外務省・新着情報

令和5年6月20日

 6月20日(ジュネーブ現地時間19日)、我が国が世界貿易機関(WTO)紛争解決手続において申立てを行っていた紛争案件「中国による日本製ステンレス製品に対するダンピング防止措置」に関して、中国の措置はWTO協定に非整合的であるとし、同措置の是正を勧告するパネル(小委員会)報告書が公表されました。

 我が国は、中国が今回の報告書を真摯に受け止め、WTO協定に非整合的であると明白に認定された措置を速やかに是正することを求めます。

(参考)本件の経緯と概要

  1. 中国政府は、2018年7月、日本、EU、インドネシア共和国、韓国の4か国・地域のステンレス製品に対してアンチ・ダンピング(AD)調査を開始し、その結果、これら製品の輸入が急増し、中国国内産業に損害を与えたと認定。同認定を踏まえ、中国政府は、2019年7月から、これら4か国・地域から輸入される対象製品(ステンレススラブ、ステンレス熱延コイル、ステンレス熱延鋼板)に対してAD税を賦課(5年間の予定)。
  2. 2021年6月、日本はWTOの紛争解決手続を申立て(同年9月にパネル設置)。日本は、中国による本ダンピング防止措置は、関税及び貿易に関する一般協定(GATT)第6条第1項及びGATT第6条の実施に関する協定(AD協定)第3条等に違反(中国当局による損害認定の手法が不適切であった)していると主張。
  3. パネル報告書は、中国が日本製ステンレス製品に対するダンピング防止措置をとる際に、中国の調査当局が対象輸入品の価格帯や競争関係の違いなどを考慮せずに中国国内産品への悪影響を認定した点等につき、中国のWTO協定上の義務に違反すると判断し、中国に対し措置の是正を勧告。
  4. パネル報告書は、WTOの紛争解決に係る規則及び手続に関する了解(DSU)の規定により、報告書のWTO全加盟国送付(注:公表と同日)の後60日以内に、紛争当事国が上級委員会への申立ての意思をWTO紛争解決機関(DSB)に通報し又はDSBがパネル報告書を採択しないことをコンセンサス方式により決定しない限り、DSBにおいて採択されることとされており、採択されることにより判断が確定する。

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