(令和3年9月28日(火曜日)10時47分 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)北朝鮮によるミサイル発射

【茂木外務大臣】私(大臣)から2点あります。
 まず北朝鮮でありますが、北朝鮮は、本日、朝の6時38分頃、北朝鮮の内陸部から、1発の弾道ミサイルの可能性があるものを発射いたしました。詳細につきましては現在分析中であります。
 これまでの弾道ミサイル等の度重なる発射を含め、一連の北朝鮮の行動は、日本と地域の平和と安全を脅かすものでありまして、日本を含む国際社会全体にとって深刻な脅威であります。
 先週、私(大臣)は、ニューヨークにて日米韓外相会談に出席し、北朝鮮の完全な非核化に向けて、外交的な取組の強化、安保理決議の完全な履行、そして地域の抑止力強化の観点から、日米韓の連携を一層進めていくことを確認いたしました。今後も、米国を始めとする関係国と、引き続き緊密に連携していきたいと思います。

(2)日英円滑化協定交渉の開始

【茂木外務大臣】もう一点、日英の円滑化協定についてでありますが、日英両国は、日英円滑化協定の締結に向けた交渉を開始いたします。
 日英両国は、自由、民主主義、人権、及び法の支配という基本的な価値を共有するグローバルな戦略的パートナーであります。今月には英空母「クイーン・エリザベス」が日本に寄港するなど、両国は安全保障・防衛協力を強化してきております。
 日英円滑化協定は、両国の安全保障・防衛協力を更なる高みに引き上げるための基盤となる法的な枠組みでありまして、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた両国間の協力の更なる強化に資するものであると考えております。
 早期の交渉妥結を目指して、10月7日に1回目の交渉を行う予定であります。私(大臣)からは以上です。

北朝鮮によるミサイル発射

【NHK 山本記者】冒頭の北朝鮮の件ですけれども、北朝鮮側に抗議というのはされているんでしょうか。

【茂木外務大臣】既に行っております。その前に、まずこの旧朝鮮半島出身労働者問題に係ります韓国大法院、ごめんなさい、北朝鮮ですね。
 北朝鮮については、ちょっと確認しておりませんが、まだどういうものかと確認中であると。それが確認され、そして日本の脅威になると、こういうものであったら、当然抗議を行うことになると思います。

旧朝鮮半島出身労働者問題

【NHK 山本記者】日韓関係の方ですけれども、韓国の地方裁判所は、昨日、三菱重工業の資産の一部について売却を認める決定を出しましたけれども、韓国政府への抗議されたのかということと、今後の政府の対応を。

【茂木外務大臣】こっちは抗議しました。ご指摘の報道についてまず承知をしておりますし、繰り返し述べてきているとおり、旧朝鮮半島出身労働者問題に係ります韓国大法院判決及び関連する司法手続、これは明確な国際法違反であります。そして、現金化、これは日韓両国にとって深刻な状況を招くので避けなければならないと、このことは、これまでも日本側から韓国側に対して、繰り返し指摘をしてきておりまして、先週、国連総会でニューヨークに行った際にも、23日に日韓外相会談行いまして、私(大臣)から鄭(チョン)外交部長官に対して、現金化は避けなければならないとして、韓国側に対し適切な対応をとるよう改めて強く求めたところであります。
 韓国側がこうした我が国の立場について当然認識しているにもかかわらず、今般報じられた動きがあったことは極めて遺憾でありまして、昨晩、ソウルにおいて直ちに申し入れを行いまして、そして今朝、東京において韓国大使館の次席公使を召致しまして、直ちに適切な対応を講じるよう、直接強く申入れを行ったところであります。
 関係企業は、今回の動きに対して即時抗告を行うと承知をいたしております。韓国側が直ちに国際法違反の状態を是正することを含めて、日本側にとって受入れ可能な解決策を示すよう、強く求めていきたいと思っております。

台湾による日本産食品輸入規制

【BBC 鄭記者】茂木大臣にお伺いいたします。BBC繁体字中国語。

【茂木外務大臣】はい? ごめんなさい。

【BBC 鄭記者】BBC繁体字中国語日本ゴットコムの鄭仲嵐と申します。

【茂木外務大臣】ごめんなさい。僕が理解できてないんだと思います。聞き取れてないんだと思います。

【司会】BBCです。

【茂木外務大臣】放送のBBC。

【BBC 鄭記者】そうです。BBC日本ドットコムの鄭仲嵐と申します。

【茂木外務大臣】名前を言ったのね。

【BBC 鄭記者】台湾から来ました。よろしくお願いいたします。台湾のTPPの加入申請についてお伺いしたいと思いますが、台湾は先週正式に加入を申請し、日本側も歓迎の意向を示しました。
 台湾社会は、自由・民主という貿易環境がありますが、両政府の間では、まだ福島周辺の五つの県の食品輸入問題がまだ解決しておりません。台湾社会には放射能汚染を懸念する声がまだありますが、日本としてどう理解を得たいでしょうか。これから台湾政府と食品輸入解禁について更に深く交渉する可能性はありますでしょうか。大臣のお考えをお聞かせください。

