厚労省・新着情報

日時

令和3年3月19日(金) 15:00 ~ 17:00
 

場所

オンライン会場
厚生労働省職業安定局第1会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2中央合同庁舎第5号館12階)

出席者

  • 天瀬 光二
  • 池田 三知子
  • 九門 大士
  • 是川 夕
  • 酒井 正
  • 佐久間 一浩
  • 杉崎 友則
  • 冨高 裕子
  • 友原 章典 
  • 山川 隆一(座長)

議題

  1. (1)検討会の開催について
  2. (2)新型コロナウイルス感染症禍における外国人雇用の状況について
  3. (3)今後の検討会の進め方について
  4. (4)その他

 
 

議事

議事内容
○外国人雇用対策課長 ただいまから、第1回外国人雇用対策の在り方に関する検討会を開催いたします。皆様方には、本日、お忙しいところ御参集いただき、ありがとうございます。座長が選出されるまでの間、事務局で司会を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
本日は、職業安定局長の田中が出席しておりますので、議事に先立ち、一言、御挨拶を申し上げます。
○職業安定局長 職業安定局長の田中でございます。構成員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、外国人雇用対策の在り方に関する検討会に御参集いただきまして、誠にありがとうございます。私からは、本検討会で御議論をお願いする趣旨を簡単に述べさせていただいて、御挨拶とさせていただきたいと思います。
昨年来、当職業安定局では、新型コロナウイルス感染症によります経済や雇用への影響に対応するために、雇用調整助成金を始めとする様々な対策を講じてまいりました。外国人雇用につきましても、ハローワークにおいて事業主の皆様や離職した外国人の方への相談支援を中心に、迅速に対策を講じてまいりました。特に、困窮しておられる外国人の方への対策が政府全体の喫緊の課題となっております。感染症が雇用情勢に与える影響を注視しながら、行政の垣根を越えた機動的な対応が求められるなど、前例のない対策が必要になっています。
さて、外国人雇用対策の歴史を少し振り返ってみますと、我が国では平成元年に入管法を改正しまして、南米から日系人を受け入れて以来30年が経過をいたしました。この間、リーマンショックなど景気後退期を経験しまして、ハローワークにおいて様々な支援体制を構築してまいりました。
現在では、日系人だけでなく、専門的・技術的分野の労働者や、アルバイトを行なう留学生、技能実習生といった多様な在留資格を持つ170万人もの外国人の方々が、様々な産業で活躍されています。こうした外国人労働者の増加を背景に、外国人と日本人との共生が掲げられるようになった中で、今後、労働分野では、ともに足下の危機を乗り越え、ともに働きやすい職場を作っていくためにはどうしたらよいか、そして、それによってどのように我が国の労働市場を活性化し、経済を成長させていくかという観点から、検討をしていかなければならないと考えています。
このため、外国人失業者への就職支援にとどまらず、外国人労働者の職場・地域における定着や留学生の国内就職支援といった課題など、外国人雇用対策全般の在り方を幅広く検討する場として、本検討会の参集をお願いしたところでございます。
本検討会では、データの分析、国内実態のヒアリング、諸外国の事例などによりまして、現在、外国人の方がおかれている状況を正確に把握し、その改善策を見出していきたいと考えています。構成員の皆様からは、限られた時間ではございますが、是非、忌憚のない御意見を頂けますと幸いでございます。
簡単ではございますが、以上、趣旨を述べさせていただきまして、私からの御挨拶とさせていただきます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
○外国人雇用対策課長 続きまして、議事運営の進め方について説明いたします。本日の検討会は、こちらの厚生労働省の会場と、オンラインで参集されている方とつないで開催いたします。このため、皆様からの御発言についてお願いがあります。
オンラインの方は、事前にお送りしております「会議の開催、参加方法について」を御覧ください。座長が選出されるまでの間は司会である事務局が、また座長が選出された後は座長が、御発言を希望する方を募ります。会場の方は挙手を、またオンラインの方は「手を挙げる」機能を使用してください。御発言される方を指名させていただきますので、指名された後に発言を開始してください。
御発言の際は、まず、お名前をおっしゃっていただき、可能な限りゆっくり、分かりやすく御発言をお願いいたします。また、発言後は、必ずマイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。オンライン出席の方で操作などの御質問がある場合は、事務局までお問合せください。
また、本検討会はペーパーレスの開催でして、会場においてはタブレットを使用して行います。こちらのタブレットについても、使用方法について御質問ある場合は事務局までお問合せください。円滑な会議の運営に御協力お願いいたします。
続いて、資料の確認をさせていただきます。本日の資料ですが、資料1、資料2-1から資料2-5、資料3、資料4、それから参考資料が1つあります。これらの資料に不備がありましたら、事務局にお申し付けください。
続きまして、本日は第1回の開催ですので、各参集者の方々と事務局を御紹介させていただきます。名簿の順に従って構成員の方々の御紹介をさせていただきます。資料1の別紙2を御覧ください。50音順に御紹介いたします。
独立行政法人労働政策研究・研修機講副所長の天瀬光二様、日本経済団体連合会労働政策本部長の池田三知子様、亜細亜大学アジア研究所教授の九門大士様、国立社会保障・人口問題研究所国際関係部部長の是川夕様、法政大学経済学部経済学科教授の酒井正様、全国中小企業団体中央会事務局次長・労働政策部長の佐久間一浩様、日本商工会議所産業政策第二部担当部長の杉崎友則様、日本労働組合総連合会労働法制局長の冨高裕子様、青山学院大学国際政治経済学部教授の友原章典様、東京大学大学院法学政治学研究科教授の山川隆一様、以上10名の方にお集まりいただいております。
続きまして、事務局を紹介します。職業安定局長の田中でございます。
○職業安定局長 よろしくお願いいたします。
○外国人雇用対策課長 大臣官房審議官、職業安定担当の志村でございます。
○大臣官房審議官(職業安定担当) 志村です。よろしくお願いします。
○外国人雇用対策課長 経済連携協定受入対策室長の安井でございます。
○経済連携受入対策室長 安井でございます。よろしくお願いいたします。
○外国人雇用対策課長 外国人雇用対策課の課長補佐の渡邊でございます。
○外国人雇用対策課長補佐 渡邊でございます。よろしくお願いいたします。
○外国人雇用対策課長 最後に、私、外国人雇用対策課長の石津でございます。よろしくお願いいたします。
また、本日はオブザーバーとして、出入国在留管理庁政策課に参加いただいております。ありがとうございます。
それでは議事に入ります。頭撮りはここまでとなっておりますので、プレスの方のうち、カメラ取材の方につきましては、恐縮ながら、ここにて御退出いただくようお願い申し上げます。
議題1「検討会の開催について」、事務局より御説明させていただきます。
○外国人雇用対策課長補佐 事務局でございます。資料1の開催要綱について御説明いたします。
1.「趣旨」です。近年、我が国における外国人労働者の数は急激に増加しており、国内では様々な分野で多様な技能を有する外国人労働者の方に御活躍いただいております。こうした中で、政府といたしましても、我が国で共に働き共に生きる存在として、外国人を受け入れるための環境整備が進められているところです。
一方で、足下に目を向けますと、新型コロナウイルス感染症の影響により、外国人労働者にも影響が確認されているところです。このように、複雑化する社会済情勢の中にあっては、学識経験者の方や労使の代表による意見を聞きながら、雇用情勢の変化に応じた適時・的確かつ柔軟な外国人雇用対策を実施していくことが求められているところです。
こうしたことから、外国人雇用の在り方とその対応策について、具体的な方向性を議論することを目的として、本検討会を開催するものです。
2.「検討事項」は別紙1を御覧ください。5つありますが、(1)新型コロナウイルス感染症禍における外国人雇用の状況について、(2)新型コロナウイルス感染症等の影響を受け困窮する外国人失業者等に対するハローワークの対応、(3)外国人労働者の職場・地域における定着、(4)留学生の国内就職支援について、(5)その他の事項、以上が検討事項です。
3.「構成員」については、別紙2を御覧ください。先ほど御紹介していただきましたので割愛させていただきます。
4.「その他」の事項です。(1)本検討会は、厚生労働省職業安定局長が構成員の参集を求めて開催するものです。(2)本検討会には、座長を置き、構成員の互選により選出をします。(3)本検討会には、座長代理を置くことができます。座長代理は、構成員から座長が指名をいたします。(4)本検討会は、必要に応じて構成員以外の有識者等の出席を求めることができます。(5)本検討会の会議、資料及び議事録は、原則として公開といたします。(6)本検討会の庶務は、厚生労働省職業安定局外国人雇用対策課において行います。資料の説明は以上です。
○外国人雇用対策課長 続きまして、この開催要綱に従いまして、座長の選任に入らせていただきたいと思います。ただいま説明のありました開催要綱の4.(2)により、この検討会の座長は参集者の皆様方の互選により選出をすることとしております。どなたか御推薦はありますでしょうか。御発言の際、オンラインの方はサービス内の「手を挙げる」ボタンをクリックしてください。酒井委員、お願いします。
○酒井構成員 法政大学の酒井です。この分野の検討会においては、山川先生が適任と思われますので、私から山川先生を座長に推薦させていただきたく存じます。よろしくお願いします。
