2021年1月29日(金曜日)
11時27分~11時43分
於:記者会見室

冒頭発言

電力卸売市場価格

初めに私から1点申し上げます。

この冬の電力需要の逼迫から生じました電力卸売市場価格の高騰につきましては、来年4月に予定していた精算金への上限価格の設定の前倒し実施等の対策により、今週に入ってから市場はおおむね平常時の水準に落ち着いてまいりました。

他方、今回の市場価格高騰を受けて、市場連動型メニューを契約する一部の消費者が一時的にそれまでの価格水準と比べて高額な料金請求を受ける可能性があり、新型コロナウイルス感染症の影響が続く現下の経済状況に鑑み、必要な対策を講ずることといたします。

具体的には、市場連動型メニューを提供する小売電気事業者に対しまして、需要家の電気料金負担が激変しないよう柔軟対応を要請をいたします。

また、他の小売電気事業者への卸供給を行う事業者に対し、卸供給料金の支払いに関する柔軟対応を要請をいたします。

さらに、一般送配電事業者に対し、こうした対応を行うなど、一定の要件を満たす小売電気事業者に対する精算金の支払いについて、5か月での分割払いを可能とするように要請をいたします。

その上で、既に電力・ガス取引監視等委員会に相談窓口を設置しておりますが、消費者や事業者の皆様からの御相談にしっかりと対応してまいりたいと考えています。

また、今回の市場価格高騰について、包括的な検証を実施の上、安定供給確保や市場制度の在り方などについて引き続き検討してまいります。

詳細は事務方から説明をさせたいと思っております。

私からは以上です。

質疑応答

高浜原発

Q:運転開始から40年を超える高浜原発1、2号機の再稼働についてですが、高浜町長が同意する方針を固めたという報道が出ています。大臣もこの後町長とテレビ会議をするとのことですが、40年を超える原発の再稼働に自治体が同意するのは初めてとなります。県の同意というハードルもあると思いますけれども、現時点の受け止めと会談でどのようなことを話し合われる予定か、教えていただけますか。

A:御指摘のように、本日、野瀬高浜町長とテレビ会議で面談する予定になっております。その際、昨年の11月26日に野瀬町長から保坂資源エネルギー庁長官にお伝えいただいた要請につきまして、何点かありますけれども、私から回答させていただく予定であります。

再稼働に対する高浜町の理解については、野瀬町長が今後どのような判断をされるかということでありまして、今の時点では私からのコメントは差し控えたいと思っております。

電力卸売市場価格

Q:今の卸売電力市場の件なのですけれども、今、約700社新電力がある中で、今回のような支援措置の必要性と、抜本的な助けるようなものではないかもしれないですが、もともとヘッジしようと思ったら先物取引でできたわけで、このような支援の在り方についてどのようにお考えですか。

A:一番は、今コロナ禍で需要家、ユーザーの方が高額の請求を最終的には請求されるというような形になる、そういった中でどういう支援をしようかということ、それと資本が非常に脆弱な新電力もあるという中で、そういった声もありますので、対価は対価としてどういう支払いの仕方があるかということで、柔軟なということを言っておりますけれども、数か月平均にして支払いが可能かどうかということも含めて対応していくということになります。

市場の在り方については、引き続き今も検討していくということを申し上げましたけれども、来年の4月に上限価格の設定の予定でしたけれども、そこだけ前倒しでやるということになりましたけれども、市場の在り方についての検討、市場の整備ということについての検討、そして今回このような状況が起こった中での例えば小売の電力、新電力の在り方であるとか、どうヘッジするかというような方法論も含めて、これから検討していくということで、これまでも検討していますけれども、さらにこういう状況を踏まえた検討を重ねていくということになるのかと思います。

Q:もともと卸市場もある程度のスパイクというのは予想されていたと思うのですけれども、それは基本的には新電力さんの努力でやってもらうというのが基本というのは変わらないですか。

