(令和2年9月8日(火曜日)12時14分 於:本省会見室)

人的往来の段階的緩和(「レジデンストラック」)

【産経新聞 原川記者】本日から、マレーシア、台湾など5各国・地域との間で、この人的往来の段階的緩和措置のうち、「レジデンストラック」の運用が開始されるところですが、今、協議中のその他の国も含めて、今後のその協議の見通しを教えていただきたいのと、もう1点、対象協議をする対象地域・国の拡大、こちらの方の見通しについても聞かせていただけますでしょうか。

【茂木外務大臣】本件、6月18日そして7月22日のNSC、そしてコロナ対策本部の決定に基づいて、現在の16の国・地域との間で国際的な往来の再開に向けた枠組み作り、これについての協議を行っているところでありまして、ご案内のとおり、まず「レジデンストラック」については、すでに最初の4か国でありましたベトナム、タイとの間で実施をすでにされている。 そして、先日発表させていただきましたが、今日からマレーシア、カンボジア、ラオス、ミャンマー、台湾、この5か国・地域との間で、この「レジデンストラック」開始をすることになったわけであります。 「ビジネストラック」につきましても、先日、シンガポールを訪問した際に、9月の開始を目指すことで合意をしております。残る、16か国の中の地域との間でも、今、鋭意、協議・調整を進めているところであります。
 こういった対象としている16か国、これに加えまして、感染が落ち着いている地域、そしてビジネス等のニーズが高い地域との間では、この対象を広げていきたいということでありまして、今後の状況を見ながら検討していきたいと、そのように思っております。

今後の入国規制緩和の見通し

【パンオリエントニュース アズハリ記者】
(以下は英語にて発言)
 大臣は再入国許可を有する人のことをお話しされていたかと思います。お伺いしたいのは、日本への査証を有さない人につき、仮にどこかの国の人が日本を訪れたいと考えたときに、そのような人たちが日本を初めて訪れるために必要な査証の発給停止は、いつ緩和されるとお考えでしょうか。外交旅券、VIP、米軍関係者等の一定の人は入国できると承知しますが、一般人はどうでしょうか。そのような人たちが近い将来、査証を取得し、日本を訪れることができるとお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】
(以下は日本語にて発言)
 この人の往来の再開、これに向けては、感染拡大の防止と両立する形で進める、こういったことを申し上げてきました。そして、国については、感染が収束している、収束しつつある国から始める。また人につきましては、ビジネス等の関係者から始めて、その後、留学生であったりとか、そういったニーズの高い人を進め、最終的には観光客も含めて、一般の方々の入国を認めていく。こういう段階を踏んでいくというところでありまして、こういった中で、今申し上げたような「レジデンストラック」、更には「ビジネストラック」というものを開いたところでありまして、またこの「ビジネストラック」、「レジデンストラック」についても、どこまで対象国を広げていけるかと、こういったことを考えております。
 一方で、在留資格をお持ちの方に対する、ビザの停止の解消といいますか、入国できるようなことにつきましては、感染状況とかそういったものも見ながら検討を進めていきたい、こんなふうに考えております。

ドイツによるインド太平洋地域への関与

【日経新聞 溝呂木記者】ドイツ政府がこの度、「インド太平洋ガイドライン」と題する新たな外交や通商の方針を発表しました。日本が提唱する自由で開かれたインド太平洋構想とも通じるように見受けられますが、この度のドイツの発表をどのようにご覧になっていらっしゃいますでしょうか。

【茂木外務大臣】ドイツ政府のガイドライン、高く評価できるものだと、このように考えているところであります。日本とドイツの間では、これまでも自由で開かれたインド太平洋の重要性について議論してまいりました。私(大臣)とマース大臣の間でももちろんでありますが。今般、ドイツが策定しましたガイドライン、これですね、そのエッセンスから言いますと、これからの世界秩序の形成は、インド太平洋において決せられると、そういうふうにした上で、政府としての基本方針を閣議決定したものと承知をいたしております。
 このガイドライン、日本もこれまで強調してきておりました、航行の自由、法の支配、そして連結性といった理念、更にはASEANが提唱するAOIP、そして日本が提唱する自由で開かれたインド太平洋、これとも合致するものと、そんなふうに考えているところでありまして、非常に高く評価できるものだと考えております。
 我が国、ASEAN諸国はもちろんでありますが、米国や欧州各国をはじめとした多くの関係国とも連携を深めながら、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、主導的な活動をとってきたところでありますが、英国であったり、フランスだけではなくてドイツ、これにつきましても主要なパートナーとして、こういった取組を進めていきたいと思っております。