○外国人雇用対策課長 ありがとうございます。ただいま、酒井先生から山川隆一先生を座長にという御意見を頂きましたが、皆様、いかがでしょうか。
(異議なし)
○外国人雇用対策課長 御異議ないようですので、本検討会の座長は山川先生にお願いしたく存じます。山川座長、これからの議事進行をお願いいたします。
○山川座長 御指名いただきました山川でございます。オンラインでも開催するということも含めまして、不慣れな面もございますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
最初に、開催要綱に従いまして、座長代理を指名させていただきたいと思います。開催要綱では、座長代理は座長が指名することになっております。そこで、酒井正委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、本日は議論のキックオフということですので、最初に事務局から、コロナ禍における外国人雇用の現状について御説明いただいた後、今後の本検討会の進め方等について議論をしたいと思います。
それでは議題2「新型コロナウイルス感染症禍における外国人雇用の状況について」、事務局から説明をお願いいたします。
○外国人雇用対策課長 事務局です。資料2-1から2-5まで、また資料3について、外国人雇用対策課の石津から説明申し上げます。ただいま数え直してみますと、スライドが80枚を優に超えておりまして、大変申し訳ございませんが、駆け足でポイントのみ説明をさせていただきます。どうか御容赦ください。
まず資料2-1から2-5までは、外国人労働者の現状に関する資料です。冒頭、どこにも記載はありませんが、これから説明申し上げることの大枠を説明させていただきます。資料2-1から2-5までのスライドにつきましては、大きく3つの資料出所があります。1番目は外国人雇用状況届、2番目は、私どもが出先のハローワークを通じて集めている求人・求職、就職に関するデータ、3番目が統計調査である賃金構造基本統計調査です。主としてこの3つのソースにより、外国人労働者の置かれている現状について説明を申し上げます。
資料2-1まず、我が国において就労している外国人労働者の人数、そしてその内訳を、在留資格別、産業別、国籍別等で見ていきます。昨年10月末時点における我が国で働いている外国人労働者の総数は、172.4万人、約172です。在留資格を大括りにして、それぞれどのぐらいの人数がいるかを見たものがこのスライドです。これを外国人雇用状況届出制度の創設以降の年次の推移を見たものがこれです。総数は過去最高ですが、対前年の伸び率は非常に落ちているという状況です。在留資格別の外国人労働者の対前年増加率を見たものがこれです。在留資格別に見ても対前年増加率が低下しております。
次に、172万人を産業別に分解してみたものがこれです。製造業が一番多く、外国人労働者全体の28.0%を占めています。産業別に外国人労働者の数の対前年増加率を見てみますとこのようになっています。「宿泊業、飲食サービス業」は-1.8%で実数として減少しています。
国籍別に見たのがこのスライドです。2019年から2020年の変化で1つ特徴がありまして、ベトナム人が最も多くなっております。このスライドは国籍と在留資格をクロスしたものです。詳細は申し上げませんが、国によって在留資格ごとにばらつきがあるということです。先ほど既に積上げの棒グラフで、産業別の外国人労働者数を御覧いただきましたが、先ほどは5業種、これは9業種で見たものです。製造業が一番多いことは既に申し上げましたが、次にサービス業(他に分類されないもの)、そして卸売・小売、宿泊・飲食サービスが多くなっています。
次は外国人労働者数ではなく、外国人の雇用事業所数の推移です。外国人を雇用する事業所数は、昨年10月末時点で過去最高の26万7,000事業所です。2014年以降は、毎年約2万事業所ベースで増加しており、特に小規模の事業所において外国人の雇用が進んでいるということです。
もう一度、外国人労働者の数に戻ります。今回、月次の外国人労働者の数を推計してみました。一昨年の10月が165.9万人、約166万人でして、その直後の月はそれまでと同様のペースで外国人労働者数は毎月増加しておりました。昨年の3月以降、国際的な人の往来について制限が始まりまして、その後、外国人労働者の推移にも変化が生じているということです。
なお、念のため参考資料として、労働行政ではなく、入管法に基づく様々な在留資格についてどういうものがあるかをまとめた資料を付けておきました。
また、ここから後の3枚のスライドにつきましては、雇用調整助成金、あるいは緊急雇用安定助成金について、どういった産業でこの雇用を維持するための助成金が使われたかということを集計したものです。宿泊・飲食サービスや生活関連サービスといったものについて積極的に活用されているというのが、この資料の内容です。
最後に、私どものデータだけではなくて、外国人労働者等に関連する報道について、簡単にまとめておきました。昨年の7月の日経新聞で、「外国人留学生、コロナ禍でバイト収入激減」、あるいは10月にはインバウンドの激減といった記事がありましたので、紹介差し上げました。また、日経新聞で10月16日に「コンビニ人手不足、コロナで一段落」といった記事もありました。外国人労働者の現状に関して、関連する報道と思いましたので、ここで紹介させていただきます。
資料2-2です。外国人雇用状況届です。これは外国人労働者が入職した場合、また離職した場合、その事業所の事業主の方からハローワークに届出を出していただいているものです。ですので、外国人労働者の総数はもちろん分かるのですが、月次に対前月でどれだけ人が増えたか減ったかというのが分かります。先ほど御覧いただいたとおりです。さらに毎月について、どの在留資格がどれだけ増えたか、どれだけ減ったかというものも取れます。一つひとつの在留資格について、毎月どのような変化をしたかということは、ここに記載しておりますので、詳細な説明は口頭では省かせていただきますが、在留資格ごとに月次で違う方向に推移しているということがみてとれます。
外国人雇用状況届を届け出ていただくときに、事業主の方に、自らの事業所が派遣・請負事業を行っている事業所であるかどうかを届け出ていただいております。全事業所についての数字がこれですが、派遣・請負事業を行っている事業所について抜き出してみた場合に、このように外国人労働者の対前月の増減、また在留資格別に各月どれだけ増えたか減ったかということが見てとれるものです。
以上2枚の中から、在留資格別に、身分に基づく在留資格、専門的・技術的分野の在留資格、また技能実習と資格外活動、この4つの大括りの在留資格に分け、昨年1月から12月までの各月、外国人労働者がどれだけ増えたか減ったかをグラフにしたものがこのページと次のページです。在留資格ごとに各月について、増減、また派遣・請負事業所はどうであったかといったことで特徴がございます。
ここからが、私が冒頭申し上げました資料の2つ目、私どもの出先であるハローワークの窓口の業務を通じて収集したデータです。まず最初に、求人に関するデータを御覧ください。ハローワークにおいて、当然、求人を事業主の方から頂いておりますが、その求人の中に外国人向けの求人というのがあります。このスライドでお示ししているのは、外国人向けの頂きました新規求人です。昨年3月までは対前年同月比で1倍程度でしたが、各月を見ますと、4月から急落していまして、前年同月比で約3割減のところで推移しています。昨年の秋頃、11月以降になりますと、対前年比で15%減のところで推移しております。依然として厳しい状況です。また、この外国人向けの求人について、緑と赤で色分けしておりますが、赤が専門的・技術的分野計、緑はそれ以外でございまして、緑(永住者、日本人配偶者等、定住者等)を念頭においた求人が多くを占めています。これは新規求人ではなくて、有効求人で見たものです。有効求人で見ますので、この対前年同月比の青いグラフはなだらかになりますが、これで見ますと、5月のところで前年同月比3割減程度、その後は横ばいでしたが、徐々に持ち直しているというところです。ただ、直近でも前年同月で比較して、-15%減程度の水準です。
この外国人向けの有効求人数を、職業別に分解してみたものがこれです。専門的・技術的分野の外国人向けの有効求人を、職業別に分類して見たものがこれです。それから、専門的・技術的分野以外の方向けの有効求人を職業別に分類して見たのがこれです。そしてこれは外国人向けではありませんが、事業主の方からハローワークにお出しいただいた求人の中には、この仕事には外国語が必要である、あるいは日本語を話せなくても応募可であるということを明記いただいている求人もあります。ここでは外国語使用求人と申し上げさせていただきますが、外国語使用有効求人は、前年同月比でみまして、6割減のところまで一旦減少しましたが、徐々に持ち直してきております。ただ、今年の1月時点でも、前年同月比で5割程度のところですので、まだまだ厳しい状況です。
外国語使用有効求人を職業別に分類したものがこれです。サービス、販売関連の外国語使用有効求人が減少しており、やはりインバウンドにかかわる職業に係る求人の減少が大きいと考えられます。以上、資料2-2です。
資料2-3です。これも引き続きハローワークの窓口で収集しているデータです。先ほどは求人でしたが、今度は求職者数の推移です。ハローワークにおける外国人の新規求職者数を月次で見たものです。月次の実数がこの積上げの棒グラフで、対前年同月比が折れ線グラフです。端的に申し上げれば、赤の折れ線が日本人の新規求職者数の対前年同月比の推移です。外国人について見ますと、昨年1月から、その前の年に比べて新規求職者数が前年より1割、2割高いところで推移していましたが、6月に急激に新規求職者数は上昇して、前年同月の1.9倍近くとなりました。その後年末に向かって1.06倍まで低下しておりますが、直近の今年の1月で1.25倍となっており、依然として注視が必要と考えております。また、求職者について在留資格別に色分けを大括りでしておりますが、身分に基づく在留資格の方の新規求職が多いということです。
これは新規求職ではなく、有効求職で見たものです。有効求職でみますと、ピークは8月で、その後徐々に減少して、直近では前年同月比1.5倍程度の外国人有効求職者がいらっしゃるということです。
