(令和2年12月13日(日曜日)17時00分 於:モーリシャス)

[オンラインによる記者会見]

冒頭発言

【茂木外務大臣】皆さん、こんばんは。今、モーリシャスにいます。モーリシャスはこちらの現地時間で午後5時ですけれど、まだ気温は27度という状態であります。
 今回、外務大臣就任後初のアフリカ訪問として、次回のTICAD8の議長国チュニジア、そして「自由で開かれたインド太平洋」の一番西側に位置しているモザンビーク、南アフリカ、そしてここモーリシャスを訪問しているところであります。
 まず最初の訪問先チュニジアでは、サイード大統領、ムシーシー首相を表敬し、ナフティ国務長官と会談を行いました。一連の会談を通じて、2022年にチュニジアで開催予定のTICAD8に向けた連携を確認するとともに、経済分野をはじめとした二国間関係の一層の発展に取り組むことを確認しました。また、「自由で開かれたインド太平洋」の重要性について認識を共有するとともに、地域情勢についても率直な議論を行い、中東・北アフリカ地域の安定と繁栄に向けて引き続き連携していくことで一致いたしました。
 そして2カ国目モザンビークでは、ニュシ大統領を表敬し、マカモ外相と会談を行いました。経済発展の潜在力の極めて高いモザンビークとのビジネス促進について議論をし、日本が官民をあげて協力しているナカラ港の開発の重要性で一致をしました。先方からは、日系企業による更なる投資を歓迎し、カーボデルガード州の治安対策を強化する旨の発言がありました。また、「自由で開かれたインド太平洋」の実現を図っていくことで一致をみたところであります。
 続いて南アフリカ、昨日までいたわけでありますが、パンドール外相と2時間半にわたって外相会談を行いまして、空港で地方出張中だったラマポーザ大統領から電話を頂きました。先方からは一層のビジネス関係の強化等への期待が表明され、「日・南アフリカ・パートナーシップ・フォーラム」を早期に開催することで一致をいたしました。また、TICAD8に向けた協力を強化していくことも確認し、ポストコロナを見据えたビジネス関係や人的往来を更に促進することでも一致をいたしました。そして、ブルーエコノミー等の観点からも「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた連携について確認できました。
 そして、最後の訪問国となりましたモーリシャスでは、ジャグナット首相を今日の午前中に表敬をいたしまして、ボダ外相とも会談を行いました。8月の油流出事故を受けて、日本の協力の進捗状況について説明をするとともに、インド洋の地政学的な要衝に位置する海洋・民主主義国家であるモーリシャスと、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、幅広い分野で緊密に連携していくことで一致をいたしました。
 更に、今日の午後には、油流出事故の現場を視察いたしました。9月のジャグナット首相との電話会談でお伝えをしました海難防止、環境の回復、地域漁民の生計回復のための支援については、当地で活動中のJICA調査団から、協力の具体化に向けた調査の進展の報告を今受けたところでありますが、そして私(大臣)のほうからですね、JICAの調査団の皆さん、この暑い中で本当によく頑張っています。調査の労を労ったところです。また、経済の回復・発展の後押しについては、先方政府から300億円の緊急支援円借款の要請を受けまして、前向きに検討していきます。このように、これまでにない規模、そしてスピードでの協力を着実に具体化をしていきたいと、そんなふうに考えています。
 今回の訪問では、アフリカ各国との間で、一つは「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた連携、また、ポストコロナを見据えたビジネス関係の強化、さらにはTICAD8に向けた連携を通じて、「包容力と力強さを兼ね備えた外交」をアフリカで強く推進することができたと、そのように考えています。私(大臣)のほうからは以上です。

【質疑応答】

【記者】「自由で開かれたインド太平洋」についてお伺いいたします。各国とFOIPについて協議をされたということですけれども、FOIPはですね、ASEANなどと比べて距離的な問題もあってですね、関心がアフリカでは一段落ちるのではないかという指摘もありますけれども、今回の訪問でFOIPへの各国の反応、或いは手応えなどがあれば、お願いいたします。

