(令和3年2月19日(金曜日)12時20分 於:本省会見室)

日米関係(バイデン政権発足1か月)

【読売新聞 福田記者】明日で米国のバイデン政権が、政権発足から1か月を迎えます。この間の日米関係と外交安全保障政策について、大臣のご所感を伺えればと思います。

【茂木外務大臣】バイデン政権、明日で1か月を迎えるということでありますが、政権発足直後から、首脳・閣僚レベルで日米同盟に対する強いコミットメントをはっきり示してもらっておりまして、これを日本として歓迎をしております。
 私(大臣)自身、バイデン政権が発足してから1か月の間で、日米外相会談、既に2回行いました。恐らく一番速いペースじゃないかなと思いますけれど、また、昨日は、日米豪印電話外相会談を行いまして、ブリンケン長官との間で、緊密な意思疎通を行うことで、様々な課題への対応について、しっかり連携できていると、このように考えているところであります。
 特に、バイデン政権発足から時間を置かずに、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた取組であったりとか、中国への対応を含め、地域や国際社会の課題への対応について、私(大臣)とブリンケン国務長官との間でも、しっかり摺り合わせができたことは極めて有意義であったと考えております。
 また、在日米軍の駐留経費の負担につきましても、今週合意ということでありますけれど、ブリンケン長官との最初の電話会談の際に、お互いに交渉の早期妥結、これを確認して、その後、17日に現行特別協定を改正をして、その有効期限を1年間延長する改定議定書について合意ができたわけであります。
 バイデン政権発足後のこの早いタイミングで合意に至ることができたことは、日米同盟の結束に対する両国の強いコミットメントを示すとともに、同盟の信頼性を高めて、それを国際社会に発信するものだと高く評価をいたしております。
 これからもブリンケン長官との個人的な信頼関係、最初からトニー、トシと呼んでおりますし、ライトハウザー通商代表とは、実際にファーストネームで呼ぶようになったのは相当時間がかかったなと、こんな記憶もあるところでありますが、そういった個人的な信頼関係を更に強固なものとしつつ、日米同盟の一層の強化であったりとか、「自由で開かれたインド太平洋」の推進に向けて協力を深めるとともに、コロナ対策や気候変動など国際社会の課題への対応でも、日米が緊密に連携をして、国際社会をリードしていきたいと思っております。
 ちなみにライトハイザー前通商代表とは、厳しい交渉でありましたが、お互いに信頼しあって、最終的には、日米間で日米貿易協定、いい合意ができたと、こんなふうに思っております。

香港情勢(「リンゴ日報」創業者再逮捕)

【産経新聞 石鍋記者】香港情勢についてお伺いいたします。国家安全維持法違反で起訴されている「リンゴ日報」の創業者のジミー・ライ(黎 智英(れい ちえい))氏が、民主活動家の密航を支援したとして、警察に再逮捕されたと香港メディアが報じました。大臣の受け止めをお願いいたします。

【茂木外務大臣】ジミー・ライ氏の再逮捕等、これまでの一連の事案が、香港が享受してきました民主的・安定的な発展の基礎となる言論の自由、報道の自由にもたらす影響について重大な懸念を強めております。
 香港は、日本にとって緊密な経済関係、人的交流を有する極めて重要なパートナーでありまして、「一国ニ制度」の下に、自由で開かれた体制が維持をされ、民主的・安定的に発展していくことが重要であるというのが我が国の一貫した立場であります。
 こうした我が国の懸念であったりとか、考え方については、私(大臣)を始め、様々なレベルで中国側に繰り返して伝えてきておりまして、引き続き、関係国とも連携しながら適切に対応していきたいと思います。

シリア情勢

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
 先週、日本はシリアの医療システム等を支援するために600万ドルほどの無償資金協力を実施しました。これを踏まえ、日シリア関係の現状についてお聞かせください。特に、在シリア日本大使館の現状につき、機能しているのか、または近く再開する計画はあるのか、お聞かせください。

【茂木外務大臣】
(以下は日本語にて発言)
 ありがとうございます。思い起こしていただきますと、シリアのダマスカス、中世の時代においても中東の中心地域でありました。例えば十字軍の時代、第3次十字軍、花の十字軍と言われまして、圧倒的な戦力を誇ったのですが、それに対峙をしましたイスラム側の兵を率いたサラディン、これはダマスカスに布陣をすると、そして弟のアラディールが、アレキサンドリアで補給を担うという形でありまして、まさに中東の中心地域であったのがダマスカスであったと考えております。
 そのダマスカス、シリアが今、一変をしていると。シリア危機が10年目を迎えて、シリアにおける人道状況の改善が見られず、政治プロセスの進展も見られない中、現状の固定化とその解決に向けた動きが後退していること、懸念をしているところであります。
 日本は、いかなる勢力下に置かれているかに関わらず、貧困に直面しているシリアの人々に人道支援を実施してきておりまして、シリア及びその周辺国に対して、2012年以降、29億ドル以上の支援を実施してまいりました。そして今般、新たに約2億ドルの追加支援を決定をしたところであります。
日本としては、こうした人道支援を通じてシリア国内の人道状況を改善させるとともに、国連の下で政治プロセスを進展させるべく、シリア危機の解決に向けて、国際社会と引き続き緊密に連携をしていきたいと思っております。
 そして、ご質問のありました、在シリア日本大使館についてでありますが、この一時閉館は、主として現地の治安状況の悪化、これを理由とするものでありまして、大使館のダマスカスにおける業務再開につきましては、現地の情勢を注視しつつ判断をすることになると思っております。今、再開の目途が立っているということでありません。