令和3年9月28日

 9月28日(現地時間同日)、パラオ共和国のマルキョクにおいて、我が方、柄澤彰駐パラオ共和国日本国特命全権大使と先方、スランゲル・S・ウィップス・Jr・パラオ共和国大統領(H.E. Mr. Surangel S. WHIPPS, Jr., President of the Republic of Palau)との間で、供与額2.5億円の保健・医療関連機材供与のための無償資金協力「経済社会開発計画」に関する書簡の交換が行われました。

  1. パラオは、国土が広大な海域にまたがり、国内市場が小さく、国際市場から地理的に遠いなどの開発上の課題を抱えています。同国には、国立病院が1カ所、私立クリニックが数カ所立地するのみで医療機材も最低限しか揃っておらず、十分な検査・治療を行う体制が整っていません。また、新型コロナウイルスの世界的な流行を受け、同国ではこれまでに市中感染は発生していないものの、保健・医療体制の脆弱さが改めて顕在化しています。このため、保健・医療体制の強化に資する基礎的なインフラ整備が喫緊の課題となっています。
  2. 本計画は、パラオ政府に対し、日本企業製品を含む保健・医療関連機材(医療用焼却炉、MRI等)を供与することにより、同国の保健・医療体制の向上を図り、もって社会の安定化を通じた同国の経済社会開発に寄与するものです。
  3. 我が国は、本年7月2日に開催した第9回太平洋・島サミットの機会に発表した「太平洋のキズナ政策」において、「新型コロナへの対応と回復」を支援の柱の一つとして表明しており、この協力は同政策を具体化するものです。

 パラオ共和国は、面積488平方キロメートル(屋久島とほぼ同じ)、人口1万8,000人(2019年、世界銀行)、1人当たり国民総所得(GNI)は1万6,490米ドル(2019年、世界銀行)。

 7月2日、テレビ会議方式により、菅総理大臣とナタノ・ツバル首相の共同議長の下、第9回太平洋・島サミット(The Ninth Pacific Islands Leaders Meeting: PALM9)が開催され、日本、島嶼14か国(ツバル、クック諸島、フィジー、キリバス、マーシャル、ミクロネシア、ナウル、ニウエ、パラオ、パプアニューギニア、サモア、ソロモン、トンガ、バヌアツ)、豪州、ニュージーランドに加え、ニューカレドニア及び仏領ポリネシアの2地域を含む19か国・地域の首脳等が参加した。パラオからはスランゲル・S・ウィップス・Jr・大統領が参加した。
 我が国は、PALM9において、「太平洋のキズナ政策」の下、(1)新型コロナへの対応と回復、(2)法の支配に基づく持続可能な海洋、(3)気候変動・防災、(4)持続可能で強靱な経済発展の基盤強化、(5)人的交流・人材育成の5つを重点分野とし、今後3年間に、しっかりとした開発協力の継続と5,500人以上の人材交流・人材育成を実施することを表明した。