(令和2年4月3日(金曜日)17時46分 於:本省会見室)

冒頭発言

(1)日・ポーランド外相電話会談

【茂木外務大臣】今日午前中,衆議院の外務委員会,そして午後は安全保障委員会がございまして,それが終わりましてから,午後5時から約20分間,ポーランドのチャプトヴィチ外務大臣と電話会談を行いました。
 私(大臣)から,ポーランドの大臣に対しまして,ポーランド航空の臨時チャーター機によります,邦人約150名の帰国ができたことについて感謝を申し上げました。
 これは昨年に,外交樹立100周年を迎えた日・ポーランド間の深い友好関係の象徴となる協力であり,高く評価していると,こういうお話をさせていただきました。
 新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けては,国際連携,極めて重要でありまして,ポーランドとの間で4点について認識を共有したところであります。一つは,新型コロナウイルス感染症に関する教訓・知見の国際社会での共有であります。それから我が国も,二点目,今回水際措置をとったわけでありますが,ポーランドも厳しい水際措置をとっておりまして,水際対策における関係国間の連携であります。さらに三点目として,治療薬やワクチンの開発における官民の取組の強化,さらには国際協力の話であります。そして四点目,まさに今回,日本とポーランドの間で実現したわけでありますが,各国に在留している国民の安全確保,そして人・モノの移動について,必要最低限の輸送手段の確保に向けた協議・協力を行っていくということであります。
 今,こういった新型コロナウイルス感染症の関係で,ポーランドの間でも様々な交流が延期になったりしておりますが,一日も早くこの状況が改善し,事態が沈静化し,日・ポーランド間で様々な交流が活発化する,そういうことをお互いに期待したい,こういう話をさせていただいたところであります。
 ちなみに,先日来,なかなか外遊できませんので,電話・テレビ会議等々で,各国の外相等々と議論を進めております。新型コロナウイルス感染症の問題等々について,共通認識を確立しているところでありまして,これまでに中国,米国,カナダ,ドイツ,イタリア,EU,インドネシア,ベトナム,シンガポール,イラン,ポーランド,各国の外相と電話会談を行いました。また,日中韓の外相会議,そしてG7の外相会合,これはテレビ会議の形式で実施をして,外相レベルでも緊密に連携をしていくこと,そして先ほど申し上げたような国際連携をさらに強化していくこと,こういったことを確認したところでありまして,当面おそらくこういった形になると思うんですが,外交活動をしっかりと継続をしていきたいと考えているところであります。

(2)日露地域交流年開会式の延期

【茂木外務大臣】もう一点,日露地域交流年開会式の延期についてであります。日露双方は,日露地域交流年の開会式を,本年前半に北海道で開催する方向で調整することで一致をし,準備を進めてきておりました。
 しかしながら,新型コロナウイルス感染症に関します現下の状況を踏まえて,本年前半に式典を開催するための準備を行うことは難しいと考え,日露双方にとって都合の良い時期に延期することで一致をいたしました。
 開催時期については,今後の新型コロナウイルスの状況を踏まえ,両国の外交日程,双方関係者等の都合を踏まえながら調整していきたいと思います。また,開催地につきましては,引き続き北海道とする方向で調整をしたいと思います。
 日露首脳間で合意した日露地域交流年の開会にふさわしい式典とするべく,しっかりと準備をしたいと思います。

新型コロナウイルス(テレビ会議の活用)

【共同通信 高尾記者】大臣,ちょっと冒頭でもご紹介ありました,テレビ電話方式の会議についてお伺いします。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて,今後もテレビ電話を使った会議が更に増えると予想される一方で,盗聴防止など秘密保持の機能向上も必要になるかと思います。政府与党が現在検討を進めている緊急経済対策に,こうしたテレビ電話会議に関連する費用を盛り込むお考えはあるのでしょうか。
 また,大臣ご自身が,テレビ電話会議と通常の電話会議との違いをどのように感じられたか,併せて教えてください。

