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令和4年4月5日(火曜日)
教育、科学技術・学術、その他

キーワード

公立小学校及び東京農工大学の視察、高等教育の修学支援新制度の募集開始、日本人宇宙飛行士の募集結果、新型コロナウイルス感染症対策の徹底と学校教育の両立及び子供の心のケアについて、大学卒業後の所得に応じた「出世払い」型等の奨学金返還の在り方について、生徒指導提要の改訂試案と校則について、教科書検定の結果について

末松信介文部科学大臣記者会見映像版

令和4年4月5日(火曜日)に行われた、末松信介文部科学大臣の定例記者会見の映像です。

令和4年4月5日末松信介文部科学大臣記者会見

令和4年4月5日末松信介文部科学大臣記者会見(※「YouTube」文部科学省動画チャンネルへリンク)

末松信介文部科学大臣記者会見テキスト版

大臣)
 冒頭、私から3件ございます。
 昨日4日(月曜日)、世田谷区立下北沢小学校と、国立大学法人東京農工大学を訪問いたしました。まず、下北沢小学校では校内研修や授業研究などの教師同士の協働的な学びの重要性について、校長先生や先生方と意見交換をさせていただきました。次の東京農工大学では、スタートアップが入居する施設を視察しまして、起業を目指す研究者や農工大発のスタートアップの経営者の方々と意見交換を行いました。また、その中で、自動運転に関する産学共同研究の状況についても話を伺いまして、学校内の敷地の中で自動運転を試乗させていただいたということで、精度は高かったです。次は、今回の視察とか意見交換を通じまして、教師同士で学びを深めることや、教師の「学びの足あと」として受講した研修を記録することについての重要性であるとか、また、大学の特色や強みを生かした産学共同研究や、スタートアップ創出に向けた支援の重要性といったことを改めて強く認識をしたところでございます。今回の意見交換でいただいたご意見等は、今後の施策の検討にしっかりと生かしていきたいとそのように考えております。
 次に2つ目でございます。ポスター2つ、見ていただいておりますけれども。2件目は、この4月で「高等教育の修学支援新制度」が3年目を迎えました。本制度は、真に支援を必要とする低所得世帯の学生等が進学・修学を諦めることのないように、授業料の減免と給付型奨学金の支給を行うものでございます。令和3年度は、前年度比約5万人増の約32万人の支援を行いました。そして、住民税非課税世帯の進学率の推計値ですけれども、令和3年度には約54%となり、制度導入前の平成30年度(約40%)に比べて約14ポイント上昇しまして、制度開始初年度である令和2年度(約51%)と比べても、約3ポイント上昇したと推計をいたしております。また、新制度対象(注1)のアンケートによりますと、一つには、新制度がなければ進学をあきらめた方33.4%、新制度がなければ今の学校より学費や生活費がかからない学校に進学した方26.5%という状況でありまして、新制度が進学の後押しになったとそのように考えております。今月からは在学生を対象とした募集を行います。新入生も含め、積極的に活用いただきたいと思います。また、4月下旬から、来年度進学予定者向けの募集も開始をします。進学を考えている高校3年生には、ぜひ申請をいただきたいと思います。文部科学省といたしましても、引き続き、制度の周知・広報に努めるとともに、子供たちが経済的な理由によりまして進学・修学を断念することのないように、本制度を着実に実施をしていきたいというふうに思います。そのためにもこのポスターを作らせていただきまして、広報に努めておるところであります。せっかく予算も取って、この施策を活用してほしいと思っていますので、精一杯の努力を、文科省をあげてやりたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
 次に、3件目であります。昨年11月、JAXAにおいて実施しておりました、新たな日本人宇宙飛行士の募集についてであります。昨日(4日)正午に締め切りました。最終的な応募総数は4,127名となりましたのでご報告をさせていただきます。今回は、多様な人材に応募してもらえるように、応募資格を緩和いたしました。その結果、前回(2008年)の人数の約4.3倍となる大勢の方々から応募をいただくことになりまして大変嬉しく思っております。今回募集しました宇宙飛行士は、月周回有人拠点「ゲートウェイ」や月面が活躍の場となることが見込まれております。今後、来年の2月頃までかけてJAXAにおいて選抜を行う予定としておりまして、これを経て、将来の月探査を担う優秀な方が選ばれることを強く期待をいたしております。非常に年代も幅広く、60代以上の方が69名(約1.7%)申し込んでおられます。50代の方も424名(10.3%)の方が申し込んでおられるということで、幅広い世代の皆様方にも申込みをいただきました。大変、我々、喜んでいるところでございます。
 以上3件、お話を申し上げました。ありがとうございました。

