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労働基準局安全衛生部計画課

日時

令和4年6月28日(火)9:30~12:00

場所

オンラインにより開催
(AP東京八重洲Aルーム(13階)
(東京都中央区京橋1-10-7)

議題

  1. (1)検討を進めるに当たっての論点の整理及び今後の議論の進め方
    について
    (2)個人事業者等に対する安全衛生対策について
    論点1 危険有害作業に係る個人事業者等の災害を防止するため
    の対策①(個人事業者自身、注文者等による対策)関係
    論点2 危険有害作業に係る個人事業者等の災害を防止するため
    の対策②(事業者による対策)関係
    論点3 危険有害作業以外の個人事業者等対策(過重労働、メンタ
    ルヘルス、健康管理等)関係
    (3)業界団体等ヒアリング
    ① 一般社団法人ITフリーランス支援機構
    ② 独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所過労
    死等防止調査研究センター
    (4)その他
     

議事

議事内容
 
○船井安全課長補佐 それでは、定刻となりましたので始めさせていただきます。本日は大変お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。ただいまより、第2回「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」を開催いたします。本検討会は、資料及び議事録は原則公開とさせていただきますが、カメラ撮影はここまでとさせていただきますので、御協力をよろしくお願いいたします。
 本日は本多様が御欠席です。あと、鹿野様、三柴様、出口様の3名がオンラインでの参加となっております。鹿野先生におかれましては、前回、御欠席されておりましたので、一言、御挨拶を頂けますでしょうか。
○鹿野参集者 鹿野と申します。専門は民法です。この問題についていろいろと教えていただくことも多いかと思いますが、どうぞよろしくお願いします。
○船井安全課長補佐 ありがとうございます。続きまして、事務局側に本日付けで人事異動がありましたので、新メンバーを御紹介させていただきます。美濃安全衛生部長でございます。
○美濃安全衛生部長 よろしくお願い申し上げます。
○船井安全課長補佐 続きまして、松下計画課長でございます。
○松下計画課長 松下でございます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
○船井安全課長補佐 そのほかのメンバーに変更はありません。それでは、以降の議事進行については土橋座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○土橋座長 それでは、皆様、よろしくお願いいたします。本日は前回の議論を踏まえまして、事務局が整理した論点に基づき、前回に引き続きフリーディスカッションを行うこととしております。また、今回は、ITフリーランス支援機構の高山委員から業界の実情を、労働安全衛生総合研究所の吉川様から一人親方による過重労働の実態を、それぞれヒアリングさせていただくこととしております。短い時間ではありますが、効率的に議事を進めさせていただければと思いますので、御協力お願いいたします。それでは、議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いします。
○船井安全課長補佐 座って失礼いたします。お手元に紙でお配りしている資料があります。表紙にありますのが次第になっており、1枚めくっていただくと配布資料の一覧があります。今回、資料が非常に多くなっておりますので、資料1から枝番が付いているものを含めて資料5-5まであります。右肩に資料番号がありますので御確認いただければと思います。クリップ止めしているものは、少し中が見にくくなってしまっておりますので、めくって見ていただければと思います。もし資料が欠落しているようでしたら、会議中でも結構ですので、手を挙げていただきましたら係の者がお持ちしますので、どうぞ、よろしくお願いいたします。以上です。
○土橋座長 よろしいでしょうか。それでは、本日の議題に移りたいと思います。まず、議事(1)検討を進めるに当たっての論点の整理及び今後の議論の進め方についてです。事務局から用意いただいた資料に基づいて説明をお願いいたします。
○船井安全課長補佐 それでは、資料1をご覧ください。これは第1回の検討会で出された主な意見としてまとめさせていただいております。第1回に御議論いただいた際に、いろいろとデータもお出ししたのですが、やはりそれが少し十分ではなかったということで、実際、個人事業者の方が、どういう作業を行っていたときに災害に遭ったのかとか、幅広い職種の事例だとか、原因分析とかも必要なのではないかと、そういった御意見がありました。
 2番目ですが、個人事業者の方の安全衛生教育が十分に行われていないのではないかという御指摘がありました。あと、建設業の委員の方皆様がおっしゃっていましたが、建設現場を統括管理する元請の立場としては、労働者であっても、又は一人親方、個人事業者であっても、分け隔てなく建設現場の安全という観点で管理を行っているという御意見でした。ITの関係は、特に危険・有害な作業はないのですが、やはり過重労働ですとかメンタルヘルスなどの問題は結構あるという御意見もありました。
 3番目、(1)事業者による取組です。昨年、建設アスベスト訴訟の最高裁判決を踏まえて、労働安全衛生法第22条の関係の省令改正を行い、今年の4月に公布しているのですが、やはり安衛法22条以外の条文についても、個人事業者を保護対象に含めるということについて議論すべきではないかという御意見がありました。建設現場の特色としまして、全てが単品生産で、初めての現場で、初めての人と仕事をするとういう特性がありますので、元請に対する規制だけでは、なかなか問題が解決するものではないのではないかという御意見もありました。
 次のページ、個人事業者自身による取組の強化や安全衛生教育については、特に強めに強制力を持たせて、受けてない人は現場に入れないとか、そういった仕組も必要なのではないかという御意見。発注者による取組として、建設業界のみならず陸運業の委員の方からも、発注者、特に配送先の荷主さんの要求がなかなか拒めない状況というのもあると。建設業については、特に適正な工期などについて、発注者対策というものも検討の対象にすべきではないかという御意見もありました。
 それ以外にも、災害のリスクを生み出す方に、管理責任をしっかり持たせて対応していただくことが必要であるとか、労働者以外の方にも法律上、何らかの措置をしっかり守っていただく義務を持たせるべきではないかという御意見。個人事業者、一人親方のリソースが十分ではないので、そういった方に対する支援も重要ではないか。そういった幅広な御意見が委員の皆様から示されました。
 こういった御意見も踏まえまして、資料2で、事務局側として、今後、検討を進めるに当たっての論点として整理をしています。論点としましては大きく3つに分けています。この3つに分けて、今後、議論を進めてはどうかと御提案させていただいております。1つ目と2つ目については、危険有害作業に係る個人事業者等の災害を防止するための対策です。これを更に小さく2つに分けて、①、②として、①が個人事業者自身又は注文者・発注者による対策の観点。②が事業者による対策の観点です。①については、災害の実態の深掘りですとか、個人事業者自身がどういう措置をすればいいのか、またそれを実行する、担保するためにどういう仕組があるのか。発注者、発注者以外のリスクを生み出すような方の措置としてはどういうものがあるのか、また、個人事業者に対する支援はどういうものがあるのか、こういう観点で議論をしていただければと思っております。
 ②については事業者による対策です。こちらについては、先ほど少し触れました、建設アスベスト訴訟の最高裁判決を踏まえた対応として、既に安衛法22条の関係の省令については一定の改正をしていると。それと同じような観点で対象を広げていく必要があるのではないか。最高裁の判決においても、ものの危険性や場所の危険性に着目した規制は、労働者以外も保護する規定だと判断が示されていますので、また後ほど具体的な条文もお示しさせていただきたいと思いますが、22条に限らず、幅を広げていってはどうかと。
 大きな3番目については、今度は危険有害作業がない、危険有害作業以外の個人事業者の対策です。主に過重労働やメンタルヘルスといった健康管理の問題について。こちらも検討の基礎となるような災害の深掘りや、どういう措置が必要なのか、その実行性を確保するための仕組みや支援のあり方を議論してはどうかと思っております。
 次の裏のページを見ていただくと、これを具体的にどう議論を深めていくかということで、1つ進め方の御提案をさせていただきたいと思っています。①と②に分けてありますが、今、申し上げました論点の1と3を1つのまとまりにして、まずはその1と3を議論するに当たっての災害データや、業界の実態として関係団体からヒアリングを行いまして、具体的な問題点や現に行われている作業における危険性を把握した上で、具体的な対策について議論を深めていってはどうかと考えております。今回、一定程度、災害事例も含め追加の資料をお出ししておりますが、これで十分だとは思っておりません。そういった部分については、真ん中にありますヒアリング候補として掲げております、業界団体の皆様から実態のヒアリングをしていただいて補完をしていただく、それで議論を深めていただくことを考えております。
 今回、業界団体としては、ITフリーランス支援機構の高山委員からお話をお伺いし、また一人親方の過重労働の実態について、労働安全衛生総合研究所からもヒアリングを行うことで準備をしております。また、次回以降については、こちらに書いてある業界の方からもお話をお伺いできるように、今、事務局で調整をしております。
 ②としまして、こちらについては、先般、省令改正をしました安衛法22条の関係の省令改正の方針を踏まえながら、あと①の議論において検討した結果も順次フィードバックしながら、お互い連携しながら具体的な検討を進めていく。この①と②の二本立ての形で、次回以降、進めさせていただければと考えております。資料の説明は以上です。
○土橋座長 御説明ありがとうございました。第1回検討会での意見の取りまとめから論点整理をしていただき、今後の進め方を事務局から御提示いただきました。この件で、何か御質問などありますでしょうか。森委員、お願いいたします。
○森参集者 3番の論点の健康管理の議論がされるということで、この後、ヒアリングをされるということなのですが。私たちの研究室で、労働者約3万人の幅広い健康のネット調査の情報を取っております。その中で個人事業主やフリーランサーのデータが一定程度含まれていまして、できたらそれを次回までに整理して、情報提供させていただければと思っておりますが、よろしいでしょうか。
○土橋座長 はい、結構かと思います。事務局、いかがですか。
○船井安全課長補佐 はい、よろしくお願いします。
○森参集者 はい、では、そのようにさせていただきます。
○船井安全課長補佐 資料の形とかは、事前に御相談させてください。
○森参集者 はい、分かりました。
○土橋座長 はい、よろしくお願いいたします。ほかにいかがでしょうか。鈴木委員、お願いします。
○鈴木参集者 ありがとうございます。御指摘を頂きました、検討の論点と今後の進め方に異論はございません。1点、質問をさせていただきたいと思います。ヒアリング候補の中に卸売業・小売業、宿泊業、飲食サービス業に関連するものが含まれておりません。これらの業種では、本日、別途お配りいただいています、資料5-4の10ページ、結果3-2の「脳心、精神、加入種別の業種」における第一種特別加入者の区分で、建設業を上回る脳・心臓疾患が発生しています。この業種は一人親方や特定作業従事者ではないので、関係団体を見付けることが難しいという事情があるかもしれませんが、ヒアリング対象に加えてはどうかと考えますので、御検討いただければと思います。よろしくお願いします。
○土橋座長 御意見ありがとうございます。事務局いかがですか。
○船井安全課長補佐 今、御指摘のとおり、今回、まとまりがある団体がある所を対象にさせていただきましたので、今後、また検討させていただきます。
○土橋座長 ほかにいかがでしょうか。小菅委員、お願いします。
○小菅参集者 論点の今後の進め方についてですが、この先の(2)の議論と多少重なるかもしれませんが意見を述べます。最高裁では安衛法22条が、労働者だけではなく、同じ場所で働く労働者でないものも保護する趣旨だという判断が出たわけですが、それを踏まえると、安衛法第2条の労働者の定義が限定的なものになっており、整合しないのではないかと思います。今後、個人事業者に対する安全衛生を考えるに当たり、労働者の定義自体も検討する必要があるのではないかというのが意見です。
 また、全体にかかわるので申し上げますと、事業者に健康障害や危険を防止するための措置を義務付けている条文について、労働者と同等の措置を省令で規定する必要性を検討していく、対象として20条、21条、25条と、個別に挙げられていますが、23条、24条も含め、省令の検討に限らず、個人事業者にその効果が確実に及ぶかどうかを検証する必要があると思いますし、個人事業者以外にも労働者と同等の保護が求められることを、ちゃんと周知することも含めて、個別に検討すべきではないかと考えております。
○土橋座長 御意見ありがとうございました。事務局いかがでしょうか。
○船井安全課長補佐 どうもありがとうございました。頂いた御指摘も含めて、今後の議論の中でやらせていただければと思いますので、よろしくお願いします。
○土橋座長 ほかにいかがでしょうか。田久委員、お願いします。
○田久参集人 進め方は、当面ということにあったという認識は私自身は持っているのですが、是非、安全措置等、前もお話をしたように、安全措置と補償、これを一体として検討はしておく必要があるのかと、措置をしても事故は起こる可能性はあると、その際の補償の仕方、この辺も関わってくるのかというのが1つ。
 第1回目のときに、142回の安衛分科会の資料の中からも出されている、今後の検討事項の、労働者が作業に従事しない場合の注文者による措置のあり方ということで、31条、こういったところも含めて出されていましたので、まずはここからやるということで進めていただきたいということもありますが、是非、更に安衛分科会に出された点も含めて議論はしていただくようにお願いをしたいと思います。