ハローワークの窓口で、新規の求職者のうち、非自発的な離職をした方、事業主都合で離職をした方の割合を分析しました。赤が一般(外国人を除く)、端的に申し上げますと日本人で、それに対して青が外国人です。外国人の非自発的離職の割合については、昨年4月以降増加し、7月には68.6%まで達した後、徐々に低下しており、直近で48.9%というところになっております。この外国人について、事業主都合の非自発的離職の割合を御覧いただきましたが、外国人を在留資格別に更に分解してみたのがこれです。身分に基づく在留資格、具体的には永住、日本人の配偶者等、定住者等につきましては、この上の3本の青、赤、紫のグラフはトレンドがよく似ております。ただ、在留資格によって非自発的離職の割合には差がありまして、水色の定住者の所は少し上に抜けて高い、技術・人文知識・国際業務、これは専門的技能を有している外国人労働者ということですが、技・人・国と略称いたしますが、この技・人・国の外国人の非自発的離職の割合は、このような推移をしており、独特な動きをしております。
外国人労働者の数ですが、これは外国人雇用状況届のデータと、ハローワークの窓口で収集しているデータの2つを組み合わせたものです。まず外国人雇用状況届によりまして、各月の外国人労働者の人数が分かります。自営業は含めません。また毎月ハローワークにおける有効求職者数も分かります。この比率を各月について取ってみて、グラフにしたものです。青は身分に基づく在留資格ですが、前年同月と比較して、昨年1月から4月まで緩やかに上昇し、その後このように上昇し、また低下していると。専門的・技術的分野については、赤のグラフのとおりです。以上、資料2-3です。
資料2-4にまいります。ここで再び第1の資料で申し上げましたが、外国人雇用状況届の分析に戻らせていただきます。外国人雇用状況届、入職・離職を届け出ていただいておりますので、昨年の1月から12月について、毎月の入職・離職の差である入職超過数をそれぞれグラフにしてみました。赤は前年同月の入職者数・離職者数・入職超過数です。このように御覧いただきますと、一昨年と昨年の間の入職の差というのが、この時期にあり、昨年12月ぐらいになりますと、入職の数が一昨年と似た水準に来ている。また離職についても、一昨年がこれで、昨年が棒グラフで、このように差が生じていたというところが見てとれます。昨年の1月から12月までの各月の入職・離職・入職超過について、産業別に内容を分析したものがこれです。業ごとの特徴については、ここにまとめているとおりです。これが入職、これが離職です。このページが入職超過についての産業別の分析です。
そしてここからは、外国人雇用状況届のデータを使いまして、外国人労働者の人数に対する離職者の割合を分析してみました。外国人雇用状況届において、半期、6か月ごとに、外国人労働者のうちどれだけの人が離職したか、その割合を分析してみました。産業別に分析したものがこちら、在留資格別に分析したものがこちらです。産業別にみてみますと、労働者に対する離職者の人数の割合は、サービス業(他に分類されないもの)というのが非常に高い。そのほかのものはこの辺りです。ただ、半期ごとに見てみますと、だんだん離職者の割合は減っています。在留資格別に見ると、赤が専門技術分野、緑色が身分に基づく在留資格、紫がその他で、このその他(資格外活動・特定活動)というのが一番高いのですが、これも離職の割合が減っており、かなり近いところにきております。
離職者の割合について、月次の推移を見たものがこれです。青が昨年の1月から12月まで、月次での産業全体での離職者の割合です。比較のために赤の点線は前年同月です。
こちらは離職者の割合について、月次でかつ産業別に分類をしたものです。外国人労働者に占める離職者の割合の推移、産業別に見ますと、サービス業(他に分類されないもの)が他の産業に比べて高いところを推移していまして、特に昨年4月には6.2%まで上昇しており、その後減少しているという状況です。
次にこの外国人労働者の数に占める離職者の割合を在留資格別に見たものですが、在留資格別、かつ、月次で見たものです。緑色が専門的・技術的分野の外国人の離職者の割合の推移、紫色が身分に基づく在留資格の外国人の離職者数の離職割合の推移、青がその他(資格外活動・特定活動等)の外国人全体の数に占める離職者の割合です。資格外活動・特定活動で在留資格を持って働いている方の離職者の割合が高い傾向にあるということが見てとれます。
この中で紫色、身分に基づく在留資格の方を、更に細かく分解したのがこのグラフです。定住者の方の離職者の割合が高い、その下に永住者配偶者、永住者、日本人配偶者といったところが続く、定住者の方だけ少し水準が高いということです。
次ですが、外国人雇用状況届のデータとハローワークの窓口のデータを組み合わせたものです。外国人雇用状況届により、月々の離職者の数が分かります。また、私どもの出先のハローワークを通じて月々の新規求職者数を把握しています。これをそれぞれ分母、分子としますと、各月について離職者のうちどれだけの方がハローワークを利用しているかという割合を作ることができます。在留資格によってかなり違いがあるということが見てとれます。まず外国人労働者全体で見ても、離職者に占めるハローワークを利用して新規求職している方の割合は、一昨年より昨年のほうが同じ月でみると割合が高くなった。
さらに昨年の数字について、在留資格別に分解してみたのがこちらの右側のグラフです。専門的技術的分野の方というのは、このような青の実線で推移しています。これはその前年の同月です。身分に基づく在留資格の外国人の方について、月次でハローワークをどのぐらい利用しているかというのがこのグラフです。比較のためにこれが前年同月です。特定活動や資格外活動の方についてハローワークを利用する割合がこれで、これが前年同月です。申し上げたいのは、在留資格ごとにハローワークの利用率が違うということ、また昨年の1月から12月まで見まして、コロナ禍の下で、全ての在留資格において、ハローワークを利用している方の割合が高くなっていたということです。
同じものですが、外国人離職者に占めるハローワーク新規求職者の割合について、身分に基づく在留資格の方を、更に永住者・日本人配偶者・定住者に、また専門的技術的分野の方のうち、技術・人文知識、国際業務の方を取り出し、更に細かく在留資格別にハローワークを利用している方の割合をグラフにしたのがこれです。
もう一度、ハローワークの窓口のデータに戻ります。各月について、ハローワークで新規に求職者登録をした方がいらっしゃいます。また各月にハローワークで仕事を紹介して、就職した方というのがいらっしゃいます。分母を新規求職者数、分子をその月の就職者数として、これを就職率と呼んでみますと、就職率がどのように推移しているか、外国人と日本人を比較したものがこのグラフです。2点あります。外国人の就職率は青で、日本人よりも就職率が低いということです。その上で、昨年1年間の月次の傾向を見ますと、このように5月には外国人の就職率は8.1まで落ちた後、年末に向かって伸びておりました。外国人の就職率はこのグラフでいうと青ですが、これを更に在留資格別に分解したものがこれです。在留資格別に就職率には大きい違いがありまして、まず身分に基づく在留資格を、永住者、日本人配偶者等、定住者の3種類に分けてみました。永住者と日本人配偶者等ではこのような推移をしています。そして、それより低いところで定住者が推移しています。この就職率の差については、それぞれの在留資格ごとに、職場におけるコミュニケーション能力の違いが現われているものと考えております。また、専門的技術的分野の方の就職率はこの緑ですが、年頭から見ますと、少し身分に基づく在留資格の方とは違う動きを示しています。在留資格によって就ける職種に制約があります。また、今回、インバウンド事業の激減ということで、これに関連する求人も不足しています。それがこの専門的技術的分野の方の就職率の低さに現われていると考えております。
以下、参考資料ですが、私ども厚生労働省の統計情報部門において、雇用動向調査を行っています。それを基に、離職率、年初の労働者数を分母とし、その後の上半期、あるいは1年の場合もありますが、一定期間における離職者数を分子として、離職率を出した場合、このように推移しているというものです。参考までに付けております。
資料2-5です。私が冒頭に申し上げた3番目の資料になりますが、賃金構造基本統計調査について説明いたします。令和元年6月に調査を実施した賃金構造基本統計調査は昨年4月に既に公表されていますが、令和元年6月に実施した賃金構造基本統計調査は、調査票に対象労働者が外国人である場合には、その在留資格を記載していただくように調査票の様式を初めて改めました。それにより、外国人の賃金について、勤続年数別に、学歴や雇用形態を日本人と比較して詳細に分析をすることができるようになりました。以下、私どもの部署において実施した分析を申し上げます。
まず、外国人の賃金について、在留資格別かつ勤続年数別にどのような違いがあるかです。こちらの右のグラフを御覧ください。勤続年数別に年収、これは所定の月給×12+賞与とお考えください。勤続年数別の年収というものを外国人全体、赤の破線と、在留資格別、専門的分野と身分に基づく在留資格の方に分けて見ました。そうすると在留資格によって、勤続年数別の年収というのは大きく違います。「身分に基づく在留資格」の方の賃金構造の分析を、以下、数ページさせていただきます。
まず、身分に基づく在留資格の外国人労働者について、一般労働者。一般労働者というのは日本人と外国人両方含むのですが、日本における労働者の98%程度が日本人ですので、ほぼ日本人とお考えいただければよいかと思います。身分に基づく在留資格で働いている外国人労働者と、一般労働者の年収の比率です。それを産業全体と産業別に分析したものがこのグラフです。
外国人労働者が多い、製造業、サービス産業について、一般労働者の年収を1とした場合に外国人労働者の年収がどれだけの水準か、比率で表したものです。製造業、赤の実線ですが、このように勤続年数が延びるに従って年収水準の差が開いていきます。サービス業(他に分類されないもの)の水色ですが、これも同様です。