自民党総裁選挙

【共同通信 高尾記者】政務の関係で恐縮なんですけど、今日告示された自民党総裁選挙について伺います。石破元幹事長、菅官房長官、岸田政調会長の3人が立候補を届け出ました。14日の開票に向けて、どのような選挙戦になることを期待されるか、併せて新しいリーダーに求められる資質について、大臣のお考えを伺えればと思います。

【茂木外務大臣】今日、外務大臣として、この会見に今臨んでおりますので、私(大臣)から申し上げられることは、今回3人の候補者が今日立候補されたと。それぞれに素晴らしい経験、そして見識を持っている方でありまして、自由闊達な総裁選が行われ、そしてその結果として新しい総裁が選ばれ、新しい体制というのが構築されると、早急に構築されることが重要だと、このように思っております。

ASEAN関連外相テレビ会議

【NHK 渡辺記者】明日からですね、ASEANの外相会合がオンラインで行われると思いますけれども、これに臨まれるにあたっての、日本としての、どういった立場で臨まれるのか、どういった話し合いをしたいのか、そういった位置づけですね、その辺、大臣の意気込み含めて、伺わせていただければと思います。

【茂木外務大臣】明日9日に、三つの会議、ASEAN+3外相会議ですね、そして日ASEAN外相会議、EASの参加国外相会議、さらに12日にARFの閣僚会合、それぞれオンラインで開催をされて、全ての会議に私(大臣)も出席、参加をする予定であります。 今回の会合では、ASEANを含めます各国の外相、参加をして、新型コロナ対応であったりとか、南シナ海の問題、北朝鮮の問題をはじめとする地域情勢に関して、意見交換が行われると、このように承知をいたしております。
 私としても、先般の東南アジア訪問であったり、4月の新型コロナに関するASEAN+3の特別首脳テレビ会議での議論も踏まえて、積極的に議論に貢献をしていきたい、その中でコロナ対策での連携の強化、更には地域の平和と繁栄の実現につなげていく、こういう議論を行っていければ、そんなふうに思っているところであります。

尖閣諸島(中国漁船衝突10年)

【産経新聞 石鍋記者】10年前に起きた、尖閣諸島周辺での中国漁船衝突事件についてお伺いいたします。当時外務大臣だった前原誠司議員が産経新聞のインタビューに対して、逮捕された船長の釈放は、当時の菅直人総理からの指示によるものだったと証言しております。現内閣として、こうした事実を把握していらっしゃいますでしょうか。また、こうした判断が適切だったかどうか、ご見解をお聞かせください。

【茂木外務大臣】当時の政権、いろんなことがあったのだと思います。その一つひとつについてコメントすることは控えたいと思うのですが、先日、映画「Fukushima 50」、拝見しまして、渡辺謙さん、佐藤浩市さん、秀逸だったのですが、佐野史郎さん、総理役をやっていまして、やっぱり上手いなと、あのいらつき方とか混乱ぶりとか、そんなふうに思って。映画ですから、どうか分かりませんけれど、とってもリアルに描かれているなと感じたところでありますけれども。 ご指摘の事案につきましては、我が国の領海内で発生した公務執行妨害事件でありまして、本来ならどうすると、いろいろな意見があると思うのですけれども、それについて少なくとも様々な意見が出ている、このことだけは事実だと思っております。

【NHK 渡辺記者】今の産経新聞の、前原、当時のですね、国交大臣の証言に関連してですけれども、これ例えばですね、大臣としての、大臣経験者としての秘密漏えいに当たるということはないのでしょうか。

【茂木外務大臣】内容につきまして、細かく検証しているわけでありませんので分かりませんけれども、ご指摘を受けましたので、どういう内容だったか精査をしてみたいと思います。