【茂木外務大臣】まず、台湾は日本にとりまして、自由であったり、民主主義、そして法の支配等、基本的な価値を共有する、また、緊密な経済関係を持つ大切なパートナーであると思っております。その台湾、TPPについて加入申請をしたと、これは自由で開かれたハイスタンダードの経済秩序、経済圏を世界に広げていくと、こういうTPPの目的に沿ったものであると思っておりまして、歓迎をいたしております。
 当然、英国に対してもそうでありますが、加入に当たっては、TPPの持っているハイスタンダードのルール等、しっかりとそれが受入れられるかどうかと、こういったことは見極めていかなければならないと思っております。
 その上で、日本産食品の輸入規制の撤廃については、政府の最重要課題の一つでありまして、東日本大震災後、日本産食品に課している輸入規制について、日本は、各国・地域に対して、日本は日本産食品の安全性について科学的根拠に基づいて説明をし、その早期撤廃をこれまでも強く求めてきたところであります。そういった働きかけによって、ここに来まして、輸入規制の撤廃を行うという地域も増えてきているところであります。
 そんな中、台湾の方々が日本産食品の安全性について理解をし、規制の早期撤廃につながるよう、今後も日本台湾交流協会等を通じて、あらゆる機会をとらえて、粘り強く働きかけを行っていきたいと、こんなふうに思っております。

次期サイバーセキュリティ戦略

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて質問)
 北朝鮮の脅威に関してですが、日本政府は月曜日に「サイバーセキュリティ戦略」を決定し、その中でサイバーセキュリティ上の脅威として、中国やロシアとともに北朝鮮を明記しました。このことは、日本の安全保障にどのような影響を与えるでしょうか。また、どのような対応をとるべきとお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】まず、安全保障といった場合に、その安全保障に関する分野というのは間違いなく広がってきていると、クラシックな意味の安全保障から、サイバーであったりとか、宇宙空間、そういう分野の安全保障というのも極めて重要な時代になっていると、そんな中で、日本を取り巻く安全保障環境、そういう分野も含めて厳しさを増しておりまして、中国、ロシア、北朝鮮の当局の関与が疑われるサイバー活動が見られるなど、サイバー空間においても、国家間の競争が顕在化をし、国際秩序の不確実性が急速に増していると認識をいたしております。
 政府としては、ご指摘の新しいサイバーセキュリティ戦略の下、引き続き、サイバーセキュリティの確保を通じて、日本の安全保障を万全なものとしていきたいと思います。また政府一体となって、自由、公正かつ安全なサイバー空間の利用・確保、こういったものに取り組んでいく考えであります。

自由民主党総裁選挙

【NHK 山本記者】政務の話で恐縮なんですけれども、明日、自民党総裁選挙が投開票を迎えますけれども、大臣、ご所属の派閥としてどのように対応されるのかと、大臣ご自身としては、どの候補者を支持されるご予定でしょうか。

【茂木外務大臣】いよいよ明日、自民党の総裁選が投開票ということになるわけでありますが、これまで4人の候補者が立候補し、様々な機会に政策議論等を深めてきたと考えております。我々のグループとしては、今回の総裁選に当たって、その総裁選が開かれたものであり、そしてグループの中では、個々の置かれている立場、また考え方を尊重しながら、一方で、グループとしてできる限りまとまって対応していきたいと、こういう基本的な考え方の下、様々な意見交換、また個別の面談等を重ねてまいりました。
 その結果として、大半が岸田候補を支援したい、こういう形になっております。その意味で、グループとしての方向性はどうかということでありますけれど、もちろんそれぞれの候補者支援をしたいという候補はいますけれど、自主投票で4人それぞれにバラバラに投票するとか、自主投票なので誰が誰に投票するか分からない、どんな状況か分からないということではなくて、既に大半の所属議員が岸田氏を支持する、もしくは派閥の意向を尊重して投票する、投票したいということで、岸田氏を支持するということになっておりますので、グループとしては大半が岸田氏支持でまとまったと。方向性が明確になったと、こんなふうに考えております。
 そして意見交換する中で、岸田候補を支援したいと、また支持したいと、こういう考え方の理由としては、一つはコロナ対策を始めとする内外の非常に重要な課題に、自民党として、政権与党として対応していくために、やはり挙党態勢を作らなければならない。自民党のウイングを広げ、同時にベテランから若手の登用を含め、分厚い体制を築いていくと、こういった体制が一番築けるのは岸田候補であると。
 同時に今後のことを考え、直前に迫りました衆議院選はもちろんでありますが、来年の通常国会、更には来年夏の参議院選挙、その先まで見据えて、どうやったら安定政権が作れるかと、こういった観点からも岸田候補支持の声が大きかったと。私(大臣)はこの二つの理由については、完全にその考え方、共有いたしております。