○土橋座長 御意見をありがとうございます。事務局はいかがですか。
○船井安全課長補佐 どうもありがとうございます。今、具体的に条文を御指摘いただいた31条の関係は、正に今、御説明させていただいた①で、そういった部分についても御検討いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○土橋座長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、今後の議論については、ただいま事務局に御提示いただいた資料2の形、幾つか御意見を頂きましたので、その辺も含めた形で進めることとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、その形で進めさせていただきたいと思います。
 それでは、議題2に移らせていただきます。ただいま御議論いただいた論点について、論点ごとに参集者の皆様から御意見を伺いたいと思います。それぞれの論点に対応した資料を御準備いただいているようなので、事務局から説明をお願いいたします。まずは論点1からお願いいたします。
○船井安全課長補佐 それではよろしくお願いいたします。論点1として準備させていただいた資料につきましては、次第の裏側に配布資料一覧というのがあります。そこに左に○が付いたものが、今、御説明していただいた論点1、2、3ということになりまして、論点1に対応するものといたしましては、資料の3、枝番1~7というのが該当になります。この論点1の関係でこの資料3-1~7まで順次御説明させていただきます。非常に分量が多いので、なるべくディスカッションの時間を確保したいと思いますので、資料については随時掻い摘んで御説明させていただきます。足りない部分がありましたら、質疑応答などの中で御指摘いただければと思います。
 資料3-1につきましては、建設業の一人親方の災害事例、死亡災害の事例ということで、この1枚目につきましては、第1回の資料と同じものを出させていただいておりましたが、そのときは件数だけでしたので、次のページにありますような具体的な災害事例というものを全てではありませんが、主なものを今回付けさせていただいております。事故の型別とか、主な工事種別でありますとか、あと請負の形態とか、労働者ではない区分、一人親方とか中小事業主とか、年代とかも含めて少し細かめに出させていただいております。
 こちらの死亡災害の事例をザッと目を通しますと、実際、被災されているのは一人親方であったり、中小事業主の方であったりするのですが、災害の概要自体を見ると、これは労働災害でも同じような災害というのは非常に多く発生しています。これが労働者災害ですよと言っても、何ら違和感がないような状況になっているということが1つ言えます。
 あと一人親方とか中小事業主ということでの特色が何かないかなということで、一つ一つ分析して一言コメントのような形で【】で付けさせていただいているのですが、例えば№4であれば、足場自体が不備だったと。こういうものについては足場を設置したのが元請さんであれば、そういう元請さんにおいて足場のハードの部分というものを、しっかりやっていればもしかしたら防げたのではないかなというものでありますとか、あとは安全帯を付けていなくて落ちてしまったとか、落ちたところを誰も見ていなかったとか、一人作業だったとか、そういうものが結構散見されます。そういう部分につきましては、やはり労働者としてチームで作業しているケースとは別に、一人親方の場合、一部の作業を請け負っていて、誰もいない環境で作業しているってことも、もしかしたらあるのではないかと。そういうところが、1つ特色として表れているのかなというふうに分析しているところです。
 次の資料3-2ですが、こちらにつきましては業種が変わりまして、陸上貨物運送業の関係ですが、中でもその荷主に関係する災害ということで上げさせていただいております。運送業の場合、あるものをどこかからどこかまで運ぶわけですが、ただ単に車で運ぶというだけではなくて、運んだ先において着荷主ですね、着荷主の事業に相関連して運んだものを、例えば現場のフォークリフトを使って運ばなければいけないとか、そういうような状況というのは往々にしてあります。それが運送契約上、明確にされているのかどうかというのは個々の実情によりますが、例えば№1であれば、荷降ろしして運んだ先の事業場における設備というのが不十分だったので、荷が崩れて下敷きになってしまったとか、運んだ先の事業場が行っている作業と関連して作業する中で、被災してしまったというような連絡調整の不足というようなところが、災害事例から伺えるところでした。
 続きまして資料3-3ですが、こちらは農作業中の死亡事故の概要をまとめたものでして、なかなか私どものほうで農業の関係の事案というのは把握していなかったのですが、農水省さんのほうでまとめた資料が公表されておりまして、その中で特徴的なグラフを2つピックアップさせていただいております。
 上の棒グラフと折れ線グラフが過去10年間における、農作業中の死亡事故の発生状況ということで、最近ちょっと減ってはいるのですが、大体300人前後農作業で亡くなっておられます。特徴的なのは直近で言いますと、その85%が65歳以上の方の被災ということになっております。中でも80歳以上の方の割合というのは、直近で言いますと35%ということで、これは一般的な労働災害と比較してかなり高い状況になっていて、農業の1つの特徴ではないかと認識しております。
 下の円グラフが農作業中の死亡事故の要因別ということで、我々労働災害でよく分析するところの事故の型とか起因物、これを合わせて分類してあるものですが、円グラフの赤い部分というのが機械系、乗用型のトラクター、歩行型のトラクター、刈払機など、動力を使う機械による災害というものが大体7割ぐらい。逆に機械に関連しないものが3割ぐらいあるのですが、そのうち熱中症とか、屋外作業なのでどうしても多くなると思いますが、あと圃場とか道路からの転落というような災害が続いて多くなっているという状況です。
 資料3-4が、こちら林業における災害ですが、都道府県が把握した個人事業者の災害の状況ということで、全て網羅的なものではないのですが、林野庁さんのほうでまとめたものです。これは事故の型別で分けているのですが、例えば、木を切っていて木が倒れてきてぶつかったというのがほとんどだと思いますが、あとはチェーンソーとかで切ったり、こすれたりと。あとは山なので斜面から墜落、転落したりというものが多くなっているのですが、この傾向というのは、基本的に労働災害の場所は同じような傾向があるというのが1つ言えると思います。
 裏のページですが、こちらは災害ではないのですが、林業に従事する人の構成ということで、5年ごとの飛び石の調査ですが、年々林業の従事者というのは減っているのですが、大体それに占める労働者以外の方の割合というのは25%前後で推移しています。直近だと林業従事者のうち26.4%が、労働者でない方の割合ということになっております。
 続きまして資料3-5ですが、これは業種にかかわらず発注者等による対応が必要と考えられる死亡災害事例ということで、いろいろな災害があります。被災者が一人親方であったりとか、労働者であったりとか、バラつきがありますが、これは労働局や監督署のほうで災害調査していろいろ調べた結果、発注者、注文者の方に何か文書で指導ですとか、要請をしたような事案というものをピックアップして、発注者として何か対応していれば、もしかしたら災害が防げたのではないかというものを幾つかピックアップしております。大体20件ぐらいあるのですが、特徴的なのが№3です。砂利とか砂を運搬するという作業を請け負った会社の方が、製造工場に設けられたホッパーの中に砂利とか砂を投入して、投入したあと均しの作業とかあるので、その上に乗っていたと思うのですが、その作業をしているときに、工場の労働者の方がホッパーの下から砂とか砂利を使うのだと思うのですが、蓋を開けて抜いてしまったと。そうするとホッパーの上の砂利とか砂が、あり地獄みたいな状況になってしまって、上で作業していた人が埋れてしまって窒息死してしまったという事案です。これは上にいた人は安全帯を着けたりしていれば、埋れることはなかったのではないかという話もありますが、そもそもそういう作業をホッパーの上でやっているときに、そのホッパーの下から砂利を引き出す作業をしないように、発注者と請負業者がしっかり連絡調整をしていれば、こういうことはなかったのではないかとも言える災害です。
 同じような観点で、右側に発注者がこういうことをやっていれば、もしかしたら防げたのではないかという観点でコメントを付けさせていただいております。
 続きまして資料3-6ですが、これはまた少し災害とは異なりまして、厚生労働科学研究費補助金というものを使って、実施をした調査研究の結果、概要をお示しさせていただいております。こちらにつきましては、ネットを使ったアンケートということで、母集団はN=2,750ということでやらせていただいております。あくまでもネットのアンケート調査なので、母数も含めて統計的にしっかりしたものであるかというのは別にいたしまして、大体の傾向ですとか、概略というものがつかめるデータではないかということでお示しさせていただいております。例えばですが、1枚めくっていただきまして、フリーランスとしての週当たりの平均労働時間とか、フリーランスの方もフリーランスとしてだけ働いているのではなくて、労働者としてどこかに雇われて働いている人というのは、大体全体の2割ぐらいいらっしゃったということで、そういう働き方をしている人について、クロス集計したものが下の表になっているのですが、黄色く色を付けている部分が一週間の労働時間が両方足して60時間超え。いわゆる過労死ライン超えているおそれがある人。その割合が大体16%ということになっていて、労働者だけについて調査したものよりも、少し高くなっているかなという傾向があります。
 次の3ページ目にありますのが、フリーランスの方ですね、いろいろ幅広な分野で御活躍されているというのが分かるグラフになっています。
 あと健康診断について、いろんな健康診断を受ける機会があると思いますが、調査の結果、市町村がやるものも含めて全く受けてないというのが大体3分の1ぐらい。面倒だからとか時間がないというようなところが多くなっております。あとは職業上の不安だとかストレスを感じている方も、一定程度おります。
 5ページ目の一番上の棒グラフを見ていただきますと、ストレスを感じる事柄や要因が、収入とか仕事の安定性とか仕事の将来性というものが多くなっておりまして、こちら労働者の場合だと全く違う答えになって、職場の人間関係が上位にくるのですが、そういうところで悩みの種が少し違うのかなということがうかがえます。ストレスチェックを受けたことないという人が85%ぐらい占めています。あと、働く場所についても、自宅とか自分のオフィスというのが7割ぐらいで多いのですが、それ以外の場所もいろいろ多岐にわたっておりまして、企業とか教育機関とか客先常駐のようなケースですとか、建設現場とか運輸・配送ということで、いろいろな場所で働いているということが分かります。
 あとは危険有害業務の有無というような感じで聞いているのですが、その他というのが結構多くて、いわゆる、我々安全衛生の世界でパッと思いつく危険有害業務というのは、それほど多くないという状況です。あと有害物質についての教育とか、そういうことも聞きましたが、あまり教育受けたことないという人の割合が多くなっている。
 次の8ページを見ていただきますと、安衛法の世界でいうところの特殊健診。こちらについてもほとんどの方が受けてないという状況です。
 あとは10ページ目を見ていただきますと、災害防止対策について、教育であるとか関心の高さというものも聞いております。概して、教育もあまり実施されていなかったり、関心が十分に高いとは言えないというような状況になっております。
 11ページ目については、労災体験ということで、災害に遭ったことがありますかということを聞いております。労災経験なしという方がほとんどなのですが、中には転倒とか切れ・こすれとか交通事故とか、数はそんなに多くないですが、経験したことがある方もいらっしゃいます。労災経験したことがある方の大体7、8割は休業なしということです。
 最後のページにつきましては発注者との関係で、発注者との関係でこんなケースがありますかということを聞いております。例えば発注者からの仕事が病気のような特別な事情がないと断われないとか、運送の経路とか作業方法とか出発時刻とか、そういうものを発注者から細々指示されて、管理されているかとか、通常予定されている仕事以外のものを、契約にもないのにお願いされたことがあるか、そのようなことを聞いております。これに対して、よくある、たまにある、あまりない、ほとんどないという形で回答していただいておりますが、そんなに割合がすごく高いというわけではありませんが、よくある、たまにあるというような、少し発注者との力関係がうかがえるような調査結果となっております。
 資料3-7につきましては、これは建設現場における建設工事従事者を対象とした安全衛生確保のための研究ということで、労働安全衛生総合研究所のほうでやったものなのですが、この研究の中で、一部そんなに数は多くないのですが、ヒアリング調査を実施したものがありまして、現場の実情が少し分かるのではないかということで、紹介させていただいております。このヒアリングの対象が、土木業者が1社と設計コンサルタントが1社、ハウスメーカーが5社、設備事業者が1社ということで、設計コンサルタントは別にして、ゼネコン・サブコン系が2社とハウスメーカーが5社というくくりになっております。ちょっと中身を見ますと、皆様共通して言われているのが、設計コンサルタントは基本的に一人親方みたいな該当者というのがあまりいないということなので、ちょっと毛色が違う感じがしますが、あとは共通して言えるのが一人親方でも労働者でも区別なく、現場に入ってしまえば分け隔てなく安全管理、安全指導は行っているという状況でした。あと特徴的だったのが、ハウスメーカーさんの場合だと、区別せず管理しているのですが、入場するときはちゃんと把握していて、5社中4社は労災の特別加入に入るということを義務化しているというような御回答もありました。これは第1回のヒアリングでも建設業界の委員の方、分け隔てなく管理しているのだということをおっしゃっていたことが、正に合致しているものかなと思っております。資料3の関係は以上です。
