(令和2年12月8日(火曜日)10時47分 於:本省会見室)

冒頭発言

茂木大臣のアフリカ訪問

【茂木外務大臣】私(大臣)の方からは特段ありません。
 今日の午後から1週間、アフリカ出張ということで、留守にさせていただきます。

茂木大臣の外遊の狙い

【朝日新聞 佐藤記者】大臣、この後、アフリカ訪問に出発されますけれども、これまで東南アジア、欧州と続けてこられたこれまでの外遊と、今度のアフリカ、それを貫く全体的な戦略・狙いについて、教えていただければと思います。

【茂木外務大臣】はい。今日は3次元方程式でないので、多分お答えできるのではないかなと思いますけれど。私(大臣)の外遊については、国際情勢であったりとか、各国の新型コロナの感染状況等も見ながら、そのタイミングであったり、訪問先、総合的に判断して決定をしているところであります。
 まず、こういったコロナ禍にあっても、相手国を訪問すること、そして直接会談を行うこと、これは限られた時間でのテレビ会議であったりとか、電話会談とは違って、より時間をかけて突っ込んで意見交換を行うことができて、私(大臣)のカウンターパート、外務大臣はもちろんでありますが、政府首脳を含みます直接のカウンターパート以外の要人とも意見交換を行う機会も持てるという形で、二国間で信頼関係を一層深め、また国際情勢・地域情勢についても認識を共有するということで、非常に重要な機会だと、こんなふうに思っております。
 そういった考え方から、8月以降、英国から始まりまして、欧州、東南アジア、中東等を訪問して、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた連携、そしてコロナ対策での協力、更にはポスト・コロナの国際秩序等について意見交換を行ってきましたが、今回、臨時国会が閉会した機会に、外務大臣就任以来、まだ訪問していないアフリカを訪問して、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた連携であったり、ポスト・コロナを見据えたビジネス関係の強化、そして再来年にはTICAD8が予定されておりまして、これに向けた連携を図ることとしたところであります。
 チュニジア、次回のTICAD8の議長国でありまして、また南アフリカ、モザンビーク、モーリシャス、これは「自由で開かれたインド太平洋」、これを世界地図で見ますと、一番西側に位置する地点ということになるわけでありまして、古く遡ってみると、1586年、天正の遣欧使節団、ローマ教皇拝謁の旅から回って日本に戻る途中、風待ちのために寄ったのがモザンビークというわけでありまして、モザンビークからまさにインド洋、太平洋を渡って日本に戻ってきた、こういう国であります。
 こういった地域でありまして、これらの国々との間で、二国間関係であったりとか、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、様々な議論を行いたいと考えております。有意義な訪問にしたいと思っております。

日中韓サミット

【韓国YTN 李記者】韓国で開かれる予定の3か国の首脳会議に関しましてお伺いします。韓国政府は年内開催に向けて準備を進めているところなんですけれども、日本政府はいまだに参加の明言をしていない状況が続いているんです。日本メディアの報道によりますと、元徴用工問題の解決策がない限り、菅総理の韓国訪問は難しいとのことなんですけれども、それが首脳会議への参加の条件なんでしょうか。

【茂木外務大臣】日中韓サミットの日程等については、現時点で何ら決まっておりません。それがお答えです。

第5次アーミテージ・ナイ報告書に対する受け止め

【日本経済新聞 加藤記者】日米関係についてお伺いします。昨日、アーミテージ元国務副長官ら有識者が第5次となる報告書を発表しました。日米同盟について日本が初めて対等な役割を担うようになったというふうに評価しつつ、菅政権の継承を求めています。これまでも、その日米の政策に影響を与えてきた報告書だと思いますけれども、これをどのように評価されていて、今後どのように政策に反映されていくお考えかお伺いします。

【茂木外務大臣】この報告書、共同執筆者でありますアーミテージ・元国務副長官、そして、ナイ・ハーバード大学教授、日米同盟、そして、インド太平洋地域情勢に深い見識を持たれた米国でも有数の知日家であり、また、外交の専門家でもあると、このように考えておりまして、本報告書の内容、しっかりと受け止めたいと思っております。
 そして、その中で日本が果たしている役割、それについても極めて肯定的な評価がなされていると感じているところであります。日米同盟は我が国の外交・安全保障の基軸でありまして、政府として引き続き、日米同盟の強化に取り組んでいきたいと思います。

我が国提出の核廃絶決議案の国連総会本会議における採択

【読売新聞 福田記者】今朝、報道発表がありましたけれども、ニューヨークで行われた国連総会の本会議で、日本政府が提出した核兵器廃絶に向けた決議案が採択されました。この受け止めについてお願いします。

【茂木外務大臣】今日、国連総会の本会議、ニューヨーク時間ですと、まだ7日ということになリますが、におきまして、我が国が提出した「核兵器のない世界に向けた共同行動の指針と未来志向の対話」と題する決議案、150か国の支持を得て採択されたところであります。
 本年の決議案では、核兵器の究極的な廃絶へのコミットメントを再確認するとともに、第10回NPT運用検討会議を見据えて、NPT体制の維持・強化に向けて、各国が共同で直ちに取り組むべき行動、そして、未来志向の対話の重要性を強調しているところであります。
 本決議案の採択を通じて、各国が一致して取り組むことができる共通基盤の形成を促すとともに、次回のNPT運用検討会議に向けた機運が高まること、期待をしたいと思います。

中東安定化に対する日本の取組

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
 大臣の中東訪問、特にチュニジア訪問に関してお伺いします。現在、イランの核施設に対する攻撃を皮切りに、中東で新たな戦争が始まる可能性がある旨示唆する報道が増えています。これはイランの核科学者の暗殺を受けてのものです。これまで、前政権の際には、日本は中東地域の安定を目指すイニシアチブを主導してきたと承知しております。このような日本のイニシアチブの現状についてお伺いするとともに、イランの核科学者の暗殺に関し現在の中東地域情勢についての大臣のコメントをお伺いできればと思います。

【茂木外務大臣】
(以下は日本語にて発言)
 事態がどこまで切迫しているかということについては、様々な見方があると思っておりますが、原油輸入の約9割を中東地域に依存している我が国にとりまして、中東地域の平和と安定、極めて重要でありまして、中東地域で高い緊張状態が継続している、更には様々な事件等が起こっていることを懸念をしているところであります。
 我が国は米国と同盟関係にありますが、同時にイラン等と長年良好な関係を維持するなど、中東の平和に関係する各国と良好な関係、これを築いているところであります。
 私(大臣)自身も、今年、イスラエル、ヨルダン、イラン、サウジ、UAE、カタール等、中東各国の外相と電話会談を行ってきておりますし、また10月には中東を訪問して、サウジ、クウェートを回ってきたところでありまして、地域情勢を含みます各種課題について、意見交換、意思疎通を図ってきたところであります。こういったものを活かしながら、地域の緊張緩和及び情勢の安定化に向けて、関係国に対する様々なレベルでの働きかけ、こういったものを行っていきたいと思っております。
 緊張が起こっているところ、それは様々な地域、イランもあるわけでありますが、マグレブのいくつかの国でも、そういった状態があるわけでありまして、それぞれの情勢、注視をしながら、できれば関係国の間で、対話によって平和裡に問題が解決する、こういう方向に行くことを期待しますし、そこの中で、日本も関係国等々に働きかけを行っていきたいと思っています。