(令和3年4月23日(金曜日)15時40分 於:本省会見室)

冒頭発言

「ビジネスと人権」に関する取組

【茂木外務大臣】私(大臣)の方から1件、「ビジネスと人権」に関する外務省の取組を若干ご紹介したいと思います。国際的に、企業に人権尊重を求める声、これが高まる中で、昨年の10月、外務省が中心となって政府は「ビジネスと人権」に関する行動計画を策定しております。
 この行動計画では、企業に対して、人権デュー・ディリジェンスの導入促進、すなわち、企業が強制労働や児童労働、差別といった人権侵害のリスクを特定して、予防策や対応策をとることの重要性を指摘をいたしております。
 企業における人権デュー・ディリジェンスの導入促進には、まずは、企業活動における人権の保護・促進の考え方の普及であったり、啓発活動を行うことが重要であると考えております。
 その一環としまして、先月、3月の末に外務省ホームページ上に「ビジネスと人権」に関するポータルサイトを立ち上げまして、これまでドキュメントを載せてきたのですが、本日、行動計画などを紹介する動画、これを公開いたしました。よろしければ、後でご覧いただければと思っております。予算も限られておりまして、動画といいましても、凄いNetflixみたいな状態にはなっておりませんけれど。
 今後、ホームページ上では、国連であったりとか、ILO、OECDのリンクを含め、企業や業界団体、市民社会の皆さんの参考にしていただく情報を公開していきたいと思います。幅広く活用いただきたいと、こんなふうに思っております。私(大臣)からは以上です。

ミャンマー情勢(ASEANリーダーズ・ミーティング)

【NHK 山本記者】ミャンマー情勢について伺います。ASEANの首脳級の会議が、明日、インドネシアで開催されまして、ミャンマー軍のトップの司令官も出席する方向だと報じられています。この会議でどのような議論を期待されますでしょうか。

【茂木外務大臣】昨日もインドネシア・ルトノ外相とも電話したところでありますが、明日、インドネシアにおいて、ASEANリーダーズ・ミーティングが開催されます。そして、フライン司令官も出席する方向で調整が行われていると、このように承知をいたしております。ASEANは、ミャンマー情勢において極めて重要な役割を担っていると考えておりまして、日本はASEANリーダーズ・ミーティングの開催を含みますASEANの取組を強く支持しております。
 今週前半には、フィリピンの外務大臣、恐らくロクシン大臣がジャカルタの方に行くのではないかなと思いますが、更にルトノ大臣と、昨日、電話会談を行いまして、何にしてもまず、ミャンマー国民の流血が続く事態、これを直ちに止めるべき、この点で一致をしまして、暴力の即時停止、拘束された関係者の解放、民主的な政治体制の早期回復に向けて、連携していくことを確認いたしました。
 この、暴力を止める、そして同時に、ミャンマーの国内において、やはり対話が進むということが事態の打開にも繋がっていくと、そして最終的には、どういう姿を描いていくかと、そういうことについて前向きな議論が行わればと思っておりまして、明日のリーダーズ・ミーティングでの議論、これが事態の打開に繋がることを期待したいと思っておりますし、このリーダーズ・ミーティングの結果については、しっかりと確認した上で、また来週以降も、ASEANであったりとか、欧米諸国とも連携して対応していきたいと思っています。

【産経新聞 石鍋記者】関連してお伺いいたします。この首脳会議に、フライン司令官を招くことで、ミャンマーの軍政の正当性を認めることになるのではないかという懸念もあると思うんですけど、この点、大臣はどう見ていますでしょうか。

【茂木外務大臣】それについては、恐らくASEANのどの国も、そういう認識はしていないと思っております。この、事態を打開していくという意味では、軍警察の取組というのは実態問題として重要だと、このことについては事実なのだと思います。
 一方で、それと、クーデターであったりとか現状、これを肯定するというのは全く別の問題だと、そういうふうに頭の整理がそれぞれできていると思っています。

【テレビ東京 加藤記者】ミャンマー情勢に関してですけれども、先ほどからリーダーズ・ミーティングという言葉を使っていますが、先日の日・フィリピンとの外相会談の時点では、ASEANの首脳会議という言葉を使っていたと思います。今回、政府としては、今回の会議をリーダーズ・ミーティングという呼称で呼ぶという方針だということでしょうか。

【茂木外務大臣】ASEANがそういうふうに呼んでいるということです。ASEANが開催する会合でありますから。

COVAXワクチン・サミット

【トリビューン・ニュース スシロ記者】ワクチンのサミットの件ですけれども、ものすごく素晴らしいと思いますので、ASEANの国たちは、私も含めて賛成だと思います。現状の調整状況はいかがでしょうか。例えば反対の国はいるかどうかちょっと聞きたいです。なぜかと言えば、他の国は、politicization of vaccineということで、日本と仲良くするためにワクチンを差し上げますと考えている国があると思いますが、いかがでしょうか。