記者)
 質問させていただきます。コロナ下で3年目の春を迎える学校現場の対応策についてお伺いします。入学式では、1年目、2年目よりも制限を緩和しつつ、感染対策を工夫しながら実施している学校や地域もありますが、コロナ下で活動が制限される学校生活も長期化して、小中学校ではうつ症状がある子供やうつ症状があっても誰にも相談しないという子供が増えているという医療機関の調査結果もあります。教育活動と感染対策の両立をどう図るべきか。あと、子供の心のケアについてですね、どう対応していくか、大臣のお考えを改めてお伺いします。

大臣)
 今日、そのものずばりのご質問じゃなかったのですけれども、文教科学委員会でも、そのご質問をされる先生がお一人おられましたです。新型コロナの新規感染者数は、全体として緩やかな減少傾向が続いておりますけれども、依然として多くの感染者が確認されておりまして、特に10代以下の感染者が多く確認をされております。文部科学省といたしましては、先月18日に、年度末・年度始めに際しての学校の感染症対策についての事務連絡を発出をいたしました。その中で、感染リスクの高い活動に注意しつつ、時々の地域の感染状況に応じた感染症対策を徹底し、学校教育活動を継続していくことが重要との考えを示しております。また、春季休業期間も家庭における健康観察を継続していただきまして、発熱等の風邪の症状がある方については自宅で休養するなどの対策を徹底しつつですね、新年度を開始していただきたいということ、迎えていただきたいということを通知をいたしたところであります。さらに今月の1日、「衛生管理マニュアル」、そして「新型コロナウイルス感染症に対応した持続的な学校運営のためのガイドライン」を最新の知見に基づく内容に改訂しまして、教育現場に対して周知を行っているところでございます。また、子供の心のケアに関しましては、教育委員会等に対しまして、学級主任(注2)や養護教員を中心としたきめ細やかな健康観察など児童生徒の状況の的確な把握、それと、スクールカウンセラーさんによる支援とか、また、24時間子供SOSダイヤルなど相談窓口の周知などを行うよう求めてまいりました。令和4年度予算におきましても、スクールカウンセラー等の配置の更なる充実に係る経費を盛り込んでいるところでございます。文科省としても、これらの取組を通じて、感染症対策の徹底と学校教育活動の両立、さらには子供たちの心のケアに努めてまいりたいと思います。長くなりましたけれども、そういう考え方で文科省は臨んでおります。

記者)
 大臣が冒頭でお話になった修学支援制度に関連してお尋ねします。3月30日の教育未来創造会議で、総理から大臣に対して、いわゆる「出世払い」方式の奨学金制度の創設を検討するようにとの指示があったと聞いておりますが、今後の具体的な制度設計について、大臣のお考えを伺いたいのと、あと、それを評価する一方で、給付型奨学金制度を活用する方が先決ではないかという意見もあるようですが、その辺りについて大臣のお考えを聞かせていただければと思います。

大臣)
 まだ、現状は、現在進行形でございます。3月30日(水曜日)に開催されました教育未来創造会議で、論点整理案における検討の方向性として、奨学金返還の在り方の見直しを行うことを示し、議論は行ったところでございます。また、総理からですね、今、お話があったように、奨学金に関して、ライフイベントを踏まえた、大学卒業後の所得に応じた「出世払い」型の支援に向けて、提言をまとめるようにという指示がございました。現時点では、既定の具体的な方針があるものではございませんで、また、会議でも、委員から様々な意見も、未来創造会議ですけれども、出ておりましてですね、5月中に取りまとめる第一次提言に向けて、引き続き、関係省庁との連携・検討を進めているところでございます。ですから、給付型の修学支援新制度とのことにつきましてはですね、これとそれとということにつきましてもですね、それを含めて、いろんな検討を考えておるということでございまして、今のところは、まだまとまったものはございません。

記者)
 先日、生徒指導提要の改訂の試案が公開されたと思うんですけれども、今回の改訂試案では、児童の権利に関する条約の理解を明確に記載したほか、校則のホームページ公開や改訂の手続の明文化、校則の見直しの過程に児童生徒自身が関与というような項目が加えられてですね、学校のルールを無批判に受け入れるのではなくて、自身がその根拠や影響を考えて身近な課題を自ら解決するといった教育的意義を有する等の記載がありました。前回の平成22年生徒指導提要と比べると、子供の権利の尊重や意見表明権への言及があるなど、前進した感じがします。昨年来、校則を巡っては議論が活発化しましたが、こういった議論の影響はあったのか、そして、大臣として、今回の改訂を踏まえてですね、今後、校則とはどうあるべきか、校則の在り方をどう変えていきたいか。そして、今回の改訂試案を踏まえて、更なる通知とかは出されるかという点について伺わさせてください。

