令和3年2月22日

 2月22日(現地時間同日)、フィジー共和国の首都スバにおいて、我が方、川上文博駐フィジー共和国日本国特命全権大使と先方ジョサイア・ヴォレンゲ・バイニマラマ首相兼イ・タウケイ担当・砂糖産業・外務大臣(Hon. Rear Admiral (Retired) Josaia Voreqe Bainimarama, Prime Minister and Minister for iTaukei Affairs, Sugar Industry and Foreign Affairs of the Republic of Fiji)との間で、同国における新型コロナウイルス危機対応のための緊急支援を目的として、100億円を限度とする円借款に関する交換公文の署名が行われました。

  1. 対象案件の概要
  • (1)フィジーでは、早期に入国制限措置がとられたことにより、2月現在、新型コロナウイルスの感染者数はごく少数に抑えられているものの、人的・物的往来が制限されたことで、経済的に大きな打撃を受けています。同国の2020年の経済成長率は、前年比マイナス21.0%に落ち込む見通し(IMF、2020年10月)であり、社会・経済の回復が課題となっています。本円借款は、フィジーに対し、ADBとの協調融資による財政支援を通じて、同国における感染拡大の抑制とともに、同国の社会・経済の回復と安定及び持続的発展に寄与することが期待されます。
  • (2)供与条件 (「新型コロナ危機対応緊急支援円借款」)
  • (ア)金利: 0.01%
  • (イ)償還期間: 15年(4年の据置期間を含む。)
  • (ウ)調達条件: アンタイド
  1. 新型コロナウイルス感染症の世界規模での拡大及びそれに伴う経済社会活動の停滞は、人の往来やモノの流通がグローバルに進展している今日、日本を含む全ての国の経済・社会にとっても大きな脅威であり、国際社会全体が一致して取り組むべき課題です。とりわけ本円借款を通じて、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けるアジア・大洋州などの途上国における経済活動の維持・活性化に貢献することは、日本を含む世界経済を下支えする観点からも重要です。
  2. 我が国としては、新型コロナウイルス感染症の一日も早い沈静化及び国際社会・経済の回復と安定及び持続的発展に向けて、引き続き、国際社会の取組を主導すべく途上国を支援していきます。
  3. 我が国は、2018年5月に開催した第8回太平洋・島サミットにおいて、「強靱かつ持続可能な発展の基盤強化」を支援の柱として表明しており、この協力は同表明を具現化するものです。

フィジーは、面積1万8,270平方キロメートル(四国とほぼ同じ)、人口約89万人(2019年、世界銀行)、1人当たりの国民総所得(GNI)は5,860米ドル(2019年、世界銀行)。

  • (1)第8回太平洋・島サミット(PALM8)は2018年5月18日及び19日に福島県いわき市において開催。16の太平洋島嶼国・地域、オーストラリア及びニュージーランドの首脳級等が出席。フィジーからはバイニマラマ首相が参加した。
  • (2)我が国は、PALM8において、(ア)自由で開かれた持続可能な海洋、(イ)強靱かつ持続可能な発展の基盤強化、(ウ)人的交流・往来の活性化、の3つを柱として、今後3年間でこれまでの実績も踏まえた、従来同様の、しっかりとした開発協力の実施及び成長と繁栄の基盤である人材の育成・交流の一層の強化を表明した。