(令和2年1月7日(火曜日)18時25分 於:タイ・バンコク)

冒頭発言

【茂木外務大臣】外務大臣就任以来,初めてのタイ訪問となります。タイは日本企業の一大拠点であり経済的に重要であることはもちろんでありますが,昨年はASEAN議長国としてリーダーシップを発揮し,外交・安全保障面,そして自由で開かれたインド太平洋の実現に向けても重要なパートナーであると考えております。
 今日は,ドーン外務大臣と会談を行うとともに,プラユット首相を表敬訪問し,有意義な議論を行うことができました。
 まず外相会談では,インフラ開発協力や投資環境整備といった経済分野,そして防衛協力を中心に,二国間関係強化に向けた意見交換を行うとともに,TPP11やRCEP,そしてメコン地域の発展に向けた協力,海洋プラスチックごみ対策といった地域協力についても議論し,これからも緊密に連携していくことを確認したところであります。
 また,プラユット首相表敬でも,TPP11やRCEP等の経済分野を始め,AOIPの具体化に向けた協力や北朝鮮を含む地域情勢についても議論を行いました。プラユット首相からは北朝鮮に関しまして,拉致問題について引き続き日本に協力していきたい,こういった発言がありました。
 この後,ドーン大臣夫妻主催の夕食会に出席の予定でありますが,北朝鮮問題,南シナ海やラカイン州問題についても,引き続き議論を深めたいと思っています。明日はタイの財界関係者と面会し,日本とタイの経済関係の発展に向けて話を伺いたいと思っております。私(大臣)からは以上です。

質疑応答

【記者】タイはTPPへの参加検討を表明していますが,今日の外相会談ではどういったやりとりがあって,何らか進展は見られたでしょうか。
 
【茂木外務大臣】TPPについては,TPP11の加入について,タイ政府内で引き続き前向きに検討しているとのことで,今後のタイの国内手続きについても説明があったところであります。日本としては,タイのTPP11加入への関心を歓迎する旨を伝えました。プラユット首相とも会談を行いまして,タイ政府が参加を決定した際には日本に最初に伝達する,こういうふうにプラユット首相のほうからお話がありました。
 
【記者】関連して。タイがTPPに参加する意義を大臣としてどのように考えていますでしょうか。また,日本がTPP参加国拡大に向けて,改めてその意気込みという部分をお聞かせ願えますでしょうか。
 
【茂木外務大臣】グローバル化の進展の一方で,保護主義の台頭,こういうものも見られるわけでありまして,日本として自由貿易の旗手として,自由で開かれた公正な共通ルールを世界に広げていく,きわめてこのことは重要だと思っております。我が国としてこれまでTPP11,さらには日EU・EPA等の経済連携を進めてきたわけであります。そういった中で,きわめて高い,ハイスタンダードなルール作りに参加をしたい,こういった国が多くあらわれるということは歓迎したいと思っています。
 
【記者】関連して。大臣は,訪問に先立つ昨年末の記者会見で,タイから検討状況を説明された場合,情報提供したいとおっしゃってましたが,今回の会談のなかで情報提供はされたのでしょうか。
 
【茂木外務大臣】先ほど申し上げたように,タイ政府内で引き続き前向きな検討をしていると。むしろ技術的な論点,政策判断というよりは技術的な論点の詰めを行っているという,こういう段階であって,今後の国内手続きをどう行っていくか,こういったことについても説明がありました。日本としても協力ができることがあれば何でもおっしゃっていただければできる限りの協力をしたいと,この旨は伝えております。
 
【記者】中東情勢で特にイランとアメリカの緊張関係については,今回の外相,あるいはプラユット首相との会談の中で何かお話がありましたでしょうか。
 
【茂木外務大臣】特にドーン外相との間では,中東情勢についてもやりとりをさせていただいたところであります。日本政府として中東地域が緊迫の度を高めていくこと,深く憂慮しているところであります。事態のさらなるエスカレーションは避けるべきでありまして,すべての関係者に緊張緩和のための外交努力を尽くすことを求めたいと思います。諸般の情勢が許せば,来週米国を訪問して,この問題についても協議をしたい,こういうふうに思っております。我が国として,関係国と緊密に連携しつつ,粘り強い外交努力を継続していくとともに,在留邦人の安全についても万全を期していきたい,このように思っております。
 
【記者】関連してですが,来週の米国訪問の際の協議としては,米国に対して自制を求めるという考えなのでしょうか。
 
【茂木外務大臣】この問題について協議をしていきたいと思っておりますが,事態のさらなるエスカレーション,これは避けるべきである,全ての関係者に対して緊張緩和のための外交努力を尽くすことを求めていきたいと思っています。同時にこうした外交努力とですね,あわせて政府として中東における日本関係船舶の航行の安全確保をするために,どのような対応が効果的かという観点から,情報収集体制を強化するために自衛隊のアセットを活用することにしたわけでありまして,この方針には変わりありません。