2019年11月22日

経済産業省は、「伊藤レポート」(※1)公表以降の企業や投資家・資本市場をめぐる環境変化を踏まえ、企業と投資家の「対話」を通じた企業の持続的な価値向上を、更に後押ししていくに当たっての課題や対応策を検討するため、「サステナブルな企業価値創造に向けた対話の実質化検討会」を立ち上げます。
これにより、「対話」の一層の「実質化」を図り、企業と投資家の「協創」に向けた好循環を生み出していくための更なる一歩を踏み出すことを目指します。

1.目的・背景

経済産業省は、「伊藤レポート」以来、企業と投資家の対話やコーポレートガバナンス改革を推進してきました。これまでの取組については、ROE(自己資本利益率)の改善をはじめ一定の成果がみられるものの、より実質的な対話を実現し、企業の持続的な価値創造につなげていくべきとの指摘は引き続き存在します。

対話の実質化を目指すに当たっては、

  1. 投資家と対話をする意義や目的、真に建設的な対話とはどのようなものか、それを実現する具体的方策などについての深い理解に基づき、能動的に行動できている企業と、そうでない企業との分化が生じていること

  2. 企業の内部留保の更なる拡大や、金利の低下によるデッド・ファイナンスの容易化といった金融環境の変化により、株式市場の意義が変質しつつあること

  3. パッシブ投資の拡大をはじめ、コストを極小化していくような投資家側の傾向が顕著となりつつあること、また、こうした中で、評価機関がより重要な機能を果たすようになっていること

などの「伊藤レポート」以降に、より明確に認識されるようになった対話をめぐる様々な環境変化を踏まえる必要があると考えられます。

本研究会では、「伊藤レポート」や「伊藤レポート2.0」(※2)、「価値協創ガイダンス」(※3)などの取組や議論の成果を踏まえた上で、企業や投資家が様々な環境変化に直面する中で、対話を通じて価値を協創していくに当たっての課題や対応策を検討します。

2.本検討会で議論・検討を予定している事項・論点例

(1)対話の現状を踏まえた対話の質の底上げ

  • 対話に関する現状認識、課題の共有

  • 目的に応じた対話についてのグッドプラティクスの共有

  • 企業・投資家同士、企業と投資家の継続的対話のための「場」の在り方

(2)投資家・資本市場を取り巻く環境の変化を踏まえた、今後の企業と投資家の関係性について

  • 資本市場をめぐるコスト極小化の動きと各プレーヤーの役割・在り方

  • ESG投資(※4)を通じた企業の価値創造の可能性

(3)個別分野等での検討の報告・議論

  • 企業経営とSDGs(※5)-「SDGs経営ガイド」の具体化

  • 無形資産(イノベーション・研究開発/デジタル・トランスフォーメーション/人材)に対する投資の更なる促進

3. 委員

別紙のとおり。

4.スケジュール

第1回は11月26日(火曜日)に開催します。その後、月1回程度開催し、来年春を目途に議論の取りまとめを行う予定です。

なお、委員による率直かつ自由な意見交換を確保するため、本研究会は非公開としますが、資料及び議事概要は、原則公表する予定です。

 

(※1)伊藤レポートPDFファイル:「持続的成長への競争力とインセンティブ~企業と投資家の望ましい関係構築~」プロジェクト最終報告書(2014年8月経済産業省策定)

(※2)伊藤レポート2.0:持続的成長に向けた長期投資(ESG・無形資産投資)研究会報告書(2017年10月経済産業省策定)

(※3)価値協創ガイダンス:価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス-ESG・非財務情報と無形資産投資-(2017年5月経済産業省策定)

(※4)ESG投資:財務情報だけではなく、企業の環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)に関する取組も考慮した投資

(※5)SDGs(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals):持続可能な世界を実現するための国際目標

担当

経済産業政策局産業資金課長 呉村 益生
担当者:佐久(さきゅう)、髙津戸(たかつと)
電話:03-3501-1511(内線2641~5)
03-3501-1676(直通)
03-3501-1599(FAX)