香港情勢

【読売新聞 阿部記者】香港情勢についてお伺いします。市民の抗議活動が収束しないまま,中国では国慶節を迎えました。大臣は就任会見で,関係者間の平和的な話し合いを通じた,事態の早期収拾に期待を示されておりましたけれども,現在の情勢をどう見ていらっしゃるかお願いします。

【茂木外務大臣】昨今の香港情勢についてはデモ隊と警察の衝突によりまして,多数の負傷者が出ていることを,たいへん憂慮しております。また,大規模な抗議デモが今日行われる,こういうことでありまして,まず本件をめぐっては関係者間の平和的な話し合いを通じて,事態が早期に収拾され,香港の安定が保たれることを強く期待しているところであります。先般の日中首脳会談においても,安倍総理から引き続き一国二制度のもと,自由で開かれた香港が繁栄していくことの重要性を指摘したところでありまして,引き続き高い関心を持って情勢を注視していきたいと思っております。
また香港には多くの日本企業が進出をし,多数の在留邦人が居住していることから,8月14日,危険情報の発出をはじめ,これまで累次にわたり注意喚起を行ってきたところでありますが,本日の抗議デモの情報を受けまして,昨日改めてスポット情報を発出して,注意喚起を行ったところであります。現在のところ,本件に関して邦人の被害は確認されておりません。

日米貿易協定

【NHK 山本記者】日米貿易協定についてですが,ニューヨークで首脳会談の際は協定そのものへの署名は見送られましたが,いま現在で署名日はいつ頃になって,日米どちらで署名式が行われる見通しなのでしょうか。

【茂木外務大臣】どちらで,ワシントンでやるか東京でやるかまだ決まっておりません。ただ,できるだけ早く署名をしようというか,日本の場合は署名閣議というものがありますので,閣議を行った日には署名しようということで合意をしているところであります。
 今後,日米貿易協定,さらには日米デジタル貿易協定につきましては,速やかにこれらの協定の署名を行って,それぞれの国内手続が完了したのち,速やかに発効させるということで,両首脳一致をしているところでありまして,その線に沿っていま作業を進めております。おそらくこれからそう遠からず,10月の早い段階で署名できるのではないかなと思っております。

イラン情勢

【NHK 渡辺記者】イランの情勢について関連なんですがよろしいでしょうか。昨日,イランの外務省のムサビ報道官が,緊張緩和に向けて,イラン情勢の,日本政府から提案を受けているということで,イラン産の原油の購入量に合わせてイランに融資を行うという提案を受けているのだということを明らかにしたのですが,こうした提案を日本政府として行っているのかどうか,今後の緊張緩和に向けてどういった,改めて現時点で大臣として考えていらっしゃるのか,その2点をお願いしたいのですが。