○土橋座長 それではただいまの説明も踏まえて、論点1について参集者の皆様から御意見を伺います。いかがでしょうか。中村委員、お願いします。
○中村参集者 いろいろな資料を集めていただいて、ありがとうございます。最初の3-1に関連して確認したいのですが、確かに一人親方を見ると災害に遭っている方が高年齢の方が多いと。確認したいのは、今は一般の労働災害でも年齢が上がってくると、どんどん災害が増えているので、これは一人親方ということと年齢構成がどうなっているかということと、今のこの災害で結構高齢者が多いということとの関係があるのかどうか、それがまず1点目です。
 2点目は、事故の方の所で、これもこんなに多いのかと思ったのですが、墜落、転落が6割を超えていますよね。これは一般の労働災害から見るとかなり多いことになるので、これは一人親方の仕事の業種がそうなっているからこうなってくるのか、あるいは一人親方ということに関連してこういう数字になってくるのか、その辺りはどのように考えていらっしゃいますか。
○土橋座長 事務局からお願いします。
○船井安全課長補佐 御指摘ありがとうございます。まず1点目については、建設業で被災される方の高齢化が進んでいるのは、労働災害でも同様の状況が見られます。ただ、一人親方が労働者と比べて有意に高くなっているかどうかまでは、分析に至っておりません。建設現場で働く一人親方の年齢構成みたいなものがデータとして把握できておらず、その辺りは我々の調査の限界かなと思っております。そこは、今後建設業界の方からもヒアリングをお願いしておりますので、そういった中でどういう状況なのか。一人親方は結構高齢の方が多いとか、ある程度修行を積んで独立した方がいるので高齢の方が多いのでという話も、もしかしたらあるかもしれません。その辺りも含めて。
○中村参集者 私もそのように思っていたので、あるいは年齢構成的なものがあれば説得がしやすいかなと思って。
○船井安全課長補佐 またヒアリングの中でそういったことも聞いていきたいと思います。今お話したものと関連して同じような答えになってしまうのですが、墜落、転落についても、一人親方の方にお願いしている作業が労働者にやらせる作業と違って、墜落、転落につながりやすい作業なのかどうなのか。それとも、いや、そんなことはなくてという話なのかというのも、まだ実態がつかみ切れていない部分がありますので、ヒアリングなどの場で、もしクリアになるのであれば、クリアにしていきたいと思います。
○中村参集者 ちょっと説明であったように、例えば一人親方が本当に一人で仕事をしていて、そのために起こるということはあり得るので、一人親方的なものなのか、いや、従事作業自体が多いのかということは、少し微妙な気がしております。
○船井安全課長補佐 はい、そうですね。一人親方として請け負う作業の種類なのか、請け負う作業が小規模なので独りぼっちで作業をしていて、それが原因で被災しているのかというのは、もしかしたら傾向が出るかもしれませんので、引き続き調べたいと思います。
○中村参集者 よろしくお願いします。
○船井安全課長補佐 ありがとうございます。
○土橋座長 オンラインの出口委員、手が挙がっていますので、お願いいたします。
○出口参集者 出口です。資料3-1について災害事例等をまとめていただき、ありがとうございます。その中で3点確認させていただきたいのですが、まず一人親方の死亡災害の発生状況という形でデータがあります。ただ、他の委員からもお話がありましたように、一人親方の情報が不足していると考えており、今後、厚生労働省の方で、追加の情報を入手されるような予定があるのかを、お聞かせ願いたいのが1点目です。
 そして2点目の災害事例(抜粋)で、災害の概要で詳細な内容を記載していただいております。その中で、墜落制止用器具の未使用や、足場の不備という形で分析をされていますが、型別だけの分析では、具体的な問題点は抽出できません。明らかに情報が不足していると考えています。例えば4M分析やFTA解析であったり様々な手法があると思います。仮に(2)の7番のその他の建築工事で、親綱なしと分析があります。親綱がないというのは直接的な原因であって、本来この作業に関わる作業計画や作業手順の間違い等、いわゆる人為的、物的、環境、管理的、どこに要因があったのかという分析方法でなければ深掘りはできません。みの分析の手法については、どのようにお考えでしょうか。
 最後の3点目は、今後ヒアリングを進めていくということで、他業種の状況について、情報不足分が補えると思いますが、最終的にはそれらを包括して評価しなければなりません。今後我々が注力するべき問題点を、取りまとめていただく分析や評価の方法などについてお考えはあるのでしょうか。以上3点確認いたします。
○土橋座長 事務局からお願いいたします。
○中村産業保健支援室長(併)主任中央産業安全専門官 出口委員、ありがとうございました。3点頂きましたが、1点目のデータが少ないのではないか、今後集計する予定があるのかについてです。前回も御紹介させていただきましたように、労働者でない方について報告を求めるとか、そういう仕組みが現状ない状況になっており、網羅的にデータを集めるということが、今はなかなか制度上難しい。本日3-1で示している資料も、各労働基準監督署などで把握できた範囲で集めているデータをお出ししているものですから、現状の仕組みの中で集計や統計的分析ができるようなデータが集められるかというと、なかなか難しいという状況です。恐らく、この検討会の議論にもなるかと思いますが、一人親方の災害のデータなどを、どう集めていけばいいのかといった仕組みについても、議論の対象になっていくのかなということを考えております。
 2点目の分析手法とも関わってくるのですが、本日お示ししている資料にありますように、災害が起こったときに労働者の場合は詳しい災害調査が行われることになっておりますが、一人親方などが被災した場合にはそういう形になっていないということもあり、我々も集められる情報に限界があるという状況です。なるべく詳しく分析できるようにはしたいとは思いますが、その辺りは現状限界があるということは御理解を頂ければと考えております。
○船井安全課長補佐 最後の3点目の災害データに加えて、ヒアリングをやらせていただいた後に、どういう形で取りまとめていくか、事務局として固まったものがあるかということですが、現時点で固まったものはありませんが、今日お出しした論点の1にありますように、個人事業者自身として何をやるべきなのか、若しくは注文者や発注者以外のリスクを生み出す人に、どういう形で何をやってもらうのかといったところが論点にはなってくるのかなと思っています。逆に言いますと、そういった切り口で、実際、建設現場で安全を管理する上で、どういう所にやりにくさがあるのかといったところを新たに変えると、もっとより安全になるのか、労働者以外の方の安全確保にも資するといった観点で議論ができればと思っております。そのような議論をすることによって、どこに手を入れていくべきか、また手を入れるにしても、実際、現場で機能するような形でやるためにはどういう工夫が必要なのか、どういう支援が必要なのかが見えてくるのかなと思っております。お答えになっているか分かりませんが、そういう気持ちで議論しております。何か型にはまった議論をしていくということでは全くないということを、追加させていただきます。以上です。
○土橋座長 よろしいでしょうか。鈴木委員、お願いします。
○鈴木参集者 経団連の鈴木です。前回も皆様のコンセンサスとして、施策の検討の基礎となる災害実態の深掘りが重要ということがあったと思います。ただいまの出口委員からの分析の深掘り不足という御指摘に関連する質問をさせていただきます。資料3-1の2ページ目の2の「墜落・転落による災害事例(抜粋)」(2)建築工事業の8のケースを見ますと、先ほど船井安全課長補佐からも御指摘がありましたとおり、災害の概要として一人作業という点が強調されています。他の災害事例では、足場の不備や脚立の未固定というように、直接的な原因が書かれているように思いますので、やや特殊な印象を受けるところです。8番目の事例は、一人作業であることが災害の直接の原因になったという理解で書かれているかを、確認させていただきたいと思います。これが1点目です。
 これに関連して3番目のケースについて、請負形態に3次下請と記載があります。災害発生現場には2次下請の方もいたと理解してよろしいかどうか、確認をさせてください。
 併せて、災害の概要に墜落制止用器具未使用との記載があります。2m以上の高さで作業を行う場合には、一定の措置を講じることが困難なとき、事業者は労働者にこうした器具を使用させなければいけないと理解しているところです。本件の被災者である中小事業主は労働者ではありませんが、注文主である2次下請、あるいは特定元方事業者から当該器具の使用に関する案内や指導を受けていたかどうか、状況が分かれば教えていただきたいと思います。以上です。
○土橋座長 事務局側からお願いします。
○船井安全課長補佐 1点目の一人作業という一言コメントについては、この事案は目撃者がいなくて、概要の所にも書いてありますように、はじごから転落したと推察されるということで、本当にそうかどうかが完全に特定できていない災害です。ですので、具体的な要因、直接原因にまでは及ばず、このような書き方をさせていただいております。確かに御指摘のとおり、これが直接原因かと言われると、そうではないという形です。
 それから3次下請となっていて、現場に2次下請がいたのかという部分なのですが、これも先ほど中村室長からお答えさせていただいたとおり、我々は労働災害ですと、現場に誰がいてという状況を細かく見ているのですが、一人親方や労働者以外の方ですと、どこまで掘り下げているかというのは事案です。これについても、実際現場に2次下請の人がいたのかというところまでは、すみません、今、手元にも資料がなくて確認できていない状況です。
 それから中小事業主の方が被災された事案で、安全帯を着用していなかったという部分で、注文者から安全帯を着けなければいけないという周知や、インストラクションがあったかという部分についても、これもすみませんが、調査の性質上確認できておりません。以上です。
○土橋座長 ほかにいかがでしょうか。小野委員、お願いします。
○小野参集者 私が一番関心をもったのが、資料3-2です。自分の専門柄、貨物運送の資料の内容を見まして、提案と質問を1つずつしたいと思います。内容を見ますと、この災害の事例ですが、例えば1番ですとキーワードとして4トントラックとあります。2番目についても建材の配送、3番目についてもウイングというキーワード、4番はトラッククレーン、5番は11.6トンというようなキーワードがあります。これは、実は御承知のとおり軽自動車ではなく普通のトラックですので、ある意味、一般貨物運送事業者というものが、全ての災害の事例について事例になっております。基本的には、1つのこの委員会の検討の場のキーワードとして、個人事業者というキーワードと、もう一つは安全衛生対策、労働災害をどう減らしていくかということの役割、キーワードがあるのです。これは全員が一般貨物運送事業者の災害事例でしたので、たまたまこれで見ますと、個人事業者ではないなということが直感的に全て分かるわけです。
 そこで一般貨物運送事業者においては、これだけ災害が多いので、1つは先ほどのヒアリングの対象先に赤帽という所がありました。これは軽貨物運送事業者の協同組合の連合会に当たるので、それを是非ともやっていただきたいと思います。
 もう一つは、このような一般貨物運送事業者でも相当分かりますし、労働災害が多いので、例えば最大の団体ですと公益社団法人全日本トラック協会があります。特に災害という観点で見れば、陸上貨物運送事業労働災害防止協会への情報収集もおやりになると、いわゆる一般トラックの労働災害の内容は相当対策の状況が分かると思うのです。是非これを提案して、そういったところも情報収集の場にしていただきたいのが1つです。
 もう一つは、軽貨物について特に注視をしますと、大幅に仕事の内容が異なるのです。1つは当然軽自動車ですので、一般的に東京から大阪みたいな長距離は走りません。、それは一般トラックです。長距離や中距離以上のものは全部普通トラックなので、軽貨物の場合は個人事業者がいるのですが、そこに特化した所の仕事のスタイル。例えば軽い引っ越し、家具の移動、あるいは皆さん御承知のとおり、宅配便の下請といった所に大きなマーケットがありますので、そういった所に付随するような労働災害には個人事業者が当てはまってきます。そういう所にどのような災害があるのだろうかということを絞って、事例調査をされたら良いのかな、重要になってくるのかなということを考えます。
 それから自動車を使うという産業ですので、最大の自分の仕事の職場というものは、輸送途上にあるわけです。ということで、災害の多くの割合、1つは荷下ろし作業や積み荷のときに発生はしているのですが、途上にある交通事故というものが相当の割合で労働災害として生じます。この交通事故も今回の安全衛生対策の範ちゅうに入れていくのかどうか、これは質問としてお聞きしたいと思います。例えば道路の施設整備といったことを言ってもしょうがないので、ある意味そういった場合の交通事故の発生の1つの要因として、例えば発注者による極めて厳しいリードタイム(納期)です。例えば、長崎から東京まで明日の1番に届けてくれと、15時間連続で運転するケースもないことはないです。といったことで、過労運転による交通事故がありますので、発注者によるそういった条件の設定が悪いということも1つの背景にありますので、交通事故みたいなものをどうしていくのかというのも、取り上げるかどうかを質問ですがお願いしたいと思います。
○土橋座長 ありがとうございました。御意見を頂きました。事務局から何かありますか。
○船井安全課長補佐 どうもありがとうございました。御指摘のとおり、ここにある災害事例というのは軽貨物のような個人事業者さんのものはあまりありません。むしろ、ほとんどの方が労働者のケースとなっています。この事例でお伝えしたかった要素の大きな1つが、やはり発注者というか荷主の影響で起きている災害という特色があります。ここで拾い切れていない個人事業者、軽貨物の部分については、そういうこともあり、別途全国赤帽さんにヒアリングを実施する方向で調整している状況です。そういったところで、軽貨物の個人事業者固有の、例えば宅配便の下請をしていて運ぶときに階段で転んだというような災害なども、ヒアリングの中で少し状況をお伺いできたらなと思っております。
