日時 平成30年10月12日(金曜日)10時40分~11時01分 於:本省会見室
主な質疑事項
  • (大臣から)愛媛県、広島県、岡山県出張について
  • 日米物品貿易協定(TAG)について
  • 平成30年産のコメの需給見通しについて
  • 新たな外国人材の受入れ制度について
  • ロシア出張について
  • 大臣就任後における被災各地への訪問について
  • 台湾における日本産食品の輸入規制について

 

大臣

  私から1点、報告をさせていただきたいと思います。本日、12日でありますけれども、明日13日にかけまして、今年の7月に西日本の豪雨災害におきまして、大変大きな被害が残されました。被災をされた皆様との懇談を含めまして、愛媛県、広島県、岡山県を訪問をいたします。なお、首長やJA関係者と意見交換を考えておりますし、樹園地とかですね、あるいはため池及び農業用ハウスの状況について特に調査を行いたいと思います。詳細は、この後、プレスリリースをいたします。私からは以上でございます。

記者

  日米の通商協議についてなんですけれども、日本としてはTAGという枠組みで議論を進めていきたいということかと思うんですけれども、アメリカのペンス副大統領がですね、FTAという発言がありましたけれども、日本との受け止めに齟齬があるように感じますが、大臣どういったふうに受け止めていらっしゃるか、所見をお聞かせ下さい。

大臣

  報道につきましては承知をいたしておりますけれども、私はこれまで何度も申しあげてまいりましたけれども、日米共同声明におきましてですね、物品貿易協定、いわゆるTAGでありますけれども、この交渉開始で一致をしたと思っております。この点について、日米間にですね、認識の齟齬はないと私は承知をいたしております。なお、いろいろと共同声明の英文の解釈ですとか、FTAの定義等についてということかもあろうかと思いますので、ここにつきましてはですね、内閣官房又は外務省に是非、お問い合わせをいただきたいなと思っております。
  それからですね、付け加えて申しあげるとすればですね、まず、米国との交渉というのは、これからだと思います。時期的なことはまだはっきりいたしません。アメリカの議会の承認等々もあろうかと思います。ですから予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いまするけれども、いずれにしましても、この交渉の開始に先立って、日米首脳間で米国側が「農林水産品については、過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限であるという日本側の立場を尊重すること」について文書で確認をしているところでありますので、私どもの農林水産省といたしましては、この農林水産業の我が国のですね、維持・発展を旨として、関係府省と連携し、交渉に臨んでいくということになるのではないかと思っております。

記者

  もう1点、日米交渉に関連してなんですけれども、先週、パーデュー農務長官がですね、TPP以上を求めていくという発言もありましたけれども、そういった発言を受けて農家の方に不安もですね、また生まれてきている状況かと思いますが、そういった不安を払拭していくためにどういった説明責任を今後果たしていかれるか、教えていただけますか。

大臣

  パーデュー農務長官の報道につきまして承知をいたしておりますが、外国政府要人の発言について、私はコメントは差し控えたいと存じておりますけれども、いずれにいたしましても、農家の皆さん、生産者の皆さんにしっかりとですね、このたびのTAGの交渉の内容というものを説明をするということが、大切であろうかと思います。その際、先ほども申しあげましたけれども、過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限であるという、この日本側の立場というものを私どもと致しましても、しっかりと説明をしてまいりたいと思っております。更にですね、農家の皆さんに、あるいは生産者の皆さんに申しあげるとすればですね、全体としてみてですね、TPPの水準がこれまでの最大限であるということを今までも申しあげてまいりましたけれども、そういったことを常に親切に説明をすることが私は大切であろうかなと思っております。

記者

  今年度のですね、新米の供給についてちょっとお伺いしたいんですが、まず今年からですね、減反廃止によってですね、生産者の自由度が高まったんですが、これまで混乱等ないか、うまくいっているのかという受け止めが1点。あと今年のですね、先ほどの豪雨とかですね、日照不足、台風などでですね、天候不順でですね、天災被害で作柄の状況が不安視されているんですが、そこのですね、最新のものはこの後出るということなんですが、どういった御認識があるかということと、あと最後、特にですね、コンビニ各社とかですね、外食業界からこのままだと業務用米が不足するんじゃないかという懸念、声も出ているんですが、そこについてですね、どうお考えなのか。

大臣

  米について問いがありましたので申しあげたいと思いますけれども、まず、平成30年度産の水稲のですね、作況指数が9月15日に発表いたしましたけれども、これはたぶん全体のですね、3割近くだと思います。今まさに10月、この月が稲刈りが各地で進んでおります。9月の作況指数が100、平年並みということでございました。特に私の地元の北海道は90ということで、不良というのが出ましたけれども、平年並みということになりますとですね、主食用米等の予想収穫量が737万トン、平成30年の需給見通しと概ね同水準ということになります。ですから、新米不足が懸念をされる、今のところですね、状況には私はないとこのように思っております。
  本格的な収穫・取引は今申しあげましたように、10月以降であるということ。更にですね、需要の減少傾向について注視する必要があることなどからですね、最終的な作柄や直近の需要動向をよく見極めながら、11月に策定をいたします米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針における需給見通しをしっかりと精査をしてまいりたいなと思っております。更に今、お話がございました業務用も含めてですね、しっかりと精査をしてまいりたいなと思っております。いずれにいたしましても、引き続きですね、しっかりとこの見通しというものを立てていかなければならないのかなとそのように思っております。

