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冒頭発言

【林外務大臣】昨晩から、ここ、インドのニューデリーにおきまして、日米豪印外相会合及び「ライシナ対話」の日米豪印セッションに出席するとともに、各国とバイ会談を行いました。
 まず、日米豪印外相会合ですが、4か国の外相間で対面で、現在の国際情勢、また日米豪印としての今後の方針につきまして、率直な議論を交わすことができました。議論の成果として「共同声明」を発表しております。4か国間で、ASEANや太平洋島嶼国との連携を含めて、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現に向けた力強いコミットメント、これを確認することができました。
 その上で、力による一方的な現状変更への反対といった重要な原則を確認しました。
 また、ウクライナについても、核兵器の使用又はその威嚇は許容できないこと、国連憲章を含む国際法に従ったウクライナの包括的で公正かつ恒久的な平和の必要性、ルールに基づく国際秩序は、主権や領土一体性等を尊重しなければならないことを確認することができました。
 続いて、米豪印の外相と並んで、「ライシナ対話」のパネルディスカッションに登壇をいたしました。日米豪印、これは何かに対抗したり、軍事的協力を行うための取組ではなくて、FOIPというビジョンを共有する4か国が、インド太平洋地域において、このビジョン実現のための実践的な協力を進めていくための取組であるという点を、世界に発信することができました。
 バイでございますが、まず日米ですが、ブリンケン米国国務長官との会談では、1月の日米首脳会談、また、日米「2+2」等の成果を踏まえつつ、引き続き日米が結束をして、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた取組をけん引していくということを確認いたしました。
 また、地域情勢についても意見交換を行い、ロシアによるウクライナ侵略から1年が経過をいたしましたが、日米で引き続き連携し、国際社会の結束を維持しながら、ウクライナを力強く支持していくということで一致をしたところでございます。
 バドル・オマーン外相との会談では、包括的パートナーシップの下で、幅広い分野で二国間関係を発展させるということで一致をいたしました。また、伝統的なエネルギー分野に加えまして、再生可能エネルギー、水素及びアンモニア等のクリーンエネルギー分野における協力を更に推進していくということで一致をいたしました。
さらに、ロシアによるウクライナ侵略を受けた国際社会の連携、中東の地域情勢についても意見交換を行い、引き続き連携をしていくことを確認しました。
 また、今年アフリカ連合(AU)の議長国を務めるコモロと外相会談を行いました。ロシアによるウクライナ侵略、また安保理改革、不透明・不公正な開発金融等、国際社会の課題を議論いたしまして、G7とAUの連携を強化していくということを確認をいたしました。ジョリー・カナダ外相との会談では、本年が日加外交関係樹立95周年であることを祝いつつ、FOIPの実現やG7での協力等において、日加間で引き続き緊密に連携していくことを確認するとともに、地域情勢についても意見交換を行い、厳しい対露制裁及び強力なウクライナ支援これを行っていくこと等で一致をいたしました。
 インドのジャイシャンカル外相には、ワーキングランチをホストしていただきました。二国間関係に加え、G7、G20議長国としての優先課題等について意見交換を行いまして、引き続き緊密に連携していくということを確認をいたしたところでございます。
 短時間の滞在とはなりましたが、非常に充実した日程をこなすことができました。法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序、これが重大な挑戦にさらされている今、引き続き、対応力の高い、力強い外交を進めて参ります。
 私からは以上です。

質疑応答

【記者】今ほど、今日はインドとの外相会談があったという話がありましたけれども、インドはいわゆる「グローバル・サウス」の代弁者を自認しているとこでもあります。日本もこうした国への関与を強めていくとしていますけれども、G7議長国の日本とG20議長国のインドと、どのように連携して、いわゆるグローバル・サウスへの関与を強めていく考えでしょうか。

【林外務大臣】国際社会が大きな危機に立て続けに直面する中、日本は、本年のG7議長国として、G20議長国であるインドとの協力を極めて重視をしております。特に食料、開発、保健といった地球規模の問題については、G7とG20が連携する意義が大きいと考えています。
 さらに、日本は、G7議長国として、G7のグローバル・サウスへの関与を重視しております。この観点からも、本年1月にグローバル・サウス・サミットを主催するなど、グローバル・サウスとされる国々との関与においてリーダーシップを発揮しているインドとの連携は一層重要であると考えます。日本としては、様々な国際社会の重要課題へのG7による積極的な貢献を示すことで、グローバル・サウスとG7の関係を強化したいと考えており、インドと共に国際社会の諸課題への対応を主導していきたいと考えています。

【記者】G20外相会合についてお聞きします。今回のG20外相会合は、前回に引き続き共同文書をまとめることはできませんでした。会合ではロシアによるウクライナ侵略を巡る激しいやり取りがあり、日米欧と中ロの対立はより先鋭化しているように思います。そうした中、G7議長国である日本の外務大臣が現場での議論に参加できなかったことについて、林外相ご自身はどのように受け止めていらっしゃるのか教えてください。また、インドのジャイシャンカル外相とのワーキングランチではG20欠席についてどのように説明されたのか、G7議長国とG20議長国として今後の協力の進め方についてどのような議論があったのか教えていただければと思います。

【林外務大臣】今般のG20外相会合におきましては、G7議長国としての立場を含め、我が国の主張は、山田外務副大臣からしっかりと発信をいたしました。例えば、ウクライナ情勢については、山田副大臣から、ロシアによるウクライナ侵略は、国際秩序や多国間主義の基盤を揺るがしているとして、最も強い言葉でこうした暴挙を非難する、こうした発言をしたほか、ロシアが行っているような核兵器による威嚇、ましてやその使用はあってはならない、こういう旨を発言したところでございます。
 また、今回の外相会合終了後に、ほとんどのメンバー国がウクライナでの戦争を強く非難したということを含む、「議長総括・成果文書」が発出されています。なお、過去のG20外相会合において、共同声明が作成されたことはございません。
 ジャイシャンカル外相とのワーキングランチでは、国会の予算委員会審議のため昨日のG20外相会合に出席できなかったが、同会合の成果について報告を受けており、ジャイシャンカル外相のリーダーシップに敬意を表する旨お伝えをいたしました。その上で、G7議長国としてG20議長国と連携していくことで一致をいたしました。

【記者】今の質問と関連するんですけれども、大臣は国会でも予算委の理事を務めたことがあるかと思うのですが、こうして国会日程と重要な外交日程が重なった時の閣僚のあり方について今、現状どうお考えかお聞かせ願えますか。

【林外務大臣】国際会議への外務大臣の出席については、当該会議や国会を含む国内での公務の日程・内容等を勘案し、総合的に判断をしてきております。国会対応も、海外出張を含めた外交活動も、共に重要であります。国会の御理解も得つつ、今後とも積極的な外交活動を展開していきたいと考えております。

【記者】クアッド外相会合の共同声明についてうかがいます。声明の中でウクライナ情勢に関して、核兵器の使用又はその威嚇は許されないことで一致したとあります。インドを含めて一致したことの意味について大臣はどうお考えかおきかせください。

【林外務大臣】日米豪印の間で意見交換を重ねた結果、ウクライナにおける紛争及びそれが引き起こしている甚大な人的被害に対する我々の対応について引き続き協議し、また、核兵器の使用、又はその威嚇は許されない、との認識で一致し、この旨共同声明で発表しました。ロシアによるウクライナ侵略という国際秩序の根幹を揺るがす事態が継続する中、インドも含めた四カ国の外相がこうしたメッセージを世界に発信することができたということは非常に大きな意義があったと思います。


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