身分に基づく在留資格の方について、その事業所、企業で正社員と扱われているか、正社員以外と扱われているかによって、勤続年数別の年収をグラフに描いてみますと、このように身分に基づく在留資格の方については、全体、正社員の方、それから正社員以外の方で、大きな差があります。正社員以外と扱われている方は、年収の伸びがほとんどありません。
以下、産業別に更に分類をしていきます。身分に基づく在留資格の方について製造業で見ますと、労働者全体はこのような推移ですが、労働者のうち正社員以外、その事業所で正社員ではないという扱いで、かつ、期間の定めがあるという方の勤続年数別年収というのが、この緑色です。その上で、製造業で働く身分に基づく在留資格の方の勤続年数別年収を重ねると、このように青の実線になって、一般労働者(正社員以外有期)の勤続年数別年収とグラフがぴたりと重なります。それから今度はサービス業(他に分類されないもの)について、同様のグラフを描くと、こちらも同じように身分に基づく在留資格の方の勤続年数別年収と、正社員以外有期の方の勤続年数別年収が重なります。
また教育・学習支援業について見ると、これは外国人の方の年収が常に日本人を上回っている。それから宿泊・飲食サービス業について見ると、身分に基づく在留資格の方の年収は、勤続年数が短いうちは日本人というか労働者全体よりも高いのですが、勤続年数が5年を超えた辺りからだんだん下がってきます。宿泊・飲食サービス業においては、正社員への定着支援を重点的に行う必要があるのではないかと考えられます。
次に専門的・技術的分野の外国人労働者の賃金構造について説明します。先ほど身分に基づく在留資格の外国人について、労働者全体、ほぼ日本人との比較のグラフを説明しました。専門的・技術的分野の外国人については、通常、高等教育卒、大卒というのが多いので、労働者全体ではなく、大卒の労働者を取り出してその年収水準を1、それに対して専門的・技術的分野の外国人労働者の年収水準がどのぐらいの比率・割合になっているかというのを、産業別にグラフにしたのがこれです。
全体平均として見ると、この青で、日本人と遜色がない。0.95とか1.13ですが1の近傍を推移しています。ただし産業別に見ると大きな違いがあるということです。特に宿泊・飲食サービス業については、勤続年数が延びるに従って全体、ほぼ日本人ですが日本人との差が広がっていくということです。
それから正社員の専門的・技術的分野の外国人労働者について、全体が紫で、青が正社員、ちょっとこのスライドで凡例が消えてしまっているのですが、オレンジの所が正社員以外です。このように見ますと、正社員か正社員以外かで年収の伸びに大きな違いが有ることが分かります。
以下、産業別に見ていきます。製造業です。青が専門的・技術的分野の外国人で、赤が全体、日本人、ほぼ日本人の大卒・院卒(全体)、緑が大卒・院卒(正社員以外有期)です。専門的・技術的分野の外国人、この製造業の分野で、グラフの形は日本人と似ているのですが、若干、差があります。就職した後の昇任とか昇格、管理職への登用などについて差があるのではないかと、そうであるとすればその点について支援が必要なのかもしれないと考えています。
また宿泊・飲食サービス業については、大卒・院卒全体がこちら、それから日本人と外国人を含めた全体について正社員以外有期がこの緑です。外国人はこの分野で正社員以外有期のちょっと上をいっていて、宿泊・飲食サービス業の分野で若干自らの外国語能力などを生かして、少し高い手当をもらっているのかもしれませんが、基本的には正社員以外、非正規の働き方をしていると考えられます。この分野であれば、安定雇用、あるいは他職種への転換に向けた支援が必要ではないかと考えています。
最後に専門的・技術的分野の外国人のうち、教育・学習支援業について見ますと、このような推移をしていて、日本人大卒・院卒よりもほぼ高い所で年収が推移しています。
最後に資料3です。今までが外国人労働者の現状に関する分析ですが、最後にハローワークにおいてどういった外国人の雇用対策を取っているかについて、駆け足になりますが説明します。そもそも外国人の雇用の課題として、外国人労働者について日本の雇用慣行に関する知識の不足ですとか、言語・文化の違いなどから法令違反や労働条件のトラブルが生じやすいのではないかと考えています。この図に即して申しますと、私どもの出先に労働局というものがあり、ハローワークがありますが、その中に外国人を専門にする担当官、あるいは相談員、あるいは相談の部門を設けています。ここを通じて外国人一般に対する就職の支援、あるいは在留資格別の支援というものをしていますし、多言語での相談体制を整備しています。
一方、事業主向けの支援として、個別の事業所訪問による相談支援もありますし、また集団でのセミナー、面接会等もあります。また私どもが事業主の方を支援するためのツールとして、既に申し上げましたが外国人雇用状況届出というものを事業主の方に御協力いただいて運営しています。その上で、外国人雇用管理指針という大臣告示によるガイドラインがあって、これに基づく指導・支援をさせていただいています。
昨年、2度、正確には3度の補正予算編成の機会がありました。その補正予算編成の機会を生かして、私どもは外国人労働者に対する相談支援体制の強化を行いました。具体的には人員の増、それから通訳員の増、多言語音声翻訳機器の追加配布など、多言語相談の支援体制も強化しました。また、ハローワーク・コールセンター、これはハローワークに来所せずに電話で雇用、就職に関する相談ができるコールセンターが前々からあったのですが、昨年10月からこのハローワーク・コールセンターについて外国語での対応を開始しました。
また、これは予算を伴わないものですが、運用面の改善として、外国人が応募しやすい求人の開拓に努めています。事業主の方から外国人の採用に前向きな求人をお出しいただくことがありますが、ややもすると高い日本語能力を求められることがあります。私どもハローワークの職員が事業主の方に連絡を取らせていただき、必要とする日本語の能力の水準を丁寧に聞き取りますと、実際のところ、それほど高いものでなくてよい、片言でもよいが、はきはき挨拶ができることが大事であるとか、先輩である同じ国籍の外国人の労働者が自分の事業所にはいるので、最初からそれほど日本語がしゃべれなくても大丈夫だと言ってくれることもあります。そのようなやり取りを通じて、外国人の応募しやすい求人を増やす努力をしています。
次に以下の参考の資料ですが、昨年の3月以降、随時、経済団体に対して、外国人を含めて雇用維持をしていただくようにお願い申し上げています。また多言語での情報発信として、様々なリーフレット、パンフレットをおよそ16言語に翻訳した上で情報発信をしています。日系人集住地域において、ポルトガル語のフリーペーパーが日系人のよく使うスーパーマーケットやレストランに置かれていることがありますので、ポルトガル語のフリーペーパーにハローワークの広告を継続的に出稿しています。
また、これは参考資料の抜粋ですが、1月29日に外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議というものが行われ、そこに内閣官房が取りまとめた資料を提出しました。それがこの参考資料です。困窮外国人に対する緊急的な支援について、政府全体で関係省庁が協力して行っている内容です。その中からハローワークの関係部分をここに抜き出しました。
ポイントのみ申し上げます。地方入管局とハローワークが連携して外国人を支援する。また、NPOと連携して就職支援をする。それからその就職支援の一環ですが、パート、アルバイトの求人について、合同面接会というのは通常は開かれないものですが、企業の御協力を得て、昨年12月下旬に東京労働局、具体的には新宿のハローワークで留学生を対象にしたアルバイト面接会を開催しました。またこのような支援策については、様々な団体に周知の御協力を頂いています。
このアルバイト面接会について、若干内容を説明いたします。これは読み物として読んでいただければと思いますが、留学生向けの専門新聞に掲載していただいた、このアルバイト面接会の様子です。この内容について分析したものがこのスライドです。12月24日と25日にハローワーク新宿において、7つの企業から34人分の求人をお出しいただきました。それに対して参加した留学生は24名、即日内定を得たのが6名です。そのほかにも書類選考などになった方もいます。
これについて、先ほど申し上げたように、様々な経路で私どもは周知しました。ハローワーク新宿が周知広報するのは当然ですが、入管の窓口でチラシを配っていただく、あるいはベトナム人の支援団体、これは在日ベトナム人の団体や、ベトナム人の技能実習生、留学生を支援するNPOなどを通じて、また海外送金事業者を通じて、インターネット、SNSで情報を発信していただきました。また、文部科学省に依頼して大学や、法務省を通じて日本語学校にもこの面接会の情報を広く発信していただけました。
この結果ですが、実際に参加した方、24人の留学生あるいは元留学生から、どうやってこのイベントを知り、参加しようと思ったかということについてアンケートを取ってみました。何らかの形でダイレクトにこのハローワークでの面接会開催の情報を得たという方が11名。大きな割合を占めているのがこの緑の所、学校で教えてもらった、あるいは先生から教えてもらった、もっと端的に言いますと、ここに参加してみないかという勧奨を受けたという方が12名。チャット・Facebookとありますが、このチャットというのはウイーチャットというメッセンジャー機能があるSNSです。それからFacebookが契機となって来た方もいましたが、厚生労働省のFacebookアカウントに投稿された面接会の開催予定ではなく、その情報が自分の友達のFacebookアカウントに転載されて、それを見て友達から教えられて参加したということです。
成果と課題について簡単にまとめます。ハローワーク新宿の職員の実感として、留学生のうち中国籍、ネパール籍の留学生は、かなり頻繁に多くの方がハローワークを利用しています。それに対して、ベトナム人の留学生は、ハローワークを利用しないと感じております。今回24人の参加者のうち、ベトナムの求職者が6人いたということは、それなりに私どもの情報発信がベトナムの方にも届いたということであろうと思います。