 もう一つの交通事故の部分について、交通事故にスポットライトを当てた検討までは考えが及んでいませんでした。先ほどおっしゃったように非常に厳しい要件で発注がなされたことによって、結果として交通事故になったというような事案は十分考えられると思います。そこは交通事故という切り口ではなくて、発注や発注したときの要件の部分でどうなのかを御議論いただくほうが、より本質かなと思っております。以上です。
○土橋座長 田久委員、お願いいたします。
○田久参集者 資料3-1も含めて資料3全体の部分でいくと、やはり今言われたように、深掘りの部分がなかなかできていないのかなと思いました。特にびっくりしたのは、建設の所で、私達全建総連の組合でも、各労働局に対して一人親方に対する死傷、いわゆる怪我も含めて数字が出ないのかと。これが出ないということを何十年も前からずっと言われてきていて、実は2017年の建設職人基本法と言われているものができるときに、実を言うと死亡の部分でも初めてこういう数字が出てきたのです。まだ死亡の部分なのです。ほかを見ると、個人事業主若しくはフリーランスに対する実例というのは、全くつかんでいないというのが現状だなというのがよく分かりました。そういう部分では、これをいかにして把握していくかということは、第一に議論しなければ、次に何をやるべきかというのは考えられないのではないかなと思います。
 そういった点でも、実は私自身も現場にいたこともありますから、特別加入団体と言われる労災保険に加入する際に作らなくてはいけない団体があります。ここは、安全措置を行うというのが目的として掲げられておりますから、そういった点でも、措置をしながらも、実は何か怪我があったり、死亡事故の場合は現場に警察等も入りますから、すぐに分かりますが、怪我とかも含めますと、怪我したのだという相談が事務所に来ます。それで、書き方が分からないのだというので、書いてくれとは言わないのですね、書き方が分からないからというので、状況はどうだったのと聞いて、こうやって提出してくださいという話を何度もしたことは経験としてあります。
 ですから、そういったところからも把握しようと思えば、実はできると認識しています。そういったところでは、特別加入団体も活用した調査方法などは、是非この検討会の中でもしていただいて、この間、少し各県連、九州や大阪、京都などのそういった加入団体を幾つか抱えている組合にも相談して、こういうことをやるのは負担かと言ったら、いや、それは違うと。実態が分かるのであれば、そこは大いに貢献していきたいと、進めていくことはしたいというような話も頂いたということですから、やはり実態が、建設でもちょっと弱いと思ったら、ほかはひどいなというのが正直な感想です。そういった点でも個人事業主の安全のあり方という所を検討する際には、そこをまず深く議論していったほうがいいのかなということです。
 あと、資料3-7にあるようなヒアリングの関係でいくと、今、特別加入を義務化しているということで、特別加入をさせることで、国交省とはそういう偽装一人親方を無くしていくなどという議論もしています。そういった点で、全体として建設業でいくと、特別加入者が64万人います。しかし、国勢調査でいう雇用のいない事業主は、54万人しかいません。この差は何かと、こういったところでの対策というのは、様々皆さん各業種の所で関わる部分というのがあると思うので、やはり連携して取り組んでいかないと、安全措置というのは厚労省だけで考えていくということでもないのかなというのは、改めて感じています。そういった点での議論というのは、かなり深くなるかなと認識していますから、是非その点もお願いしたいなと思っています。以上です。
○土橋座長 事務局側、何かございますか。
○船井安全課長補佐 労働者以外の個人事業者、一人親方の災害をどう把握していくかというのは、正に課題でして、この検討会でも御議論いただきたい部分です。報告を義務付けるとか、特別加入団体を活用して、ある程度固まりのある形で把握するとか、いろいろなやり方があると思います。国交省のほうで未加入一掃の関係で、偽装一人親方をなくそうというような取組で、ガイドラインとかが改正されたというのも承知しておりますので、関係省庁とも連携していきながら、どうやるのが一番負担が少なくて、カバレッジがあるかというのを考えていきながら、この検討会でも御議論いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○土橋座長 森委員、お願いいたします。
○森参集者 私の立場で、働く人の健康を守るための方策を4つほどに整理すると、1つは有害要因があって、それによってばく露を受けて健康問題を防止ること、2つ目が、3の論点にあります過重労働とかストレスといった心理・社会的要因による影響を防止すること、3つ目が、職務適性がしっかり確保できているかどうか。つまり、その仕事を行うために十分健康な人が働いているかという観点、4つ目が健康管理、健康増進という話になると思います。先ほどアンケートの中に、健康診断を受けていませんねという話がありました。私たちの統計でも同じようなデータが出ていますが、これを普通の一人一人の健康、自己健康管理という話で小さく捉えてしまうと、やっていないし、それも自己責任だねという話になってしまいますが、職務適性というのは、例えば高所作業をするのに十分な健康状態なのかとか、運転業務をするために十分健康なのかとか、夜間、深夜の一人作業をするために十分健康なのかということに関しては、危険有害作業に関係して、個人事業者等の災害の防止のための対策に入れてもいい議論ではないかと思います。
 実際に健康診断を受けただけでは、当然十分ではなくて、健康診断の結果きちんと治療に行っているかどうかとか、それを個人としてしっかりやっていただく。又は、どのような健康状態が必要なのかということを、事業者側が提示するといったような、両方における健康管理もやはり1の中で議論していかないと、これからの高齢化社会、1人で働いている方は、かなり年齢の高い方がいらっしゃいます。事故の原因は、環境側にあるだけのように書いてありますが、その裏側には、その一人一人の被災者の健康状態の問題もあったかもしれないということを見落としがちになるので、是非その辺は、同じ健康診断でも分けて議論していただきたいなと思います。以上です。
○土橋座長 事務局側からございますか。
○中村産業保健支援室長(併)主任中央産業安全専門官 正に、ちょっと別の検討会でもやっていますが、転倒とかの災害も高齢化に関連して増えているのではないかというような議論もあったりします。災害の背景として健康管理という観点は、御指摘のように当然あるかと思いますので、論点1の議論の中では、そういうことも併せて御議論いただければなと思います。
○土橋座長 オンライン参加の鹿野委員、お願いいたします。
○鹿野参集者 ちょっとお聞きしたいのですが、本日の最初のほうに、補償のあり方についても検討すべきだという御意見がありました。この検討会はどこまでを対象にするのかということが、余り明確に認識できていないところもありますが、私も災害防止のための対策とともに、万が一災害が生じたときの被害回復というか、補償のあり方というのも両輪として重要なのではないかと考えているところです。そこで、この資料についてですが、実際にこのような形で災害が生じたときに、その損害についてどのように賠償されたり、あるいは補償が得られたり、どのような形で誰が負担することになったのかということに関するデータはないのでしょうか。その点について質問させてください。
○土橋座長 補償のあり方の辺りですが、事務局側、いかがでしょうか。
○船井安全課長補佐 事案について、どういう形で補償がなされたかというところまでは、申し訳ございません、把握できておりません。データとしてはございません。
○中村産業保健支援室長(併)主任中央産業安全専門官 補足なのですが、この検討会でどこまでを議論の範ちゅうにするかということに関わる話なのですけれども、この検討会の範囲としては、一人親方なり個人事業主の災害をどうやって防ぐことができるかというところを範ちゅうにしておりますので、起きた災害に対してどういう補償をするべきかというような補償制度までは、この検討会では議論の対象にはしないということで、整理しております。
○鹿野参集者 承知いたしました。
○土橋座長 よろしいでしょうか。それでは中村委員、お願いいたします。
○中村参集者 コンビナートの安全教育をやっている立場でちょっとお話ししたいのですが、今日の議論のまとめ方、論点の整理、1番と2番に関係して重要な資料は、資料3-5だと思うのです。資料3-5というのは、ある意味で実際にやっている個人事業主がどのような状況でやったのか、そのときの発注者がどのようなことを実際的にやったのかということで、今私も同じようなことを考えています。実際の関係請負人とか、こういう人たちの安全指導の中で、その人たち自身が持っていなければいけない安全の基礎教育的なレベル、そういったものがどの程度欠けているのか。それから、元方並びに発注者として、実際にはどういうことに配慮すべきなのか、その辺のところがきちんと整理されれば、今回の検討の論点整理の1番と2番に関連してまとまってくると思うので、これをもう少し深掘りしていくのか、更にどう進めていこうとされているのか。場合によれば協力させていただきたいと思うので、よろしくお願いしたいと思います。
○土橋座長 御意見ありがとうございます。事務局側、いかがですか。
○船井安全課長補佐 今の先生の御指摘は、労働者以外の方が災害に遭わないようにするためには、全部が注文者の責任とか、そういうわけではなくて、ある程度個人の責任もあり、そこをどう分担していくか、それぞれの役割に応じてどこまでできるか、何ができるかということだと思うのですが、そこは正に御議論いただきたいと思いますし、事務局で何かこういう線引きとして考えているものは、今のところありませんので、今後、予定されるヒアリングなども含めて、若しくはヒアリング対象も十分ではないという御指摘もありましたけれども、その追加も含めて実態を把握した上で、御議論いただきたいと思っています。
○中村参集者 ありがとうございます。かなり大事なまとめのポイントになっていくと思うので、よろしくお願いしたいと思います。
○土橋座長 それでは清水委員、お願いいたします。
○清水参集者 個人事業者等ということではないということで、先ほど小野委員からお話があったのですが、やはり法人の事業者の中で、3-2の資料にあるような災害が発生しているということで、発注者側の作業を会社も把握しない、行った先でドライバーが指示される。その指示について従わざるを得ない、ここも付帯作業というか、本当だったら軒先渡しというところが棚入れをしたり、中で台車作業をしたりフォークリフト作業をしたりということで、多重構造になっているということで、訓練しようにも訓練しようがないのです。
 ここは、やはり法の規制を掛けていただいてやっていくということをしないと、なかなかうまくいかないというところと、ここについては、2024年の労働時間短縮についてメーカーとも話し合っているところで、荷主、メーカーとも話し合って、そこから発注者側へ依頼をしているのですが、なかなか改善されない。何百件という事例をもって話をしているのですが、改善されない。だから、ヒアリング候補としてなのですが、発注者側、卸事業者という所を入れていただくことはできないかなということと、先ほど小野委員からも御指摘があったように、全日本トラック協会とか、実態を把握している部分というところも入れていただけないかなと思っております。労災のことについて言うと、受渡し現場での転落事故等が非常に多いです。ここも、やはり作業が一定ではないのです。卸しに行った作業場所であるということと、安全帯とかを着けられないような作業が多いということも、作業の中で転落事故が多いということに起因しているのではないかなと思います。以上です。
○土橋座長 事務局側、いかがでしょうか。
○船井安全課長補佐 どうも御指摘ありがとうございます。問題意識としては全く同感です。ヒアリング対象の追加についても、ほかの部分等も含めて検討させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○土橋座長 ちょっと時間の関係もございますが、あと小菅委員と三柴委員までとさせていただきます。まず小菅委員からお願いいたします。
○小菅参集者 資料3-5と3-6に関連する意見です。先ほどから出ており、資料にもありますが、個人事業者や、フリーランスの中には条件交渉が行えず、業務を受けるか否かしかないような働き方をしている方もいるのが分かります。そういう方に対して安全衛生的に見て、発注や業務委託の内容が妥当なのかという視点は、何名か御指摘がありますが、やはり必要なのだろうと思います。、安全衛生法の中で、建設工事の発注者に対しては、安全衛生を損なう条件を付さない配慮を求めていますが、、建設業に限らず仕事を他人に請け負わせる全ての者が、何らかの配慮を行うという検討が必要であるにという意見です。
 さらに、発注者以外の災害要因となるリスクを生み出す者等による措置のあり方という論点が示されていますが、いわゆるプラットフォーマーと呼ばれる、マッチングサービスを提供する者を通じて仕事をする個人事業主も、多くいると思います。このプラットフォーマー、マッチングサービスの提供者も、災害原因となるリスクを生み出す者として、安全衛生上の配慮を検討する必要があるのではないかと思いますので、実態の把握等を含めて検討すべきだと思います。。
○土橋座長 御意見を頂きました。事務局側から何かございますか。
○船井安全課長補佐 どうも御指摘ありがとうございます。1点目については、労働安全衛生法第3条のことを御指摘いただいていることと思います。条文上は建設工事の注文者となっているのですが、解釈では一応、建設業には限定していないのですけれども、今の書き方で、そこまで皆さん広く周知されているかというと、確かに疑問があるかなと。おっしゃるとおり、別に建設工事だけではなくて、仕事を注文する際に配慮が必要なのは、そのとおりだと思いますので、どういう形なのか、もっと分かりやすいように周知するのか、若しくは条文自体という話に今後の議論でなるのか、またその辺りも御議論いただければと思います。
 あと、リスクを生み出す方に対する責任という部分なのですが、おっしゃるとおり発注者に限らず、何かサービスを生み出すプラットフォーマーというのも、何かしらの対応が必要なのかどうかというのは、御議論いただきたいと思っております。先ほどの資料№2の所の論点1でいうポツの4つ目というのは、正にそういうところを想定して書かせていただいておりますので、是非、御議論いただければなと思います。以上です。
○土橋座長 それでは、オンライン参加の三柴委員、お願いいたします。
