農林水産省・新着情報

野村農林水産大臣記者会見概要

日時 令和5年5月23日(火曜日)9時40分~9時52分 於: 参議院分館第31委員会室前
主な質疑事項
  • (大臣から)シャインマスカット未開花症の緊急対応課題の採択課題決定について
  • 食料・農業・農村基本法の見直しに向けた中間とりまとめ案について
  • ALPS処理水の海洋放出に係る韓国の視察団の受け入れについて

冒頭発言

大臣

  本日は一つ報告があります。シャインマスカットの未開花症の緊急対応課題の採択課題決定について、本日の午後発表します。未開花症については、まだ原因が分かっておりませんので、この(47都道府県に協力いただいた未開花症の発生状況の)アンケート(調査)結果を踏まえ、更なる原因究明及び対策の確立に向けて、今般、農研機構と5県の公設試験場のグループにより調査研究を進めていくことといたします。詳細は、この後、プレスリリースいたします。

質疑応答

  • 食料・農業・農村基本法の見直しに向けた中間とりまとめ案について(1)

記者

  先週、決まりました基本法(検証部会)の(中間)取りまとめ案についてお伺いします。食料安全保障が大事な中、(G7サミットに)ウクライナの大統領も来られましたけども、今後、力を入れていきたい部分、結構具体的に明記されていると思うのですけれども、有事の際には、食料増産をお願いすることなどについての大臣のお考えをお聞かせいただけますでしょうか。もう一つは、価格転嫁のことも盛り込まれましたけれども、これについての大臣の御意見をお願いします。

大臣

  もう一つ重要なことがありまして、全体的な組織を作るというのが今までにはないことなのですが。今回の基本法の見直しの中での大きなポイントは、不測の事態の発生要因に対してどうするかというところがあります。我々が現在認識しているのは、有事というより、今はもう平常時においても異常気象なり気候変動、あるいは新型コロナウイルス感染症の(世界的拡大による)ロックダウンとかこういったようなことがこれまで以上に多様化していることに加えて、災害の発生も頻発化していますので、不測の事態が発生する蓋然性も高まってきていると認識をしています。こうした状況を踏まえ、5月19日の(基本法)検証部会の中間取りまとめ(案)におきまして(お示ししたのは)、不測時に政府全体で対応するための体制整備、今、申し上げた重要なものがもうひとつありますよというのは(このことで)、農林水産省だけではなくて、不測時に政府全体で対応するための横断的な体制整備をしようというのが一つ。それから、不測時に求められる措置の再検証、これもやろうと(いうことです)。現在、農林水産省で整理したものはあるのですが、有事でない場合も多くありますので、不測時というのはどこまでを不測時というのか、気象変動だとか、あるいは(新型コロナウイルス感染症による)ロックダウンだとか、こういったことも今後、不測時として整理し、これらについて省だけではなくて、政府全体でどういう対応をしていくのかという体制の問題もあるし、どういうことを不測時というのかということも整理をして、きちんとお示しをしたいと思っています。これが不測時だというのは、基本法の中には書かないにしても、そのようなことを頭の中に入れながらやっているということです。ただ先般、新聞のセンセーショナルな書きぶりでびっくりしたのですけれども、コメの代わりに芋を植えろとか、こういったような国の命令というか、こういうことを言っても農家の方は絶対聞かないです。そういうのは出来ない話であって、(というのも)これは農林水産省の(緊急事態食料安全保障)指針(に書かれていることだから)なのです。今までは。不測時のときには、農林水産省の指針の中で、コメではなくて芋を植えてくださいというのがありましたけれど、それでは農家は絶対聞いてくれないですから、増産の指示等について、これは法律で明確にしないといけないと思いますので、是非今度記事にする時にはそのように整理して書いていただきたいなと思います。
  (農産物等の)価格転嫁につきましては、これまでも色々なところで出てきて、基本法(検証部会)の会議の中でも何回も出てきていまして、委員からも「これは価格転嫁するべきだ」、「価格に反映させないと農家はたまらないぞ」というお話をいっぱい頂いています。実態としてどういうふうなやり方があるのかについては、フランスのエガリム法なども、農林水産省から(現地に)行って勉強もしておりますけれども、エガリム法は皆さん御存知のように、畜産を中心にようやくスタートしたばかりで、この結果も分かっておりませんが、日本の場合どういったようなやり方がいいのか、特に農産物の取引価格というのは、需給、品質、それから市場、あるいは相対とかの取引形態、それから他の商品との競合の状況など、色々な要因の影響を受けることから、品目や取引形態によって、価格転嫁の困難度合いには差があると認識しています。ですから一番やりやすいのは、価格をきちんと決めてやっている畜産物です。フランスのエガリム法も畜産物(を中心に今は限定している)だけなので、畜産物はやりやすいのかもしれない。(対象が主に)牛・豚・鶏だけですから。一番やりにくいのが、野菜類だと思います。産地も量もバラバラで、中身も非常に多岐に渡っているものですから、非常にやりにくいとは思いますけれども、これからやるということを基本法の中に書くわけですから、具体的にどういうふうなやり方でやっていくかということは十分に詰めていかなければいけないと思っています。一番やりやすいものから、最初に取り組んでいこうかと私個人は考えていますけれども、まだ省全体としてそういう方向でいくということにはなっておりません。いずれにしても、一物一価みたいな形、例えばお米だとか、こういうのからスタートした方がいいのかなということは考えていますけれども、まだ分かりません。どういうやり方でいくのかというのは、今後詰めていきたいと思いますし、まずどういう品目から手を付けるかというのも今からです。