A:本来はそうだと思いますね。ですから、安いときには安いままで受けて、また連動型で市場というか、消費者、ユーザーに出しているものもありますから、だから一部に再エネが非常に安いという話も現実としてあるわけですよね。

ただ、再エネが発電できなくなった場合であるとか、またほかのバックアップ電源がどうしても不足ぎみになっているところとか、幾つかの状況が重なった形で今回の事象が起きているという、事象があるということですから、それらも含めてどうしていくか、安定供給のためにどういった、例えば技術開発も含めて何が必要なのか、あと市場の整備という点では、市場でどういった形で救済策ができるようにしていくのか、応急の救済策というよりも、市場としてそういうものがあれば予見可能性も出てくるということにもなりますから、そういったものも含めてしっかりと検討していきたいと思っています。

売上減少中小事業者に対する一時金

Q:緊急事態宣言に伴う一時金に関してなのですけれども、予算委員会で大臣は受付開始について、できるだけ3月の頭を目指したいと言われていますが、改めて受付開始のめどと支給についてもスケジュール感などがあればお願いいたします。

A:一時金につきましては、効率的、効果的な事業実施手法についての情報を広く求める情報提供依頼を1月13日からホームページ上で実施をいたしました。そして、1月20日に事務局の公募を開始いたしました。そして、27日に改札を行い、その結果、デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社が落札をしたということになります。

今後速やかに契約締結を行って、申請受付に向けて準備を進めるということですけれども、今最終段階、いろいろな詰めをした上で、来週早々にでも契約をしたいと思っております。

契約すればすぐに支払いができるかというとそうではなくて、向こうの提案もございます。こちら側の要求もあります。それを契約にまとめた上でシステムをつくり上げたり、全国にどういう形で、全国というのはこの支払いの範囲となるようなところにどのような形で人を配置するか、また申請の受け付けをしていくかということも含めて、これまでの知見も加えながら、そういったものを配置していくということになりますから、今の時点で言えば、システムをつくったり、その確認をしたりということ、またどういうオペレーションをしていくかということも含めて、3月の頭ぐらいに申請をしたいということで、駆け足で今作業を進めているという状況であります。

Q:今の一時金にも絡む経済対策についてお伺いしたいのですが、昨今街などを歩いていると、かなり飲食店で閉店している店なんかが増えている感じがするのですが、そういった中、国会でも野党からは持続化給付金の継続ですとか、与党からも一時金の拡充などの話が出ていると思うのですが、経済産業省として今後の追加の経済対策みたいな今お考えというのはあるのかどうか。

A:これは政府全体で今議論をしています。ですから、執行機関は我々でしっかりやっていきますけれども、それぞれの省庁が今の状況をどう捉えるか、そして情報を共有して議論をしているということであります。

私どもも当然中小企業、または各産業の状況を捉えて、景気の判断もしていかなくてはなりませんし、どういった対策が適切かということも、適時適切に判断していかなくてはならないと思っております。

そういった中で、昨年3月ぐらいからずっとそういう業界ごとのヒアリングであるとか、また地域の景況感であるとか、そういったものを見ながらこれまでの対策をしてきたということでありまして、持続化給付金のほかにも今度の協力金もある。協力金、例えば1日6万円、1か月で180万円という額が高いか安いかという議論はあります。店の規模にもよります。では、大手企業はどうするのだということになったときには、例えば飲食のチェーン店であれば1店ごとに180万円上限ですよという話もさせていただいています。

ただ、どこも満足するような話は、なかなかこの点ではできないという中で、私が例えばほかの産業で聞いているのは資金繰りどうしたらいいのかということで、無利子・無担保の上限据置5年間の融資というのが今年4月まで民間金融機関でもできる、そして、政府系金融機関では6月までできるということを非常に皆さんからありがたがっている声を聞く部分もあります。

ですから、企業によって目の前のお金がどうしても必要だという部分、サービス業などは当然それで回転をしていくということですからそういうことになると思いますし、あとは雇用調整助成金、厚生労働省関係ですけれども、その合わせ技でどう対応していくということ、政府はできる限りのことをやるというのは当たり前のことでありますけれども、そういった中で全てを併せてみてどうなのかということを考えながら、対策を講じていきたいと思っております。

