平成30年6月26日(火)

 今朝の閣議では,法務省案件として主意書に対する答弁書が2件ありました。
 私から1件御報告があります。民事執行法制については,平成28年11月以降,法制審議会民事執行法部会において,子の引渡しの強制執行に関する規律の明確化等の課題につき調査審議が重ねられています。
 子の引渡しの強制執行については,裁判の実効性を確保しながら,強制執行が子の心身に与えるダメージをできる限り少なくするといった観点から,その規律の在り方について検討が進められており,現在,要綱案の取りまとめに向けた議論が続いています。
 具体的には,現在の運用では,国内の子の引渡しの強制執行は,子と債務者が共にいる場合でなければすることができないとされていますが,民事執行法部会では,これにより執行の現場で子が両親の間に挟まれ,大きな葛藤を感じる場面に直面することも少なくないこと等を踏まえ,一定の要件の下で,子と債務者が共にいる場合でなくても強制執行を可能とする方向で議論がされています。
 法務省としては,いわゆるハーグ条約実施法に基づく国際的な子の返還の強制執行の場面についても,国内の子の引渡しの場面と同様の問題があると考えており,今後,民事執行法部会において必要な規律の見直しについて検討がされるところです。
 子の引渡しや返還をめぐる強制執行制度の見直しは非常に重要な課題であり,強制執行の実効性を確保しながら,子の心身の負担に最大限配慮した規律が設けられるよう,法制審議会民事執行法部会において充実した調査審議がされることを期待しています。

ハーグ条約実施法の見直しに関する質疑について

【記者】
 ハーグ条約実施法に関する見直しについては,どのような点が検討される予定でしょうか。

【大臣】
 検討の対象となる具体的な項目については,今後,法制審議会民事執行法部会において議論されることになるものと考えていますが,国内の子の引渡しに関する規律においては,現行のハーグ条約実施法とは異なり,子と債務者がいること,つまり,同時存在は不要としつつ,子の利益に配慮し,債権者の出頭を原則として必要とすること等について検討がされています。そのため,ハーグ条約実施法についても同様の規律とするかといった点が,法制審議会民事執行法部会においての調査審議の対象になるものと思っています。

【記者】
 今後の法制審での審議の見通しであったり,その後改正ということになれば,法改正も含めて,どのようなスケジュール感を考えていらっしゃるでしょうか。

【大臣】
 今,法制審議会での議論に付されており,その状況次第ということですが,充実した審議を加えていただき,なるべく早期に答申がなされるように期待しています。

(以上)