令和3年2月17日

 2月17日(現地時間16日)、国際連合児童基金(UNICEF)本部のあるアメリカ合衆国ニューヨークにおいて、我が方、石兼公博国際連合日本政府代表部特命全権大使と先方ファイヤズ・キングUNICEF本部事務局フィールド成果及びイノベーション担当次長(Mr. Fayaz King, Deputy Executive Director for Field Results and Innovation, UNICEF)との間で、4億8,900万円を供与額とする無償資金協力「東グータにおける水、衛生及び母子保健サービスへのアクセス強化計画」に関する交換公文の署名が行われました。

  1. 2011年3月のシリア危機発生から10年目に入り、同国では、国内避難民620万人を含む1,170万人が何らかの支援を必要としているといわれており、人道上の危機的状態が続いています。その中には470万人の子どもに加え、特に脆弱な妊産婦も含まれています。危機が長年に亘って継続した結果、経済活動は低迷し、給水、衛生、保健、教育等、多くの基本的な社会サービスが欠如する中、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、多くの人々が極めて厳しい生活環境に直面しています。
  2. 首都ダマスカス郊外の東グータ地区には、帰還民だけでなく国内避難民も居住しており、安定した水供給に対するニーズが高まっていますが、供給量は十分ではありません。また、戦闘により下水処理施設の多くが損壊し、下水システムが十分に機能していないため、水・衛生面での危機にも直面しています。特に、子どもや女性などの脆弱な人々にとっては、保健衛生環境の向上と母子保健サービスへのアクセス改善が喫緊の課題となっています。この協力は、同地区の上水及び下水関連設備の修復を行うと同時に、小児・産婦人科クリニック等に医療資機材を供与するものです。この協力により、シリア国内避難民を含む市民への安定的な水、衛生及び母子保健サービス供給を図り、もって同国内での人道的危機状況の改善に寄与することが期待されます。

シリア・アラブ共和国の面積は約18.5万平方キロメートル、人口は約1,690万人(2019年、世界銀行)。