令和2年7月28日

 7月28日(現地時間同日)、タジキスタン共和国の首都ドゥシャンベにおいて、我が方、宮下孝之駐タジキスタン日本国特命全権大使と先方オレグ・グチゲルディエフFAOタジキスタン事務所代表(Mr. Oleg GUCHGELDIYEV, FAO Representative in Tajikistan)の間で、総額7億9,800万円を限度とする無償資金協力「第二次バッタ管理対策改善計画(FAO連携)」に関する書簡の交換が行われました。

1 ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンの中央アジア5か国及び隣接するアフガニスタンにおいては、農業が主要産業、または、農業産品が主要な輸出品となっており、農業生産性の向上は、地域の食糧の安全保障、農民の生活、貧困削減に直結した重要課題となっています。
 しかしながら、中央アジア及びアフガニスタンでは、定期的に大量発生するバッタによる被害が農業生産性に影響を及ぼしており、特に近年、被害が拡大傾向にあります。特にバッタは国境を越えて長距離を移動するため、バッタ被害には周辺国で連携して取り組む必要がありますが、地域の連携体制が不十分であることも、バッタ被害の拡大に繋がっており、地域間の連携強化と各国での対策の強化が喫緊の課題です。

2 こうした状況を受け、日本は、平成27年度無償資金協力「バッタ管理改善計画(FAO連携)」を実施し、キルギス、タジキスタン、アフガニスタンの3か国に対し、バッタ駆除に必要な機材供与、能力強化のための研修等を実施し、バッタ対策に一定の成果を挙げました。その一方、中央アジア地域でのバッタの大量発生源は、アラル海やカスピ海沿岸部にも及び、温暖化によりこれまで影響のなかった高緯度地域においてもバッタ被害が報告されています。そのため、同地域において効果的にバッタ被害を削減するには、ウズベキスタン、カザフスタン、トルクメニスタンを含めた6か国で連携し、バッタの発生状況の共有と対策を講じる必要もあります。

3 この協力は、上記6か国において、バッタ駆除活動と大量発生防止を目的とした調査・分析を行うための機材を供与するほか、越境地域協力連携体制の構築、研修等を実施するものです。

4 この協力により、バッタによる農作物被害への対応能力が強化され、農村部の農業生産性が向上することが期待されます。また、バッタの発生地域で早期発見・駆除のためのモニタリングが行われる地域の割合が10%(2019年実績値)から50%(2025年事業完了時)に増加することが見込まれていることで、地域的な対策が強化され、地域住民の食料安全保障の確保・生活向上を通じた持続的な地域経済社会開発に寄与することが期待されます。

[参考1]ウズベキスタン共和国基礎データ
 ウズベキスタンは、面積44.7万平方キロメートル(日本の約1.2倍)、人口約3,280万人(2019年、国連人口基金)、人口一人当たり国民総所得(GNI)は2,020米ドル(2018年、世界銀行)。

[参考2]カザフスタン共和国基礎データ
 カザフスタンは、面積272.5万平方キロメートル(日本の約7倍)、人口約1,860万人(2019年、国連人口基金)、人口一人当たり国民総所得(GNI)は7,830米ドル(2018年、世界銀行)。

[参考3]キルギス共和国基礎データ
 キルギスは、面積19.85万平方キロメートル(日本の約半分)、人口約620万人(2019年、国連人口基金)、人口一人当たり国民総所得(GNI)は1,220米ドル(2018年、世界銀行)。

[参考4]タジキスタン共和国基礎データ
 タジキスタンは面積約14.31万平方キロメートル(日本の約4割)、人口約930万人(2019年、国連人口基金)、人口一人当たり国民総所得(GNI)は1,010米ドル(2018年、世界銀行)。

[参考5]トルクメニスタン基礎データ
 トルクメニスタンは、面積約48.8万平方キロメートル(日本の約1.3倍)、人口約590万人(2019年、国連人口基金)、人口一人当たり国民総所得(GNI)は6,740米ドル(2018年、世界銀行)。

[参考6]アフガニスタン・イスラム共和国基礎データ
 アフガニスタンは、面積約65.3万平方キロメートル(日本の約1.7倍)、人口約3,717万人(2018年、世界銀行)、人口一人当たり国民総所得(GNI)は550米ドル(2018年、世界銀行)。