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伊藤大臣閣議後記者会見録 (令和6年4月16日(火)09:15~09:33 於:環境省第1会議室)

1.発言要旨

 本日、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律施行規則の一部を改正する省令が公布、施行され、絶滅のおそれのある四国の個体群を除き、クマ類を指定管理鳥獣に指定いたしました。
 指定管理鳥獣としてのクマ類の管理を強化するとともに、昨日、関係省庁とともに公表したクマ被害対策施策パッケージを着実に実施することで、クマ類の地域個体群の維持と、クマ類による被害の防止を図り、国民の安全安心を確保してまいります。
 内閣府原子力防災では、石川県等の関係自治体の協力のもと、志賀原発から約30キロ圏内における能登半島地震の被災状況の調査を行い、12日金曜日に開催した志賀地域原子力防災協議会の作業部会において調査結果を報告しました。
 本調査の結果、基本的な避難ルートのうち、南部方面に向かう際は、4か所を除き、迂回路を活用することで物理的に通行可能であったこと、原発30キロ圏内の14か所において、孤立地区が発生したことなどを確認しました。
 今後、今回の調査結果を踏まえ、志賀地域の作業部会において必要な検討を進めていくほか、今回の調査結果の他の地域への共有を図っていきます。今回の調査結果で得た気づきとしては、代替経路の速やかな設定等、一層の避難の円滑化を図ることの必要性、孤立するおそれのある地域等における屋内退避の環境整備を推進することの必要性などが挙げられます。
 今後、訓練等の充実、自治体への支援の強化などの検討を進めてまいります。
 以上でございます。
 

2.質疑応答

(記者)毎日新聞の山口です。よろしくお願いいたします。
 指定管理鳥獣についてお伺いします。今回クマを指定管理鳥獣にするということで、地方自治体が行うクマの被害防止対策というのは、具体的にどのような変化が見込まれるのでしょうか。また、指定管理鳥獣関連の交付金を自治体が使い始められる時期というのは、いつ頃を見込んでいるのでしょうか。
(大臣)専門家による検討会で整理いただいたとおり、クマ類による被害防止対策を効果的に進めるには、ゾーニング管理、広域的な管理、順応的な管理の3つの管理を推進し、クマ類と人の空間的なすみ分けを図っていく必要がございます。そのためには、都道府県等により、クマ類の個体数等のモニタリング、人の生活圏への出没を防止するための環境管理や必要な捕獲、人材育成等の取組を、地域の実情に応じて実施していただく必要があります。環境省は、必要となる技術的、財政的支援を行ってまいります。
 クマ類の対策に必要な指定管理鳥獣捕獲等事業交付金の拡充については、財政当局との具体的な調整をこれから進めていくことになりますが、環境省としては、今年の秋の出没対応に間に合うように準備を進めていきたいというふうに考えてございます。
 
(記者)共同通信の清と申しますけれども、クマについてお伺いします。
専門家検討会では、繁殖力のあるシカやイノシシとは別の交付金メニューをという指摘がありました。この指摘を踏まえ、支援メニューはどのようなものを考えていますでしょうか。
(大臣)シカ、イノシシと異なる対策としては、捕獲に偏らない総合的な対策を示しております。例えば、柿などの誘引物の管理をはじめ、人の生活圏への出没防止対策、また、出没対応マニュアルの作成、出没対応訓練等、出没時の緊急対応などが考えられます。このように、捕獲に偏らない対策についても、都道府県等に働きかけを行ってまいりたいと思います。
(記者)ありがとうございます。
 