【大臣】実はですね、この「自由で開かれたインド太平洋」、FOIP、これは、日本が2016年にアフリカで開催されましたTICAD6において、提唱したものでありまして、今まさにその実現に向けて様々な協力であったりとか、協議を進めているところでありますが、このビジョン、米国であったり豪州、インド、さらにはご指摘のようにですね、ASEAN諸国とも共有されておりまして、また夏には私(大臣)、欧州も訪問してきましたが、欧州の主要国、さらにはアフリカの国々からも支持をされ、様々な協議や協力が進んでいるところであります。今回ですね、4か国訪問する中で、私(大臣)の方から、「自由で開かれたインド太平洋」、こういう話をすると、先方の首相であったり大統領、また外務大臣、もうあのすぐにうなずいてくれて、しっかり連携していこうということで、このビジョンについては、アフリカにおいても着実にですね、これが浸透しつつあると、こういったことを今回の訪問で、実感をしたところであります。2022年には、TICAD8またアフリカで開催をされるわけでありまして、アフリカとこのビジョンをですね、共有していく、こういったことを説明し、各国と連携を強化することができた、こんなふうに考えております。

【記者】先ほどモーリシャスの重油流出の事故の件で300億円の円借款の要請を受けて前向きに検討するというふうにおっしゃいました。今後いつ頃までに結論を出していつこの円借款を実施したいお考えなのかという点と、具体的にどういった内容のものになるのか現状でのお考えをお伺いします。

【茂木外務大臣】今ですね、どういうモーリシャスに対する支援を行っているか、若干お話をしたいと思うのですが、9月にですね、ジャグナット首相と電話会談した際、海難防止、環境の回復、地域漁民の生計回復、更には経済の回復・発展の後押しに向けて、これまでにない規模で協力していく旨お伝えしたところであります。こうした協力を具体化するためにですね、10月から、先ほどもお話しましたが、JICAの調査団がモーリシャスを訪問して、調査を実施しているところであります。
 環境の回復、そして地域漁民の生計回復に向けた協力についてはですね、11月からJICAの調査団、第二陣がモーリシャスで現地の調査中でありまして、来月にはですね、調査結果を踏まえて、環境、漁業分野の技術協力プロジェクトを開始する予定であります。
 また海難防止につきましては、技術協力プロジェクトを早期に実施予定でありまして、海上航行、監視を支援する無償資金協力も出来るだけ早く実施をしたい、そのための準備を進めているところであります。
 更には、経済の回復の後押し、これがモーリシャスに限らず多くの国々で今コロナの中で求められているところでありまして、これに関連して、一つは貿易投資促進官民合同ミッション、この派遣、出来れば来年早々にと思っておりますが、これに加えてですね、先方から今回ですね、300億円の緊急支援円借款の要請がありましたので、前向きに検討しているところであります。こういったモーリシャスに対する支援、先方からも非常に高く評価をされております。
 そして私(大臣)も今日油流出の現場、実際に見てきましたが、着実にですね、海岸が綺麗になっていると、こういった事も感じているところでありまして、こういった一つ一つの支援を着実に実行していくことが日本とモーリシャスの関係を強化する上でも、更にはこの「自由で開かれたインド太平洋」、こういったものを実現していく上でも極めて重要だというふうに考えているところであります。前向きに検討するという話でありまして、これは出来るだけ早く結論を出したい、前向きに結論を出したいとこんなふうに思っております。

【記者】先ほどのモーリシャスとの共同発表の方で、大臣から中国についてお話をされたとご説明がありましたけれども、もう少し具体的に内容をうかがえないでしょうか。例えば大臣からどのような話をされてお相手の国からはどのようなご説明があったのか。また、今回の訪問中、各国との会談を通じてアフリカの地域における中国の存在について、大臣はどのようにお感じになられたでしょうか。

【茂木外務大臣】各国のトップ、さらには外相との会談におきまして、地域情勢等々についてもかなり時間をかけて議論をさせていただきました。中国、そしてまた北朝鮮の情勢、特に北朝鮮に関してはですね、拉致問題の早期解決に向けて、私(大臣)の方から引き続きの理解と支援をお願いし、先方からも支援をしたい、支持をしたい、こういう言葉もいただいているところであります。中国に関しましては、今、中国、中東であったりとか、アフリカに進出を進めているところでありますが、東シナ海における状況、そして、南シナ海における状況等々も含めてですね、私(大臣)の方からもきちんと説明をさせていただきました。日本の立場につきましても、しっかりとですね、先方にはお伝えをしたところであります。これ以上の具体的な内容については、外交上のやりとりでありますから控えさせていただきたいと思います。