令和3年9月17日

 9月17日(現地時間同日)、ミクロネシア連邦の首都パリキールにおいて、我が方、水内 健太郎在ミクロネシア連邦日本国臨時代理大使と先方カンディー・A・エリエイサー・ミクロネシア外務大臣(The Honorable Kandhi A. Elieisar, Secretary of Department of Foreign Affairs, Federated States of Micronesia)との間で、以下2件の無償資金協力(供与額計7億円)に関する書簡の交換が行われました。

  1. 対象案件の概要はそれぞれ以下のとおりです。
  • (1)保健・医療体制の強化のための支援(経済社会開発計画)(供与額:4億円)
     ミクロネシアは4つの州(コスラエ州、ポンペイ州、チューク州及びヤップ州)で構成される連邦国家ですが、その医療体制は脆弱で、各州の州立病院でさえも十分な機材が整備されておらず限られた機材、人員で対応しています。また、国土が広い海域に分散しているため、地方や離島に住む人は医療へのアクセスが難しいという課題を抱えています。この協力では、地方や離島への巡回診療に活用可能な医療コンテナや医療回診車等の保健・医療関連機材を供与することにより、同国の保健・医療体制の強化を図り、もって社会の安定化を通じた同国の経済社会開発に寄与することが期待されます。
  • (2)電力供給安定化のための支援(経済社会開発計画)(供与額:3億円)
     ミクロネシアは、海外市場から遠く離れた広大な海域に、国土が散在しており、その特有の狭小性、隔絶性、遠隔性から国際的な原油価格変動の影響を受けやすい上に輸送コストも上乗せされ、恒常的に燃料価格が高価となっています。ミクロネシア政府は再生可能エネルギーの導入を進めているものの、現状では電力供給のほとんどをディーゼル発電に依存しており、エネルギー安全保障上の脆弱性を抱えています。この協力では、ミクロネシア政府に対し、発電用の燃油の供与を通じ、同国の電力の供給の安定化を図り、もって社会の安定化を通じた同国の経済社会開発に寄与することが期待されます。
  1. 我が国は、本年7月2日にテレビ会議方式により開催した第9回太平洋・島サミットにおいて、「新型コロナへの対応と回復」、「持続可能で強靱な経済発展の基盤強化」を支援の柱として表明しており、上記2つの協力は同表明を具現化するものです。

 ミクロネシア連邦は、面積700平方キロメートル(奄美大島とほぼ同じ)、人口約11万4,000人(2019年、世界銀行)、一人当たりの国民総所得(GNI)は4,010米ドル(2019年、世界銀行)。

 7月2日、テレビ会議方式により、菅総理大臣とナタノ・ツバル首相の共同議長の下、第9回太平洋・島サミット(The Ninth Pacific Islands Leaders Meeting: PALM9)が開催され、日本、島嶼14か国(ツバル、クック諸島、フィジー、キリバス、マーシャル、ミクロネシア、ナウル、ニウエ、パラオ、パプアニューギニア、サモア、ソロモン、トンガ、バヌアツ)、豪州、ニュージーランドに加え、ニューカレドニア及び仏領ポリネシアの2地域を含む19か国・地域の首脳等が参加した。ミクロネシアからはデイビッド・W・パニュエロ・ミクロネシア連邦大統領が参加した。
 我が国は、PALM9において、「太平洋のキズナ政策」の下、(1)新型コロナへの対応と回復、(2)法の支配に基づく持続可能な海洋、(3)気候変動・防災、(4)持続可能で強靱な経済発展の基盤強化、(5)人的交流・人材育成の5つを重点分野とし、今後3年間に、しっかりとした開発協力の継続と5,500人以上の人材交流・人材育成を実施することを表明した。