(令和2年3月17日(火曜日)9時17分 於:本省会見室)

新型コロナウイルス(G7首脳テレビ会議)

【NHK 山本記者】新型コロナの関係ですけれども,昨夜,G7の首脳によるテレビ会議が行われました。会議のあとには首脳声明も発出されましたが,今回の会議によって感染症の拡大防止ですとか,世界経済の影響を食い止めるためにどういった意義があったとお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】昨晩のG7の首脳テレビ会議では,現下の経験状況や新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策について,活発な意見交換が行われたところであります。
 大きく二つありまして,会議で一つは,世界経済の影響が今出ていると,これを食い止めるために,G7があらゆる政策手段を用いていくこと。そして,もう一つは新型コロナウイルスの拡大防止に向けて,治療およびワクチンの迅速な開発と情報共有等様々あると思うんですが,協調していくことで一致をしたと,この大きな二つ,コロナ対策の拡大を防止していくと。また,それに伴って起こっている経済への悪影響,これを食いとめていくと,こういったことでG7の首脳が一致したということは,大きな成果であったと思っております。

【NHK 高野記者】関連でお伺いします。そういった形で声明を発出したわけですけれども,株価は,日本経済なかなか,今日も今年最安値を更新しています。どういったことが,こういった株価に影響しているのか,もしくは今後,経済への影響を上向かせるためには,どういったことが世界の首脳にとって必要か,どういうふうにお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】国際金融市場,株式市場の動き一つひとつについて,政府の立場でコメントすることは控えたいと思っておりますが,今非常に,今回のコロナウイルス感染症の拡大,そしてそれに伴います様々な経済活動の制限等々によりまして,株式市場,神経質な動きをしていると。そして国際的に,株価の下落・乱高下,こういったことが見られるのは事実であると,こんなふうに考えております。
 その上で今後,先ほど申し上げたように,G7含め各国があらゆる政策手段を取っていき,また政策協調をとっていくということが極めて重要だと思っておりますが,例えば2008年リーマン・ショックのときは,過剰金融,こういった経済そのものに内在する問題を是正をする必要があったということでありまして,極めて深刻な状態でありました。
 今回も大きな問題でありますが,経済そのものの何かを是正するというよりも,今回発生しましたコロナウイルス感染症の拡大,これに伴う影響でありまして,これをどう防いでいくか,また抑制していくか,またそういった観点から,消費をはじめとした需要増をどう創出していくか,こういったことが重要だと思っております。

新型コロナウイルス(インドネシアにおける邦人への嫌がらせ)

【エコノミック・マンスリー スシロ記者】日本人が嫌がらせをされた件なんですけども,実は3月1日から私はジャカルタにいました。2日の日,朝10時から,大統領がインドネシア人で2人,感染陽性を初めて発表したんですね。マレーシア在住の日本人女性からコロナウイルスに感染されました。その時期から,大統領は日本人と出した。私はすぐに考えた,あ,これは日本大使はすぐに対応しなきゃいけないと。でも実は1週間後に,在住インドネシアの日本大使がメッセージを出した。インドネシア在住の日本人は,コロナウイルスの感染源ではなく,インドネシアの友人です。この意味は,日本人のせいにしないでくださいという意味だと思います。その1週間の間に,日本人だけではなく私も友だちから嫌がらせをされたんですけれども。「ごめんね,リチャード。あなたは日本に住んでるから,今回はちょっと会いたくないですね」。あれーって。私も被害者ですね。なぜ大使はすぐの対応ではなく,1週間後にメッセージを出したのでしょうか,遅くないでしょうか。もしすぐにそういうメッセージ,あるいは記者会見,すぐに,大統領は朝ですから,大使は夜に出したら状況は変わったと思いますが,どう思いますでしょうか。

【茂木外務大臣】おそらく,誰か1人が嫌がらせを受けたと,そうしたら大使がすぐに何らかのコメントをするということが正しいのかどうか。3月2日にそういった発言があった後,在インドネシア大使館としては,在留邦人のための相談窓口をまず設けたわけであります。そこに,相談窓口に様々な意見であったりとか情報が寄せられた。その情報を受けとめた上で,9日に,今お話にありましたようなメッセージを発信したということでありまして,私(大臣)としては,何日間か十分な情報を取った上で適切なタイミングで情報発信は,石井大使の方からなされていると考えております。

新型コロナウイルス(G7首脳テレビ会議)

【共同通信 高尾記者】新型コロナウイルスの関連で伺います。感染の世界的な広がりを受けて,国際会議などの延期が相次いだり,またG7外相会議もテレビ会議になるなど,その外交面での影響が出ていると思います。その終息時期の見通しが立たない中で,その諸外国との外交課題をどのようにして前に進めていくのか,大臣の見解をお聞かせください。

【茂木外務大臣】まずG7の外相会合につきましては,電話会議ということになりますが,これは実施をいたします。昨晩の,首脳間の議論を踏まえた上で,活発な議論を行いたいと思っております。もちろんG7の外相会合ですから,国際社会全体,更には主要な地域課題についても議論をすると,そのように思いますが,当然新型コロナウイルス感染症対策についても,議題に,調整中でありますが,上ると考えておりまして,私(大臣)からも日本の取り組みをしっかりと説明して,G7としての連携,これを外相レベルでも確認をしたい,こんなふうに思っているところであります。
 一方,様々な会議が確かに,延期をされたり中止をされたり,こういったことが続いて,外交活動,これ外交だけではなくて,経済等様々な活動に一定の影響が出ているのは事実であると考えております。国際金融,先ほど申し上げたように,更には各国経済を含む様々な分野に影響が出ている。だからこそ,国際社会における協調,そして連携が極めて重要な局面を迎えていると考えております。
 これまで外務省としても,在外公館を通じた意思疎通や電話会議をはじめ様々な手段を用いて各国との連携を確認してきておりまして,こうした外交活動,今後も継続していく考えであります。その上で,言及されました要人の往来であったりとか,国際会議の実施をはじめですね,様々なレベルでの外交活動をしっかり継続できるよう,国際社会と連携して取り組んでいきたいと思っております。

