまでの間にやらないと、なかなか厳しいところもありますから。やっぱり、放出までに、国としてそういった説明をしながら、そして本当に、漁民の皆さん方の御理解をいただけるような、努力に努力を重ねていく、これしかないというふうに思っています。

報道室長

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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