2020年7月22日

日米欧中韓の特許庁(五庁)は、7月21日、第13回五庁長官会合をテレビ会議形式で開催しました。本会合では、COVID-19への対応について意見交換するとともに、今後取り組む新技術・AI分野の協力範囲などについて合意しました。

1.概要

日米欧中韓の特許庁(以下、「五庁」といいます。)への特許出願(約284万件(2018年))は、世界の特許出願件数(約333万件(2018年))の約85%を占めています。

この五庁は、2007年より長官会合を継続して開催し、審査結果の相互利用、手続の簡素化、審査の質の向上等の課題について、3つの作業部会(WG1: 分類関連、WG2: 情報関連、WG3: 審査関連)、専門家・実務者会合(PHEP: 制度運用調和関連、NET*1/AIタスクフォース: 新技術・AI関連)等で検討を行ってきました。

*1「NET」:New Emerging Technologies(新技術)

2.長官会合の結果

(1) COVID-19への対応

五庁は、COVID-19に対抗するためのイノベーションを支える知的財産権の保護の重要性を再確認し、出願人や発明者への手続面等における利便性への影響を緩和すべく各庁が講じた措置について意見交換を行いました。今回の会合では、ポストコロナ時代においても、知財ユーザーのニーズに応えていくよう五庁の連携をさらに強化していく点で一致しました。

(2) 今後取り組む新技術・AI分野の協力スコープ

五庁は、新技術・AIに対応するためにタスクフォースを設置して、協力内容につき議論を行っています。今回の会合では、新技術・AIにおける五庁の審査実務の比較研究や審査事例集の作成等といった法的面及び各庁業務へのこれら技術の適用状況等に関する情報交換や共通する課題のベストプラクティスの特定等といったITシステム面での協力範囲についてタスクフォースで検討を進めること並びに、今後その作業ロードマップを作成していくことに合意しました。

(3) PCT協働調査

五庁は、PCT協働調査*3の試行プログラムの申請受付を2018年7月の開始から2年間行い、2020年6月30日に申請受付を終了しました。今回の会合では、現在行っている試行プログラムの評価の期間を1年延長し、2年間(2022年6月まで)とすることに合意しました。

 *3「PCT協働調査」:一つのPCT国際出願に対して、主担当の特許庁が副担当の特許庁と協働して、特許可能性に関する判断を行い、一つの国際調査報告を作成し、出願人に提供するもの。 

(4) バーチャル形式の会合ガイドライン

五庁は、COVID-19により物理的移動が制限される状況においても、テレビ会議、電子フォーラム等を活用しバーチャル形式での会合を積極的に進めています。今回の会合では、これまでの知見を整理し、効果的・効率的に会合を進める上でのガイドラインに合意しました。今後も、バーチャル形式の会合を活用しつつ、五庁での協力をこれまで以上に進めていきます。 

※参加者
日本国特許庁(JPO):糟谷長官 ほか

米国特許商標庁(USPTO):イアンク長官 ほか

欧州特許庁(EPO):カンピーノス長官 ほか

中国国家知識産権局(CNIPA):申局長 ほか

韓国特許庁(KIPO):パク庁長 ほか

オブザーバー 世界知的所有権機関(WIPO):ガリ事務局長 ほか

図1:五庁長官会合の様子(手前:糟谷長官)

図2:五庁長官及びガリWIPO事務局長

担当

特許庁総務部国際政策課長 川俣
担当者:安居、谷川

電話:03-3581-1101(内線2568)
03-3580-9827(直通)
03-3581-0762(FAX)