○三柴参集者 発言の機会を頂いて、ありがとうございます。労災予防の議論ですので、最終的には管理体制づくりと情報連携というのがポイントになってくるだろうと思います。ちょっと別の角度から言いますと、交通安全でもそうですが、交通戦争からかなり災害を減らした要因として、3E(スリーイー)対策というのが言われています。エンジニアリング、エデュケーション、エンフォースメントですが、要するに安全技術の発達と教育とルールによる執行が鍵になったと。だから、ここを伸ばしていくということが、最終的にはこの課題についても大事だろうと思っています。
 先ほど補償との連携の議論がありました。これは、この検討会での直接の課題ではないとしても、連携というのは意識していってもいいのかなと思っています。要するに、補償対象とするのであれば、予防対策もちゃんと一体で進めてもらうと。ここは部門間の政策連携で進めていただければということだけ申し上げたいのと、データについては、海外でもリスク創出者に対して、かなり厳しい規制を先行的に掛けている所がありますが、そういう所でも実を言うと、日本でいう一人親方とか、フリーランスとかについての災害データというのは、ほとんど見当らないです。しかし、対策は必要だからやっているということです。
 例えば、どういうものを質的に、あるいは例として挙げているかといったら、1つは裁判例だったりするわけですが、日本でも裁判例だったらかなり事情がつまびらかになっています。日本で調べると、アスベスト関係の訴訟と労災保険の適用を争うケースがあって、そういうものでは相当、事情が詳しく表れています。もちろん、裁判例というのは特殊事情があるので、どこまで一般化できるかというのはありますが、ないデータをどこまでも求めても仕方ないし、ないから対策をしないというわけにもいかないので、あえて挙げればそういうものも参考になるだろうということです。
 もう一つだけ申し上げると、我々で厚生労働科学研究費を頂いて、行政官向けの調査というのをやってみたことがあります。やはりそこでも、先生方は言わずもがなにして御承知だと思うのですが、今の安衛法のあり方ではちょっと規制が弱い所があって、どうしても偽装請負的な所に監督官が問題を感じたところについては、派遣法第45条を使ってみたり、いろいろな方法を使って何とか規制を掛けようとしてきたという面も見えるので、もう少し踏み込んで、予防のための規制をやっていかなければいけないということを思っております。以上です。
○土橋座長 事務局側からございますか。それでは、多方面から様々な御意見を頂き、ありがとうございました。時間の関係もございますので、次の論点に移らせていただきたいと思います。
 それでは、論点2に移らせていただきます。まずは、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○船井安全課長補佐 それでは資料4-1、資料4-2について御説明させていただきます。論点2の関係ですが、論点2については、建設アスベスト訴訟の最高裁判決を踏まえて、既に関係省令の改正をした安衛法22条の関連について、22条以外にも広げる必要があるのではないかという観点でございます。資料4-1は、これはほとんど前回にもお配りさせていただいたものと同じなので、飛ばせていただきまして、これは既に対応済みの資料ですが、7ページから少し新しいものが付いております。7ページに安衛法22条と同様の構造の条文についてということで、この22条の近辺には似たような作りの条文があります。似たような作りなのですが、規制対象にしているものというか、ハザードが異なるという状況です。灰色に塗ってある部分が22条で、次の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない、ということです。主に健康障害なので、その有害なものを対象にしている。これとは異なりまして、20条ですと、危険を防止するためということで、機械器具とか、爆発性の物、電気、熱エネルギーというものが対象になっている。21条につきましては、ある特殊な作業ですとか、墜落するおそれがある場所、土砂崩壊危険場所、ある作業や危険な場所というのを対象にしているという状況です。23条につきましては、労働者が就業する建築建設物、その他の作業場ということで、主にハードの措置というのを定めています。24条につきましては、労働者の作業行動から生ずる労働災害を防止するための措置ということ。25条につきましては、災害の急迫した危険があるときの退避等の措置というつくりになっております。27条は、委任規定ですので、中身はございません。
 23条については、どのような条文があるのかということなのですが、次ページに23条を根拠の省令を、幾つかピックアップさせていただいております。具体的には、通路の整備とか、作業場の床面、換気とか照明、そういう作業場のハード面の措置ということが規定されている状況です。なお、24条につきましては、具体的な省令というものが定められていない。法律条文だけ存在するという形になっております。
 これを踏まえまして、資料4-2ですが、22条と同様の構造の条文について検討するに当たっての論点ということで、まず同様の条文とし省令改正をする対象としては、基本的には20条と21条と25条にしてはどうかという御提案です。といいますのも、法律22条に基づく省令改正をしたときに、22条を根拠で、設備を設置してくださいというようなハード面の措置を定めているものについては、労働者に対してそれをやれば、同じ場所で作業するような個人事業者にも、当然その効果が及ぶであろうということなので、あえて条文上、個人事業者向けだということを明示的に対象にするような改正までは行わなかったと、このように整理したという経緯があります。同じ考え方でいきますと、23条に基づくハードの措置、通路とか照明といった部分についても、果たして、個人事業者というのは明示的に対象にする必要があるのか。ただ、個々の省令について、いや、これは対象であるというものがあるのであれば、やる必要があるということで、その精査をしながら考えていく必要がある。
 24条につきましては、もともと省令が制定されておりませんので、検討すべき事項ではないと考えています。そういう意味で、基本的に、20、21、25条ということで提案させていただいております。2つ目の○ですが、これは最高裁の判決を踏まえて22条に関する省令を改正した経緯を、少し時間がたってしまいましたので丁寧に書いていますけれども、簡単に言いますと、22条関係の省令改正をしましたが、それと同じような形で20条とか、21条と25条についても、やるべきなのかどうなのか。どのように取り扱うべきなのかということを書いております。20条等につきましても、現に労働者に危険が及ぶおそれがあるので、そういった規定というのは存在するので、同じ危険というのは同じ作業を行う人、同じ場所で作業をする個人事業者についても、やはり及ぶのではないかということで、22条と同じような考え方でやる必要があるのではないかということが言いたい。3つ目の○につきましては、これは22条とそれ以外のものについては、構造は似ていても対象物が違うので、全く同じ考え方でいいのか。少しアレンジする、異なる取扱いをする必要があるのかないのか。最後の○は、それ以外に検討に当たって留意すべき点はないかということを、御議論していただきたいと考えております。以上でございます。
○土橋座長 それでは、ただいまの説明も踏まえまして、論点2について皆様から御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。
○日下部参集者 日下部でございます。今の御説明のところで、21条も対象にしたらどうかということについては、特に異論はございませんが、21条の2の所で、土砂等が崩壊するおそれのある場所というところですが、ここは発注者が決めるところなのか、事業者が決めるところなのか、誰が判断するのか、それから、判断の根拠はどこにもっていくのかと、ちょっとここは難しい問題がありますので、ここはほかの22条と同様にというわけにはなかなかいかないなというのが、今、私が感じているところでして、ここの土砂等が崩壊するおそれのある場所ですが、現行の法律ですので、これはどのように解釈するかという辺りをお伺いしたいと思っております。
○土橋座長 事務局側はいかがでしょうか。
○中村産業保健支援室長(併)主任中央産業安全専門官 基本的にこの条文の主語は「事業者」ということになっておりますので、現行の法令も、対労働者の規制ということについては、土砂が崩壊するおそれがあるかを判断するのは事業者ということになっておりますので、今回、事業者が労働者に対する安全対策を、更に同じ下請でいる個人事業者に広げるかどうかという議論ですので、ここの論点2については、発注者対策という観点ではなくて、現行の事業者へ求めている措置の対象をどう広げるか、そういう議論にしていただければと思っています。
 もう一つは、土砂が崩壊するおそれがある場所等については、この下に具体的な省令が、いろいろぶら下がっておりまして、個別具体的に、一応、どういう条件で事業者が何をしなければいけないのかというのは決まっていますので、それを更に対象を広げるかどうかという議論になるのかなと思っております。
○土橋座長 ほかにいかがでしょうか。
○中村参集者 中村です。少し私は違う観点から言うのですけれども、今、日本では危ないことがあれば、できるだけそれをなくそうというのは基本だと思いますけれども、一方、グローバルの見方をした場合は、ある程度のところまでリスクが下がれば、それは許容するという考え方があると思うのです。
 なぜそういうことを言っているかというと、工学システムを作っていく場合に、どうしても全てのものをカバーしていこうとすれば、それはかなりお金が掛かってくるし、それから、競争力という観点からは難しいところもある。そういう意味で、こういうことをしたらより安全になるということは確かにそうなのだけれども、その議論の中にグローバルな観点を踏まえて、この辺のところまでは日本であっても、許容しなければいけないという考え方がいるのではないかという気がするのです。どうしてそういうことを言うかというと、今、いろいろな作業場で言われることは、特に60歳以上の高齢の方が何かあったときに、すぐ転倒したりするのですが、本当にどこまで対策をするのかということは、各事業者の方からよく質問されるので、その辺のところはどのように考えていらっしゃるのかお伺いしたいと思います。これは第23条の話をしています。
○土橋座長 いかがでしょうか、事務局側。
○船井安全課長補佐 23条のハード面の措置ということですね。
○中村参集者 ハード面です。
○船井安全課長補佐 23条も含めてこの関連の規定というのは罰則付きの義務規定ということになっておりまして、これを実施していないと罪が問われるというか、罰則が適用されるというものなのです。先生がおっしゃったリスク低減対策の際のALARPみたいな話なのだと思いますけれども、その観点で言うと、確かにその考えはあるとは思いますが、ただ、ここで決めている最低基準というのは、それは絶対守っていただかなければいけない水準のリスクだというように考えて規制は設けております。その上で、守り方としてどこまでやるかというのは個別ごとなので、働いている人の状況だとか、そういうことによって多少幅はあるのかと思います。
○中村参集者 なるほど。今、おっしゃるとおりで、確かにハード面の規制は元方の責任だと思いますけれども、やはり個人事業主であったとしても、そちらのほうで基本的に踏まえておかなければいけない安全の守り方というのがあると思うのですね。そこを議論しながらいかないと、これ、多分、国際競争力で、いろいろなところで苦しくなってくると思うので、どこら辺まで実際に許容するかという議論が少し必要な気がいたします。
○船井安全課長補佐 分かりました。先ほど個人事業者自身の対策なのか、その人が作業する場を管理だとか、作業を管理する、若しくはリスクを生み出す人の、どちらがどこまでやるかという役割分担にも関係してくると思いますので、またそこは論点1のほうも含めて、論点1と論点2というか、論点1、3と2というのはお互い行き来がありながら、同時並行で進めていくものだと思いますので、そちらでもまた御議論を頂ければと思います。
○中村参集者 よろしくお願いします。
○船井安全課長補佐 よろしくお願いします。
○土橋座長 ほかにいかがでしょうか。
○青木参集者 住宅生産団体連合会の青木と申します。そもそも今回の議論の最初というのは、この最高裁の判決に対応するものだと理解しておりますけれども、その最高裁の判決の、いわゆる射程がどこまで及ぶかというところにもよると思うのですが、その辺りは、やはり法律の専門家の先生の判断というようなものも必要なのかなという気はします。もちろんそれとは全く別に、これを機会に個人事業者の保護を充実すべきだという考え方も当然あるかとは思いますが、今、お話もありましたように、何でもかんでも全て完璧にすればいいのかというと、現実的にはなかなか無理があるということがありますので、やはりそこは今回の最初に戻って、最高裁の判決の射程がどこまで及ぶのかというところも、改めて確認した上で進めてもいいのではないかと思いました。以上です。
○土橋座長 事務局側はいかがでしょうか。
○中村産業保健支援室長(併)主任中央産業安全専門官 最高裁判決を踏まえた22条関係の改正というのは昨年来、安全衛生分科会のほうでも議論いただきましたが、今回、最高裁で出された判決というのはアスベスト訴訟の判決でありますので、直接的にこの判決に対応するという意味では、22条関係の改正ということで、一応、措置ができているというように、こちらとしても理解しております。その上で、分科会では、22条は措置したのですが、同じように20条とか21条とか、労働者に危害が及ぶということで規制されているものについても、同じ作業をしている労働者以外の方がいるというのは、有害物と同じではないかという議論があって、20条とか21条についても同様にやるかどうかということを、議論の俎上に挙げるべきではないかというご指摘があり、今回議論するという流れできているというように理解していただければと思います。ですので、今回の議論が直接最高裁判決の対応かというと、そこから派生して出てきている議論であるというように理解いただければと思います。
○土橋座長 ということで、最高裁判決から端を発したところですが、最初に資料2であったような1回目の議論を踏まえて、論点の範囲でやっていくということになりますので、よろしくお願いしたいと思います。ほかにいかがでしょうか。
