令和2年12月11日

モザンビークに対する無償資金協力(3件)に関する書簡の交換及び供与式の実施

12月11日(現地時間同日)、モザンビーク共和国の首都マプト市において、現地を訪問中の茂木敏充外務大臣と先方ヴェロニカ・ナタニエル・マカモ・デリョーヴォ外務協力大臣(H.E. Ms. Verónica Nataniel Macamo Dlhovo,Minister of Foreign Affairs and Coopera-tion of the Republ ic of Mozambique)との間で、総額24億7,600万円となる計3件の無償資金協力案件に関する書簡の交換と、実施決定済みの無償資金協力2件に関する供与式が行われました。
 
1 書簡の交換を行った無償資金協力3件の概要は以下のとおりです。

(1)地方の給水施設の建設・整備にかかる支援(無償資金協力「ニアッサ州における地方給水施設建設計画」【供与限度額20.76億円】)
ニアッサ州では、近年の人口増加に伴う給水需要の高まりに十分に応えるだけの給水施設の整備が進んでおらず、同州の給水率は、43%と全国で2番目に低くなっています。本計画は、管路系給水施設(4基)及びハンドポンプ付深井戸施設(約100基)の整備を行うものであり、給水施設の建設及び設備の整備により、安全な水へのアクセス改善を通じて同州住民の生活環境の向上を図り、もって同国の地域経済活性化に寄与することが期待されます。
 
(2)海難救助関連機材の供与にかかる支援(無償資金協力「経済社会開発計画」【供与額2.00億円】)
カーボデルガード州では、2019年秋頃から同州北部の治安が急激に悪化しており、武装集団による襲撃事件が発生しています。同州では50万人規模の国内避難民が発生し、比較的安全な海上ルートで同州南部や隣接州へと逃れる避難民が増えていますが、手作りのボートへの乗船定員超過が原因となり転覆・溺死する事案が多く発生しています。本計画は、モザンビーク沿岸警備隊に対し、海難救助関連機材(救命ボート、救命胴衣、無線機等)を供与することにより、同国沖での海難防止及び人間の安全保障の推進を図り、もって社会の安定化を通じた同国の経済社会開発に寄与するとともに、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、海の安全を守るという海上法執行分野の能力強化にも資するものです。
 
(3)廃棄物処分場の作業効率の向上及び崩落防止のための機材供与にかかる支援(無償資金協力「経済社会開発計画」【供与額2.00億円】)
首都マプト市唯一の処分場であるウレネ廃棄物最終処分場では、2018年2月19日、大雨に起因して廃棄物の山が崩落し、家屋5棟が押しつぶされ、17名の死者という被害が発生しました。この災害を受け、同処分場では再崩落防止と安全な閉鎖が課題となっています。本計画は、モザンビーク政府に対し、廃棄物運搬・埋設及び整地のための土木工事用重機(ブルドーザー、エクスカベーター)を供与することにより、ウレネ廃棄物処分場における作業効率の向上及び崩落防止のための整地を通じた安全確保を図り、もって社会の安定化を通じた同国の経済社会開発に寄与することが期待されます。
 
(4)なお、我が国は、2019年8月に開催したTICAD7において、生活の向上や経済成長の基盤となる人間の安全保障とSDGsの実現に向けて、「強靭かつ持続可能な社会の構築への貢献」を表明しており、これらの計画は同表明を具体化するものです。
 
2 上述の3件の無償資金協力に関する書簡の交換とあわせ、それぞれ本年9月及び10月に実施を決定した「国連世界食糧計画(WFP)を通じた無償資金協力(食糧援助)」と「モザンビーク・カーボデルガード州とその周辺地域における緊急無償資金協力」2件の支援物資の引き渡し式が行われました。対象案件の概要は以下のとおりです。
 
(1)カーボデルガード州とその周辺地域及びその周辺地域における緊急無償資金協力(供与額4.62億円)
国際移住機関(IOM)、国連世界食糧計画(WFP)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、赤十字国際委員会(ICRC)及び国連人道問題調整事務所(OCHA)を通じ、食料や簡易住宅建設用資材、非食料援助物資の提供など基本的ニーズを満たす支援、保健・医療分野への支援、女性等の脆弱な人々の保護及びキャンプ内の調整・管理への支援等を実施しています。また、保健分野における支援を通じ、新型コロナウイルス感染症の影響の緩和に寄与することが期待されます。今次引き渡し式では、その一部である衛生用品キット(石けん、バケツ、マスク等)の他、毛布、テント、調理器具セット等が供与されました。
 
(2)食糧援助(WFP連携)(供与額2.00億円)
昨年のサイクロン・イダイをはじめとする自然災害や干ばつが頻発しており、ナンプラ州に位置するマラターネ難民キャンプには、約7,000名の難民がおり、食糧援助・就業訓練等の支援を必要としています。また、カーボデルガード州では、武装集団による襲撃事件が頻発しており、国内避難民が発生していますが、治安を理由に国際支援が届きにくい地域となっており、食料・栄養不足による死者急増が予測されます。本計画は、国連世界食糧計画(WFP)を通じてモザンビークの難民や国内避難民に対し米、被災地産缶詰、豆類等を供与するものであり、その食糧の一部を供与しました。
 
(3)我が国は、今後とも国際社会と連携しながら、同国の人道危機への対応に引き続き貢献していく考えです。
 
[参考]モザンビーク共和国基礎データ
モザンビーク共和国の面積は約79.9万平方キロメートル(日本の約2倍)、人口は約3,036万人(世界銀行、2019年)、一人当たりGNI(国民総所得)は480米ドル(世界銀行、2019年)。