他方で実際の参加経路を見ますと、情報が届くということと、実際に参加しようという気持ちになるのにはやはり違いがあるのではないか。学校の先生ですとかチャット、Facebookという所を見ましても、やはり自分の知り合いからの勧奨が重要なのではないかと思っています。
それから、これは、面接会の開催について周知広報する過程で、元留学生、具体的には、コロナ禍で帰国できないため、短期滞在かつ週28時間就労に在留資格を切り替えている方がいました。留学生ではなくて、在留資格で考えますと元留学生ということになりますが、周知広報の過程で接した元留学生の中には、元日本語学校の学生であるはずなのですが、日本語の能力が非常に低いと思われる方、また自らが有しているはずの特例的な在留許可の内容、つまり、就労可能であるということや、就労可能であるが、どうやったら就職できるかを理解していない方もいました。
また、この面接会を開催した後のNPOとの連携の事例について紹介します。NPOを通じて、今申し上げた面接会の開催について広報周知をお願いしたことは既に申し上げたとおりです。その後ですが、ベトナム人の方を中心にしていますが、留学生などを支援している団体との間で以下のような取組を今進めているところです。
この図に即して申し上げます。まずハローワーク新宿にベトナム語の通訳員を配置する日を設定します。ハローワーク新宿は英語と中国語の通訳は常時いるのですが、ベトナム語の通訳を特別に配置する日を決めました。その数日前に厚生労働省の職員がNPOにまいりまして、日本人のボランティアスタッフに、ハローワークのサービス内容ですとか、ハローワークインターネットシステムを通じ、事前にインターネットを通じて求職者情報を登録する仕組みをお伝えしました。そして日本人のボランティアスタッフ、これは大学生ですが、日本人のボランティアスタッフが自らのパソコンを使って、ここのNPO法人に保護されているベトナム人の方の求職者情報の登録をしていただきました。それでベトナム語の通訳員が配置されている当日に、厚生労働省の職員が保護されているベトナム人の1人をハローワークに引率し、かなりの時間を掛けて相談に乗った上で、正社員の求人に応募することができました。正直に申し上げますが、この取組は、サンプル数1ですが、こういった取組をしています。
もう1つ、これはNPO法人ではなくて日本語学校との連携ですが、同じようにベトナム語の通訳員を配置する日を決める。事前にハローワーク新宿は近隣の日本語学校を訪問し、来日間もないベトナム人の学生の方を引率してハローワークに来ていただけないかと先生にお願いしました。教員の引率の下にハローワークに来所していただき、これもまた丁寧に聞き取りをして仕事を紹介する。具体的にはアルバイトの求人を紹介したという事例です。これもサンプル数は少ないのですが、このような取組を開始しています。
もう1つだけ事例を紹介させてください。これは自治体と私どもの出先である労働局の連携の事例です。もともと私どもの出先である47ある労働局は、地方公共団体との間で雇用対策協定というものを取り交わして様々な協力をしています。具体的には、職業紹介、労働行政を所管している労働局と、産業政策あるいは公衆衛生行政を所管している地方自治体の間での連携を協定に基づいて行うという事例があります。これは、その1つの事例です。
群馬の事例です。保健所を持っていて、地域の公衆衛生に責任を負っている群馬県知事と、職場の安全衛生に責任を負う群馬労働局長の連名で、コロナ感染防止対策について通知を出し、事業所に対して共同で感染防止対策の要請をしました。
何を申し上げたいかと言うと、外国人雇用状況届というのは外国人労働者を雇用している事業所を把握することができる情報でもあります。これはハローワーク、厚生労働省が、外国人を雇用している事業主の方に対し、指導あるいは支援をするための情報なのですが、通常、目的外の使用に当たりますので、公衆衛生目的のために、自治体に対してこの外国人雇用事業所の一覧を提供することはしていません。しかし、今回は公衆衛生に関する必要性が高いということで、この外国人雇用状況届に基づく外国人雇用事業所の一覧の情報を、群馬県にも共有いたしました。
以下、参考資料ですが、各産業ごとの外国人の雇用管理改善に関して、介護それから建設については、事業所管官庁ではなく、私ども厚生労働省職業安定局として業ごとの対策をしているということ。それからこれは農林水産省の資料ですが、昨年春頃に国際的な人の往来が制限されて、外国人労働者が入国できないというとき、農業労働力の確保をするための緊急の事業を、補正予算を使って農林水産省において実施されました。日本国内における農業経験のある方、あるいは農業関係の学校に行っている方を農業に呼び込む施策や、掛かり増しの労賃の補助をされたということです。
また、コロナ禍における外国人労働者への影響は、日本だけではなく他の国でも生じていることがOECD等の報告書でも述べられています。個々の国、外国における外国人労働者に関する対応としては、フランスの農業、ドイツの農業、あるいは韓国において中小製造や農畜産業、漁業、それからカナダのケベック州政府の取組は、これらとは、ちょっと毛色が違うかもしれませんが、国内にいる労働者の教育・採用・訓練に重点を置いた施策を講じたといった海外の記事がありました。
さらに参考資料ですが、これは政府全体でやっている外国人材受入れ・共生のための総合的対応策の概要です。続いて、そのうちの厚生労働省部分の抜粋です。さらに、これは最初に説明すべきでしたが、外国人雇用状況届出制度の概要、また外国人労働者雇用管理改善指針の概要です。
最後の資料です。昨年コロナが発生した後、帰国困難となった外国人が少なからずいます。そういったお困りの外国人の方に対して、入管庁のほうで特例的な在留許可というのを、かなりの種類作り、また、かなり頻繁に見直しをされました。私ども厚生労働省において、この入管庁の在留資格の種類や見直し内容を整理して、全国540のハローワークに、このような整理表、一覧表を配って、これまで見たことがないような在留資格を持った外国人の方がハローワークに来ても、遺漏なく対応するように、という指示をしております。以上です。
○山川座長 ありがとうございました。事務局から詳細な説明をしていただきましたので、委員の皆様から御質問、御意見がありましたらお願いいたします。御発言の際は、先ほどありましたように、サービス内の「手を挙げる」というボタンをクリックしていただければと思います。酒井委員どうぞ。
○酒井構成員 事務局から非常に詳細な資料の説明をありがとうございました。多くは公表されている資料からという面もあるかと思いますけれども、このような分析には大変苦労されたのではないかと思います。その意味では、非常に貴重な紹介であったかと思いました。その上で、私からは3点ほどあります。主にコメント、あるいは感想という形になります。
まずは、この検討会の意義を考えますと、外国人労働者というのは日本人労働者とは違って、当事者の声がなかなか汲み上げにくいのではないかと思っております。もちろん、今日はここに労働組合の代表の方もおられて、日々外国人労働者の声を汲み上げようと努力されているかと思いますけれども、やはり日本人に比べればなかなか難しい側面もあるかと思います。そういう場合において、審議会という場で話すよりも、このような検討会において、それもデータに基づいて議論することの意義は、非常に大きいのではないかと考えております。
2点目です。大変詳細な分析を説明いただき、その中で、例えば離職者の状況あるいは賃金の状況が、在留資格や産業によって大分違うのだということが、よく分かってきました。ただ、一部のデータに関しては、例えば求職者の状況をある意味で失業者というように見立てたような紹介のされ方もあったかと思います。そういったものに関しては、やはり仮の推計という域を出ないのかなとも感じました。ですので、この場の分析はこの場の分析として、将来的には、こういったものがしっかりとした統計で把握できるようになってくるのが望ましいのではないか。今回の分析は、そのきっかけになったらいいのではないかと感じました。
3点目です。外国人の雇用の状況に対して、様々な就労支援が行われていることを紹介していただき、非常によく分かりました。アウトリーチ的なことも必要だということかと思いますが、このような外国人の就労支援というのは、日本人に対してもやはり周知しておく必要があるのではないかと感じました。というのは、外国人を大きく受け入れるようになってきて、やはり日本人の中にいろいろな面で不安を抱く感情といったものもないとは限らないと思っております。特に、外国人の雇用の状況が悪化してくると、治安の面で不安を感じる人もいるかと思いますけれども、そのようなときに政府としてしっかりと就労支援をしているのだということを周知することは、非常に重要なのではないかと思いました。
そこで、最後に少しだけ質問になるのですけれども、このような様々な就労支援を、外国人に対してどのように周知していくかという展望はよく分かったのですけれども、日本人にというか、全体的に周知をどのように今後展開しようと考えているのか、もし現時点で何かビジョンのようなものがあれば教えていただきたいと思いました。私からは以上です。
○山川座長 ありがとうございました。本検討会の意義も含めて、コメント等を頂きました。最後の御質問について、就労支援に関して、日本人に対する周知等の取組ということもあったかと思います。この点は、事務局から何かありますか。
○外国人雇用対策課長 酒井先生、コメントありがとうございました。最後の御質問ですが、正におっしゃるとおりかと存じます。その場合、どのように周知していくかですが、様々なルートで重層的にやっていく必要があると思います。まずは、外国人を雇用している事業主に知っていただかないといけないです。これは、私どもハローワークによる個別の訪問、指導だけでなく、まず集団的なセミナーというものがあります。私どもは外国人を雇用している事業主を把握しているわけですから、この方たちに広く周知をしていただく。個々の事業所のみによって外国人の雇用を維持できないということもあるかもしれません。個々の事業所には、雇用を維持するために最大限の努力をしていただかなければなりませんが、日本人、外国人を含めて、個々の事業所、企業で雇用を維持しきれないというようなこともあるかもしれません。そのような場合、迅速に、ためらわずに、ハローワークに支援を求めていただきたい、また、外国人のための特別な配慮をした支援もあるということを知っていただかないといけないと思います。