○森参集者 6ページの所にある22条関係なのですが、前回もお話したのですが、労働者に対する事業者の義務を請負者に対する措置としてそれ以外にも広げたという形なのですが、化学物質の場合、その職場で一緒に働いている人の環境ばく露がばく露限界値以下であれば、こういうものはほとんど要らないのだとしたときに、ばく露限界値を超えるような環境があるから、今回アスベストによる肺がんや悪性中皮腫が発生しているわけです。、そのような状態があるにも関わらず、保護具の使用が必要である旨を周知する義務だけでとどめて、果たしてそれでいいのかという、ここはすごく疑問に思っています。
 保護具を使用に関して、今般の関連省令の改正で、保護具を適切に着用させるための着用管理者まで付けて化学物質を管理しようとしている時代に、、一方で、そもそも教育が足りないと言っていた一人親方、個人事業主は周知するところで終わると、それで本当に健康を守れるのかという大きな疑問があります。ここのバランスのところは22条で、もう少ししっかり議論ができればなと思いますが、いかがでしょうか。
○土橋座長 事務局側はいかがでしょうか。
○中村産業保健支援室長(併)主任中央産業安全専門官 実は、この22条の保護具の義務のところも、どのようにするかというのは大分議論になりました。22条の整理をしたときは、指揮命令関係がないので、着用の義務付けというのを事業者から請負先にやるというのは難しいだろうということで、周知ということになっているわけですけれども、今、森先生がおっしゃったように、では、その実行力をどう担保するのかということについて、例えば個人事業者自身に何か教育を受けさせるとか、自身の取組ということもあると思いますので、そこは今回の議論の俎上には上がるかなと思っております。
○土橋座長 ほかにいかがでしょうか。
○小菅参集者 、論点2の事業者による対策に関する意見になりますが、先ほどの調査でも多く出ていますが、やはり連絡調整、情報伝達が課題、原因になっている例が結構見受けられます。この後の議論の中で事業者による対策という意味では、安衛法上の例えば特定元方事業者には、作業間の連絡調整が求められておりますので、個人事業主等を含めた情報共有、作業間の連絡調整も1つの視点として検討していければよいと思います。
○土橋座長 事務局側からございますか。
○船井安全課長補佐 特にございません。
○土橋座長 ほかにいかがでしょうか。では、様々な御意見を頂きましてありがとうございました。三柴委員が発言を希望されております。お願いします。
○三柴参集者 まず、建設アスベスト訴訟の神奈川訴訟の最判が述べた事柄のポイントですけれども、1つは、確かに保護具をただ準備させるだけではなくて、着用させるところまでもっていかなければいけないということ、それから、リスクコミュニケーションですけれども、表示とか掲示を求めた。つまり、アスベストのハザードとリスク、つまり対策をどうしたらいいかというところまで関係者に徹底しなさいということを述べた。ここがポイントだというのが、まず前提です。その上で、既存のこれまで既にできている規制を確認すると、本法の29条とか32条というのは、かなり踏み込んだ書き方をしていて、直接契約関係がない人たちにも名宛人として義務を課し、更にその受け手の側、請負人とか労働者とかそちらのほうにも、その指示に従え等々の強い書き方をしていて、それにひも付く規則にもかなり踏み込んだ定めがある。さらに、今、実は調査をかけているのですけれども、安衛則について定めぶりというのを見ていくと、やはり保護対象として労働者というのを、わざわざ書き込んでいるものと書き込んでいないものがあるのですが、書き込んでいないものというのは、割と物的なリスク対策というのをしようとしていると、そういうものは、わざと守る対象を労働者に限定していないように認めるというように分析できてきています。
 また、死亡災害は日本よりも少ないイギリスと日本の両方で同じような質問内容で企業関係者向けの社会調査を行ったところ、休業4日以上とか、そちらまで取ると日本のほうが優秀かなと思いますけれども、イギリスでは、リスクを作り出す源流のほうに対策を打っているのが労災が減少した大きな理由になっているという意見が多かった、という調査データも出ています。
 最後に、先ほど中村先生から、許されたリスクの話がありました。では、なぜ許されるのかと言ったときに、1つには、ハザードやリスクが科学的に解明できていないということが1つ。もう1つは、質的な面です。健康対策だと本人の問題というところもあるのではないかという、生き方とか、働き方の問題も自己決定があるでしょという質的な面が1つ。それから、現場的に対策が分かっていてもやれないということ。それから、産業利益です。こういったこととの調整が必要になるから、許されたリスクが出てくるということで、逆に言うと、そういったところの問題がクリアできている課題については、ちゃんと対策を打っていかなければいけないし、最低基準もできてきているということだと思います。以上です。
○土橋座長 ありがとうございました。事務局よろしいですね。ほかはいかがですか。よろしいですか。御意見を頂きましてありがとうございました。ただいまの論点2についての今後の議論につきましては、事務局で提示いただきました資料4-2に沿った形で進めることとしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、そのように進めさせていただきます。では、論点3に移ります。まずは事務局から説明をお願いします。
○船井安全課長補佐 それでは、論点3の関係で資料5シリーズについて御説明いたします。まず、資料5-1ですが、これは業種別・職業上の地位別の週労働時間についてです。いろいろな業種について、雇用されている労働者なのか、自営業主なのか、家族従事者なのかということで、時間の長さごとに分類したものです。黄色くマークしたところが過労死ラインを超えるような比較的長めのところです。ザックリ言いますと、労働者よりも自営業者のほうがおおむね全ての業種で長いですし、労働時間が長くなればなるほど、その傾向が強まる状況がうかがえます。
 続いて、資料5-2です。これはメンタルの話ですが、厚生労働省で実施しております「こころの耳」というポータルサイトで電話相談をやっており、そこに寄せられた内容について分析したものです。正社員労働者の方の悩みの内訳を見ますと、黄色く塗ってあるところですが、a-5やa-6の職場の人間関係やパワハラ・いじめで大体3割を占めています。これは右側の欄にある自営業者では、そんなに高い割合ではありません。一方で、自営業者の場合では、下にあるd-2やeのような家族との人間関係や生活上の問題(金銭・法律問題等)が高くなっています。悩みの中身は労働者と自営業者では違う傾向がうかがえます。
 資料5-3、5-4については、後ほどヒアリングで各団体、研究所から御説明いただくことになっております。飛びまして資料5-5です。こちらは、令和元年度に厚生労働省の委託で実施した調査ですが、その中で自営業者と労働者を比較して集計しているものがありましたので、幾つか御紹介いたします。
 3ページを御覧ください。自営業者と労働者の一週間の就労・労働時間です。これは、通常期と繁忙期に分けて集計したものです。繁忙期のほうが通常期よりもどちらも長いことは明らかですが、2つ傾向があり、労働時間が長い、週60時間、80時間を超えるような非常に長めの割合が労働者よりも自営業者のほうが高くなっています。これは、通常期、繁忙期ともに高くなっている傾向が1つです。一方で、週40時間未満の短いグループ、これも自営業者のほうが労働者より高くなっています。ある意味、自由度が高い働き方ができている表れではないかとうかがえます。
 4ページを御覧ください。長時間働くことが生じる理由ということで、左側の項目は自営業者と労働者で統一しておりますので、グラフが出っ張っているところが、ある意味、特徴だといえます。右側のグラフを見ていただきますと、業務量が多い、人員が不足している、これは表裏一体の問題だと思いますが、これが労働者に残業が生じる大きな理由です。一方で、一番下の自営業者は、長時間労働はない、一番上の仕事の繁閑の差が大きい、こういったところが高くなっています。同じ長時間でも大分理由が違います。
 次の5ページは、ストレスを感じているというところで、どちらもストレスを感じている方は当然いらっしゃいますが、自営業者のほうが労働者よりも割合的には少し少ない傾向がうかがえます。
 次の6ページは、自営業者と労働者の業務に関連した悩みです。これも項目を同じに並べております。特徴的なところとして、労働者の場合は、やはり職場の人間関係が突出しています。自営業者の場合は、一番多いのは収入の低さ、今後の事業展開、売上・業績、資金繰り等が大きな理由になっています。
 最後のページです。自営業者の長時間労働、心身の不調があった場合の対処方法です。右側のグラフで言いますと、こちらは、特に何もしていない、困難に感じることは特にないといった形で、余りこのような分野についての関心が高くないことがうかがえるデータとなっております。以上です。
○土橋座長 御説明ありがとうございました。引き続き、本日の議題3として2つあり、1つ目がITフリーランス支援機構の高山委員、2つ目が労働安全衛生総合研究所の吉川様からヒアリングさせていただくこととしております。フリーディスカッションに先立ち、まず、お二人から御説明いただき、質疑応答も含めて、その後、論点3について御議論いただきたいと思います。
 ということで、まずはITフリーランス支援機構の高山委員よろしくお願いいたします。
○高山参集者 それでは、ITフリーランス支援機構の高山です。よろしくお願いいたします。就労実態と健康上の課題ということで御報告いたします。まずは、当支援機構がどのような団体なのかを簡単に前段で御案内し、後段でITフリーランスの実態へ進んでいけたらと思っております。お手元の資料2ページから御案内いたします。
 ITフリーランスの方々が活躍していくために、いろいろな社会的課題が多くあります。今、日本でITエンジニアが150万人から160万人ほどいると言われており、その中でフリーランスとして活動されている方は、正確な資料がなく、20万人から25万人ぐらいですが、近年、30万人に迫っていくのではないかと言われております。我々の団体は、この20万人、25万人と言われる方々のお仕事だけでなく、生活全般まで含めたところでの活動を支援していきたいと思っている団体です。
 3ページの運営組織に載せておりますが、昨年2月に設立しており、まだ1年少しの本当にできたばかりの団体です。関係団体のところに、ITフリーランス支援機構全国労災保険センターとあります。この詳細ですが、昨年9月にITフリーランスの方々も政府の労災に入ることができるようになり、特別団体を我々の団体で作らせていただきました。この保険センターを経由して130名です。まだまだ知られていませんが、130名のITフリーランスの方々が政府の労災に加入されている状態です。
 理事、監事の名前が並んでおります。私が所属している会社がPE-BANKといいます。あとはレバテック、下のほうにテックビズ、Hajimari、この辺りはITフリーランスの方々を支援している、いわゆる仲介事業者になります。我々はエージェントと呼んでおりますが、そういった企業と一緒にやっています。あと、三井住友海上にも御参画いただいており、後ほど出てきますが、ITフリーランスの方々のための保険を、今後作ってリリースしていこうというところで加わっていただいております。
 ページを2つ飛び5ページです。理事企業以外に法人会員として名前を連ねておられるのは、ITフリーランスの方々のために様々なサービスを提供している会社が、我々の理念に御賛同いただき御参画いただいております。あと、静岡県、フリーランスの業界団体では日本一のフリーランス協会にも理念を御賛同いただき、御参画いただいている状況です。
 6ページは会員構成です。基本的に、ITフリーランスの方々には無料で御参画いただくような形で考えており、団体のいろいろな活動を、実際、コアなメンバーでやっていく特別会員から、様々なイベントに協力していただいている法人会員や協賛会員と一緒にやっているところです。
 活動の概要は7ページ以降に載せております。大きく4つあります。左上は、適正なルールの啓発・推進です。ITフリーランスの方が、活動していくために適したガイドライン、政策提言のところで、いろいろな御提案をしております。直近の例でいきますと、昨年3月にフリーランスガイドラインというものが出ましたが、それに対してのパブリックコメントを提出したり、最近ですと、フリーランス新法を作ろうということで、政府が動いていらっしゃいます。その検討会等にも参加させていただき、我々の立場からいろいろな意見を提出しているところです。
 右側は、労災防止及びセーフティネットです。ちょうど、今回のテーマに即したところだと思っております。労災に加入できるようになりましたので、その促進や労災を防止するような活動を検討して進めていこうとしているところです。左下は、事業主としてITフリーランスの方々御本人の意識改革や、スキルアップ支援等の自己成長を支えていくような取組を考えております。
 最後に、右下は社会課題の解決です。最近はDX推進ということでいろいろとやっております。地方に人材が不足しているところがありますので、地方行政や地方の中小企業に高度なIT人材を送り込むことができないかということで、今、スキームを考えて、中央行政や地方自治体といろいろと枠組みを考えているところです。
 8、9ページ以降は、今、申し上げたことの具体的な取組を記載しておりますので読み飛ばしていきます。12ページは、先ほど申し上げましたITフリーランスの労災保険の特別加入のところです。これを実現させたということで、重なりますが記載しております。
 14ページは、先ほど申し上げました地方のDX推進です。今、経産省、総務省、それから、中小企業基盤整備機構といろいろ議論しながら、地方に人材を送り込むプラットホーム作りを推進しているところです。これが当支援機構の趣旨や活動実態です。15ページ以降からはITフリーランスの方々の就労実態です。ここが本日の本題になってくると思っております。
 16ページは、先ほど申し上げましたとおり、まず、全体の規模感です。今、全体でエンジニアが150~160万人いらっしゃる中で、フリーランスは20~25万人ぐらいかなと当支援機構は推計しております。
