外務省・新着情報

冒頭発言

【林外務大臣】ウクライナ復興会議に出席するため英国を訪問いたしました。
 ウクライナ復興会議ではスピーチを行いまして、先日のカホフカ・ダムの決壊に関して、ウクライナ国民へのお見舞いと、そして連帯を改めて表明するとともに、食料、水・衛生、保健等に関する500万ドルの緊急人道支援を決定したこと、そしてまた、JICAやUNDPを通じてまして、機材を供与するとともに、NGOを通じた緊急人道支援これを実施していく旨を表明させていただきました。
 我が国には、戦後の荒廃や、度重なる自然災害から復旧・復興を遂げた経験と知見があることを紹介した上ですね、これらを活用して、ウクライナの人々に寄り添った日本ならではの復興支援を力強く実施していく旨のメッセージを発信をいたしました。
 また、ウクライナの復旧・復興において重要な民間企業の更なる関与を得るべく、我が国として、全ての関係省庁が参加するウクライナ経済復興推進準備会議これを立ち上げたことを紹介をいたしました。
 また、さらに、本年末から来年初めの適切なタイミングで日ウクライナ経済復興推進会議を開催いたしまして、日本の官民を挙げてウクライナの復旧・復興を力強く後押しする旨も発表いたしました。
 日本がG7議長国を務める今年、私自身が約20社にのぼる多くの日本の民間企業の皆様とともに今回の会議に出席をし、しっかりと我が国の立場を発信できたことは大変有意義だったと考えております。
 また、今回の英国訪問の機会を捉えて、今年の日本の議長年で3回目となりますG7外相会合を開催をいたしました。
 同会合ではですね、ブリンケン米国務長官から直近の訪中結果について説明を受けまして、私からは中国に対して率直に関与をし、我々の懸念を直接表明するとともに、対話を通じて建設的かつ安定的な関係を築くということが重要であるという旨述べたところであります。また、ウクライナや北朝鮮を始めとする地域情勢についても意見交換を行いまして、引き続きインド太平洋地域を含む国際社会の諸課題に関する議論や連携を深めていくことで一致をいたしました。
 そしてバイですが、今回のロンドン出張の機会にですね、シュミハリ・ウクライナ首相を表敬しまして、今回のウクライナ復興会議の成果を踏まえた復興の実現に向けた意見交換を行いまして、その中で本年末から来年初めに日本で開催予定の日ウクライナ経済復興推進会議への出席を要請し、快諾をいただいたところでございます。会談では、500万ドルの緊急人道支援、また、NGOを通じた支援に加えて、JICAの支援を通じて浄水装置約160台、排水ポンプ約30台、ポリタンク4,000個、大型水槽約20個を供与し、UNDPを通じて発電機約530台、建機約30台を供与するとともに地雷対策として住民への啓蒙活動これを実施することも表明しました。
 さらに、クレバリー英外務・英連邦・開発相と会談を行いまして、先日の日英首脳ワーキング・ディナーに際して発表されました日英広島アコードを踏まえて、安全保障、経済等幅広い分野にわたる日英関係をですね、一層強化していくことを確認いたしました。また、ハスラー・リヒテンシュタイン外相との間で、史上初となる外相会談を行い、マーティン・アイルランド副首相兼外務・防衛相との間で会談を行いました他、アバゾビッチ・モンテネグロ首相兼外相との間でですね、短時間の懇談を行いました。二国間関係や国際社会が直面する喫緊の課題についてですね、有意義な意見交換を行ったところでございます。
 夕方には 伝統あるチャタムハウスのご招待を受けまして、今回講演の機会をいただき、私から、今後の日英協力に通底する3つの指針について示し、急速に厳しさを増す国際安全保障環境の中でですね、日英がグローバルなパートナーとして共に取り組むべき課題や連携の方向性等について述べましたところでございます。G7議長国としてG7広島サミットでの成果等も踏まえつつ、現下の国際情勢の中での日英協力の重要性と可能性、これを効果的に発信ができたと考えております。私からは以上です。

質疑応答

【記者】今回のウクライナ復興会議では民間の参画促進がテーマとなっていますが、ウクライナにおけるビジネス環境の整備の状況や日本企業が参加する上での課題についてどうお考えでしょうか。また、明日予定されている、日ウクライナの官民ラウンドテーブルで期待される成果を伺います。