また、外国人は職場における労働者という性格のみならず、地域における住民という性格もあります。市町村、都道府県などの自治体を通じて、既に群馬の事例も申し上げましたが、その自治体を通じての様々な支援策、これは自治体の福祉施策との連携も重要かと思いますが、住民としての外国人に対して自治体と協力して支援をお届けする。その際には日本人の住民、外国人以外の住民にも、このような外国人のための支援があるということを知っていただくことが必要だと思います。また、ここに御参加くださっている労使団体の皆様、さらにNPOの皆様の御協力も得て、重層的に日本人、外国人双方に支援措置が広く知られるように努めてまいりたいと存じます。
○酒井構成員 よく分かりました。ありがとうございます。
○山川座長 酒井先生、よろしいでしょうか。先ほどのコメントでは、事情の把握やデータの読み方も含めて、今後の検討会の進め方にも非常に参考になるコメントを頂いたと思います。よろしいでしょうか。
○酒井構成員 はい。
○山川座長 それでは、杉崎委員、お願いします。
○杉崎構成員 商工会議所の杉崎と申します。本日は、非常に詳細にデータを御説明いだき、ありがとうございました。大変に参考になりました。ちなみに、日本商工会議所が昨年の夏に行いました全国調査、これはホームページにも載せてあるのですけれども、コロナの状況下で人手不足の企業の割合は減少したのですが、外国人材の受け入れニーズがあると回答した中小企業の割合は48.7%ということで、これはコロナ以前と比べても遜色ない、依然として非常に高い数値が出ております。また、外国人材の受け入れニーズがあると回答した中小企業のうち、特定技能外国人を既に受け入れている、若しくは受け入れに関心があると回答した中小企業は74.1%に上っております。したがって、外国人材に対する期待、関心というのは、非常に高い状況が、このコロナ禍においても続いているという状況です。
また併せて、政府が実施すべき受入企業向けの支援策について尋ねたところ、雇用に関する手続の簡素化を挙げた企業が50.2%で最も多かったのですけれども、その次に制度概要、受入れ企業の要件、手続に関する情報提供と答えた企業が38.2%、また受け入れに関する相談機能の拡充、窓口相談だと思うが、32.0%となったことから、制度概要や受け入れるノウハウを含めた各種の情報提供、好事例の横展開、相談機能の拡充が必要なのではないかと考えております。
人手不足に関しては、構造問題ですので、コロナ終息後にまた深刻化すると考えています。したがいまして、外国人材に対する期待、関心が今後更に高まって、外国人労働者数、雇用事業者数ともに更に増加していくのではないかと考えております。そうした中で、本日、外国人労働者の雇用状況、需給の状況、また労働移動や賃金構造に関する詳細な分析をしていただいたことが、政策立案や現状分析において有効で非常に有り難いことだと感じております。
その一方で、外国人労働者の方々は、今日の御紹介にもありましたが、日本人以上に転職や再就職が難しいといったような一面もありますので、きめ細やかに支援していく必要性を改めて実感いたしました。例えば石津課長の御説明の中にもありましたが、ハローワークにおける多言語対応の強化や、そもそもマンパワーも強化していく必要性もあるのではないかというようなことを実感いたしました。
併せて、今日、詳細なデータ分析をお示しいただきましたが、外国人労働者や受け入れている事業所、更には監理団体や登録支援機関を対象とした課題の把握、政策ニーズに関する新たな調査を実施していく必要性もあるのではないかと感じております。取り分け、監理団体や登録支援機関に対しては、外国人に対する支援の実態や課題に関して、いろいろと伺ってみるということが有効なのではないかと思います。
最後に1点、東京都においても外国人労働者の政策に関する検討会が行われており、私も参加していました。東京都の検討会では、外国人を雇用している中小企業の経営者の方や、そこで働く外国人労働者の方々に対するヒアリングを会議の中で行い、非常に参考になりました。したがって、今後この検討会がどれぐらいの頻度で開催できるかにもよると思うのですが、労働者の方、受入れ事業所、それからもう少し申しますと、外国人がたくさん就業している地域の関係者の方をお招きして、生の声を聞いてみるというようなことも、非常に参考になるのではないかと感じている次第です。以上です。
○山川座長 ありがとうございました。コロナ終息後をにらんでのニーズ、あるいは期待にどう応えるかという問題意識を頂きました。また、支援の在り方、それから本検討会の進め方に関するコメント、御意見も頂いたところです。事務局からお願いします。
○外国人雇用対策課長 非常に広範多岐にわたる御指摘を頂き、今、全てについて詳細にお答えし兼ねるところもありますが、御指摘いただいたことを受け止めまして、私ども厚生労働省の職業安定局だけではなく、他部局や他省庁にも関わる広範なことですので、今後ヒアリングを行っていくとして、様々な方が候補に上がってこようと思います。事務局においてよくよく検討し、ここにお集まりの皆様にも御相談しながら進めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
○山川座長 杉崎委員、よろしいでしょうか。
○杉崎構成員 どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。
○山川座長 次に池田委員、お願いします。
○池田構成員 経団連の池田です。少子高齢化による労働力人口の減少、更には企業活動のグローバル化が加速する中で、外国人雇用の問題は経済界としても重要な政策課題の1つであると認識しております。イノベーションが加速し、競争力を強化するためには、高度外国人材の更なる受入促進が不可欠であり、高度人材に対応した人事評価、労務管理の見直しなど、就労環境も併せて整備していく必要があると考えております。また、既に技能実習生等の外国人材は、我が国経済の支え手として活躍しており、その重要性はますます高まることが見込まれています。就労面のみならず、社会の多様性を一層進化させ、世界に開かれた魅力ある国として環境整備をしていく必要があると思います。外国人材の方々に、訪れたい、暮らしたい、働きたいと認識される国、町、職場づくりを進めることが大事かと思います。
その上で、今回、外国人雇用について、極めて詳細かつ貴重な分析資料を御提示いただきまして、誠にありがとうございます。今後とも、外国人雇用に関する客観的なデータを収集し、是非ともエビデンスに基づいた政策展開をお願いしたいと思います。
それから、資料3の11ページで御紹介いただいた、群馬労働局と群馬県庁との連携は、好事例であると思いました。情報の目的外使用というのは、無制限に認められるべきではありませんが、外国人労働者の雇用、感染防止対策等を迅速かつ効率的に行っていくためには、省庁、地方自治体、そしてハローワークなど、行政の垣根を越えた連携を高めていくことは非常に重要だと考えております。中長期的には、迅速な連携のため、行政のデジタル化も進めていただきたいと思います。雑駁ではありますが、私から何点かコメントさせていただきました。ありがとうございました。
○山川座長 ありがとうございます。連携の重要性は、これまでにも御指摘いただいているところですが、地域との連携の必要性等の御指摘を頂いたところです。本検討会は、今日はフリートーキング的なことを想定しており、既に御発言いただいていますように、外国人雇用を巡る一般的な問題意識等についても、今のように御自由にお話いただければと思っております。手を挙げた順で、次に佐久間委員お願いします。
○佐久間構成員 全国中小企業団体中央会の佐久間と申します。よろしくお願いいたします。私からは感想的なことになってしまうのですけれども、「外国人雇用対策の在り方に関する検討会」は、出入国者数やどれだけの外国人の方が我が国に滞在しているか、どういう働き方をしているかなどの従来から発表されてきた統計だけでなく、今回は課長をはじめ、事務局(外国人雇用対策課)の皆様に、詳細かつ多面的な資料をまとめていただき、本当にありがとうございます。また、コロナ禍における外国人雇用の関係は各方面からすごく注目されているところですけれども、資料3では、コロナの影響でどういう在留資格に申請が可能なのかということも、非常に見やすくまとめられているなということで、大変参考になる資料を提示いただき、ありがたく思っております。
私ども中小企業団体中央会が支援する中小企業組合においては、ここ数年、外国人の技能実習制度としてかなり多くの数の事業協同組合が監理団体となっており、その割合は全監理団体の91%を占めています。この技能実習制度を基にして、平成31年の4月にできた在留資格「特定技能」の関係、この両方の制度をうまく使っていければと思っている中で、このコロナの影響が出てまいりました。今回の外国人雇用対策の在り方検討会では、この技能実習、特定技能といった在留資格を超えて、身分、地位に基づく在留資格、それから就労が認められる在留資格、特定活動の関係、また本来は認められていないのだけれども、特別な許可によって入国してくる外国人、短期滞在や留学生など、様々な外国人の方々に対して、どのように共生を図っていくかという、非常に大きな広いテーマだと思っています。
雇用を確保するためには、ハローワークを十分使っていくということが資料の中からも読み取れると思うのですが、今までの技能実習生や特定技能外国人は、就業等に就く必要な人数というか、受け入れる人数が決まってくるので、ハローワークを利用するということは第1段階としてはほとんどないのかと。あるとすれば、その後に移動してしまうケースがある可能性はあるのですけれども、少ないと思います。そうすると、ハローワークを利用するのは、この「身分、地位に基づく在留資格」の関係となり、なかなか働き口がないとか、あるいは海外から日本に来たのでまだ日本語を扱うのが難しいという問題が出た中で、どれだけのレベルの方を民間企業に雇用を結び付けていくかという問題も、どんどん出てくると思います。ですから、この検討会では、そういう一つ一つの「在留資格」について、角度を変えながら求人、求職の問題を潰していくというか、問題点を見いだし、解決していかないと、単にハローワークを使えばいいとか、あるいは四谷にあるFRESCに問合窓口を一元化したほうがいいのではないかという、そういう問題だけに一挙には結び付かず、奥が深いなと思っています。
