日時 平成30年10月5日(金曜日)11時39分~11時54分 於:本省会見室
主な質疑事項
  • (大臣から)東日本大震災、地震・台風被害等の現地調査について
  • (大臣から)ロシアへの出張について
  • 台風第24号による農林水産関係の被害状況等について
  • アメリカとの通商交渉について
  • 太平洋クロマグロの資源管理に関する訴訟について

 

大臣

  私からは2点、報告がございます。まず1点目でありますけれども、今日から明後日まで、東日本大震災や今年の地震、台風等の被災地を訪問をさせていただきたいと存じます。今朝も閣議後、この東日本大震災に関係する閣僚会議というのもございまして、総理から閣僚全員が復興担当であることと、併せて現場主義を貫くというお話もございましたので、私も本日はまずは福島県を訪問させていただきたいと思っております。先進的・モデル的な酪農経営について視察をさせていただきまして、福島県知事とも面会をさせていただきたいと思っております。明日、6日でありまするけれども、大阪府及び和歌山県を訪問をさせていただきます。これはご承知のように台風21号による果樹の落果や農業用ハウスの損壊等の被害状況について調査をさせていただきたいと思っております。明後日でありますけれども、北海道を訪問いたしまして、北海道胆振東部地震によります林地の大規模損壊並びに農地や農業用施設への土砂堆積や損壊について調査を行いたいと考えております。北海道におきましては、たぶん、厚真、むかわ、安平ということになろうかと思っております。
  2点目でありますけれども、10月9日から11日までですね、ロシアへ出張する予定でございます。今回の出張におきましては、毎年秋にですね、モスクワで開催をされておりますロシア最大級の農業展示会、「黄金の秋」と呼んでおられますけれども、それに参加をしてまいりたいと存じております。日露相互交流年である本年、我が国といたしましてもこの「黄金の秋2018」のパートナー国となっておりまして、その開会式やロシア農業省主催の農業ビジネスフォーラムにも出席をさせていただきたいと思っております。日本ブースも出展をしておりまして、日本の農業・食品関連技術、日本食品等の海外展開にかかわる情報発信を行ってまいりたいと思います。この日本ブースにはメドヴェージェフ首相も視察をされる予定と聞いておりまして、そのような状況になりますれば、私の方からメドヴェージェフ首相に日本ブースの説明を行わせていただく予定でございます。
  また、パトルシェフ・ロシア農業大臣とも会談を行いまして、今後の農業分野における協力等について意見交換をしてまいりたいと存じております。詳細につきましては、この後、プレスリリースをいたします。私からは以上でございます。

記者

  先の台風24号の被害についてお伺いします。現段階でどのような被害の報告が来ているのかお伺いします。またこのうち野菜の被害も報告されまして、ビニールハウスの倒壊や塩害などの被害がありますけれども、価格への影響の見通しなどについてお伺いしたいと思います。

大臣

  台風第24号でありますけれども、現在ですね、10月5日ですから今日までに、まずですね、水稲や露地野菜の倒伏、冠水や塩害、果実の落果等などが確認されていると聞いています。農業用ハウスや畜産用施設の損壊も一部あると聞きました。さらに農地、水路の破損ですとか、山腹の崩壊ですとか、林道法面のですね、崩壊等、さらに4つ目でありますけども、漁港や防波堤、漁船、漁具の損傷等が発生していると聞いております。特に、農作物被害や農業用ハウスの損壊については、少し広範囲で発生していると報告を受けておりまするけども、現在、調査しているところでもありまして、被害額も含めて全容を把握するには至っておりません。地域的には特に鹿児島県ですとか、これはサトウキビだと思います。千葉県、これは野菜関係になるのかなと思いますけども、そういった地域名は聞いておりますけども、今、被害額も含めて申しあげましたように全容を把握するために努力をしているところであります。関係自治体と連携して、しっかりと把握に努めてまいりたいと存じております。
  野菜の価格の話も今、ございましたですよね。これはですね、まず、東京都の中央卸売市場の関係者からの聞き取りによりますと、昨日の4日時点では、台風第24号の影響による入荷量ですとか価格への目立った影響は見られないという情報をいただいております。しかしながら、今年の夏の高温ですとか干ばつや9月の長雨、日照不足等の影響によりまして、例えば、はくさい、にんじん、ねぎ、きゅうり等の卸売価格でありますけども、平年に比べまして、3ないし7割程度高い水準で推移をしていると聞いております。これは、東京都中央卸売市場からの情報でもございます。
  農林水産省といたしましては、今後11月以降出荷を迎える産地のだいこん、にんじん、キャベツ、はくさい等で、台風第24号による被害が確認を若干されておりますので、被害状況等の迅速な把握に努めながら、引き続き価格動向を注視するとともに、消費者に対しまして、適切・正確な情報をしっかりと発信してまいりたいと存じております。特ににんじんに関しましては、北海道のにんじんもですね、天候不順等々によって極めて出荷量が少なくなったというそういった情報も出ておりますので、そういうことも含めまして、消費者の皆さんには正確な情報をこれからも発信をしてまいりたいと存じております。

