2020年5月15日

経済産業省は、北海道苫小牧市におけるCCS大規模実証試験において、2019年11月に二酸化炭素(CO2)の累計圧入量が目標である30万トンを達成しました。機械工学、化学工学、地質学、地球物理など幅広い分野の専門家による議論も踏まえて、30万トン圧入時点での本実証試験において得られた成果と課題を「苫小牧におけるCCS大規模実証試験30万トン圧入時点報告書(以下、「総括報告書」)」として取りまとめましたので公表します。

1.CCSとは

二酸化炭素回収・貯留(Carbon dioxide Capture and Storage, CCS)は、工場や発電所等から排出される二酸化炭素(CO2)を大気放散する前に回収し、地下へ貯留する技術です。 CCSは、2019年6月に閣議決定した「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」において、「とりわけ石炭火力発電については、商用化を前提に、2030年までにCCSを導入することを検討する」と位置付けられています。

2.苫小牧におけるCCS大規模実証試験の概要

  1. 経済産業省では、2012年度から2017年度まで「二酸化炭素削減技術実証試験事業」を日本CCS調査株式会社へ委託し、苫小牧市にて実証試験を行いました。なお、2018年度から2019年度の2年間は、NEDO交付金により「CCS研究開発・実証関連事業/苫小牧におけるCCS大規模実証試験」の一環として実施しています。

  2. 2012年度から2015年度の4年間は、必要な設備の設計・建設や調査を実施しました。2016年4月からは、年間10万トン規模の二酸化炭素(CO2)圧入を目標に、海底下約1,000mの地層及び約2,400mの地層に圧入し、2019年11月22日(金曜日)に、累計圧入量が目標の30万トンを達成しました。

3.「総括報告書」

  1. 二酸化炭素(CO2)の累計圧入量が目標の30万トンを達成したことを踏まえ、機械工学、化学工学、地質学、地球物理学など幅広い分野の専門家による議論を踏まえた上で、 30万トン圧入時点での本実証試験において得られた成果と課題を「総括報告書」として取りまとめました。
  2. 「総括報告書」と概要は、以下を御覧ください。

4.今後の予定

  1. 貯留地点周辺地域における微小振動観測や海洋環境調査、圧入した二酸化炭素(CO2)の挙動(移動、広がり)等のモニタリングなどを引き続き実施します。
  2. 今後、CCS実証設備を有効活用し、メタノール合成等のカーボンリサイクル実証を行い、苫小牧におけるCCS/カーボンリサイクル実証拠点化を進めます。
  3. 「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」等に基づき、引き続き、苫小牧市や地元関係者の御理解と御協力を得つつ、国内における取組を進めるとともに、国際的な連携や二酸化炭素回収・有効利用・貯留(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage, CCUS)技術の海外展開を進めてまいります。

5.参考

(1)関連リンク

NEDO ニュースリリース外部リンク
JCCS ニュースリリース外部リンク

(2)2019年11月25日 経済産業省プレスリリース

北海道苫小牧市におけるCCS大規模実証試験において二酸化炭素(CO2)の累計圧入量30万トンを達成しました

担当

産業技術環境局地球環境対策室長 川口
担当者:笛田、小越

電話:03-3501-1511(内線 3524)
03-3501-7830(直通)
03-3501-3560(FAX)