【茂木外務大臣】6月のワクチン・サミット、Gaviと共催する、そのことの質問ということでよろしいですか。

【トリビューン・ニュース スシロ記者】はい。

【茂木外務大臣】私(大臣)、少し前から申し上げているように、この新型コロナが全体的に収束に向かっても、世界のどこか、特に医療体制が脆弱な途上国等にウイルスが残っていますと、再拡大の可能性、危険性というのは残るわけであります。そのために各国も国内対策を進めておりますが、同時に世界全体で、ワクチンへの公平なアクセスの確保、普及を加速することは極めて重要であると考えております。
 こういった考え方に基づきまして、これまでも我が国として、COVAXファシリティの設立当初から制度設計の議論に積極的に貢献をすると、そして資金面でも、途上国向けの枠組みへの拠出を増額して、既に2億ドルを拠出しております。日本自身がサミットも共催する、こういう立場にあるわけでありますから、財政当局とも詰めた上で、引き続きできる限りの貢献をしていきたいと思っております。
 COVAXファシリティが必要とする資金目標を達成するということが、結果的にはより多くのワクチンを途上国に届けていく、こういったことに繋がるわけでありまして、引き続き、米国を始め各国に資金ギャップへの貢献を呼びかけつつ、国際社会と連携して、サミットの成功に向け、準備を進めていきたいと思っています。

元慰安婦等による日本政府に対する損害賠償請求訴訟

【朝日新聞 菅原記者】21日に韓国でありました、元慰安婦訴訟の判決の影響についてお伺いします。先日の日米共同声明で、日米韓の3か国協力についても言及がありましたが、今回の判決を受けて、その協力への影響と、また協力をどのように進めていくおつもりか、改めて大臣のご所見を伺えますでしょうか。

【茂木外務大臣】すいません、質問の趣旨がよく分かりません、私には。

【朝日新聞 菅原記者】判決が21日に出ましたけれども。

【茂木外務大臣】それは分かります。それから、日米首脳会談での日米韓の連携性、連携を図っていくと、こういう重要性について表明していると、このことも分かります。その上で、質問されている意味が分からないと言ったんです。

【朝日新聞 菅原記者】それらの両者の関係、日米韓での協力の必要性というものに、今回の判決が影響あるかどうかっていう意味です。

【茂木外務大臣】どういう意味ですか。ちょっと待って。私の思考を超えています。もし解説してくれれば、「これこれこういうことで影響が出そうなんだけれど、それについてどう思いますか」とか、どう関連しているか、私(大臣)は分からないので、どういう関連性があるのか説明していただいたら、お答えのしようがあると思います。

【朝日新聞 菅原記者】分かりました。また検討します。

気候サミット(日本の新目標に対する評価)

【NHK 山本記者】気候変動の問題ですけれども、菅総理、昨日、2030年に向けた温室効果ガスの削減目標をですね、2013年度と比べて46%の削減を目指すと、新たな目標を表明されましたけど、この46という数字ですけれども、大臣、経産大臣を務められてこの分野に詳しいと思いますけれども、実現可能性を含めてですね、46という数字をどのように評価されますか。

【茂木外務大臣】昨日、菅総理、気候サミットにおきまして、我が国が目指しております2050年カーボン・ニュートラル、これと整合的でさらに野心的な目標として、2030年度に温室効果ガスを、2013年度から、日本の場合の計算は2013年、米国は2005年、そしてEU、英国は90年比と、こういったことになると思いますが、日本は2013年度から46%削減することを目指すと、こういったことを発表したわけであります。
 これまでの26%と比べると7割引き上げるものでありまして、さらに50%の高みに向けて挑戦を続けること、今後、その目標の達成に向けた施策を具体化すべく、検討を加速することを表明いたしました。
 数字についてはこの後、申し上げますが、この日本の表明・決意に対して、主催国の米国、更には昨日も出席をし、冒頭発言をしていましたグテーレス国連事務総長を始め、各国からの歓迎の意が表されておりまして、日本が米国等と連携しつつ、気候変動分野においても国際社会をリードしていく姿勢が評価されたと、このように認識をしております。
 基準年が違いますので、数字そのまま比べるというのは、そのままの数字ということではありませんけれど、2013年比でいいますと、ほぼほぼだいたいEUであったりとか、米国の数字と大体同じような野心的な目標になっていると、このように思っているところであります。
 そこの中で、いわゆるエネルギー起源といいますか、これに関連する分野というのが大半の部分を占める、それ以外の部分で上積みをすると、こういう計算の中で、細かい数字は発表しているのかどうか分かりませんけれど、基本的に、きちんとこれまでエネ起で作ってきた部分、これをまたどこかの段階で当然、今回の目標、これを踏まえて改定をすることになると思いますが、このエネ起でやる部分と、それ以外に農業分野であったりとか、違う分野での取組であったりとか、排出枠の問題、こういったことでカバーする部分、合わせますと野心的ではありますけれど、きちんと積み上げた数字と、こういうものになってくると思っております。

新型コロナウイルス(水際措置)

【トリビューン・ニュース スシロ記者】20日に新しい条例(ママ)、外務省のホームページに発見しました。昨日、更新した新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の強化に係る措置について、上陸拒否の国は150、アジアだけではなく国際的に150の国ですけれども、インドネシアも含めて。でもその中にベトナムは入っていません。ベトナムの状況は、2021年、今年の1月30日のときは110人の感染者がありました。なぜベトナムは入ってないかなと思いまして、よろしくお願いします。

【茂木外務大臣】水際措置につきましては、各国での感染状況、全体の数もありますし、人口あたりの感染者の比率であったりとか、その他、様々な感染に関する情報というのもあるわけでありまして、そういったことを総合的に勘案して、決してどこかの国に下駄を履かせるとか、そういうことではなくて、全体の基準の中で総合的に判断いたしております。