ですから、そのほかにも従来からの補助金もありますし、コロナ禍において事業に関する補助金というものもたくさん、持続化の補助金もありますし再編をするような今度の補正予算に入っているような事業の補助金もありますし、そういった声も我々には聞こえてきているということですから、全部合わせてトータルでどうしていくかということになるかと思います。

企業としてはどうするか、企業には雇用を維持してもらうということが大切だと思います。あと個人の部分でどういった制度が使えるのかという中で、例えば個人が置かれている環境という中で幾つか選ぶものも出てくるということだと思いますし、そういった中でトータルで判断をしていただくということと、我々も状況をできる限り把握した上で、お困りの皆様にはそういった対応がすぐ対応できるような形にしたいということで、経済産業省なりに事業に関しては他省庁も含めて、ホームページで掲載をしているところでありますし、相談も受けているところでもあります。

自動車の電動化

Q:2030年代半ばに全て電動車にするというのに関連して、先日日産が30年代後期に全ての新型車をEVにするという方針を発表していますが、政府の取組も受けて、民間からも自発的な取組が出てきている状況ですけれども、現状に関する御評価をお願いいたします。

A:昨年の10月26日、臨時国会の所信表明で菅総理が2050年度のカーボンニュートラルを目指すという宣言をされたわけであります。

その前もいろいろな産業にいろいろな対話をしてきましたけれども、後押ししてくれればと、背中を押してもらえればというような声も数多くあったんですね。世界の市場を考えたときには、カーボンニュートラルを前提にエネルギーの転換もしていかなくてはいけない。環境の変化にも対応していかなくてはならない。そういった中で皆さんビジネスをされているという中での今回の宣言であったと思っております。

そして、今回の国会においても、総理が2035年に電動化、電動車というようなお話をさせていただきました。そうした中での日産自動車も表明をしたということでありまして、自動車業界に限らずに、様々な業界で世界の市場を見据えて対応していこうと、そして技術開発をしていこうというような動きが出てきていると思っております。

そこをどう予算であるとか、税制であるとか、規制であるとか、あとは国際連携であるとか、よく皆さんからも出てきますけれども、カーボンプライシング、これも国際連携も必要だと思いますけれども、そういったものを駆使しながらどう乗り越えていくかということがこれからの大きな課題でありますし、大変難しい、高いハードルだと思いますけれども、やっていかなくてはならない課題だということで、全省を挙げて取り組んでまいりたいと思いますし、他省庁との連携も図ってまいりたいと思っております。

柏崎刈羽原発

Q:東京電力柏崎刈羽原発について、終了したと発表していた安全対策工事が実際には完了していなかったという事案がありました。先週には中央制御室への不正入室が発覚したばかりで、地元への不信感が広がっています。

そのことについて大臣の受け止めと経済産業省としての対応があればお聞かせください。

A:現場管理の徹底というのは、安全に原子力事業を進めていくための基本であると思っております。IDカードの不正使用に続いてこのような事態が生じたことは、誠に遺憾であります。

これを受けて、改めて昨日1月28日に、資源エネルギー庁長官から東京電力社長に対し、対面で、IDカードの不正使用も含めて二度とこうしたことが起こらないように、原因究明を徹底的に行って、社員教育を含め現場管理の在り方の総点検を行うことを厳重に指導をしたところであります。東京電力においては、地元や国民の信頼を取り戻すように、徹底的に再発防止に取り組んでもらいたいと思います。

経済産業省としても、東京電力の取組を継続的にフォローをしてまいりますし、私も予算委員会の中でありましたけれども、この話を聞いて非常に遺憾に思っておりますし、こういったことができないとやはり地元の住民の立地地域の信頼、そして国民の信頼は得られないものだと思っておりますから、こういったものが徹底できるようにしてもらうように指導してまいりたいと思っております。

以上

最終更新日:2021年2月3日