記者

  アメリカの農務長官が、今度の新しい通商交渉で日欧EPA以上の関税の引き下げを要求すると明言したそうなんですけれども、これに対する御所見と、先日首脳間で結ばれた文書とですね、食い違う部分だと思うんですけれども、これについて率直なご感想があればいただけないでしょうか。

大臣

  アメリカのパーデュー農務長官の報道につきましては、承知をいたしておりますけれども、私といたましては外国政府要人の発言についてコメントすることは差し控えたいと存じます。ですが、この交渉の開始に先立ってですね、日米の首脳間で米国側が農林水産品につきましては、過去の経済連携協定で約束をした市場アクセスの譲許内容が最大限であるという日本側の立場を尊重することについて共同声明といいますか、文書で確認をされておりますので、これを踏まえて農林水産省といたしましては、維持発展を旨としてですね、交渉に臨んでまいりたいという思いを持っております。
  なおですね、個別品目によって経済連携協定ごとに内容が異なるものもありまするけれども、全体としてみればTPPの水準がこれまでの最大限であると理解をしておりますし、私も何度もそのような話をいたしておりますので、しっかりとこのことはお伝えをしてまいりたいと存じております。以上です。この件に関しましては。

記者

  今の質問に関連して、やはりペンス副大統領もTAG交渉について、2国間のFTA交渉をまもなく始めると明言されておりまして、日本政府の説明とちょっと食い違う部分ではないかと思うんですけれども、ペンス副大統領の発言についての受け止めもお願いします。

大臣

  ペンス副大統領の御発言につきましては、私は細かく承知はいたしておりませんけれども、この共同声明の英文の解釈やですね、FTAの定義等については私どもよりも内閣官房または外務省にお問い合わせをいただきたいなと、こう思っておりまするけれども、農林水産分野に対するですね、懸念があるということだろうと思います。
  この点につきましては、米国側が農林水産品について過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限であるという日本側の立場を尊重する旨、先ほども申し上げましたけども共同声明にも明記されておりますので、ということを考えますと、この交渉の開始に先立って首脳間でこの点について合意文書で確認した意義というのは極めて私は大きなものがあろうかと思いますので、そういった線に基づいて私たちは交渉をしていただきたいという、そういう思いでもございます。

記者

  太平洋クロマグロの資源管理のことなんですが、北海道のクロマグロの漁業者がですね、今期の配分枠が実質的に0だというのは不当だということで、今日の午後にも国と道を相手に訴えを起こす予定になっておりまして、これまでも漁業者からの不満というのはですね、各地であったと思うんですが、提訴ということになると初めての動きだと思うんですね。農水省としての受け止めと今後の対応について教えてください。

大臣

  報道は私も承知をいたしております。現時点でですね、訴状が届いておりませんので、コメントは差し控えたいと存じますけれども、経緯等詳細につきましてですね、水産庁にお問い合わせをいただければありがたいなと思っております。

報道官

  ほかにございますか。

記者

  アメリカの農務長官の発言に関して、また戻ってなんですけれども、EUとのEPAだと個別にいうとチーズではですね、TPPより深掘りしていると思うんですが、より自由活動が高いと思うんですが、過去の経済連携協定以上は認められないという共同声明を踏まえてですね、日欧EPAで言った水準ならば、そこは求められても仕方ないという理解なのか。それともあくまでもTPPの水準は守るという理解なのか、その辺はどう考えておられますか。

大臣

  日EU・EPAとですね、TPPの合意内容を単純に比較すべきではないと私は思っておりまするけれども、全体としてみればですね、日EU・EPAの農林水産品の譲許内容というのは、TPPを私は上回るものではないと考えているんですね。ですからそういったことも踏まえながらですね、これからもしっかりと対応していかなければならないと思っております。

報道官

  ほかにございますか。よろしいですか。それでは、会見を終わりたいと思います。

大臣

  ありがとうございました。

以上