【林外務大臣】ウクライナにおけるビジネス環境の整備ですが、今回の復興会議においても主要な議題でありまして、日本企業をはじめ民間企業の関与これを後押しする上で重要な、ウクライナの経済改革、そして戦争リスクの低減と、こうしたテーマがですね、今回の会議で分科会形式で取り上げられております。
 広島サミットでもですね、民間企業の関与、これを後押しするために、多数国間投資保証機関(MIGA)ですが、これにウクライナ経済・復興支援(SURE)信託基金を設立をいたしました。また、我が国のJBICが主導してウクライナ投資プラットフォームが起ち上がりました。これらごとを歓迎し、ウクライナの復旧及び復興における民間部門の役割の重要性というものを確認したところであります。
 また、復興に従事する全ての国・機関・企業等がですね、復興の全体像これを共有して、国際ルールやスタンダードに従って、透明かつ公正な形で活動がなされるということも不可欠と考えております。
 明日、日本政府の独自の取組ということでですね、日・ウクライナ官民関係者による意見交換の場となる日・ウクライナ官民ラウンドテーブルを開催をいたします。ウクライナの投資環境、日・ウクライナ企業の事業内容・関心事項等について意見交換を行いまして、第三国との連携、また、ODAとのですね、シナジーを含めた日・ウクライナ両国の官民連携、また、企業間連携等を促進していきたいと考えております。

【記者】ウクライナのゼレンスキー大統領が、今年の3月にキーウで岸田首相と会談した際に、自動車産業やリチウムなどの鉱物生産の分野での日本企業の進出を促したとしています。長期的な復興を見据えた際、こうした分野での日本企業の進出の可能性についてどのようにお考えでしょうか。

【林外務大臣】世界銀行の試算によりますとですね、ウクライナの長期的な復旧・復興需要、4000億ドル以上に及ぶとされておりまして、公的部門にとどまらず、民間企業による貢献、これ極めて重要になってきます。まさに、この点がですね、今回の復興会議においても主要な議題とされておりまして、民間企業の関与を後押しする上で重要な個別テーマについてはですね、今回の会議で分科会形式で取り上げられおります。
 日本政府としても、戦時下のウクライナとの貿易投資、これは民間企業にとってですね、リスクが高いということは十分認識をしておりまして、そうした中で民間企業の自助努力に委ねることなく、政府としてですね積極的に支援を行うべく検討を行っているところでございます。かかる状況の下でですね、今の時点で、個別分野においてですね、日本企業がどのような形でウクライナの復旧・復興に関与していくかについて、予断するということは差し控えたいと思いますが、今回の会議、そして明日実施されます、日・ウクライナ官民ラウンドテーブルに多数の日本企業の参加を頂いていることからも分かるようにですね、企業側の関心も高いというふうに承知をしております。
 政府として、引き続き、ウクライナの投資環境や、日・ウクライナ企業の事業内容・関心事項等について意見交換を行いまして、第三国との連携やODAとのシナジーも含めた日・ウクライナ両国の官民連携、企業間連携等を促進して、個別企業の取組を後押ししていきたいと考えております。

【記者】今日行われましたG7外相会合に関連してお伺いします。ブリンケン国務長官の訪中について説明があったということですけれども、こうしたことを踏まえて中国を巡っては各国間でどのようなやりとりがありましたでしょうか。また、今回の会合を踏まえて、日本としては今後、どのように対中外交や対話、岸田総理大臣の訪中検討状況も含めてどのように進めていくのかお聞かせ下さい。

【林外務大臣】6月21日12時15分から約55分間ですが、本年の日本議長国下で3回目となるG7外相会合を開催をいたしました。
 会合冒頭、私からですね、ウクライナ復興会議の開催に係る英国政府の取組を高く評価をした上で、ウクライナに平和と繁栄を取り戻すべく、引き続き緊密に連携したいという旨発言をいたしました。
 その上でですね、ブリンケン長官から、この直近の訪中の結果について説明がありまして、私からはですね、中国に対して率直に関与して、我々の懸念を直接表明すると、そして対話を通じて建設的かつ安定的な関係を築くと、これが重要でありまして、ブリンケン国務長官の訪中の結果を注目しているという旨発言をいたしました。また、G7長野県軽井沢外相会合、そしてG7広島サミットのフォローアップを含めてですね、引き続きG7で連携していくことを確認したところでございます。さらに、北朝鮮に関して、私からですね、北朝鮮は15日、少なくとも2発の弾道ミサイルを発射して、いずれも日本のEEZ内に落下をしました。これは5月31日の衛星発射に続く安保理決議違反でありまして、断じて容認できないということ、引き続きG7で緊密に連携したいということを述べて、今後もインド太平洋地域に関する議論を深めていきたいということも述べさせていただきました。
 岸田総理の訪中についてですが、現時点で決まったことは何もございませんが、日中関係についての岸田政権の一貫した方針は、昨年11月の日中首脳会談で得られた前向きなモメンタムを維持しながら、我が国として、主張すべきは主張し、中国に対して責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案も含めてですね、対話をしっかりと重ねて、共通の課題については協力する、建設的かつ安定的な関係の構築これを双方の努力でですね進めていくというものであります。
 この方針の下で、引き続き、あらゆるレベルで緊密に意思疎通を図ってまいりたいと考えております。


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