(記者)朝日新聞の市野です。
 2点お伺いします。まず1点目なんですけども、温室効果ガスの削減目標であるNDCについてなんですが、35年度に66%を軸に検討するという一部報道がありまして、現状で参考にされている数値であったりとか現在の検討状況、スケジュール等について、お考えがあれば教えてください。
(大臣)今、御指摘いただきましたけれども、次期NDCについて、現時点で何らかの具体的な方針が決定しているという事実はございません。次期NDCについては、IPCCによる科学的知見や排出削減の実績等を踏まえつつ、関係省庁とも連携しながら、環境省が中心となって、しっかり検討してまいりたいと思います。
(記者)ちなみに、スケジュール感についてもということでしょうか。
(大臣)次期NDC、これはやっぱりいろんなことを考えてまいりますので、今、はっきり何月何日ということは言えないわけでございますけれども、2021年の策定時と同様に、温室効果ガスの削減目標を裏づける地球温暖化対策計画及びエネルギー基本計画、これと一体的に検討していくことを想定しております。
 具体的な開始時期は検討中ですけれども、地球温暖化対策計画の見直しを含めた気候変動対策、これについて、環境省の中央環境審議会と経済産業省の産業構造審議会の下に、それぞれの議論の場を立ち上げて合同で審議していくということを予定しております。合同会合の全体スケジュールやアウトプットについては、今後、審議会の議論等を踏まえながら決定してまいりたいというふうに思います。
(記者)ありがとうございます。もう一点、先ほど御発表いただいた志賀原発の被災状況の調査についてなんですけども、今回その30キロ圏内、14地域で16日間の孤立であるとか、あるいは、原子力防災として担当されている防護区画内の施設も6か所使えなかったというふうな話になっていたかと思います。改めて、大臣として、この対策が十分だったのかどうかというところの御認識をどのように考えているのかというのを、1点お願いいたします。
(大臣)ちょっと前段は繰り返しになりますけれども、調査によって様々な原子力防災に関係した施設などの被災の状況が判明したと思います。このような調査で得られた気づきをいかに生かしていくかというのが非常に重要だというふうに私は考えておりまして、今後、志賀地域の作業部会において、今回整理された検討事項について議論を行って、自治体の意見も聞きながら、原子力防災の実効性の向上に資する支援の内容や訓練の充実を検討してまいりたいと、そういうふうに考えております。
(記者)ありがとうございます。また、大臣、先ほど、ほかの地域への共有を図るというふうな御発言があったかと思うんですけれども、具体的に、この得られた知見というものをどのように共有されていく御予定なのか、お考えがあれば教えてください。
(大臣)それぞれの原発地域の地域の特性もあると思います。しかし、自然災害と原子力災害の複合災害ということが今回特に注目されたわけであります。そういう意味においては、やはり、複合災害において、原子力防災がどのように実効性を上げていくかということについては共通項があると思うので、それをそれぞれの地域の防災計画にも共有して活用してもらいたい、そういう考え方です。具体的に、この地域はこうするということですね。
(記者)具体的に、例えば、陽圧施設が本当に使えるかどうかなどを各地域に、ほかの原発立地地域に対しても調査をするであったりとか、そういったことのお考えとかはありますでしょうか。
(大臣)先ほどの答えの中に一部含まれていると思いますけれども、特にPAZにおいて、仮に孤立地域が出たということであれば、やっぱり防護施設の中に一定期間避難することが必要でありますので、そういう防護施設の拡充というか充実の中に、陽圧装置が地震等の状況でもしっかり稼働するようにという項目も入ってくるのだろうと考えております。
 
(記者)時事通信の大利と申します。
 脱炭素まちづくりアドバイザーについてお聞きします。昨日から新たな派遣自治体の公募が始まったと思いますが、これまでの派遣実績等、自治体からどのような要望が出ていて、アドバイザーが貢献できることはどのようなことか、その点をお伺いさせてください。
(大臣)分かりました。脱炭素のアドバイザー、大変重要だと思います。地方公共団体からは、地域脱炭素を推進する上での課題として、それぞれの、大きい自治体もありますけど、小さい自治体も多いわけですから、職員の専門的知識や人材が不足しているという声はよくお聞きしているところでございます。このため、環境省は令和5年度に脱炭素まちづくりアドバイザー制度を創設いたしました。脱炭素の専門的知識や経験を有する者を地方公共団体に派遣して助言を行うことで、地方公共団体の地域脱炭素の取組を支援してございます。
 昨年度は、28の地方公共団体に14名のアドバイザーを派遣いたしまして、再エネ事業の立案や地域新電力の立ち上げ、また、官民連携による実効性のある計画策定など、幅広く助言をしました。地方公共団体の施策の推進に、多少なりとも貢献したと思っております。
今年度は、さらに拡充しまして、派遣先を80地方公共団体程度に拡大して、アドバイザーの登録数も47名に拡大しました。さらに多くの地方公共団体に、脱炭素まちづくりアドバイザー制度、これを活用していただくことを期待しておりまして、国、地方公共団体が連携して地域脱炭素の取組を推進してまいりたいと、このように考えております。
 
