令和3年4月26日

 4月26日(現地時間同日)、ネパールの首都カトマンズにおいて、我が方、菊田豊駐ネパール日本国特命全権大使と先方シシル・クマル・ドゥンガナ・ネパール財務省次官(Mr. Sishir Kumar Dhungana, Secretary, Ministry of Finance)との間で、無償資金協力「公立高次病院医療機材整備計画」(供与額9.96億円)に関する書簡の交換が行われました。

  1. 後発開発途上国(LDC)であるネパールでは、心血管疾患や慢性呼吸器疾患、癌、糖尿病などの非感染性疾患が深刻ですが、保健医療体制は極めて脆弱です。特に、貧困層も比較的低価格で利用できる公立高次病院では、専門的な診断・治療に必要な医療機材が不足・老朽化しています。加えて、新型コロナウイルス感染症の流行が深刻な状況にある中、新型コロナウイルスは非感染性疾患の基礎疾患患者で重症化リスクが高いことが指摘されています。このような背景から、公立高次病院における非感染性疾患に関する診断・治療サービスの充実は、これまで以上に重要かつ喫緊の課題となっています。
  2. この計画はネパール国内に所在する8つの公立高次病院に対し、医療機材を整備することにより、主に非感染症疾患患者の診断・治療体制の強化を通じた保健医療サービスの質の向上を図り、もって同国の貧困削減及び生活の質の向上に寄与するものです。この協力により、整備対象病院におけるMRIの年間検査回数が0回(2019年実績)から700回(事業完成3年後、2025年)に増加するなど、癌をはじめとする非感染症疾患の診断・治療体制が強化される予定です。

 ネパールは、面積14.7万平方キロメートル(北海道の約1.8倍)、人口約2,860万人(2019年、世界銀行)、1人当たり国民総所得(GNI)は1,090ドル(2019年、世界銀行)。