 17ページです。ITフリーランスの方々は、どういった職種の方々なのか整理しております。この職種の方々が、先ほど申し上げました政府労災、特別加入できる職種の方と定義付け、紐付けされております。一番上からITコンサルタントから並んでおりますが、いわゆる、ソフトウエア・システムを作る前の構想の段階から参画される方々も含めて、そのプロジェクトをマネジメントされる方、そして中程には、実際にシステムを実装するためにプログラムを書く方、ネットワーク・データベースを扱う方々、それから、製品開発や研究開発、いわゆるR&Dと言われるところ、そういったところで活躍されている方、データサイエンティスト、この辺りは最近、AIエンジニアは大変御活躍されているというお話もありますが、そういったところに関連する方々です。それからWeb系のデザイナーディレクターという、本当に多岐にわたっておりますが、こういった方々が、現在、ITフリーランスとして活躍されております。
 次のページは、では、そういったITフリーランスの方々が、実際にどのように仕事を見つけて働いているかというところです。大きな左半分がいわゆるエージェントサービスと書いておりますが、実際に業務を発注する企業とそれを請け負うフリーランスの間に、私どものようなエージェントという会社が入ります。左上は実際に商流の中に入り、我々が発注企業から請け負い、それを再委託という形でフリーランスの方々に発注する形態です。これが一般的だと思っています。その下は、仲介としてエージェントが入るのですが、実際の契約は発注企業とフリーランスが直接契約を結ぶ形態です。このような形で仲介事業者が入る場合は、どちらかに分類されていくと思っております。
 一方で、仲介事業者ではなくプラットホーム、いわゆるプラットフォーマー、先ほどもプラットフォーマーの話が出ておりましたが、やはり、この業界もプラットホームで仕事を得ていくフリーランスの方々はたくさんいらっしゃいます。上下で似ており、大きな違いは特にないのですが、プラットホームを通じて発注企業とフリーランスの方々がマッチングされて御契約されていく。あえていうならば、下はフリーランスのほうが積極的に自分の成果物、実績、スキル等を呈示していき、発注企業はその情報を見てスカウトしていくような、そういったやり方でマッチングが起こるケースも最近は増えてきております。大体、この4つの形態でITフリーランスの方々が、いわゆる仲介と言われる世界で仕事を見つけていっております。もちろん、これ以外に、直接交渉ということで御自身でいろいろな事業者と直接やり取りをして仕事を得ているケースもあります。ただ、最近はこういったエージェントサービス、クラウドサービスを使って就業されるケースが非常に増えてきているのではないかと考えております。
 次の19ページは契約形態です。どういった契約の中で働いているかというところです。基本的に契約形態は準委任契約、若しくは請負契約ということで、完成物の責任を負う場合と負わない場合の2とおりあると思っています。作業内容・作業時間・作業場所は全部契約で決めていくことになっておりますので、特に、こういったものでやるという規定はありません。基本的に我々の会社の場合は、お客様の現場に常駐して、そこでプロジェクトのマネージャーとやり取りをして仕事を進めていく形態がほとんどですので、自ずと作業場所が決められて、作業時間帯も大体そのプロジェクトのメンバーが稼働する時間帯の中で働いてくださいといったケースになりますので、そこはあくまでも契約条件として合意のもとで決めていくやり方になります。報酬については、準委任契約の場合は工数、我々は工数と言いますが、稼働した時間数で精算していくことが多く、請負契約の場合は成果物を納めることで対価として受け取るケースになります。災害状況については後ほど触れますので、ここでは割愛いたします。
 続いて20ページです。では、どういった環境で働いていくかということです。我々の業界もこういった多重下請構造が非常に多くなっております。この例では、二次請けのソフトハウスやITベンダーで働いていくケースを想定しております。もちろん、ユーザー企業の中で働いている方もいらっしゃいますし、元請ベンダーで働いている企業もいらっしゃいます。ともすると、この二次請けから三次請けのような世界まで出る場合もありますが、これは一例として二次請けでという例になっております。この例では、二次請けの企業の中に派遣社員として働いている方、それから労働者としてソフトハウスの正社員の方が二次請け企業と契約してここで働いている、その中に、フリーランスの方も働いているという、こういったケースを想定して記載をしております。御サイト、お客様のIT開発現場に常駐型で働くケースというのは、このように様々な契約形態、立場の方が入り交じって働いているケースが非常に多いと思っております。
 続いて22ページ以降は、そういったITフリーランスの方々の健康上の課題です。正確にはITフリーランス労働災害のデータはありません。先程来から申し上げておりますとおり、基本的に社員として働いていらっしゃる現場常駐型であれば、ITエンジニアの方々と働き方がほぼイコールですので、私どもの考え方としては、労働者に災害が起こっている状況とほぼイコールではないかと考えております。では、労働者はどのような災害を受けているかといいますと、これは厚生労働省等から様々なデータが出ておりますので、そちらから理解していきますと、過度なストレス、特に職種上、納期が厳格に決められており、必ずこの日付にシステムが稼働しないと、とんでもないことになるといった仕事がかなり多いので、ストレス、短期間での過重労働を発生することが非常に多いです。それにより、精神疾患、腰痛、坐骨神経痛、椎間板ヘルニア、腱鞘炎等が非常に多発しております。こういったデータは実際にあり、恐らく、こういったことと同等の傾向があると考えております。
 23ページです。では、全くそのデータがないのかというと、ここからは私が所属しているPE-BANKという会社に関係するPE共済会という非営利団体ですが、これはPE-BANKに所属しているITフリーランスの方々を対象とした、保険事業等を総合的に行っている福利厚生を行う非営利団体です。所得補償や生命共済、がん共済、まさかのときの補償をしている所になりますが、現在、700人弱のITフリーランスの方々が御加入されております。
 24ページです。この共済会にお尋ねして直近3か年間の中で、仕事が理由で就労不能になったり、入院が必要で治療が必要になったケースで、共済会から給付を受けたデータを可能な範囲で出していただいたのが、このデータです。明細等もあるのですが、個人が特定されるので出しておりません。ここまでが限界となるのですが、御覧いただきますと、やはり、先ほど厚生労働省等から出ていたデータと傾向は一緒になってきていると思っております。やはり、フリーランスといえども、ITエンジニアが被災する状況と傾向的にはさほど変わらないと思っております。
 25ページです。実態はそういったところですが、当支援機構の労災の防止活動として取り組んでいこうと思っていること、既に取り組んでいる部分でいきますと、定期的なセミナー、研修、情報をしっかり発信していく、先日も1回目の労災防止のセミナーをやり、まだまだ知られていないので、そんなにたくさんは集まってはいませんでしたが、そもそも健康に過ごしていくという部分の基礎的な知識から始めて、日頃、気を付けなければいけないことについて、30~40分ぐらい講習を行いました。今後、こういった活動を地道に行っていくことが非常に重要だと思っております。
 26ページは政府労災の話を改めて記載しております。こういった労災への加入促進は非常に重要だと思っており、先日もITフリーランスの方々が集まる300人ほどのイベントで講演した際に、政府労災に加入できるのを御存じですかと聞いたときに、本当に数名しか知らなくて、昨年9月から加入できるようになっているのに、全然、情報が届いていない状況になっております。我々、支援機構としてもそこは問題視しており、どんどん告知活動をやっていきたいと思っているのですが、やはり、行政も積極的に政府労災に加入できるところは周知していただきたいと思っております。こういった意識の高まりで労災防止の意識も高まってくると思っておりますので、このようなところは行政と連携して今後も進めていきたいと思っております。
 最後の27ページは民間保険です。先ほど御案内しました三井住友海上と、今、準備をしているところで、業務中の病気・けがは労災、それ以外の日常的なところは民間の保険でというところで2階建の補償制度を今後推進していこうと考えております。少し駆け足でしたが以上となります。ありがとうございました。
○土橋座長 どうもありがとうございました。続いて労働安全衛生総合研究所の吉川様、よろしくお願いいたします。
○(独)労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所過労死等防止調査研究センター統括研究員吉川様 独立行政法人労働者健康安全機構労働安全総合研究所過労死等防止調査研究センターの統括研究員をやっております吉川と申します。本日はヒアリングにお声をかけていただき、ありがとうございます。資料5-4を御覧ください。私からは、労災保険特別加入者における過労死等の労災認定事案の特徴に関する研究について、当研究所で行っている内容を報告させていただければと思います。スライド2を御覧ください。
 背景ですが、総務省統計では自営業者は約1,000万人いると言われており、その中でも一人親方等の個人事業主の健康は喫緊の課題であるということは、学術研究の中でもこれまで指摘されています。しかし、自営業者、法人役員、一人親方等の過重な負荷による脳・心臓疾患や、心理的な負担による精神障害・自殺について、これらは合わせて過労死等と呼ばれていますが、その実態については十分ではありません。ですが、これらの方は労災保険特別加入により過労死等として労災保険を受けている事例があります。そこでこの報告では、私たちのセンターで作成したデータベースを基に、過労死等事案を抽出してその実態について一部ですが報告いたします。
 方法ですが、全国の労働基準監督署から労災認定に関わる復命書という行政文書が作成されているのですが、当センターではその提供を受けてデータベースを作って、医学研究を実施しています。当初は紙ベースで集めていたのですが、現在は電子データでPDFを頂いて、それを電子入力する形でデータベースを作っております。スライド4です。当センターで医学研究を開始したのは、2014年に過労死等防止対策推進法ができたことが大きなきっかけです。この法律によって、いわゆる過労死と呼ばれていたものが、右の第2条の定義にありますように、業務における過重な負荷による脳血管疾患と心臓疾患、それから強い心理負荷による精神疾患を原因とする自殺が過労死等と定義されました。スライドに示しているような下にあります労災認定基準に従って認定が行われているところです。
 具体的に今回の情報を整理した方法を、簡単に紹介いたします。現在過労死センターでは、11年間の脳・心臓疾患2,928件、精神障害5,099件がデータベース化されております。このうち、正規、契約、派遣、パート・アルバイト等の雇用形態が賃金労働者である者を除いたものの内容を精査して、その中から特に中小事業主、一人親方、特定作業従事者、いわゆる第一種、第二種の特別加入になっているものを抜き出して、データベースを作りました。脳心では、全事案の3%が特別加入者で、精神障害では全事案の0.5%が特別加入者であったことになります。
 これは、もう既に第1回の検討会で詳しく紹介もあった内容ですが、特別加入制度の種類は第一、第二、第三とあり、第二種は先ほど高山委員から報告のありましたITフリーランスが9番に入っているのですが、この7番以降に関しては最近対象に加わったばかりですので直近ですので本解析データの中には含まれておりません。
 スライド7です。ここからが結果になります。疾患別の経年変化を紹介しています。オレンジが脳・心臓疾患、青が精神障害・自殺です。全体で見ますと、脳・心臓疾患のオレンジのバーが多いことが分かります。過労死等の中では精神障害よりも脳・心臓疾患が多い状況です。。11年間の経年変化の中では、2~16件の間を推移しております。ちょうど2011年は脳・心臓疾患が14件ありますが、この年は震災の年で、震災関連の事例も若干多かったのかなと思いますが、それ以外のデータの推移についてはよく分かっておりません。
 疾患別に性別、年齢、生死を分析したものを紹介いたします。左側が脳・心臓疾患、右側が精神障害です。円グラフの緑が男性で赤が女性なのですが、男性が多いことがよく分かります。それから年齢構成を見ますと、50歳代以降の方が多く、特に精神では50歳代にピークがあります。この年齢構成は一般の精神障害とはかなり異なっています。一般の精神障害は20歳代30歳代が多いのですが、特別加入の精神障害は50歳代が突出していると。ただ数が少ないですので統計的にというわけではないのですが、こういう傾向があります。
 疾患別に見た業種です。これは復命書を読んで、それぞれがどの業種になっているかを整理したものです。一番多いのは脳心、精神ともに建設業となっています。ですが、脳・心臓疾患では2番目に卸売業・小売業、それから宿泊、飲食サービス業。精神障害では2番目に漁業、農業・林業が出てきております。これをもう少し詳しく加入種類別に分析をしたのが、10番目のスライドです。
 脳・心臓疾患で見ますと、中小事業主、一人親方、特定作業従事者と、加入者別に見ておりますが、社長であったり役員である中小事業主で見ると、卸売業、飲食サービス業は、先ほど鈴木様より御指摘のありましたとおり、いわゆる社長や御家族、従業員の中では、この小売・卸売業、飲食業が多い傾向になっています。ちなみに、労災の特別加入者は約200万人ほどおられるのですが、そのうちの100万人ぐらいが建設で、飲食、小売り、サービスは20万です。これらの業種は割合からすると少し高めに出ているかなという印象です。その他、様々な業種があります。下のグラフで精神障害を見ていただくと、最も多いのは建設業ですが、中小事業主、一人親方は7件、6件となっております。吹き出しのようにして見せているのは、具体的にどのような職種があったのかを整理したものです。特に中小事業主のその他の事業のところをより詳しく業種を整理したものが、次の11番のスライドです。
 業種としては、労災特別加入ではその他の事業として43件分類されています。飲食店店主、卸売業等が含まれますが、例えばコンビニエンスストアの店長が5件のほか、生鮮・冷凍食品、弁当屋、酒類、洋菓子、パン、書店、貴金属、これらは皆個人事業主ですが、これらの方が被災されて補償を受けています。
