令和2年2月25日

1 2月24日(現地時間同日),フィリピン共和国の首都マニラにおいて,我が方羽田浩二駐フィリピン特命全権大使と先方クリスティン・デイディ国際移住機関(IOM)フィリピン事務所代表(Ms. Kristin Dadey, Chief of Mission,International Organization for Migration (IOM) in the Philippines)との間で,供与額2億3,164万3千円の無償資金協力「離島地域の保健医療サービス強化のためのバンサモロ暫定自治政府の能力開発計画」(IOM連携)に関する交換公文の署名及び書簡の交換が行われるとともに,我が方羽田同大使と先方加藤伊織国際連合人口基金フィリピン事務所代表(Mr. KATO Iori, Country Representative of United Nations Population Fund (UNFPA) in the Philippines)との間で,供与額1億4,726万5千円の無償資金協力「元女性兵士の社会復帰等支援のためのバンサモロ暫定自治政府の能力開発計画」(UNFPA連携)に関する交換公文の署名及び書簡の交換が行われました。

2 対象案件の概要

(1)無償資金協力「離島地域の保健医療サービス強化のためのバンサモロ暫定自治政府の能力開発計画」(IOM連携)【供与額2億3,164万3千円】 昨年2月にバンサモロ暫定自治政府が発足するなど,ミンダナオ和平は大きな進展を示しています。ミンダナオ和平の実現ためには,同自治政府の能力強化を図ることが重要です。本計画の対象地域であるミンダナオ島嶼部(バシラン州,スールー州,タウィタウィ州)では,診療所等の基礎的医療施設の整備状況が劣悪です。特に電力供給環境は脆弱で,停電や電圧低下によりICUや冷蔵設備などの機器の運転をはじめ医療サービスの安定した供給を妨げています。
 この協力では,同地域において,約6か所の診療所等に太陽光発電システムを導入することにより,安定した電力供給が可能となります。加えてバンサモロ自治政府の電力の管理能力の強化を支援することで,安定した保健医療サービスの提供体制の構築に寄与することが期待されます。

(2) 無償資金協力「元女性兵士の社会復帰等支援のためのバンサモロ暫定自治政府の能力開発計画」(UNFPA連携)【供与額1億4,726万5千円】
 バンサモロ地域はもともとフィリピンの中で最も貧しい地域であり,母子保健を含む保健,男女平等,若者の能力構築等の分野の開発が全国平均より立ち遅れています。そうした背景から,元モロ・イスラム開放戦線女性補助部隊の社会復帰は思うように進んでおらず,同地域に住む女性や子どもたちの安全と健康が脅かされています。
 この計画において,約200名の元女性兵士の社会復帰を図るとともに,女性と子どもの権利拡大のための市民間対話の実施や安全な出産体制の構築等を支援することにより,ミンダナオにおける持続的な平和と開発に寄与することが期待されます。

3 これらは,2017年1月の日・フィリピン首脳会談で安倍総理大臣から表明した,今後5年間で行われる予定のODA及び民間投資を含めた1兆円規模の支援の一環であるとともに,同年10月に日・フィリピン首脳会談の場で発表した「日フィリピン共同声明(PDF)別ウィンドウで開く」の具体化の一つです。

[参考]フィリピン共和国基礎データ
 フィリピン共和国は,面積約30万平方キロメートル(日本の約8割),人口約1億67万人(2018年,世界銀行),人口一人当たりの国民総所得(GNI)は3,830米ドル(2018年,世界銀行)。