(記者)TBSテレビの池田です。
 冒頭のクマの指定管理鳥獣についてなんですけれども、春になって、冬眠から覚めるクマも出てくる頃かと思います。昨年、過去最悪の被害があったという傾向を踏まえて、改めて注意喚起をお願いできますか。
(大臣)冒頭、それから御質問にお答えしたとおりでございますけれども、シカ、イノシシと異なる対策ではございますけれども、やはり総合的にこの対策を進めていかなければならないと思います。春になって、起きてこられると思うんですけども、一番被害のピークというのは、やっぱり秋口からなんですね。だから、もちろん春から対策をなるだけ、今日施行するわけなので進めたいと思いますけども、秋口に向けて、しっかり今回の動きが実効性を持って、それぞれの都道府県で対策が取れるようにしてまいりたいと思います。いずれにしても、捕獲に偏らない形で、しっかり実行したいと思います。
 
(記者)共同通信の矢野です。よろしくお願いします。
 PFAS関連で、環境大臣、今、閣僚としてのお考えをちょっと1つお伺いしたいと思っていまして、米国はバイデン政権、政権としてPFASの規制の議論をリードしていると思います。日本では今、地方自治体から、健康影響とか除去技術とか、いろいろ環境省に助けてくれという支援を求める声が相次いでいるのですが、日本でも、どうでしょう、政府全体でしたり省庁横断型でPFAS問題に取り組んでいく必要性というのはないでしょうか。その旗振り役となるのが環境大臣のような気もするんですが、この辺りのお考えをよろしくお願いします。
(大臣)質問にお答えすると同時に全体のことを申し上げたいと思いますけども、今、御指摘がありましたように、PFOS、PFOAについては、沖縄県などにおいて暫定目標値を超過する事案が生じておりまして、県民、国民の間で不安の声が上がっていることを、真摯にまず受け止めております。水道や水環境中のPFOS、PFOAについては、現在検討が継続されている食品安全委員会の評価結果や、今回の米国環境保護庁による基準設定を含む諸外国や国際機関の動きなども踏まえて、専門家の意見も伺いながら、暫定目標値の取扱については検討を進めていく予定でございます。
その上で、暫定目標値を超過した地点においては、健康への被害を防止するために、その飲用による暴露の防止を徹底することが重要だと考えております。環境省としては、引き続き自治体への技術的助言などを通じて暴露の防止を徹底し、国民の安全安心のための取組を進めてまいります。そして、御下問の部分でございますが、これはやはり、究極的には政府全体で進めていくものだと思いますので、環境省は少なくとも、特に水質の基準を決めるのは4月から環境省の所管でありますから、まずはその部分において、しっかり進めてまいりたいと考えております。
(記者)最終的には政府全体というふうに大臣がおっしゃった、その先、何か考えていらっしゃるものとかはあったりされるんでしょうか。
(大臣)政府全体の立場を総理大臣でない私が言うのはおこがましいと思いますけども、環境省以外の閣僚、また総理におかれても、その認識はお持ちになっているんじゃないかと推察します。
 
(記者)毎日新聞の山口です。
 先ほどの志賀原発の件で、ちょっと1点追加でお聞きしたいんですけど、ちょっと先ほどとやや重複するかと思うんですが、結果的に、報告だと16日間孤立が生じてしまったということに対する受け止めと、孤立を発生させたことについての防災上欠けていた視点というのは、どのように考えておられますでしょうか。
(大臣)これは、自然災害と原子力災害の複合災害で、主に自然災害によって孤立が起きたということです。今回の場合は、PAZの中では必ずしも、何でしょうか、通行が不可能ではなかったわけでありますけども、14か所において孤立地帯が発生したことは重要でございますので、先ほどの、ちょっと繰り返しになりますけれども、代替経路の速やかな設定、それから一定の避難円滑化を図ることが必要だと。それから、今申し上げたように、孤立するおそれのある地域等における屋内退避の環境整備は、さっき御質問もありましたけども、今回、自らの家屋が倒壊したという県も多いわけですから、それから、防護施設に被害があったということもありますから、そこも含めて、屋内退避の環境整備をしっかり図っていくということが重要だというふうに考えております。
 さらに、避難の形ですけども、そこは先ほど申し上げませんでしたけども、道路啓開活動をしつつ、代替経路を確保するとともに、それでも不可能な場合は、海路、空路の避難になります。その際は、自衛隊、警察、消防が支援して避難を円滑にするようにしたい、そういうことで対応してまいりたいと思います。
 

会見動画は以下にございます。
https://www.youtube.com/watch?v=BzbFpr7b-Qw
 

(以上)

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