新型コロナウイルス(EUによる入域制限措置)

【朝日新聞 竹下記者】欧州委員会の関係でお尋ねします。EU加盟国への入国を30日間制限する案を公表いたしました。このEUの考えについての受け止めと,あと日本から渡航予定していた方も多くいると思うんですけれども,世界的な移動の制限が広がっている状況を今後どのような影響を与えるとお考えかお願いします。

【茂木外務大臣】EUとして,今そういった勧告を出して,それらに対してまずはEUという枠組み,それからのかなり重なる部分はありますけれど,シェンゲン協定の枠組みということで,どうするかということを検討していくんだと思っております。もちろん,過度な様々な移動制限というのは適切ではないと考えておりますが,コロナウイルス感染の拡大防止のために,各国であったりとか,そしてまた,地域が採る水際対策,一定期間は私(大臣)は必要だと思っております。
 これは各国が導入しているところでありまして,EUとしてどういう結論を出すのか見守りたいと思っておりますが,昨日も,外務省として感染症の危険情報,このレベルを上げさせていただきましたが,基本的にはシェンゲン協定の国につきましては,「レベル2」に上げさせてもらいました。各国の数字,また各国におけます情報も,総合的に勘案した上でありますが,当然,EU,今一部,各国別の移動制限措置等採られ始めておりますが,それまではシェンゲン協定の下,どこでも自由に移動できるということで,ある意味なんというか,それを一つの地域としてとらえるという考え方もあると思っておりまして,EU側もそういう考えの下で,今,水際対策を検討してるんだろうと,このように理解をいたしております。

日露外相会談の調整状況

【共同通信 高尾記者】日露間の平和条約締結交渉についてお伺いしたいんですが,茂木大臣はドイツ・ミュンヘンでのラヴロフ外相との会談で,早期の次官級協議とラヴロフ氏の早期訪日に向けて,日程を調整を進めるということで一致したと思います。現在も調整中だと思うんですが,日程がなかなか決まらないのが,やはり新型コロナウイルスこれが関連しているというか主たる原因なのか,そのあたりの認識をお聞かせください。

【茂木外務大臣】何が主な原因かというのは,なかなかあれですけれど,日程が調整中であるというのは事実であると思っております。できるだけ早くやりたいと思っておりますが,お互いの日程であったりとか,様々な,なんていうか,関連で日程が決まっていないということです。

新型コロナウイルス(イランに対する拠出金)

【共同通信 小野塚記者】10日に決まった経済対策に盛り込まれた,コロナ対策向けの国際機関への拠出についてお伺いします。予備費などで155億をイラン及び周辺国にということなんですけれども,このうち,このイラン向けの拠出はどういったことに充てられて,また金額はどの程度の見通しでしょうか。

【茂木外務大臣】だいたい6分の1ぐらいかな。あの感じで言うと。今回,新型コロナウイルスの感染,これが120か国に及ぶなど世界的な広がりが続いて,国際的な対応が急務となっているわけでありますが,特に今,お話がありましたイラン,これは現地時間の16日時点でありますけれど,感染者数が1万5,000人に上りまして,中国,イタリアについて世界で3番目に多くてですね。イラン及び周辺の途上国におけます感染拡大,これは我が国,そして国際社会全体にとっても大きな懸念材料となっているわけであります。
 こういった認識の下,今般の国際機関に対する拠出総額,約150億円のうち,イランに対しては,現段階では約25億円規模の支援,これを想定しております。大体6分の1だと思いますけど。引き続き関係国や国際機関と協力して対策を進めていきたいと思いますが,内容でありますけれど,イランでは,医療,保健従事者,そしてまた衛生施設,病院,検疫施設などを対象とした,技術協力・物資供与などでの支援に関するニーズがあると承知をしておりまして,国際機関の方でそういったニーズをしっかりと踏まえて,適切な支援策を採っていくと考えております。

新型コロナウイルス(東京オリンピック・パラリンピックへの影響)

【朝日新聞 竹下記者】東京オリンピックの関係でお尋ねします。昨日の夜ですね,安倍総理がG7の首脳電話会談の後に,東京オリンピックについて「完全な形で実施する」ことについて支持を得たというふうに発言されました。外交,経済に影響が出ている中ではありますけれども,大臣としても,予定どおりの時期に開催するのが望ましいと考えでしょうか。

【茂木外務大臣】昨晩のG7の首脳テレビ会議におきまして,安倍総理,2020年,今年の東京大会について,人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として,完全な形で実施したいと述べて,これに対してG7の支持を得たところでありまして,引き続き,2020東京大会の完全な形での実現に向けて,IOCであったりとか,組織委員会,東京都の間で緊密に連携をとりながら,その準備を着実に進めていきたいと思っております。
 オリンピック,平和の祭典であります。そして,世界を巻き込んだ,世界が一体となる,こういう機会にする必要があると思っておりまして,そういった意味で,今まで東京オリンピック大会の世界から日本に寄せられた復興に対する支援,見事に復興した日本の姿を世界に指し示す,こういう大きな意義,これは引き続き持っておりますが,同時に,今,人類が,世界が直面をしております新型コロナウイルス,これに対して国際社会が協調して打ち勝っていく,そういう姿を示すようなオリンピックにすることが望ましいと,このように考えております。