【茂木外務大臣】今回の経済対策においては,省内におけますテレワークの推進,そしてまた国際的にもこういった様々な意思疎通を図っていく,こういう観点からテレビ会議システム整備のための経費を計上する方向で,今,最終的に調整を行っているところであります。
 特にマルチの会議になりますと,どうしても音声だけでは誰がしゃべっているのか分からないような状況というのが生まれるわけでありますけれど,画面にG7だったらG7の,それぞれの外相が出て挙手をしたりとか,そういった形で,例えば先日のG7の外相会談におきましても,それぞれのパートで誰がリードをするかと,例えば北朝鮮問題について,私がリードするという形で冒頭発言をするわけですけれども,そうなりますと,そのセッションといいますか,そのパートを私が司会することになりますので,誰が手を挙げているか,電話だけでは分かりませんので,そういった意味でやっぱりマルチの会議においては,テレビ会談,やりやすいなと,こういうふうに感じたところであります。
 もちろんせっかくですから,実際一堂に会して,場合によっては夕食を共にすると,同時にその隙間の時間でバイの会談を入れたり,様々なことができるので,一堂に会する機会,そういった実際のリアルな会議があるのが望ましいと思いますが,この状況でありますから,おそらくテレビ会議,こういったものも使っていきたいと思いますし,また電話会談でありましたら,比較的すぐにでも繋がる,こういうところがあって,今,各国の外相によっては,実際にテレワークをしているというか,そういう隔離といいますか,実際にオフィスに出てない人もいますので,なかなかそういうところでテレビ会議を持ち込むのは難しいですから,そうなりますと電話会談等々,様々な方法をいずれにしても使っていきたいと思います。

北朝鮮による弾道ミサイル発射

【読売新聞 阿部記者】北朝鮮の弾道ミサイルについて伺います。3月21日と29日のミサイル発射の際に,政府は「北朝鮮東北部の沿岸付近に落下した」という形で発表されました。これまでは,「日本海に落下」と表現してきましたけれども,具体的な発表方法に改めた狙いと,あと,今,北朝鮮が沿岸付近への落下が続いていますが,ミサイル発射の意図について,どう分析されているかお願いします。

【茂木外務大臣】内閣官房,更には防衛省によりますお知らせについては,その時点で得られた情報を総合的に分析して,迅速かつ正確に国民の皆さんに分かりやすい形で発信をすると,そういった形で,「北朝鮮の東北部沿岸に落下」と,今回の場合,こういった表現を使ったと思っております。それが正確で分かりやすい表現なのではないかなと思っておりまして,EEZのすぐ西側に落下したという状況ではないというのは,聞いただけでというか,それだけで分かるんじゃないかなと,こんなふうに思ってところであります。
 北朝鮮側の意図については,新型コロナウイルス感染症をめぐる様々な情報もありまして,北朝鮮の内部向け,また対外メッセージ,ミサイル技術の向上,またこれらの組み合わせなど様々な見方があると思いますが,更に情報収集を進め分析をしていきたい,こんなふうに思っているところであります。

新型コロナウイルス(航空機等が停止している地域における邦人保護)

【NHK 渡辺記者】先ほど,ポーランドとの電話会談ということで,チャーター機のお話もありましたけれども,今後,海外にいらっしゃる日本人の方々で,これぐらいのまとまった数の方で,そこの国の航空会社などで,チャーター機で戻ってくるというのは,今後の日程としては,現時点で見えているものがあったら,ご紹介いただきたいと思いますが。

【茂木外務大臣】細かいことは,またそれぞれ事務方に聞いていただければと思うんですけれど,概要について申し上げますと,今,海外にいらっしゃる,また旅行中の邦人の中で,出国規制であったりとか,移動の制限とか,空港の閉鎖,航空便の運航停止等によりまして,影響が出ている事例,そして帰国を希望しているにもかかわらず,帰国できていない国で言いますと,50か国程度あると,こんなふうに承知をしておりまして,日々その数字が変わるというのは,その日によって例えば希望されたり,また次の日は,やっぱり日本に戻ってきても,14日間観察措置があるいうことで,もう少し様子を見ようかという方がいらしたり,変動しますが,暫定的に申し上げると,だいたい4,000名程度の方が帰国を,何らかの形で希望しているという形でありまして,臨時の商用便であったり,民間のチャーター便の運航に対して,在外公館としてもできる限りの支援と,こういったことを行っておりまして,出国日が確定している邦人がだいたいこの4,000名の中で1,000名ぐらい,そして具体的な出国日を調整中の邦人が2,000名,出国手段等について検討を進めている邦人が1,000名と,こんな形になります。

新型コロナウイルス(安倍総理の訪露予定)

【NHK 渡辺記者】度々すみません。先ほど,日露関係の交流年の話がございましたけれども,延期の期限がちょうどタイミングがいい時だということなんでしょうけど,5月9日の対ドイツ戦勝記念日の式典というのは,まだロシア側としては,公式にはどういうふうにするかというのは発表してませんけれども,日本側のスタンス,現時点でのスタンスを,安倍総理大臣の出席という意味で,スタンスを教えていただければと思います。

【茂木外務大臣】ロシアによります戦勝75周年の記念パレードにつきましては,今,特段ロシア側から公式な発表がないと,このように思っております。日本のスタンスというのも変わっておりません。