日本語が話せるということは非常に重要だとは思うのですけれども、例えば技能実習や特定技能では日本語の試験があります。そこまでなかなか追い付けていない他の在留資格の外国人の方を、もう一度、職業訓練的なもので日本語を学ばせる。また、母国のことも大切なのですけれども、日本にいらっしゃる限りは、日本の文化や言葉、そして正しい歴史認識を理解してもらい母国に持ち帰って役立ててもらうようにしていかなければいけないのではないか。それが「共生」に結び付いていくのではないかなと感じた次第です。
この検討会は、短期で終わらせるということではなく、外国人との共生については、さまざまな問題点が出てくると思いますので、ある程度、継続的に実施をしていただいて、その時、その時の問題点を議論していくということも必要だと思います。以上です。
○山川座長 ありがとうございました。実務的に、いろいろと関わりの深い立場からの御発言を頂きました。また、おっしゃったように、在留資格によって随分状況が違うなというのが、先ほどの事務局の説明から明らかになってきたことではないかと思っております。この辺りも更に対応を考える際には、非常に重要な点になってくるかと思っております。次は、是川委員お願いします。
○是川構成員 国立社会保障・人口問題研究所の是川と申します。今回はこのメンバーに加わらせていただき、改めて御礼申し上げます。本日の事務局からの説明は非常に情報量が多く、感謝申し上げます。それについて感じたことや考えたこと、今後の方向性について、私のほうから御参考までにお示しできるものをお話したいと思います。
まず1点目として、これまで酒井先生をはじめ、何人かの方から既に御指摘のあったことですが、やはりこの外国人雇用対策、外国人労働者政策において、正確な根拠に基づいたEBPMとでも申しましょうか、そういった形で政策が作られていく重要性というのは非常に高いと私も思っています。私自身、移民研究として、国際人口移動や移民の社会的統合、労働市場への包摂といったような研究をしておりますが、諸外国の状況を見ても、やはり外国人、移民というのは、その国の人たちの当事者と当事者性の重なりが低い分、非常に正確なデータを集めなければ、偏った議論に容易に流れてしまうという状況があるかと思います。それだけに、自国民に対する労働政策一般よりも、よりエビデンスをしっかり集めて立案するということが求められていると思います。
また、政策の発信についても、既に御指摘がありました。そういった面でも、こうした政策をしていますということを、外国人のみならず、日本人に対しても丁寧に説明していくことが特に強く求められている政策分野であると思っています。そういった意味で、こうした検討会が開催され、今後継続的に行われていくことは非常に重要であると思いますし、評価されるべきことと考えています。これが1点目です。
2点目として、そういった中で今回お示しいただいたデータは、もちろん初めてということで、まだいろいろと仮設的なところもあるかと思いますが、私としては非常に高く評価できると考えています。特に、外国人雇用状況の届出を一番の大きな母数という形で位置付けて、そこからハローワークのデータなど、その内訳や動向について少しずつ中に迫っていくという戦略は非常にいいのではないかと思います。外国人雇用状況調査は、これまでも外国人労働者の全体像というか、一番の外延を示すという意味において非常に重要でしたが、その内訳、内実は必ずしも詳細に分からないという欠点があって、今まで余り利用されにくかったところもあるかと思います。今回、ハローワークの現場レベルからの速報性の高いデータを使って、例えば今般のコロナ禍における雇用動向、雇用情勢を示そうと取り組んだことは、非常に良い戦略ではないかと考えています。
その上で、データの評価としても、昨年の6月ぐらいをピークに、外国人についても雇用情勢が少しずつ改善していっているといったような様子が、おおむね見えてきたのではないかということ。それから、いろいろとエピソードベースでは語られることが多いのですが、日本人との相対感でどれぐらいの失業等が発生しているかと、正確なところはもちろんいろいろとありますが、マグニチュードが一桁なのか二桁なのかといったようなレベルで、おおむねこの範囲かなというような外延は示すことができたのではないかと考えています。
今後は、ハローワークのデータもそうですが、主に外国人労働者の労働市場における構造的な部分が、どの指標にどのように反映されているかと。例えば、在留資格別に就職率などを計算されていましたけれども、こういったものが全体の中のどの部分を示している数字なのかを精緻に分析していき、実際の政策に使える指標として鍛えていくことが必要かなと考えています。
3点目としては、最後に政策的な対応で、留学生や技能実習生に対する政策対応等の説明がありました。私自身、OECDの移民政策会合に専門家や政府代表として継続的に参加する中で、どこの国もやはり一番問題になっていたのは、留学生と季節労働者の2つが喫緊の課題として取り上げられ、また我が国の取っていた政策とおおむね同じような形で、特例として就労の範囲を拡大するとか、在留の期間を延長するとか、金銭的な援助をするといった、おおむね標準的な対応が取れていたのではないかと思います。そういった中、今後コロナ禍の後、ポストコロナの中でどうなっていくかということも視野に入れていく必要があると思っています。
昨年1年間は、おおむねどの国も興味深いことにハイスキル層の受入れ、またその受入れが止まったことに対する危機感というものは、OECDの会議でもどこの国からも一度も表明されていなかったのですが、今後コロナが収まるにつれて、改めてどういった形で広範なスキルレベルの外国人労働者を受け入れていくかということが課題になるかと思います。そういった先行きを見据えた議論もきちんとできていければ、非常に有益なのではないかと思います。以上です。ありがとうございました。
○山川座長 ありがとうございました。御専門の立場から、データの評価の仕方、あるいは諸外国の動向も照らした政策的な御関心等についても、触れていただきました。事務局から、一言お願いします。
○外国人雇用対策課長 御指摘ありがとうございました。私どもは外国人雇用状況届、それから出先のハローワークのデータを様々組み合わせて、まさに仮説的と申しますか、この検討会の初回に間に合うように最大限努力したつもりではあります。しかし、まだまだ足らざるという自覚は持っております。引き続き御指導いただければ有り難く存じます。よろしくお願いいたします。
○山川座長 次は、九門委員でよろしいでしょうか。お願いいたします。
○九門構成員 貴重なデータの詳細な分析をありがとうございます。私は主に、留学生や企業について質的な面からの調査研究を行っているので、こういった量的な統計分析は非常に参考になりました。私からは主に専門的・技術的分野の就労者についてお話をしたいと思います。2点ありまして、1点は、今、留学生に大学院等でも教えておりますが、コロナ禍であっても日本企業で働きたいという話を多く聞いております。これは、日本にとっては良いことなのではないかなと感じているところです。
2点目は、企業の立場からすると、何のために外国人材を採用しないといけないのか、特に専門的・技術的分野というところがハイスキルの人材ですが、改めてその目的を明確にする必要があると感じています。というのは、人手不足を理由に外国人材を採用していた企業はあるのですが、その場合は、恐らく今はコロナ禍で日本人を採用しやすくなっているため、外国人でなくてもよいという傾向にあるのではと思います。人手不足だけではなく、よりコロナ後を見据えてグローバル化やイノベーション等を進めていくために、そういった高度な外国人材が必要だという認識を改めて持つ必要もあると思っております。企業の採用の際には、例えば、日本語力を非常に高く求められる場合や、日本人と同じように振る舞う外国人を求められるというケースも、留学生や外国人の社員の方々から多く聞かれることですので、そうした点を改善し、より多様性を受け入れるような組織の土壌や社会の土壌を作っていくことが必要と感じております。以上です。
○山川座長 ありがとうございました。外国人材の意味についての検討の必要性、あるいは教育政策等々との連携にも関わるお話であったかと考えております。
それでは、冨高委員よろしくお願いします。
○冨高構成員 まずは、厚労省からの丁寧な分析と御説明をありがとうございました。非常に分かりやすく、今後の議論に大変役に立つものというように考えております。御紹介いただいた中でも、例えば、非自発的な離職の多さや、これはコロナというところとはまた切り離すことかもしれませんが、賃金の低さといった点なども、頂いた資料の中にはありました。このコロナ禍において、言葉がままならない方が多いというところもあり、いわゆる弱者と言われる外国人労働者にしわ寄せが起きているという現状が現れているのではないかという点を、改めて実感したところです。
冒頭の御挨拶の中で、外国人労働者の方にきちんと活躍していただくということが日本の経済の活性化にもつながるというお話もありましたが、それには外国人労働者がきちんと安定して雇用されることや、労働条件がきっちり確保されることがやはり前提ではないかと考えておりますので、今後の議論に当たっては、その視点も非常に重要であろうと考えているところです。
また、酒井委員のほうから冒頭、当事者の声が拾いづらい部分があるのではないかというお話がありまして、正に、連合の中でもその点はかなり苦労しているところです。1月に外国人に特化した労働相談を行っており、その中ではやはり失業への不安というところの声が多かったわけですが、悩んでいる方はもっと多いのではないかというようなところもありました。コミュニティーの中で口コミで相談先が拡がるようなこともありますので、そのようなところを、いかに国の支援につなげていくかといったところも、多分これからの課題かと思っております。
