令和2年2月25日

1 2月24日(現地時間同日),パレスチナのラマッラにおいて,我が方馬越正之パレスチナ関係担当大使兼対パレスチナ日本政府代表事務所長と先方ムハンマド・シュタイエ・パレスチナ暫定自治政府首相(H.E. Dr. Mohammad Shtayyeh, Prime Minister, Palestinian Interim Self-Government Authority)との間で,パレスチナに対する「医療機材整備計画」(供与額:19億5,500万円)に関する書簡の交換が行われました。

2 パレスチナでは,循環器系疾患,癌,脳血管疾患等を含む非感染性疾患が死亡原因の七割以上を占めていますが,診療環境の整備不足から,患者等をパレスチナ域外への医療機関へ搬送せざるを得ない事例が増加しています。とりわけ,ガザ地区については域外への搬送の許可を待つ間に病状が重症化する事例が多く報告されており,患者の生命予後に大きく影響するのみならず,域外での診療費用は自治政府の保健財源から支出されており,保健財政逼迫の主要因となっていることから,非感染症疾患への対策が喫緊の課題となっています。

3 この協力は,パレスチナの4拠点病院にて非感染性疾患診療に必要な医療機材を整備することで公的病院の専門性及び診断,治療能力を高め,患者が域内で質の高い医療保健サービスを享受可能とするものであり,域外搬送による患者の身体的,精神的負担を軽減し,インフラ整備及び保健財政の正常化に貢献するものです。

4 また,この協力を通じて,2024年には,2018年比でガザ地区からのガザ地区域外への搬送数が21,266から16,266回/年まで減少し,MRI検査回数(年)が,整備する病院において,0から10,000回に増加することが見込まれており,パレスチナの保健サービスの質が改善することが期待されます。

[参考]パレスチナ基礎データ
 パレスチナの面積は約6,020平方キロメートル(西岸地区は三重県と同程度,ガザ地区は東京23区の約6割),人口約495万人(2017年,パレスチナ中央統計局),人口一人当たりの国民総所得(GNI)は3,710米ドル(2018年,世界銀行)。