冒頭発言

【河野外務大臣】今日の「2+2」の会合では,今後の日米同盟の在り方,あるいは抑止力・対処力強化の方向性を具体的に確認しました。総理の訪米,トランプ大統領の国賓としての訪日の成功に向けても意義がある成果が出せたと思います。
 具体的には,まず第一に,日米同盟が,インド太平洋地域の平和,安全及び繁栄の礎であること,日米両国が共に,「自由で開かれたインド太平洋」の実現に取り組むことで一致しました。
 二番目に,宇宙,サイバー領域及び電磁波といった新たな分野での能力向上を含むクロス・ドメイン作戦のための協力を強化していくことで一致しました。
 三番目に,北朝鮮について,全ての大量破壊兵器及び全ての射程の弾道ミサイルのCVIDの実現と,そのための安保理決議を完全に履行するための「瀬取り」対策,こうしたことについて,日米の緊密な協力を再確認し,地域における米軍の態勢が強固であり続けるということも再確認いたしました。
 加えて,普天間飛行場の辺野古移設を含め,米軍の再編の着実な実施を確認すると同時に,先日の沖縄での米軍による殺人事件についても改めて,このような事件が二度と起こらないよう,再発防止を申し入れました。
 また,今朝,「2+2」の前に外相会談を行い,先ほどボルトン大統領補佐官との意見交換も行い,非常に有意義だったと思います。
 特に,第2回の米朝会談後の情勢を踏まえ,今後の北朝鮮政策に関するすり合わせ,それから私の先日の訪中を踏まえた地域情勢についても意見交換いたしました。私からは以上です。

質疑応答

【記者】外相会談の中ではどういった点を主に話し合われたのかお聞かせいただければと思います。
【河野外務大臣】まず北朝鮮問題,それから中国,その他様々な地域情勢についてのやり取りを行った後,大統領の訪日についての意見交換も行いました。
【記者】この外相会談の中で,イランの原油について経済制裁の適用延長の議論というのは出たのでしょうか。
【河野外務大臣】中東に関してのやり取りもございました。内容については機微なものですから,公の場で申し上げるのは,今の段階では差し控えたいと思います。
【記者】ボルトン補佐官との話合いは岩屋大臣も一緒だったのでしょうか。
【河野外務大臣】岩屋さんと一緒でした。
【記者】どういったところが一番。
【河野外務大臣】やはり同じように北朝鮮,中国,それからボルトン補佐官とは少しベネズエラに関しても意見交換いたしました。
【記者】「2+2」の共同発表の中で,東シナ海・南シナ海の中国の現状変更の試みを念頭に,インド太平洋,自由で開かれたインド太平洋への挑戦など,かなり中国を批判する文言が入っていると思いますが,そのあたりどのようにお考えでしょうか。
【河野外務大臣】中国には,国際秩序を尊重した平和裡な発展を求めたいと思います。中国が国際ルールに沿って経済発展をしていくということは,世界経済,地域経済にとって非常に有益だと思いますので,中国がしっかりと,この国際秩序に基づいた行動をしていただくことが,これから大切になってくると思います。
【記者】成果文書の中で,サプライチェーンセキュリティーの必要性という文言が盛り込まれましたけれども,今回,その一連の会談の中で,中国の,その5G規格ですとか,あるいはファーウェイに関して何か議論があったのであればご紹介ください。
【河野外務大臣】5Gは,IoTや自動運転の基礎になる技術ですので,サイバーリスクがあるような機器を組み込むことは避けなければならないというところは一致しております。サプライチェーンの中でそうしたリスクが起きないように,日本政府のガイドラインを出しておりますので,しっかりとそれに基づいて機器の調達を関連する企業にはやっていただきたいと思います。
【記者】先ほどの中国の点に関してなんですけど,今,日中関係では首脳外交が始まっていて関係改善が進んでいるかと思うんですが,一方でその,こういった安全保障面では非常に脅威が残っていると。こういった安全保障と首脳外交が進んでいるという,どういう風にバランスを取っていこうとお考えなのでしょうか。
【河野外務大臣】先日私の訪中でも非常に日中関係が改善されているというのは肌で感じることができましたし,今年は習近平主席をG20で大阪でお迎えすることになり,ハイレベルの交流というのは非常にいい状況で続いていると思います。私の訪中の中でも,日中関係は正常化しつつあるという認識を共有することができました。他方,この東シナ海,あるいは南シナ海での現状変更の試みというような,原理原則に関して,日本としては譲るつもりは全くありません。日中関係を更に良くするためにはですね,中国側にきちんと,この国際ルールに則った国際秩序の中での行動というのを求めていきたいと思います。
【記者】北朝鮮についてなんですけれども,米韓の合同訓練は現時点で3月の時点で終了するという発表がなされていますけれども,その中で今回,地域における米軍の強固な態勢の維持というのが,今回,共同文書に盛り込まれた意義というのはどのようにお考えでしょうか。
【河野外務大臣】米韓のこれまでの演習は中止されましたが,それに代わる様々な演習ですとか,あるいは訓練といったものは引き続き行われ,この米軍の即応態勢・即応能力というのが損なわれることはないという説明がございました。また在日米軍は,更に広い地域での平和と繁栄の礎になっていますので,この極東地域での米軍の即応態勢・即応能力というのが損なわれてはいけないということで,我々は認識は一致しています。
【記者】北朝鮮の関連で,今回の日米韓の連携というのが盛り込まれました。一方で最新の動きを見ていると,日米と韓国との間で,特に制裁の在り方を巡って足並みの乱れといいますか,温度差が感じられるんですけども,その点大臣としては現状どのようにお考えで,今後どうやって進めていこうとお考えでしょうか。
【河野外務大臣】若干そうしたところがあるのかもしれませんけども,少なくとも安全保障に関する面では,日米韓,しっかりと連携を取れている,取ってきているというふうに思いますので,そういう意味で安全保障に関しては,特に心配はしておりません。
【記者】トランプ大統領の訪日についても議論されたということですが,どういうやり取りがあったのでしょうか。
【河野外務大臣】正式に日付は発表されましたが,その中身についてまだ公表する段階ではないと思いますので,中身についてのやり取りは差し控えたいと思いますが,非常に良い訪日になるのではないかと思いますし,新しい天皇の下での最初の国賓ということになりますので,日米同盟の強化という意味でも,あるいは日米関係の強化という意味でも非常に意味にあるものになるだろうと思います。
【記者】来週には安倍総理の訪米が控えていますが,どう繋がるとお考えか。今回,外交当局間で確認したことを改めて首脳会談で確認したいことがあれば教えてください。
【河野外務大臣】当然に,今日「2+2」で確認したことは,首脳同士でも確認されると思っております。
【記者】日本人拉致問題の件に関して,ポンペオ国務長官の方は,金正恩委員長は拉致問題について認識しているという印象を語っていましたけれども,それを受けてまだ日朝関係について大きな進展が無いという現状を大臣はどのように分析されているのでしょうか。
【河野外務大臣】当然に,日本としては北朝鮮とこの問題は向き合わなければならないと思っております。北朝鮮も,まずこの核・ミサイルの問題にどう対応するか,そしてこの拉致問題にどう対応していくか,今ボールは北朝鮮側にあると思いますので,北朝鮮,おそらくハノイの後を受けて,今,様々な見直しあるいは体制の構築というのが行われていると思いますので,しばらく時間はかかるかもしれません。