既に、様々御紹介いただいたように、多言語で様々な支援体制を図っていただいておりますし、雇用確保についても柔軟な対応を図っていただいておりますが、そこに、いかにたどり着くかという点が支援対策にとって鍵になっていると思います。是非、効果的な周知については、労働組合としてもしっかりと考えていきたいと思いますが、先ほどの座長や佐久間委員からの御意見もありましたが、是非そういった在留資格毎の課題をきちんと吸い上げていただいて、そこに労働者の声も十分踏まえた対策の検討をお願いしたいということで、今後、そのような視点で議論させていただければと思っております。
○山川座長 ありがとうございました。労働組合として独自の相談等もされているということで、今後の方向性も含めて、いろいろな情報提供、あるいは御議論を頂ければと考えております。
○外国人雇用対策課長 一言だけ。冨高様からの御指摘ありがとうございます。私どもハローワークを通じて、外国人雇用管理指針というものをベースに、事業主の方に対して支援・指導をさせていただいております。その内容として、もちろん外国人の能力を発揮して、これは少し労働行政を超えるところですが、更に企業のパフォーマンスにつなげていただくというところもありますが、その大前提として、まずは労働法令の遵守といったものがなされるべきことは当然と認識しております。簡単ですが、以上です。
○山川座長 ありがとうございました。では、天瀬委員、お願いいたします。
○天瀬構成員 JILPTの天瀬でございます。今日は、非常に詳細なデータを基に、外国人労働市場の現状を理解する上で非常に有益なデータをお伺いできました。ありがとうございました。何と言いましても、昨春以来、コロナ禍ということで、JILPTのほうでも幾つかの調査を通じて、このコロナの影響をどういった層が強く受けているのかという調査を幾つかやっております。その中で把握できているように、女性であるとか、あるいは若年、若年の中でも学生やアルバイト等々、強くコロナの影響を受けている層が確認でき始めているところであると思います。その中で、先ほどの御説明を聞きましても、やはり外国人も、その一端であるということが認識できました。また、ハローワークを通じて、こういった方々に広く支援の手を差し伸べている活動も理解できたところです。
質問といいますか、気になるのは、離職や求職の状況のデータの御説明もありましたが、やはりこういったハローワークを利用しない、通じない、ハローワーク以外のルートで求職されている方々は、一体どのようなルートを通じて求職活動をされているのかというのが気になるところです。もし、現状で把握できているところがあれば御教示いただければと思います。
○山川座長 ありがとうございました。JILPTには、コロナ禍の雇用問題につきまして、メールマガジン等も含めて、いろいろ情報発信をしていただいているところです。データについて、今御質問がありましたので、何かありますか。
○外国人雇用対策課長 天瀬様、御指摘ありがとうございます。最後に御指摘いただいた、ハローワークを利用していない労働移動をしている人をどう認識しているかですが、例えば、日本国籍・外国籍を問わずに労働移動をどのようにされているかということについては、私どもの厚生労働省の統計情報部門が実施している雇用動向調査があります。これを通じてどのような経路で労働移動をしているかといったことが把握されていますが、まさにご指摘のとおり、外国籍の方については、それを詳細に把握し、全容を明らかにするすべが現時点ではありません。この点は、外国人雇用対策をあずかる者として大変大きな課題だと思っております。その方法についても、どのようにすればよいのか考えていきたいと思いますし、皆様の御指摘をいただき、お知恵をお借りできればと思っております。よろしくお願いいたします。
○天瀬構成員 ありがとうございました。
○山川座長 ありがとうございました。それでは、友原委員よろしくお願いいたします。
○友原構成員 友原です。よろしくお願いします。大枠はほかの委員の皆様がおっしゃったので、最後に、簡単な質問だけ申し上げたいと思います。資料3の8ページなどを拝見していて思ったのですが、いろいろ御苦労なさって、いろいろなものを作られているときに、いかにより良く情報を相手方に発信していくかということに関して、ちょっと気になりました。特に、外国人の場合はネットワークの重要性が非常に高いので、例えば、県人会みたいな形の外国人のコミュニティーみたいなものを行政側のほうで把握しているのか、若しくは、把握していればそういった人種ごとのコミュニティーとの協力関係というのは、行政側として今後の情報発信の過程で、そういう協力関係を築いていく取組はどの程度しているのか、若しくは立場的に難しいのかということをお伺いしたいなと思います。
○山川座長 ありがとうございます。情報発信あるいは周知、コミュニティーとの協力について、これまでも重要性の御指摘があったかと思いますが、では、事務局から…。
○友原構成員 あと、もう既に冨高委員とかがおっしゃっていましたが。
○山川座長 では、事務局から少し御発言があります。
○外国人雇用対策課長 御指摘ありがとうございます。本当に今回の取組み、ただ今御指摘いただいた資料3の8ページの面接会の開催に関する事前の周知広報などの過程を通じて、私自ら本当に強く認識しておりますが、情報が届く経路、届かない経路、あるいは届いた上で一人一人の外国人の方にアクションを起こさせる情報の届け方というものがあるのだと思います。今回の面接会の開催につきましては、例えば、ベトナム人の方であれば在日ベトナム人協会といった所に、私が自ら埼玉の協会の事務所を訪問して、インターネットを通じて特別な広告や動画なども作っていただいて広報をするということもしていただきました。それから、これは人から聞いた話ですが、具体的な国名を挙げるのがよいのかどうか、ちょっと躊躇しますが、あえて申し上げます。ネパール人であればネパール人の、ある特定のキーパーソン、在日ネパール人社会というものを想定しますと、ある特定の方が情報のハブになって、この方が情報を発すると、日本中のネパールの方に情報が届くというようなキーパーソンがいるらしいという話を聞いたことがあります。まだまだ取組は始めたばかりですが、やはり私どもも、もう一歩二歩進んで、日本にいらっしゃる外国人の方の情報のやり取りのネットワークというものをしっかり把握して、キーパーソンあるいはインフルエンサーがいるのであれば、その方に、まず情報をお届けするということが大切であろうと思います。また、FacebookやSNSというものの重要性が指摘されますが、私どもは、このハローワークを通じて外国人の方の就職の支援をした場合、成功すれば、お一人お一人にハローワークにおいて就職することができたということを、拡散というのでしょうか、発信していただいて、それがインターネット、SNSを通じて広く口コミで、FacebookなどのSNSを口コミと呼んでよいのか分かりませんが、お一人お一人の実体験、生々しい感想や感情を伴ったエピソードとして、日本中の外国人の方に届いていけばいいなと思っておりますし、また、そのように努力していきたいと思っております。
○山川座長 友原委員、よろしいでしょうか
○友原構成員 ありがとうございました。
○山川座長 それでは、皆様方から一辺りの御意見や御質問を頂いたかと思います。では、時間の関係もありますので、資料4の今後の検討会の進め方について、既にいろいろ御発言を頂いておりますが、石津課長から説明をしていただきたいと思います。
○外国人雇用対策課長 資料4について説明をいたします。こちらにつきましては、最初に説明をいたしました資料1の開催要綱の中に含まれている部分もありますが、今後の検討の進め方について事務局として案をお示しします。まず、本日が初回の3月19日ですが、4月以降につきまして、開催要綱に記載しました、新型コロナウイルス感染症等の影響を受け困窮する外国人失業者等に対するハローワークの対応、また、外国人労働者の職場・地域における定着、留学生の国内就職支援等につきまして、関係者からのヒアリングも行いながら議論していく。そして、できれば6月頃を目途に、まずはそれまでの議論を踏まえた中間的な取りまとめを行っていただければと存じます。これが事務局の今後の進め方に関する案です。
○山川座長 ありがとうございます。既に御意見を頂いているところではありますが、資料4の進め方につきまして、何か、特に改めて御意見はありますか。よろしいでしょうか、先ほど来の委員の皆様方の御意見等を伺っておりますと、主観的な感想ではありますが、第1に、データや統計などに表れないものを含めて実態に即した分析、それに基づく政策の必要性という御指摘を頂きました。第2に、中身に関わることですが、アウトリーチという言葉もありましたが、周知や情報発信についてのきめ細やかな対応、日本人も含めてですが、その辺りの御指摘がかなりあったかと思います。第3に、今回、取りあえず資料4ではコロナ禍の下での状況をターゲットにしておりますが、ポストコロナ時代を含めた視点の必要性ということも、複数の委員の方々から御指摘があったというように思っております。
今日は非常に有益な御意見を頂きましたので、委員の皆様方の御意見を生かさせていただいて、今後、6月頃の中間取りまとめ予定、また、その後の検討に生かさせていただければと思っております。今日頂いた意見につきましては、改めて事務局に整理をしていただいて、今後の進め方に反映させていただくようにお願いいたします。皆様、特にありませんか。
では、議題4「その他」ということで、事務局からお願いいたします。
○外国人雇用対策課長 本日は御多忙の中、御議論を頂き本当にありがとうございました。今後のスケジュールについてですが、次回の第2回につきましては、4月12日月曜日、13時~15時を予定しております。詳細については別途御連絡申し上げます。以上です。
○山川座長 それでは、本日はお忙しい中、皆様お集まりいただき、また、オンラインで御参加いただき、大変ありがとうございました。本日は、これで閉会といたします。どうもありがとうございました。

 

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