  • 食料・農業・農村基本法の見直しに向けた中間とりまとめ案について(2)

記者

  先週、(衆議院農林水産)委員会の方でも共産党の田村委員から同じような今回の食料安全保障について質問があったと思うのですけど、具体的に「増産指示」とか「増産命令」とかいう言葉も出ておりまして、これ具体的に言うと、花を畑にするのではなく、例えば休耕田とか耕作放棄地を新たに耕作してもらうみたいなイメージでよろしいでしょうか。

大臣

  農林水産省の指針では、「こういうことをお願いしたい」というようなことが書いてあるのですが、「これをやれ」というような法律はありません。ですから、まず先んじるのは法律を制定することだろうと思います。何から作れというのは法律によって縛りをかけていかないと農家の皆さん方に効き目がないというか、皆さん一斉にやってくれないだろうと思います。一番はやはり主食ですからコメだとか、野菜とか、そういったものを明示しながらやっていかざるを得ないだろうと思います。

  • ALPS処理水の海洋放出に係る韓国の視察団の受け入れについて

記者

  韓国から福島第1原発事故の処理水の(海洋放出に関する)、視察団が来ることになっていると思うのですが、それについて、実際に直接見るということで、これに対する輸出への影響の期待や懸念があれば、お願いします。

大臣

  韓国の場合は、現在でも(日本産食品の)輸入規制をしています。今回はALPS処理水の海洋放出に関連する各種設備の視察や、日本側からの説明が行われる予定であると聞いていますが、今も韓国では、産地証明を出さないと輸入を許可しないとか、あるいは福島県等の8県(産)の水産物、過去に日本で出荷制限措置がとられた品目、これは一部の県のほうれん草とか、キノコなのですけれども、こういったものは輸入停止で、(国内では既に)出荷制限が解除された品目もあるのですけれども、(未だに)輸入停止になっているわけです。ですから(韓国に対しては引き続き)これらについても一緒に話をさせていただこうと。是非、輸入制限を解いてくれということもお願いをしようと(思います)。皆さんの記事を見ると、今回はALPS処理水についての色々な調査が中心になるということは聞いておりますが、それに加えて我々としては、今、輸入制限を加えているような品目についての解除を(引き続き)お願いしていこうと思います。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上

 

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