(令和2年9月7日(月曜日)16時03分 於:本省大臣接見室)

冒頭発言

【茂木外務大臣】いまほどですね、ジャグナット・モーリシャス首相と電話会談を行ったところであります。

冒頭、私から、困難な状況下で今回の油流出事故に対して、対応してきたモーリシャスの政府と国民に敬意を表するとともに、日本政府としてもこの事故を重く受け止めていること、モーリシャスの要請を受けて、直ちに国際緊急援助隊派遣をいたしまして、資機材を提供してきており、専門家の派遣を継続する、こういうこともお伝えいたしました。

その上で、モーリシャスの今後の復旧と復興のための課題、考えてみると、環境の回復や経済・社会の幅広い分野に及ぶものである、このように認識をしている、この観点から、今後、迅速かつ中長期的な視点で、協力を進めたい、このように申し上げました。

具体的には、3点あるんですが、モーリシャス政府の要望もふまえまして、ひとつは、事故再発防止のための海上航行安全システム、そして油流出事故に関する初動体制の強化等への協力、二つ目として、汚染された環境の回復のためのマングローブ林保全・再生の専門家の派遣、サンゴ礁等の環境モニタリング、生態系の再生等への協力、さらには、地域の住民の皆さんも、かなり影響が出ているところでありまして、地域住民、特に零細漁業者の生計回復のための漁業関連資機材の提供であったり、沿岸漁業振興協力等について迅速に協力を進めていく、こういう考えをお伝えいたしました。

また、モーリシャスの経済の回復・発展これを後押しをしていくため、必要なその他の協力につきましてもですね、財政面も含めてモーリシャスに寄り添う形で検討したい、そして貿易投資セミナーの開催であったり、状況が許せば、モーリシャスにとっては観光、非常に大きな分野でありまして、観光・貿易を促進するための官民合同ミッションの派遣等、これまでにない規模でモーリシャスに協力をしていきたい、この旨伝達いたしました。

これに対しまして、ジャグナット首相から、日本のこれまでの迅速な国際緊急援助隊の派遣であったり、資機材の供与に謝意が示されるとともに、コロナ対応にあたっても、国際機関経由等で様々な支援を日本は行っているところでありまして、それに対して感謝している、こういう言葉がありました。油流出事故によりまして汚染された環境の回復のみならず、コロナ禍以来打撃を受けている経済の回復も喫緊の課題でありまして、今日の日本政府からの申し出に対して心から感謝する、引き続き日本の協力を得ていきたい、こういった発言がありました。今回の事故に関して、決して日本の責任だと考えていない、そういった中で日本が緊急援助隊をすぐに派遣してくれたり、様々な形で協力をしてくれている、大変ありがたく思っている、こういう話でありました。

更に、ジャグナット首相とは、モーリシャスの環境であったりとか、経済・社会の回復・発展のため、引き続き両国で緊密に連携していく、こういったことで一致をみたところであります。会談の概要以上であります。

質疑応答

【記者】今日はどちらからその会談っていうのは。

【茂木外務大臣】私の方からですね,日本としてこの1か月,緊急援助隊3度にわたりまして,援助隊,専門家のチームを派遣をして,現地の状況もつかんで当面の対応をやってきたんですが,今申し上げたようにですね,中長期にわたります,モーリシャスのですね,自然環境の回復であったり,さらには,経済再生,これに向けた日本の支援策がだいたいまとまりましたので,その概要をお伝えしたい,ということで電話を申し上げました。向こうの首相の方からもですね,ご要望をいただいた内容とほぼマッチングする形で,非常にですね,いい会談になったと思いますし,日本の支援策というのがですね,直接向こうのトップに伝えるいい機会になったと考えております。

【記者】すみません。その支援策ですけれども,早ければいつ頃からスタートできるとお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】ものによると思います。例えば,海上航行安全システムっていうのは別に明日からすぐに設置できるものではありませんから,そういったある程度調査をしたりして,そういったものを作っていったりするものもありますし,さらには先ほど言ったような零細の漁業者に対する資機材の提供とか,こういったものをですね,早急に進めたい,このようなふうに思っております。

【記者】大臣から今お話があったその漁業者への支援といった部分なんですけれども,一部地元紙の報道でモーリシャス政府から日本政府に対して漁業支援費として32億円の支払いを求めたといった報道もありましたが,今日の会談の中で具体的な金額の規模などもし出ていましたら教えていただければと思います。

【茂木外務大臣】今日ですね,日本の支援策の概要をお伝えすると,また向こうからですね,大きな支援のですね,塊と言いますか,項目についてお聞きをするという会談でありましたので,細かい数字等は話しておりませんが,基本的な日本の考え方をお伝えをし,そして,財政面も含めてですね,これまでにない規模のですね,支援を行っていきたいということに対して,感謝を示されたところであります。

【記者】首相の方からはですね,日本の責任であるとは考えていないという発言があったということだったのですが,こちらは日本政府の責任があるとは考えていないという意味合いなのでしょうか。

【茂木外務大臣】今回の事故について,日本に責任があると,そういうふうには考えていないけれど,そういった中ですね,日本として緊急援助隊派遣であったりとか,これまでも様々な支援をしてくれていると,そして今日改めてより中長期にわたるようなですね,環境問題への対応の問題,さらには,経済の回復への支援の問題,そして,航行の安全に対する支援の問題と,こういう暖かい支援策が提示されたことに対して感謝すると,こういう意味合いのなかで話されたと思っております。