冒頭発言

【河野外務大臣】2016年の11月23日に,日韓両国政府は秘密軍事情報の保護を確保する目的で,秘密軍事情報の保護に関する日本国政府と大韓民国政府の間の協定の署名を行い,その協定が同日発効いたしました。この協定は,日韓の間の安全保障分野における協力と連携を強化し,地域の平和と安定に寄与してきているとの認識のもと,2016年の締結以来,これまで毎年自動延長されてきたものであります。それにもかかわらず,今般,韓国政府が本協定の終了を決定したことは,現下の地域の安全保障環境を完全に見誤った対応と言わざるを得ません。韓国政府は今般の発表の中で,安全保障の文脈において,韓国政府による協定の終了の決定と,先般の我が国による輸出管理の運用見直しを関連づけておりますが,この二つは全く異なる次元の問題であって,韓国側の主張は全く受け入れられるものではありません。こうした全く次元の異なるものを混同してこういう決定をしていることに,断固として抗議をしたいと思います。日韓関係は現在,今回の決定を含め,韓国側からの極めて否定的かつ非合理的な動きが相次ぎ,非常に厳しい状況が続いておりますが,日本政府としては,様々な問題についての我が国の一貫した立場に基づき,引き続き韓国側に賢明な対応を強く求めていきたいと思います。先ほど,南官杓(ナム・グァンピョ)韓国大使を召致し,このような我が国の立場を伝達し,この次元の異なる問題を関連づけて様々決定が行われていることに対して,抗議をしたところでございます。私からは以上です。

質疑応答

【記者】大臣,実際に,韓国側からの通告というのは,破棄の通告というのは,もうあったのでしょうか。

【河野外務大臣】まだありません。

【記者】今後,その辺の見通しというのはどうなっていますでしょうか。

【河野外務大臣】それは韓国政府にお尋ねください。

【記者】破棄についての率直な受け止めをお願いします。

【河野外務大臣】今の北朝鮮問題等を考えた時に,この協定の重要性はおそらく誰しもが理解をされていることと思います。それをこの輸出管理の運用見直しと紐付けて,こうした決定をすることについて,この安全保障環境を完全に見誤っていると言わざるを得ないと思っております。このような決定が行われていることに断固として抗議をしたいと思っております。

【記者】韓国大使はどのような,本国に伝えるとか,そこら辺はどのような。

【河野外務大臣】正確にこうしたことを本国に伝えるとおっしゃって帰られました。

【記者】日韓の対立が歴史問題だけでなく,経済,安全保障にも広がる一方ですけれども,こうした状況についてどのようにお考えでしょうか。

【河野外務大臣】今の日韓の最大の懸案事項は,旧朝鮮半島出身労働者に関する韓国の大法院判決によって国際法違反の状況が続いていることであります。これをしっかりと是正をすることによって日韓関係を正常化しよう,そういう共通認識を持つべく,外交当局間で様々話し合いをしてきているところでございます。外交当局は、難しい問題はありますが,話し合いを続けていこうということで,先日の外相会談でもそこは一致をしているところですので,しっかりとこの対話を通じて,韓国側に賢明な措置を取ってもらいたいと思っております。

【記者】もし今回に本当に破棄されるということになると,今後の日韓とか日米韓の安全保障上の連携に具体的にどのような影響が生じるとお考えになりますか。

【河野外務大臣】予断をもってお答えするのは差し控えたいと思います。

【記者】昨日康京和(カン・ギョンファ)外相と会談をされましたが,その時点で,こういう結果というか韓国側の対応というのはある程度想定されていたんでしょうか,それとも想定外でしょうか。

【河野外務大臣】外務省としては,あらゆることに対応できるように準備をしてまいりました。

【記者】大臣,1日にも昨日も,康外相と会談をして,こういう結果になったことをどう受け止めていらっしゃいますか。

【河野外務大臣】韓国の,外交部が少なくとも日韓関係の重要性を理解をし,問題を解決するための話し合いを継続していこうということで,長官と一致をしているところでございます。外交当局としては,この難しい状況ではありますけども,日韓関係をしっかりとマネージし,関係を改善できるような努力を続けていきたいと思います。

【記者】意思疎通の継続で一致ということですが,こういう事態になっているわけです。それでも意思疎通は重要ですか。

【河野外務大臣】外交当局はどういう状況にあっても,しっかりと両国関係をマネージするための対話を積み重ねていく必要があるというふうに思っています。

【記者】その外交部の,外交当局同士がそういう関係であるならば,今回の決定というのは,韓国の外交部と青瓦台の意思疎通が図れていないということでしょうか。

【河野外務大臣】韓国内のことについては,韓国側にお尋ねをいただくのがよろしいかと思います。

【記者】本日,南韓国大使は本国に伝えるということ以上のことはおっしゃってないんでしょうか。

【河野外務大臣】それ以上のことを私がここで申し上げるのは差し控えます。

【記者】確認ですが,本日外務省で,抗議されたということでよろしいでしょうか。

【河野外務大臣】先ほど召致をし,話をいたしました。

【記者】そうした中で,意思疎通で一致していますけれども,今後こうした厳しい状況について,大臣ご自身としてはどうやって打開していけば良いと考えていらっしゃいますか。

【河野外務大臣】多くのことが韓国側に対応をしていただかなければいけないことでございますので,そうしたことについて,しっかり話し合いをし,韓国側に賢明な措置を取るよう求めていきたいと思っております。

【記者】大臣,破棄を受けて,アメリカ側とは,いろんなレベルがあると思いますけれども,連絡を取りあったりというのはいかがでしょうか。

【河野外務大臣】様々,外交の努力はしっかりと続けていきたいと思います。

【記者】ポンペオ長官とは電話会談とかはされてないですかね,まだ。

【河野外務大臣】様々なレベルで意思の疎通を行っているところであります。

【記者】本日抗議されましたけれども,明日以降にどういった対応するかというのは,決まっていることございますか。

【河野外務大臣】今のところ対外的に申し上げるのは差し控えたいと思います。