令和2年7月3日

 7月2日(現地時間同日)、ガーナ共和国の首都アクラにおいて、我が方、姫野勉駐ガーナ日本国特命全権大使と先方チャールズ・A・オウィレドゥ外務・地域統合副大臣(Hon. Charles A. Owiredu, Deputy Minister of Foreign Affairs and Regional Integration)との間で、無償資金協力3件(物流円滑化及び交通利便性向上、若手行政官育成、保健・医療関連機材供与、合計8億7,200万円)に関する書簡の交換が行われました。対象案件の概要は、次のとおりです。

1 無償資金協力「第二次テマ交差点改良計画(詳細設計)」(供与限度額1億900万円)

 ガーナは、国内輸送の95%を道路に依存する中、高度経済成長に伴い物流量が増加しており、道路網の整備が喫緊の課題となっています。特に、テマ交差点は、首都アクラを含む西アフリカの海岸都市を結ぶ「ラゴス-アビジャン回廊」とガーナとブルキナファソを結ぶ「東部回廊」の交差点であるとともに、交通量の多い首都アクラと同国最大の商業港であるテマ港を結ぶ区間であることから、恒常的に交通渋滞が発生し、長距離物流を行う上でボトルネックとなっています。
 この協力は、テマ交差点の立体化により交通の円滑化を図り、もってガーナの主要経済圏及び内陸国との交通利便性向上及び物流改善、ガーナの経済インフラ整備に寄与するものです。
 我が国は、2019年8月に開催した第7回アフリカ開発会議(TICAD7)において、「質の高いインフラ投資に関するG20原則」を踏まえた質の高いインフラ投資の推進を表明(PDF)別ウィンドウで開くしており、この協力は同表明を具体化するものです。

2 無償資金協力「人材育成奨学計画」(供与限度額2億6,300万円)

 ガーナにおいては、各開発課題を取り扱う政府機関・関係省庁の職員・組織・制度・財政等の能力・体制を含む行政能力の向上及び制度構築を担う行政官の人材育成が喫緊の課題となっています。
 この協力は、将来ガーナの指導者となることが期待される若手行政官等が本邦大学院において学位(修士)を取得することを支援することにより、我が国で学んだ人材が、帰国後に同国の開発課題の解決に取り組み、もって同国の経済発展に貢献すること、また、日・ガーナ間の人的ネットワーク構築を通じた二国間関係の強化に寄与することが期待されます。
 我が国は、 TICAD7において、「質の高い教育の提供」を表明しており、この協力は同表明を具体化するものです。

3 無償資金協力「経済社会開発計画」(供与額5億円)

(1)ガーナにおいては、6月末現在で新型コロナウイルス感染者が1万7千人を超えており、アフリカ諸国でも感染者数が特に多い国の一つです。また、同国は、金、カカオ豆、石油等の一次産品の輸出に依存しているため、国際貿易・投資の減少等により経済的に大きな打撃を受けています。同国は人間開発指標が世界189か国中142位(2019年)に留まっており、特に地方部の保健医療サービスの質が低く、妊産婦死亡率、新生児死亡率等の保健指標が低位に留まっており、保健・医療体制の強化が喫緊の課題となっています。本計画は、ガーナに対し、サーモグラフィー等の保健・医療関連機材を供与することを通じて、同国の感染症対策及び保健・医療体制の強化に寄与することが期待されます。

(2)新型コロナウイルス感染症の世界規模での拡大は、人の往来やモノの流通がグローバルに進展している今日、日本を含む全ての国の経済・社会にとっても大きな脅威であり、国際社会全体が一致して取り組むべき課題です。とりわけ、保健・医療体制が脆弱な途上国における感染拡大防止は、在留邦人の健康・安全に直結するのみならず、我が国への感染症流入を予防する観点からも極めて重要であり、我が国の経済・社会にも大きく影響し得る喫緊の課題です。

(3)我が国としては、新型コロナウイルス感染症の一日も早い沈静化に向けて、引き続き、国際社会の取組を主導すべく保健・医療体制が脆弱な国々を支援していきます。

(4)我が国は2019年8月に開催した第7回アフリカ開発会議(TICAD7)において、UHC拡大とアフリカ健康構想の推進を表明しており、この協力は同表明を具現化するものです。

[参考]ガーナ共和国基礎データ
 ガーナ共和国の国土面積は約23.9万平方キロメートル(日本の約3分の2)、人口は約2,976万人(2018年、世界銀行)、人口1人当たりの国民総所得(GNI)は約2,130米ドル(2018年、世界銀行)。