【茂木外務大臣】前半の部分,どこまで長く言ったらいいですか。前半の質問の部分,どこまで長く答えたらいいですか。

【NHK 渡辺記者】かれば詳細にお答えいただければ。

【茂木外務大臣】前半ですよ,後半じゃなくて。

【NHK 渡辺記者】はい,前半。

【茂木外務大臣】質問二つあったんですが,その前半の部分を長くということですか。

【NHK 渡辺記者】ええ,お願いいたします。

【茂木外務大臣】先般の日イラン首脳会談では,サウジアラビアの石油施設に対する攻撃がありまして,事態が深刻化していることを踏まえて,中東地域の緊張緩和および情勢の安定化に向けて率直な意見交換を行ったところであります。総理から,イランは地域における大国である,イランには地域の平和と安定に向けて建設的な役割を果たして欲しい,こういう旨を述べて,日本としても緊張緩和と情勢安定化に向けた役割を果たしていく,こういう考えを伝えたところであります。
 これに対しまして,ローハニ大統領からは,地域の安全保障はイランにとっても重要であり,しっかり対処していきたい,こういう発言がありました。また,安倍総理からローハニ大統領に対しまして,核合意の遵守を求めるとともに,船舶の安全な航行確保に向けた協力の要請をしたところであります。これに対しましても,船舶の安全な航行確保に向けての最大限の努力をしたい,こういう回答でありました。
 これからの枠組みとして,粘り強く対話を続け,中東地域の緊張緩和,平和と安全の実現に向けて,できる限りの努力を尽くしていきたいと思っております。
 そういった努力の一環,つまり中東地域の緊張緩和,平和と安定の実現に向けて,できる限りの努力をしていくという中で,日本は伝統的にイランとの間で友好関係があるわけでありまして,そこのなかで様々な解決に向けてのアプローチというのは考えられるなと思っていますが,現段階で具体的方策についてお答えすることは差し控えたい,このように思っております。

【NHK 渡辺記者】具体的にイラン側の方が,会見で明らかにしているんですけれども,そういった提案は行ったのでしょうか。

【茂木外務大臣】今,申し上げたとおりです。

日中外相会談

【中国青年報 張記者】先月下旬,ニューヨークでの日中外相会談についての手応えはいかがでしょうか。そして,年内,あるいはいつか,ご訪中の日程がございますか。以上2点,お差し支えないところをよろしくお願いします。

【茂木外務大臣】王毅(おう・き)国務委員とはですね,17年前になるんですけれど,ちょうど王毅国務委員が駐日大使をしている時に,私(大臣)は外務副大臣でありまして,その当時からの仲ということでありまして,今回,初の日中の外相会談でありましたが,温かい雰囲気の中での再会,こういう良い会談になった,そんなふうに思っております。
 来春の習近平(しゅう・きんぺい)国家主席の国賓訪日を見据え,ハイレベルの往来を積み重ねて懸案を適切に処理しながら,あらゆる分野で交流,そして協力をいっそう発展させて,日中関係を新たな段階に押し上げ,日中新時代を切り拓いていくということをお互いに確認することができて,非常に有意義な会談であったと思っております。
 いつ,中国に行くかということは決まっておりませんが,適切な機会を捉えて訪中したいと,そのように思っております。

日米貿易協定

【日経新聞 加藤記者】日米貿易協定に関連してお伺いしたいんですけれども,正式な署名の後に臨時国会での承認手続きというのが必要になってくると思うんですけれども,野党側からは,交渉結果についてウィン・ウィンになっていないという指摘もありますけれども,どうやって野党であったりとか,国民の理解を得ていくお考えでしょうか。

【茂木外務大臣】今後の手続きとしては,署名に当たって,署名閣議というのがあるわけでありまして,国会に提出するとなると,提出のための閣議,これがあるわけであります。国会の方に協定を提出させていただくと。既に合意した段階からかなり丁寧に,今回の協定の内容については,それぞれの部分がどうなったか,そして,いかにこれがウィン・ウィンであるかと,こういう説明をさせていただいておりますが,より丁寧に今回の合意の内容,そしてお互いにこれがウィン・ウィンの結果になっていると,こういったことについては,丁寧に内容についても,更にはそれに対する関係者の受け止めについてもお話をしたいと,そんなふうに思っております。
 最終合意ができたと,トランプ大統領とそして安倍総理が,日米首脳会談におきまして,共同声明にサインをすると。その会合に日本の経済界,そしてアメリカの関係団体の皆さんも同席をされておりまして,お聞きになられたと思うんですが,アメリカの農業関係者の皆さん,こぞって今回の協定について賛同する,評価をするという話でありましたし,一方,日本におきましても,農業関係・団体の方,更には自工会,そして,経団連,商工会議所,様々な関係団体の皆さんから,今回の合意については大きな評価をいただいていると思っております。関係団体の皆さんからそういう評価を頂いておりますが,それぞれの項目について,具体的にきちんと説明をする,丁寧な説明をしっかり尽くしてまいりたいと,こんなふうに思っております。