2019年11月19日

経済産業省は、企業経営者が法務機能を十分に活用して、新事業創出等の「事業の創造」を行い、企業価値の向上・増大を図ることを目的として、「国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会報告書~令和時代に必要な法務機能・法務人材とは~」を取りまとめました。
2018年4月の前回報告書を深掘りし、法務機能が「事業の創造」にどのように貢献するかを明確化し、効果的かつ具体的に法務機能を組織に実装する方策を示すとともに、「事業の創造」を担う経営法務人材の育成方法の提言の他、具体的事例を記載しました。報告書付属資料として、スタッフから経営陣までの職位別の経営法務人材スキルマップ、人材キャリアパスモデル事例集を作成しました。併せて、周知用資料として「経営者が法務機能を使いこなすための7つの行動指針」を作成し、経営陣をはじめとする企業への周知・改革を促します。

1.背景

日本企業が大きな競争環境の変化にさらされている中、日本企業の国際競争力強化に資する経営と法務機能の在り方を議論するため、経済産業省は「国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会」を設置し、2018年4月、報告書(以下「前回報告書」という。)として、企業の法務機能の意義とその活用の必要性・有効性を明らかにした上で、これを企業に実装していくための課題と提言をまとめました。

公表以来、前回報告書は各所でも取り上げられ、企業経営陣及び企業法務に携わる方々を中心に、議論を喚起してきました。他方、既に先端的な取組を行っている企業は別論として、多くの企業の経営陣及び法務関係者から、実際に企業の法務機能を強化していく上では、提言をさらに深掘りし、改革・改善にあたり、より具体的な方法論や、実践のための多様な選択肢を明らかにしてほしいといった声が寄せられました。

そのため、本年1月から、同研究会の下に具体的な課題に焦点を当てたワーキンググループ(「法務機能強化 実装ワーキンググループ」、「法務人材 育成ワーキンググループ」)を設置し、「事業の創造」、「価値の創造」に重点を置く観点からの法務機能の可能性を明らかにするとともに、当該観点に資する組織運営の改革・改善や人材の育成・獲得の在り方に関し、求める法務機能を実現していくためのより具体的な方策・選択肢、フレームワークを提案するために検討し、今般報告書~令和時代に必要な法務機能・法務人材とは~として取りまとめました。

付属資料である「経営法務人材スキルマップ」は、企業経営に関わる法務人材(経営法務人材)を念頭に職位別に一般的・基本的な枠組みとして作成したものであり、各企業においてはこれを参考にして、各企業の状況に応じて個別に必要とされる知識やスキルの追加、職位をより詳細化するなど、カスタマイズして作成することが望まれます。

同じく「経営法務人材キャリアコンパス」は、経営法務人材のキャリアパスの事例集であり、人材活用の見方に変化を与えるとともに、現在法務機能を担っている担当者だけでなく、これから法務機能を担うことを考えている企業や学生の方の将来ビジョンを広げるため、経営法務人材の多様なキャリアパスを示しています。

なお、経済産業省は、今回報告書を踏まえ、特に経営者層に向けた周知用資料として「経営者が法務機能を使いこなすための7つの行動指針」を併せて作成しました。

2.今後の方向性

今後は、関係機関とも協力しながら研究会報告書の内容について、今回報告書及び「経営者が法務機能を使いこなすための7つの行動指針」を示しながら、産業界等に普及啓発を図るとともに、関係機関や産業界等と更に意見交換を進め、企業の競争力を強化する観点から多面的な取組を進めてまいります。

関連資料

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担当

経済産業政策局競争環境整備室長 桝口
担当者:金澤、石塚

電話:03-3501-1511(内線 2625~2627)
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