大臣)
 「生徒指導提要」はですね、平成22年に策定されてから10年以上が経過するということでございます。この前、大臣室でも提要を改めて拝見をいたしました。その後、「いじめ防止対策推進法」の施行など、生徒指導をですね、取り巻く状況が変化していることを踏まえまして、生徒指導の概念や取組の方向性等を再整理するなど、改訂作業を、実は行っているところでございます。衆議院の方でも、これについて、提要について、ちょっとご意見も出ていました、前回。先月29日の会議で示された改訂試案では、校則は、地域の状況であるとか時代の変化等を踏まえて不断の見直しが必要であるということに加えて、校則の内容を学校内外の者が参照できるようにし、また、校則を見直す際のプロセスを明確にするといった配慮が必要であるということ、身近な規則について考えることは身近な問題を自ら解決するといった教育的な意義があるということ、こういった点が記載されているというように承知をいたしております。文科省といたしましては、生徒指導提要が、学校・教育委員会が必要とする知見や情報を盛り込んだ内容となるように、引き続き、改訂に向けまして、精査に努めてまいりたいと、そのように考えます。

記者)
 すみません。いま、ちょっとあの、答弁いただきましたけれども、例えば、今回、学校において生徒たちが関与するという話がありましたけれども、例えば東京都では話合いというものを校則の見直しに当たって行わせたそうなんですけども、1回だけ、ちょこっと話し合ってそれで終わりみたいな運用がなされているところもあるそうです。こういったアリバイ的な話合いだけど、本当に児童生徒たちが、自らの課題として解決することができるのでしょうか。子供の意見表明、校則の見直しに生徒が関与していくに当たって、ちゃんと意見を表明する機会というのは保障されるんでしょうか。そこのところ、文科省としてどう担保していくか教えてください。

大臣)
 生徒指導提要は、生徒指導の基本書とも言うべき存在でありますから、生徒指導提要に記載される、校則の不断の見直しの必要性、見直しにおける教育的な意義などにつきましては、しっかりと学校現場に浸透させていくことが大切であると認識をいたしてございます。このため、現在改訂中の生徒指導提要が、より現場で理解されて活用していただけるものとなるように、昨年度に引き続き、内容の精査に努めてまいりたいと考えております。また、改訂後はですね、各教育委員会等の生徒指導担当者向けの研修会等の様々な機会を通じまして、校則の内容を含め、生徒指導提要の趣旨を周知徹底して、学校の適切な対応を促してまいりたいと、そのように考えています。だから、東京の話については、まずは、最終的に、やっぱり校則というのは、学校現場で校長先生が、最終的に、いろんな保護者や生徒さんやいろんな方々の意見を聞いて決めていきます。更にどういう方針ですかということは、教育委員会にお聞きになることもあるでしょうけれども、文科省として、私の考えは、今述べた通りでございます。

記者)
 質問なんですけれども、前回の4月1日の記者会見の内容について確認させていただきたいんですけれども、教科書検定制度について、不合格図書についてですね、検定制度を逆手に取ったビジネスをしているようにも思えるが、検定の本来の趣旨から逸脱しているのではないかという質問が報道側から出たと思うんですけれども、これに対して、大臣の回答で、明確に「コメントは控える」とはおっしゃられておるんですけども、最後にですね、末尾に「お心の通りかなと思います」という発言をされておりまして、これが、ちょっといろいろ、どういう趣旨でされた発言なのか。要するに、検定の趣旨を逸脱しているというような趣旨なのか、賛同する発言であるのか、あるいはそれ以外に意味、解釈の余地があるのかというのを大臣の口から説明いただけるとありがたいんですが。よろしくお願いします。

大臣)
 先週金曜日の会見におきまして、令和書籍さんですね、が、検定不合格教科書を市販している件について、「検定制度を逆手に取ったビジネスではないか」「検定制度の本来の趣旨を逸脱しているのではないか」とのご指摘がございました。このことにつきましては、民間の出版社が発行する一般図書に関することでございます。従って、文科省として、文部科学省としてのコメントは差し控えさせていただくと明確にお答えをしております。「お心の通り」というのは、本件に対して様々な受け止めがあることを踏まえた上で、「ご指摘のような受け止めがあることは承知している」という趣旨で申し上げたものでありまして、ご指摘の点について自分も同じ認識だという趣旨ではありません、これは。いずれにせよ、関係者の方に誤解を与えたならばですね、申し訳なく思います。民間の出版社が発行する一般図書に関することでありますので、これ以上のコメントは差し控えさせていただきたいと思います。厳に差し控えさせていただきたいと思います。

(注1)「新制度対象」と発言しましたが、正しくは「新制度対象者」です。
(注2)「学級主任」と発言しましたが、正しくは「学級担任」です。

(了)

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