(令和2年11月27日(金曜日)15時53分 於:本省会見室)

日中間の人の往来再開

【NHK 山本記者】先の日中の外相会談で決まった人の往来の再開についてですけれども、中国外務省の報道官は30日に開始するというふうに発表していましたけれども、そういう理解でよかったのか

【茂木外務大臣】王毅(おう・き)国務委員との間では、月内にこの「ビジネストラック」、更には「レジデンストラック」について開始をしたいということで合意いたしまして、調整の結果、30日からスタートすることになったわけであります。
感染の拡大防止、これに最大限の注意を払いながら、それと両立する形で、国際的な人の往来を再開していくと。このことは今後のことを考えても、極めて重要なことだと考えております。
特に新型コロナの感染の拡大の前は、人の往来ということで言いますと、日中間が一番多かったわけでありますから、その中国との間でこういった合意に至り、段階的ではありますけれど、人の往来が再開される、このことについては歓迎をしたいと思っております。

日中外相会談(日中共同記者発表における中国側発言)

【共同通信 中田記者】日中外相会談について伺います。日中外相会談後の共同記者発表での王毅国務委員の、尖閣諸島をめぐる問題につきまして、昨日の自民党の外交部会・外交調査会の合同部会では、王毅氏の発言があった後に、あの場で即応的に反論すべきだったという意見が多く出されたというふうに、記者団へのブリーフで伺いました。こうした党内の指摘に関する大臣のご見解をお願いいたします。
 
【茂木外務大臣】まず、事実認識から申し上げますと、あれはですね、日中外相会談、これは完全に終わっていない、ワーキング・ディナーもありますから、その途中で皆さんのご都合もあったと思います。いろいろな形の報道のご都合もあったと思いますので、あの時間帯で、共同の記者発表と、これを入れさせていただきました。
 実際には、王毅国務委員とはテタテの会談も含めて、合計3時間以上にわたり、日中の外相会談を行いまして、二国間関係から地域・国際情勢に至る幅広い議題について、率直な議論を行ったところであります。
その中で私(大臣)からは、尖閣諸島周辺海域を含みます東シナ海情勢、そして日本産食品の輸入の規制、更には邦人拘束、南シナ海情勢、香港情勢、ウイグルについて、我が国の立場を明確に伝え、中国側の具体的な行動を強く要請するとともに、中国が、地域・国際社会の諸課題について、責任を果たしていくべきであると、こういった我が国の立場・考え方もしっかり伝えたところであります。
 また、北朝鮮を含めます地域情勢であったり、気候変動、米中関係、貿易・投資等の国際社会が直面する課題についても、突っ込んだ議論を行ったところであります。
 その上で、ご指摘の王毅国務委員の発言、当然ながら、尖閣諸島についての中国独自の立場に基づくものでありまして、全く受け入れることはできません。尖閣諸島については、歴史的にも、また国際法上も、疑いのない我が国の固有の領土でありまして、現に我が国はこれを有効に支配しております。同諸島をめぐり、解決すべき領有権の問題、そもそも存在しないと、このように考えているところであります。
 このような我が国の立場については、日中外相会談の中で、私(大臣)から王毅国務委員に対して明確に伝えておりまして、過去最長となります領海侵入、そして接続水域内の航行、我が国の漁船への接近等の個別の事案も取り上げながら、我が国の強い懸念を伝えて、中国側がこうした行動をとらないよう、強く申し入れを行ったところであります。
 共同記者発表、これは会談での概要につきまして、主催国、そして相手国という順番で、それぞれ1度ずつ発言を行う、こういうルールで行っているところでありまして、今回もそうしたアレンジとしたために、共同記者発表における王毅国務委員の発言については、共同記者発表の後に行われました外相の引き続きの会談の中で、我が国の立場、考え方、改めて強調したところであります。
 
【テレビ東京 加藤記者】関連してお伺いいたします。外交部会からですね、決議文っていうのは、もうすでにお受け取りになられたのでしょうか。もしお受け取りになったということでしたらですね。
 
【茂木外務大臣】受けとっていません。
 
【テレビ東京 加藤記者】まだ受け取ってないということ。分かりました。
 
【茂木外務大臣】まだ、と言うのも正しくないです。受けとっていません。
 
【テレビ東京 加藤記者】承知いたしました。