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令和4年8月5日
東アジア首脳会議(EAS)参加国外相会議に参加している林外務大臣の様子
東アジア首脳会議(EAS)参加国外相会議の会議の様子

 現地時間8月5日午前9時(日本時間午前11時)から約3時間、カンボジア・プノンペンにて第12回東アジア首脳会議(EAS)参加国外相会議(議長:プラック・ソコン・カンボジア副首相兼外相)が開催され、林芳正外務大臣が出席したところ、概要は以下のとおりです。

1 EASにおける協力

 林大臣から、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)の実現がより重要となる中、日本はASEAN中心性・一体性を支持しており、地域の政治・安全保障に関するプレミア・フォーラムであるEASをはじめとするASEAN主導枠組みを重視している旨述べました。また、インド太平洋に関するASEANアウトルック(AOIP)への一貫した支持も表明し、今後も具体的な協力を進めていく旨述べました。

2 地域情勢

  • (1)ウクライナ情勢
     林大臣から、ロシアによるウクライナ侵略は、主権及び領土一体性の侵害かつ武力の行使を禁ずる国連憲章の重大な違反であり、厳しく非難する旨述べた上で、こうした力による一方的な現状変更の試みは、アジアを含め世界中どこであっても絶対に許されない旨述べました。また、大量破壊兵器による威嚇も、使用もあってはならないこと、更に、ロシアによるウクライナ侵略は、世界のエネルギーや食料価格の高騰をもたらしていることを指摘し、ロシアが直ちに侵略を止めるよう、また、穀物輸出再開に関する四者合意の履行を含め責任を果たすことを強く求めました。
     複数の国からロシアによるウクライナ侵略を非難する旨の発言がありました。
  • (2)台湾情勢
     林大臣から、中国の弾道ミサイルが日本の排他的経済水域を含む日本近海に落下したことは、日本の安全保障及び国民の安全に関わる重大な問題であり、中国の行動を強く非難する旨述べるとともに、台湾海峡の平和と安定は重要である旨指摘した上で、今般の中国の行動は地域及び国際社会の平和と安定に深刻な影響を与えるものであり、軍事訓練の即刻中止を改めて求める旨発言しました。
     各国から、台湾海峡の緊張の高まりに懸念が表明された他、林大臣の発言に応え、複数の国から中国の行動を非難する旨の発言がありました。
  • (3)東シナ海・南シナ海等
     林大臣から、東シナ海及び南シナ海における、力を背景とした一方的な現状変更の試みの継続・強化への強い反対を表明するとともに、東シナ海では中国による日本の主権を侵害する活動が継続・強化されていることを指摘しました。海洋権益の主張や海洋における活動は国連海洋法条約に基づいてなされるべきである旨述べるとともに、2016年の比中仲裁判断や南シナ海に関する行動規範(COC)に言及し、COCは国連海洋法条約に合致すべきであり、南シナ海を利用する全てのステークホルダーの正当な権利や利益を害してはならない旨述べました。更に、地域における経済的威圧への強い反対を表明しました。
     各国からも、南シナ海における航行・上空飛行の自由の重要性、国連海洋法条約を始めとする国際法に沿った紛争の平和的解決の重要性等について発言がありました。
  • (4)香港及び新疆ウイグル自治区
     林大臣から、香港情勢及び新疆ウイグル自治区の人権状況に対する深刻な懸念を表明しました。
     複数の国からも、香港情勢や新疆ウイグル自治区等の人権状況に対する懸念が表明されました。
  • (5)北朝鮮
     林大臣から、北朝鮮の全ての大量破壊兵器及びあらゆる射程の弾道ミサイルのCVIDの実現に向けて、「瀬取り」対策を含め、安保理決議の完全な履行が不可欠である旨述べました。また、拉致問題に関し、各国の引き続きの理解と協力を求めました。
     各国からも、朝鮮半島の非核化及び安保理決議の完全な履行の重要性に関する発言がありました。
  • (6)ミャンマー情勢
     林大臣から、先月の被拘束者の死刑執行は、日本が一貫して求めてきた「被拘束者の解放」に大きく逆行するものであり、深刻に憂慮する旨述べました。また、「5つのコンセンサス」の実施に向けたASEANの努力への支持を引き続き最大限に後押ししていく旨表明するとともに、人道支援を今後も積極的に実施していくが、安全で阻害のない人道アクセスを求める旨述べました。
     各国からも、被拘束者の死刑執行を含め、ミャンマー情勢につき、深刻な懸念が表明され、「5つのコンセンサス」の履行の重要性が強調されました。

3 結語

 最後に、林大臣から、地域の平和と繁栄のため、日本はEASの枠組みを通じた協力に引き続き貢献していく旨述べました。


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