外務省・新着情報

ウクライナ情勢(「黒海穀物イニシアティブ」の停止)

【NHK 森田記者】ウクライナ情勢の関連でお伺いします。ロシア政府は、昨日、ウクライナ産の農作物の輸出をめぐる合意の履行停止を発表しましたけれども、日本政府の受け止めと、今後の対応についてお聞かせください。

【林外務大臣】本件につきましては、先ほど大臣談話を発出したところでございます。黒海穀物イニシアティブに関し、国連及びトルコによる懸命な仲介努力にもかかわらず、7月17日、ロシアが参加を終了し、黒海穀物イニシアティブは、終了することとなりました。ロシアによる参加終了の決定は、極めて遺憾であり、これを非難いたします。今回のロシアの決定がもたらす負の影響は、ロシアが最終的な責任を負うことになります。
 黒海穀物イニシアティブは、昨年7月の発足以来、黒海を通じて、3,200万トン以上の穀物を、グローバル・サウスを中心に世界各地に届け、世界の食料不安の解消と食料価格の安定化に貢献してまいりました。今回のロシアの決定が、世界の食料供給にもたらす影響を懸念しておりまして、状況を注視しております。
 我が国は、これまで黒海穀物イニシアティブの継続・実施のため、精力的に取り組んできた国連、そしてトルコの努力を評価しております。引き続き、両者の取組を注視し、後押しをしてまいりたいと考えております。
 また、我が国は、5月のG7広島サミットでの首脳コミュニケ及びG7が招待国と共に発出をいたしました「強靭なグローバル食料安全保障に関する広島行動声明」におきましても、黒海穀物イニシアティブの重要性、これを強調し、国際社会よる支持の必要性を表明してきたところでございます。引き続き、世界の食料安全保障を確保していくため、G7を始めとする国際社会と連携をしながら、ロシアが国際的な枠組みに復帰し、ウクライナからの穀物輸出が再開されるように強く求めてまいります。

日中外相会談(ALPS処理水)

【共同通信 植田記者】先日の、大臣と中国の王毅(おう・き)共産党政治局員との会談についてお伺いします。会談で大臣は、東京電力福島第一原発の処理水をめぐりまして、中国の「政治化」に反対すると述べられました。中国側は、処理水の放出に反対する立場を示していますが、この「政治化」について、大臣は会談の中で、具体的にどういった文脈で発言され、また、王毅氏からどのような回答があったのかお伺いします。

【林外務大臣】14日に行われた王毅主任との会談におきましては、今般のIAEAの包括報告書に言及しつつ、我が国の立場を改めて明確に述べ、本件の政治化に反対するとともに、科学的観点からの対応を改めて強く求めたところでございます。また、中国とも科学的観点からの意思疎通を行う用意がある旨、改めて伝えたところでございます。
 王毅主任からは、中国側の立場が述べられました。
 これ以上の詳細は外交上のやり取りであり、お答えを差し控えたいと思います。

NPT運用検討会議

【中国新聞 樋口記者】今月末にオーストリアのウィーンで開幕するNPTの再検討会議の準備委員会について伺います。NPTの再検討会議、ここ2回ほど、不合意というのが続いておりまして、なかなか核軍縮、前に進まないという状況になっているんですけれども、今回の、その準備委員会で、どういった成果を目指すのか、政府としてまず、それを教えてください。

【林外務大臣】核軍縮をめぐる国際社会の分断の深まり、そして、ロシアによる核の威嚇等によって、「核兵器のない世界」に向けた道のり、これは一層厳しさを増しております。しかし、こうした中だからこそ、核兵器国と非核兵器国の双方が参加をするNPTは、国際的な核軍縮・不拡散体制の礎石として不可欠であります。
 御指摘のように、昨年8月のNPT運用検討会議におきましては、ロシア1か国の反対で、成果文書が採択されなかった、このことは極めて遺憾でありますが、核軍縮に向けた今後の議論の土台が示されるとともに、NPT体制の維持・強化の重要性が改めて確認をされました。
 7月31日に開幕をいたしますNPT運用検討会議第1回準備委員会、これは、2026年に開催予定の、次回NPT運用検討会議に向けたプロセスの皮切りとなる重要な会議であります。我が国としては、「G7首脳広島ビジョン」を強固なステップ台としつつ、昨年のNPT運用検討会議で、岸田総理が提唱した「ヒロシマ・アクション・プラン」の下での取組を一つ一つ実行していくことで、現実的で実践的な取組、これを継続・強化していくことの重要性を強調し、国際社会の機運を高めてまいりたいと考えております。

【中国新聞 樋口記者】関連で伺います。昨年の本会合には、総理が、歴代日本の首相として、初めて出席されました。今年の準備委員会の現段階での検討状況、政務三役の方が行かれるのか、それとも事務方が行くのかとか、そのあたりのことを教えてください。

【林外務大臣】我が国からの出席者についてですが、現在調整中でございまして、未だ決まっていることはございません。

日・EU戦略対話

【毎日新聞 川口記者】岸田総理の日・EU定期首脳会談についてお伺いします。今回発出された共同声明では、外相レベルでの戦略対話の立ち上げが盛り込まれました。安保面で、この枠組みを新設する意義と、安保協力においてEU側に期待する役割、教えてください。

【林外務大臣】国際安全保障環境は厳しさを増しておりまして、日本として、価値や原則を共有するEUのようなパートナーと協力を強化することは、極めて重要であります。
 我が国としては、国際社会が歴史的な転換期にある中で、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持するために、G7広島サミットの成果も踏まえながら、価値や原則を共有するEU及びその加盟国との連携を一層強化をしていく考えでございます。
 今般の、日・EU定期首脳協議の機会に立ち上げた外相間の戦略対話の下で、EUとの間で、安全保障協力、そして、地域情勢などについて、戦略的観点から議論をしていきたいと考えております。

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