 規模についても見てみます。もちろん個人事業主ですので規模が小さいことはよく分かるのですが、脳・心臓疾患で見てもその事業場で何人働いているかという従業員数で計算を出したものですが、8割が10人未満、いわゆる就業規則作成が義務でない事業場が多いです。精神障害についても、そのほとんどが10人未満の事業場、これは一人作業であったり一人親方であったりするため、こういうデータになっていると思われます。
 スライド13です。ここからは疾患別で、それぞれの負荷要因の特徴と勤務状況の特徴を整理したものです。脳・心臓疾患は単月あたり100時間以上2~6か月平均で80時間の時間外労働があると認定されるという長期間の過重負荷がありますが、労働時間の把握は極めて重要になります。そう見ますと、実際普段から労働時間管理を行っている、特に客観的な管理を行うタイムカードのようなものに関しては、非常に限られているというデータでした。労働時間については、普段から確認していないということが多数を占めている状況です。
 脳・心臓疾患に関して、それぞれの事業場、職場での就業規則や賃金規程については、1割前後しか作成していないという状況です。健康診断については、半分が受診をしています。それから、全て過労死等として認定されておりますので、時間外がありますので一般労働者の場合には医師の面接指導等の対象になることが多いのですが、面接指導を受けているものは0件でした。既往歴については半数程度あった状況です。
 スライド15です。ここからは精神のほうです。精神障害は、いわゆるうつ病と呼ばれている気分障害、F3と、急性ストレス反応やPTSD、外傷後ストレス障害といった疾患群F4の2つに主に分かれます。うつ病の場合には、長時間労働や心理的負荷でうつ病になったというような形ですが、中小事業主、一人親方は5件、4件と目立っております。それからF4の神経症性障害、ストレス関連障害等に関しても、それぞれどんな状況なのかを簡単に紹介しております。F4のストレス障害の場合には、事故が起きてその後、例えば、生命の危険に晒されるような海難事故でさまよったり、タンカーと接触した事故、あるいは配管作業中に生き埋めになったり、特定作業従事者では家族の運転するトラックに引かれて多発骨折で、その後PTSDになったなど、負傷としての労働災害だけでなく、その後精神障害を発症している事例が見られます。
 スライド16です。これは、それぞれの特徴として、中小事業主、一人親方、特定作業従事者がどのような特徴があったかを、数的にはN数が少なかったものですから特徴的なものを取り出しました。例えば表の真ん中あたりの中小企業主ですが、家族経営で父が代表取締役、息子が役員、妻が従業員であったり、夫が社長で妻が取締役というような非常に小規模な形態が多いです。それから、特定企業・特定工事などでは、専属的な作業をしているような場合もあります。これは一人親方でも同じです。それから建設業では工務店、そば屋や天ぷら屋、美理容業のような所のいわゆる個人事業主のような方。一人親方ではここに書いているような方の特徴があります。
 スライド17です。これは建設業など、業種ごとで整理をしたものです。現場監督の仕事と大工、設備工、内装工の職種によって、やや負荷の捉えられ方は異なるような印象がありました。その他の事業で小売り事業の特徴などがありますが、24時間営業など、ほぼ休みなく行うような卸し、小売り、飲食業は、そもそも長時間労働となる状態としての働き方をしている実態がよく見えていました。また一部、船舶所有者の事業も特別加入にはありまして、船舶の事業の場合にはかなり拘束時間が長いという特徴も見られたところです。
 スライド18、19については、今、報告した内容を文章として整理したものになります。特別加入者の過労死等の分析等から、自営業者、役員等の過重労働の背景には、長時間労働や休息・休日が取りにくいなど、労働時間に対する裁量度が制限される働き方がみられる中で発生している状況が見受けられました。特に、小売り、飲食・宿泊、農業・林業のように、連日勤務、休日なし、繁忙期有、少人数で人手不足が生じる等の業務特性があって、長時間労働になって発症しているものと、建設業に代表される個人請負就労者としての一人親方、専門性をいかした事業主等や小規模企業の役員等がサプライチェーンに組み込まれた働き方をする中で、働き方や時間管理に個人の裁量度が下がって過重労働の発生に影響しているような状況がありました。これらのデータについては、労災保険の特別加入の適用者のみでありますので、加入していない就業者は含まれておりません。ですので、全体の特徴を表しているとは限りませんが、一部の今後の検討の資料としていただければ幸いです。以上です。ありがとうございました。
○土橋座長 御説明ありがとうございました。それでは事務局の説明、今の高山委員、吉川様の説明を踏まえて、皆様から質疑応答、御議論をお願いいたします。いかがでしょうか。日下部委員、お願いいたします。
○日下部参集者 吉川さんの発表を聞いていて、建設業が大変事例が多いというお話を伺って、前回もありましたが、今日も前半は適正な工期が大事だというお話がありました。建設業、特に国や県の発注のときは、工期短縮が入札の評価項目の中で極めて高い比率になっているのです。ですから傾向として、最近は工期を短くしなさいということを、国としても働きかけているのではないかと。これがどのように直接的に、今、吉川さんがおっしゃったデータとつながるかは不明ですが、最近の傾向としては建設業については工期短縮が大前提のような議論がされているのが、大きな背景にあるのかなと思いました。コメントです。
○土橋座長 コメントを頂きました。ほかにいかがでしょうか。鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木参集者 高山委員、吉川様から御説明を頂き、大変勉強になりました。私からは高山委員に御質問させていただきます。資料5-3の25ページの下、法人会員に対する取り組みの1つ目のポツに、「法人会員は安全衛生及び災害防止措置の努力義務を加入要件とする」と記載があります。例えば、就労時間の上限規制の遵守といった内容が含まれているかどうかなど、この措置の具体的な内容についてお聞かせいただければと思います。
 もう一点は、2つ目のポツにある法人会員に対する安全衛生等の実施状況の報告についてです。災害防止を図る上で実態把握は重要になってくると思うのですが、具体的にはどのような内容の状報告を求めることを想定されているのか、以上の2点についてお聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○土橋座長 では高山委員、お願いいたします。
○高山参集者 質問ありがとうございます。まず1点目ですが、これは自社がサポートしているエンジニアの労働時間を制限するという意味合いではなくて、それも含めてきちんと管理をしているというか、体に不調を来していないか、あるいは発注者とのやり取りの中で、自身からなかなか言えない部分もあったりしますので、無理な注文を無理に受けていないかどうかも含めて、きちんと働くフリーランスの方々の相談に乗っていったりしながら、健康管理に配慮していくということです。
 一方でフリーランスの方々の特徴としては、ある場合は稼働数を上げてしっかりと働いていきたいという方々もいらっしゃいますので、むやみに稼働時間を制限していくみたいなところを一律にやっていくことは、フリーランスの自由な活動を制限していくことにもつながりますので、そういった部分も配慮しながら彼らの健康面をきちんと把握、管理していくという意味での措置、努力義務というような意味合いで書いております。今後こういった加入要件を検討していきたいということで、今準備を進めている段階です。
 加えて、そういった加入要件にしたときに、どのように報告を吸い上げていくかですが、年1回や半年に1回ぐらいの割合で、アンケート方式でデータを取っていくなどのことが考えられますが、これは今後の検討課題かと思っております。以上です。
○土橋座長 ほかにいかがでしょうか。森委員、お願いいたします。
○森参集者 高山委員にお聞きしたいことが1点あります。労働災害の内容では、筋骨格系の障害がかなり多いと。これの原因は作業時間、また作業休止の取り方以外に、設備の問題、机や姿勢の問題がかなり大きいと理解をしています。安全衛生の教育を既にされているということですので、そのような仕事をする環境の整備についても説明されているのでしょうか、また恐らく教育をしたからといって、すぐにできない原因はたくさんあるのではないかと思いますが、実態をどのように把握されているかを教えていただければと思います。
○土橋座長 高山委員、お願いいたします。
○高山参集者 以前は設備というか作業場の環境の問題も少なからずあったのですが、最近はその辺りは各企業も改善をされているので、完全になくなっているとは言えないものの、ある程度改善は図っているのかなとは感じております。やはり納期の問題で、一時期に集中的にパワーがかかるという局面で、ストレスや体調不良を来すことが多いのかなと思っています。特にシステムのリリースですと、休日、深夜にやることが普通の状態になっておりますので、特にそういった部分ではパワーがかかってくるのかなとは思っています。
 2点目のお尋ねなのですが、ここはやはり、基本的なことをまずはきちんと伝えることが非常に重要になってくると思っています。健康リテラシーの向上やストレスケアのこと、睡眠と食事、あとは健康診断を受けられていない方がほとんどなのですね。年1回は必ず健康診断を受けてくださいと。当社の場合はそこの補助金を出したりしながら、確実に年1回は受けてもらうようにするのですが、やはり忙しいとかで受けない方が非常に多いと思いますので、そこをしっかりと指導、推進していくことが一番重要ではないかと思っておりますので、そこに時間を掛けて皆さんをサポートしていきたいなとは考えております。以上です。
○土橋座長 少し時間も過ぎておりますので、あとはオンライン参加の三柴委員の御発言までといたします。三柴委員、お願いいたします。
○三柴参集者 両者に伺いたいのですが、結局フリーランスでしたらアルゴリズム管理の問題等を含めて、要するに仕事をもらえるかというところが関係者の大きな関心ですし、実は心理社会面を含めた安全衛生に関わってくることを考えたときに、そこに手当するような対策を何か展望されているのでしょうか。今やっていなかったとしても、取引先との協議や、本人たちのスキルアップとかを考えておられるか、そこだけ教えてください。
○土橋座長 では、お二方から一言ずつ。まずは高山委員からお願いいたします。
○高山参集者 まずエージェント各社は、そこはやはり仕事がもらえるかどうかの一番重要なポイントになりますので、御本人の仕事等を含めて、スキルアップの支援とコミュニケーションの向上の部分の支援、あとはコミュニティーや勉強会の支援には非常に力を入れているところです。当支援機構も、そういったエージェントを束ねていく役割がありますので、各個社ができないような業界全体としてのマインドアップを含めてやっていきながら、発注企業から仕事が流れてくるような促進活動をしていこうと考えております。
○土橋座長 吉川様、お願いいたします。
○(独)労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所過労死等防止調査研究センター統括研究員吉川様 重要な指摘をありがとうございます。例えば15ページに紹介しているので、事例を細かく紹介していませんでしたが、叱責と長時間労働が主な原因で、うつ病になり休んだ方は、工場の空調設備をほぼ専属事業のような形で、単独工事で一人親方をされている方でした。そこの上司に非常に叱責をされて長時間労働になって、うつ病で休んでその後契約を切られたと。そのために労災を申請したという事例がありました。、その下の大工さんの事例は工事の失敗が契機となった事例です。これはハウスメーカーの建売りの専属大工さんなのですが、注文住宅の施工を担当していて、それが初めての工法だったので、ちょっとうまくできなかったと。そうしたら、その事例が失敗事例として皆の前で公開されるような形になって、それを機にまた仕事をもらうことができなくなって失職をしてしまうおそれもあって、自殺をされてしまったというようなケースがありました。これらの事例の精神障害に関しては、雇用継続か否かというところは極めて重要な印象があります。ただ、それは全部データとして整理しているわけではありませんが、そういった事例が多い印象でした。
 脳・心臓疾患についても、休んだために、経営や仕事ができなくなるために、発症後の補償の形として労災を申請しています。ですので労災だけでなく、例えば個人事業主としてその後の何かあったときのための健康保険、あるいはいろいろな生命保険などもあると思います個人事業主の労働そのものが労働者か労働者ではないかという意味に関わらず補償でき、発生しないようにする予防措置的なものを、あらかじめできるようなものが幅広くつくられていくといいかなという印象をもちました。
○三柴参集者 ありがとうございました。
○土橋座長 時間の関係でここまでとさせていただきます。様々な御議論をありがとうございました。続いて議事の4番、その他になります。事務局からありますか。
○船井安全課長補佐 どうもありがとうございました。次回以降については、今日御議論を頂きました資料2で挙げております①と②、論点1と3については、ヒアリングを行いながら議論を深めていく。論点2については、労働安全衛生法第22条の改正方針を踏まえながら、具体的な検討を進めていくといった、いわば2部構成で検討を進めさせていただくことといたします。以上です。
○土橋座長 事務局においては、次回までに本日の議論の整理と、ヒアリング団体との調整等をお願いいたします。その他、事務局から連絡事項等はありますか。
○船井安全課長補佐 本日の会議の議事録については、参集者の皆様に事前に御確認いただいた上で公開することといたします。また追って連絡させていただきます。また次回については、8月1日(月)午後の時間帯を予定しております。具体的な時間帯、場所を含めて、改めて正式に御案内いたします。以上です。
○土橋座長 本日は長時間にわたり活発な御議論を頂き、ありがとうございました。また、ITフリーランス支援機構の高山委員、労働安全衛生総合研究所の吉川様におかれましては、御説明、質疑対応をありがとうございました。以上で第2回個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会を閉会いたします。本日はありがとうございました。
 

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