外務省・新着情報

令和4年12月1日
(写真1)会場の様子 閉会時の様子
(写真2)MIKE(ゾウ密猟監視)プログラムサイドイベントで我が国の貢献について説明している様子 MIKEプログラムサイドイベントの様子

 11月14日から25日にかけて、ワシントン条約(CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)第19回締約国会議(COP18)がパナマで開催されたところ、概要と結果は以下のとおり。

1 会議の概要

  • (1)11月14日から25日にかけて、パナマシティー(パナマ)で開催。(全体会合:11月14日,第一・第二委員会:11月15日から11月23日、全体会合:11月24日及び25日)
  • (2)ワシントン条約締約国会議は、3年に1度開催。締約国や常設委員会及び事務局の提案により、各種決議案、個別種の条約附属書掲載提案等が審議される(附属書I:商業取引禁止,附属書II:商業取引には輸出国の許可が必要)。
  • (3)我が国からは、外務省、環境省、経産省、農水省による代表団が出席。条約の目的及び範囲との整合性、生物資源の持続的利用、科学的根拠に基づく取引規制等を確保する観点から、各議題における議論に対応した。

2 主な論点の議論・結果

(1)象牙の国内市場について

  • ア 象牙の国内市場について議論する議題では、常設委員会からは、COP18の結果及び常設委員会でのこれまでの議論を踏まえ、象牙の国内取引市場を有する締約国(我が国を含む)に対し、これら市場が象牙の密猟や違法取引の要因になることを防ぐための取組について報告を求める決定案が提出された。これに対し、ベナン、ブルキナファソ等西アフリカ諸国9カ国が、これらの措置に加えて事務局が提出された締約国報告書とそれらに関連する他の利用可能な情報とともに報告書を作成すること並びに常設委員会は事務局報告及び入手可能なあらゆる関連情報を検討しCOP20に勧告することを含む決定案を提出した。
  • イ 議論の結果、西アフリカ諸国が提出した決定案は我が国からの主張等により修正され、COP18に引き続き、象牙の国内取引市場を有する締約国に対し、これら市場が象牙の密猟や違法取引の要因になることを防ぐための取組について報告を求め、外部資金が確保された場合には象牙押収と合法国内市場の関係に関する分析の可能性を検討する等の決定が採択された。

(2)附属書改正について

 締約国から提出された52の附属書改正提案について審議された。主な結果は次のとおり。(コンセンサス又は投票(3分の2以上の多数で採択)で決定。

ア カバ

 ベナン、ブルキナファソ等が附属書IIに掲載されているカバを附属書Iに掲載する提案を行ったが、否決された。

イ ミナミシロサイ

 ミナミシロサイについてはナミビアの個体群について注釈より限定を付しつつ附属書IからIIへの移行提案及び附属書IIに掲載されているエスワティニの個体群について注釈を削除する提案が行われ、前者は修正の上、採択されたが、後者は否決された。

ウ アフリカゾウ

 ジンバブエが附属書IIに掲載されているボツワナ・ナミビア・南ア・ジンバブエの個体群の注釈改正)を,ケニア及び西アフリカ諸国が規制強化(ボツワナ・ナミビア・南ア・ジンバブエの個体群の附属書I掲載)を提案したが,いずれも否決された。

エ アホウドリ

 米国がアホウドリを附属書IからIIへ移行する提案を行い、採択された。

オ 爬虫類

 アデレートアオジタトカゲを附属書IIIからIに移行する提案、ニシキセタカガメ、モエギハコガメ等を附属書IIからIに移行する提案等が採択された。

カ 両生類

 アマガエルモドキ科全科、シロメアマガエル(レムールネコメガエル、レムールアカメガエル)、ラオスイモリの附属書IIへの掲載提案が採択された。

キ 水棲生物種(メジロザメ科のサメ類、小型シュモクザメ類、ポルカドット・スティングレイ等の淡水エイ、サカタザメ科のエイ類、インペリアル・ゼブラ・プレコ、バイカナマコ類)

 附属書IIへの掲載が決定された(メジロザメ科のサメ類についての発効は12ヶ月後、バイカナマコ類についての発行は18ヶ月後)。(我が国は、これらの水棲生物種の附属書掲載提案に対し、附属書掲載は科学的根拠に基づくべき、商業利用対象種の管理は地域漁業管理機関(RFMOs)や沿岸国自身が行うべき等と指摘し、反対。)

ク ブラジルボク

 ブラジルから、注釈(旅行オーケストラや決議16.8に基づく楽器パスポートを所持する独奏者を除く、楽器の弓を含むすべての部品、派生品及び完成品)をつけて附属書IIから附属書Iへの移行を提案。議論の結果、附属書IIのままとした上で、注釈について、「完成品の再輸出は適用除外」とすること、ブラジル政府の違法対策に協力するための決定が採択された。

(3)予算について

 2023年から2025年までの事務局予算が承認された(19,839,465米ドル:対前期比6.18%増)。併せて,この間において各締約国が同事務局に支払うべき義務的拠出金の額も決定された(我が国は年平均514,558米ドル、分担率は約7.8%で。米国、中国に次ぐ第3位)。

(4)常設委員会について

 日本はCOP17から常設委員会アジア地域代表代理を務めていたが、COP19においてアジア地域代表に選出された(任期はCOP21まで)。

3 その他

(1)第20回締約国会議(COP20)について

 2025年に開催されるCOP20について、開催地の立候補がないことから今後調整することとなった。

(2)MIKE(ゾウ密猟監視)プログラムサイドイベントについて

 ワシントン条約事務局主催により我が国も拠出するMIKE(ゾウ密猟監視)プログラムのサイドイベントが開催され、他の主要ドナー国とともに我が国代表団も参加し、MIKEプログムに関する我が国の貢献について説明した。


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