外務省・新着情報

冒頭

【林外務大臣】本日ですが、日米豪印外務大臣会合に出席をしました。その後、アルバニアのミジャチカ外務大臣と会談しました。日米豪印外相会合では率直な議論を行い、「自由で開かれたインド太平洋」これの実現に向けた力強いコミットメントを再確認をし、地域に貢献する実践的協力を更に進めていくことで一致をいたしました。この議論の成果を「共同発表」という形で発信することができました。また、日米豪印協力の一環として、インド太平洋地域における災害対応に関して、「人道支援・災害救援パートナーシップ」のガイドラインに署名したほか、ランサムウェアに関する声明も発出をいたしました。
 私からは、国際秩序が揺らぐ中で、国連の理念と原則に立ち戻ることが重要であり、いかなる力による一方的な現状変更の試みにも強く反対をする重要性を強調いたしました。今回、その旨を改めて世界に強く発信をできたことは、有意義であったと考えております。
 また、この会見の後、国連機関の日本人職員の皆様と意見交換をして、新型コロナ対策に関する外務大臣会合にも出席する予定です。私からパンデミックを収束させるための取組を維持することの必要性を述べるとともに、来年のG7に向けて、グローバルヘルス・アーキテクチャーを強化するための議論を積極的に主導していく考えを表明する予定にしております。
 今日は最終日でございますので、今回の訪問全体を通じての印象を申し上げたいと思います。この5日間で、8つのマルチ会合に出席し、15のバイの会談を行い、2つの首脳会談に同席するなど、充実した訪問となりました。
 全体を通じて感じたのは、ロシアのウクライナ侵略等によって国連が試練の時を迎える中、各国とも国連と安保理の現状に対して危機感を抱いていることです。私(林大臣)は、各国との意見交換を行う中で、総理の一般討論演説を踏まえ、国連の理念と原則に立ち戻ること、安保理改革を含め国連全体の機能を強化することで国連への信頼回復を図ること、「法の支配」の徹底を図ることを中心に議論を行ってまいりました。
 各国からは総じて肯定的な反応があったというふうに思っております。G7外相議長声明やクアッド外相共同声明においては国連を強化する重要性が確認されました。またG4外相間でも安保理改革の推進を再確認をいたしました。各国の一般討論演説はまだ進行中ですが、米国のバイデン大統領から、拒否権行使の抑制と安保理改革の推進についてこれまでにない積極的な呼びかけがありました。クールシ国連総会議長も大変前向きな演説を行い、他にも多くの国々が演説の中で改革など国連の強化を求めています。
 また、ウクライナ情勢等に関するG7の連携、自由で開かれたインド太平洋の促進及びそのための日米豪印の連携、太平洋島嶼国との協力など、同志国間の結束を確認することができました。中国、北朝鮮といった地域情勢についても率直な意見交換を行うとともに、地球規模課題の解決に向けた日本の積極的な貢献を発信することができたと考えております。
 もう1つ、来年1月になると、日本は非常任理事国として安保理に入ります。今回は、マルタ、アルバニア、ブラジル、インドをはじめとする、非常任理事国の仲間との連帯を確認することができました。また、安保理議場に赴き、現在の非常任理事国10か国、それと1月から日本と共に非常任理事国となる5か国、計15か国との顔合わせもできました。
 来年は、日本はG7議長国も務めます。今回の訪問の結果も踏まえて、法の支配に基づく国際秩序を維持・強化するとともに、日本外交のプレゼンスを高めるべく、引き続き各国との議論を積み重ねていきたいと考えております。

 私からは以上です。

質疑応答

【記者】先程行われたクアッドの外相会合についてお尋ねします。今回、特にそのランサムウェアに関する声明が出たと思うんですけど、こちらはサイバー空間での協力関係を深めるものだとは思うんですけど、日米豪印の4カ国でサイバー協力することの意義についてですね、大臣どのようなお考えかお聞かせください。

【林外務大臣】はい、本年2月にメルボルンで行われました日米豪印の外相会合において、4か国の外相間で、拡大をしているランサムウェアの脅威、これに対処することで一致をしております。今般の声明は、この同分野における4か国のコミット、これを再確認をして、協力を推進するものだと考えております。

【記者】国連の安保理改革についてお尋ねします。今回は、かなり安保理改革が注目されたハイレベルウィークだったとも思うんですけれども、大臣からもお話のあったように米国のバイデン大統領も一般討論演説で常任・非常任理事国を拡大することを支持するという考えを表明されました。今までどちらかというと米国はそこまで安保理改革というものに強くコミットしていなかったように思うんですけれども、こうした米国の安保理改革に対する変化について大臣は一体どう評価されておりますでしょうか。

【林外務大臣】一昨日ですが、バイデン大統領は国連総会の一般討論演説において、米国として、国連憲章を堅持し、拒否権行使を抑制するとともに、安保理の常任・非常任双方の拡大を支持する旨などを表明されたところでございます。ロシアのウクライナ侵略によって国際秩序が未曾有の困難に直面し、国連が試練の時にある中で、国連と安保理の信頼、これを回復するために、アメリカがこうした立場を表明したことを歓迎をいたします。岸田総理とバイデン大統領との間でも、安保理改革について連携していくことが確認されました。また、クールシ総会議長もですね、一般討論演説において安保理改革を進める意欲を述べたことに加え、他にも多くの国々が演説の中で改革など国連の強化を求めております。一方で、安保理改革は各国の立場の違いも大きく、これまで大きな進展が得られていない、これもまた事実であります。我が国としては、岸田総理が一般討論演説で述べられたとおり、安保理改革に向けた行動を訴えてきているところでございますので、アフリカ、それから米国を含む関係国とですね、よくよく意思疎通しながら、早期に進展が得られるようにですね、引き続き努力していこうと考えております。

【記者】クアッドについてお伺いしたいんですけども、インドで次回外相会合が開催されることが決まりました。インドはこれまで伝統的に全方位の外交を続けてきて、インドといかに関係を深めるか、というのがこのクアッドのテーマだったと思います。インドで開催される、できることの意義について、どのようにお考えでしょうか。

【林外務大臣】はい、このクアッド、この4カ国でですね、実務的な、実践的な協力を幅広く行う場であります。そうした意味でこの4カ国が定期的にこの会合を持つ、ということは非常に大きな意義であるというふうに思っております。当然、この4カ国でやっていくわけですから、インドがですね、次は当番といいますか、順番でありますから、引き続きこの意義ある協力に向けた議論を重ねていければと思っております。

【記者】この外遊の総括という意味でお伺いしたいんですけども、個別会談の意義については先程十分いただいたので、それに加えてですね、今回中国との外相会談も想定されていたと思うんですけど、こちらの方はできたのでしょうか。またできなかったのであれば、どのような事情でできていないのか、というのをお聞かせください。

【林外務大臣】今回のニューヨーク訪問におきましては、中国との外相会談は実施していませんが、これは今回の訪問の全体の日程の中において、実施には至らなかったものでございます。今年は日中国交正常化50周年の節目でありまして、「建設的かつ安定的な日中関係」を双方の努力で構築していく必要があると思っております。日中間では様々な対話が行われておりますので、今後とも対話を継続していきたいと思っております。

発信元サイトへ