(令和3年1月29日(金曜日)11時39分 於:本省会見室)

日米外相電話会談(在日米軍駐留経費交渉)

【NHK 山本記者】2点お願いしたいのですけれども、最初にホストネーションサポートについてです。先日の、ブリンケン国務長官との電話会談で、早期妥結に向けて緊密に連携ということを確認したということですけれども、いつ頃までに、どのような内容での妥結を目指すお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】ホストネーションサポートについて、先日のブリンケン国務長官との会談では意見交換を行いまして、交渉の早期妥結に向けて、日米で緊密に連携していくことを確認をいたしました。
 交渉は、今、継続中でありまして、具体的な交渉の方針であったりとか、どこまで進んでるか、どうなっているか、こういったことは今後の交渉にかかわってきますので控えたいと、こんなふうに思っておりますが、いずれにしても、一層厳しさを増している地域の安全保障環境、こういったことについても意見交換しましたし、また我が国の厳しい財政状況もありますので、そういったものも踏まえて、適切に対応していきたいと思っています。

日米外相電話会談(新疆ウイグル自治区の人権状況)

【NHK 山本記者】もう一点お願いします。ウイグル族の問題についてですけれども、ブリンケン国務長官は、中国政府がウイグル族などの少数民族に行っている行為を、いわゆるジェノサイドに当たるという認識を示しています。トランプ政権もジェノサイドと認定していたわけですけれども、日本政府としてはどのような認識をお持ちなのでしょうか。

【茂木外務大臣】これは元々、ポンペオ長官の方がジェノサイドと、こういった形で話をして、先日、上院の公聴会でジェノサイドかと聞かれたのに対して、ブリンケン長官、そのように認識していると、こういうやり取りだったのではないかなと、そんなふうに記憶をいたしておりますけれど、新疆ウイグル自治区に関しては、重大な人権侵害が行われているという報告が数多く出されているわけであります。
 今般のそういった米国の判断は、新疆ウイグル自治区のこうした人権状況に対する米国の強い問題意識を反映しているものだと受け止めておりまして、表現ぶりはそれぞれあると思いますし、またジェノサイドについて、ジェノサイドは条約上どうなっているかと、こういったこともあるわけでありますけれど、我が国としても同自治区の人権状況については深刻に懸念をしております。
 我が国として、国際社会における普遍的な価値であります、自由、基本的人権の尊重、法の支配、これが中国においても保障されることが重要であると考えてきておりまして、私(大臣)からも昨年11月、王毅(おう・き)国務委員が訪日した際に、新疆ウイグル自治区の人権状況について、中国政府が透明性をもって説明をするよう、働きかけてきたところであります。
 また国際場裡におきましても、関係国と緊密に連携をしてきておりまして、例えば昨年11月には、国連の第3委員会におきまして、香港、新疆ウイグルに関する共同ステートメントに、日本としてアジアから唯一参加をしまして、新疆の人権状況に関する深刻な懸念を表明したところであります。
 引き続き、米国を含みます関係国とともに、国際社会が緊密に連携をして、中国側に強く働きかけていくことが重要であると、そのように考えております。

日英「2+2」

【テレビ朝日 佐藤記者】先ほど、2月3日に第4回の日英「2+2」の開催が発表されましたけれども、改めて茂木大臣、この会合にどういったメッセージを発信していきたいか、その思いをお聞かせください。

【茂木外務大臣】つい先ほど発表させていただきましたが、英国、基本的な価値を共有するグローバルな戦略的パートナーでありまして、その英国との間で「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた協力を含めて、日英間の安全保障、防衛協力であったりとか、地域情勢等について議論して、両国の連携を一層強化をしていきたい、そんなふうに思っております。

日米外相電話会談(同志国との連携)

【テレビ朝日 佐藤記者】もう一問お願いします。先ほどの日米外相電話会談に話が戻りますけれども、この会合の中で、大臣の会見、もしくは日本政府の発表の中で、日米韓の連携についての言及がありませんでした。
 一方で、米国政府のステートメントの中にはそういった言葉があったんですけれども、これについては、現在の日韓関係を反映したものではないかという一部指摘があります。こういった指摘が、実際当たるのかどうかということと、日米韓の連携についてどういった協議がなされたのか教えてください。

【茂木外務大臣】それぞれ、発表内容、全部を議事録のような形で網羅するわけでありませんので、そこの中で要約をしているということでありまして、少なくとも私とブリンケン長官の間で、様々な国際情勢であったりとか、地域情勢に対する認識、変わっているとは思っておりません。
 そういった中で、いろいろな議論をしておりますけれども、例えば日米豪印、QUADを含め、同志国との連携、これはどちらかといいますと、FOIP等での連携であったりとか、様々な例えば連結性の強化であったりとか、こういう文脈でありまして、一方、日米韓につきましては、北朝鮮に対する対応ということで連携していくことが重要だと、このことは私(大臣)は話していますので、それは単に、別にどちらがあれというよりも、要約の中でそうなっているというだけでありますから、齟齬はありません。

中国海警法

【読売新聞 福田記者】来月、中国で施行される海警法についてお伺いします。この法律が施行されると、尖閣周辺で中国公船の動きが活発化するのではないかという懸念の声も上がっています。政府としてどのように対応していくのか、大臣の所感をお聞かせください。

【茂木外務大臣】中国の海警法、これは中国の海警局の職責であったりとか、権限を基本的に定めるものでありますが、これまでも様々な機会に、我が国の懸念については中国側に伝えてきております。中国海警法施行が現場に与える影響、これを含めて中国海警局を巡る動向を、引き続き高い関心を持って注視していきますが、大切なことは、この法律が国際法に反する形で適用されることがあってはならないということだと考えておりまして、今後とも、日本の領土・領海・領空、断固として守り抜くと、こういった決意の下、関係省庁と連携して、冷静かつ毅然と対処していきたいと思います。

日米外相電話会談(自由で開かれたインド太平洋)

【産経新聞 石鍋記者】先日のブリンケン長官との会談についてお伺いします。「自由で開かれたインド太平洋」の重要性を確認したとのことですけれども、米側の発表でも、「自由で開かれたインド太平洋」という表現があったと思います。バイデン政権でもですね、この日本が掲げた「自由で開かれたインド太平洋」、この考えが引き継がれたとお考えでしょうか、お願いいたします。

【茂木外務大臣】引き継がれたかどうかと、引き継ぐというのはどうか分かりませんけれども、向こうの政権交代という形で政権移行に対して、どういうやり方をしているかというのは、確たることを私も申し上げる立場にありませんけれども、いずれにしても、トランプ政権との間でもそうでありましたけれども、バイデン政権、ブリンケン長官との間でも、FOIP、「自由で開かれたインド太平洋」の実現、これに向けて協力を深めていきたいということで一致をいたしました。