記者

  減反廃止の効果についてはどうお考えでしょうか。

大臣

  その効果につきましてはですね、それぞれの地域の立場、立場でしっかりとですね、その方向性に向けて今年も作付けをしていただいたのいかなと、そのように思っておりまして、主体的にですね、この作付け判断を行った、その結果であろうかと思います。そういったことも含めて、最終的に作況指数が出る時点で、しっかりと、それまではいろんな精査をしなければなりませんですけれども、その時点でいろんなことを考えていかなければならないのかなと思っております。

記者

  今日ですね、外国人労働者の受け入れに向けた関係閣僚会議が開かれたと思うんですが、その中で農業でもですね、外国人材の活用がテーマとして入っているかと思うんですけれども、そこに対する期待なり何なり、大臣の御所見がありましたらお聞かせ願えないでしょうか。

大臣

  今日の閣議の前にですね、今、御指摘のありました「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」というものが開催をされました。法務大臣から、新たな在留資格の創設等に係る法案の骨子等について報告があったところでございまして、また、官房長官からは、「来年4月の受入れを目指して、法務省をはじめ関係省庁が一層緊密に連携を図って、引き続き準備を進めてほしい」と、そういった発言がございました。
  農林水産省といたしましては、当省所管の必要な分野においてですね、外国人のこの人材を円滑に受け入れることができるように、引き続き法務省等の制度所管省庁と連携して積極的に検討を進めてまいりたいと思っております。農業のほかに、漁業とか水産加工・食料品製造業、外食産業についてもですね、検討をしているところでございます。

記者

  ロシアに出張に行かれていたと思うんですけれども、ロシアの政府の方と会談もされたということなんですけれども、どういうお話合いをされたかということと、あと農業サミットにも参加されたかと思うんですけれども、その感想などあればお聞かせ下さい。

大臣

  ロシアはですね、ロシア国において最大のイベントであります農業展示会というのが今、開催をされております。そこで私は開会式にお招きをいただきました。これはロシアが今年我が国を初めてパートナー国として迎え入れていただいたところでございます。メドヴェージェフ首相が出席をされて、式典で御挨拶をされ、更には、ロシア国内において農業に貢献のあった方々の表彰式などもございました。その式典にはですね、私も出席をいたしました。その後、メドヴェージェフ首相が各ロシア国内から出展をされている農業展示のブースをお周りになっておられまして、日本のブースにもおいでになられました。日本からはですね、13の企業・団体の皆さんが出展をしておりました。少し詳しく申しあげますと、その中には安倍総理がプーチン大統領に提案をしております、8項目の協力プランの一環でもあります機能性表示のついた食品加工とかですね、高齢者向けの加工食品とかですね、あるいはロシアで最大に注目をしておりますスマート農業に関係する展示もございました。更には日本の優れた加工技術を駆使したですね、大豆で作ったいろいろなクッキーとかですね、そういったのも展示をされておりまして、そういったところをメドヴェージェフ首相に私が御案内をしてこういったことを紹介しております。日本の我が国からは、更に農業技術を通じてロシアにも、農業にも発展のために貢献をしていきたいと、そういう話をさせていただいたところでございます。

記者

  大臣に就任してから立て続けに自然災害の被災地を訪問されてますけれども、改めてになりますけれども、その自然災害への対応の難しさとか、特に課題だと感じていらっしゃることについて御見解をお願いします。

大臣

  ただ今お話をいただきましたように、先週はですね、まず私は福島県に参りまして、酪農、法人を作って牛を500頭ほど飼育をしていて、それ以上、牛を飼っていると思いますが、500頭の牛から搾乳をしているそういった法人の皆さんとの懇談もさせていただきました。確かな一歩を踏み出しているなと、そういう思いを福島県ではさせていただきました。ですがまだまだ、これから復興に向けて私たちの支援が必要であるということも強く感じさせていただいたところでございます。
  その後大阪では、このたびの台風21号におけるハウスの倒壊状況というものを視察をさせていただきまして、こういったことも、もう既に政府としての対策を打ち出しておりますので、それを被災をされた農家の皆さんに説明をさせていただきながら、これからも力強く、営農をやっていただきたいという、そういうお話もさせていただきました。同じく和歌山県もそうであります。ただ岡山県に関しましては、これから有田という地域、みかんが非常に心配をされます。それは塩害というのもございます。倒れたみかん、あるいは果樹に関しましては、改植ということもございますけれども、それには時間がかかるということもあります。いろんなご苦労なお話をお聞かせをいただきました。
  北海道の被災地におきましては、農地が土砂災害で相当水田が極めて大変な状況にある。更には、野菜関係、ハウスの倒壊もございました。これからいよいよ復旧、更には復興へと進んでまいりますけども、被災された皆様に更に寄り添った形で私ども農林水産省として、出来うる限りの支援を申しあげながらしっかりとですね、これからの営農を続けていただきたいなと、このように強く、強く思わせていただいたところでございます。大変、そういう被災に遭われた皆さんでも、今、心が折れているという状況にありましてもですね、これから力強くまた農業を再開していこうという、そういう思いもございましたので、大変力強く思いながらも、これからもしっかりとご支援申しあげていかなければならないなと、そういう気持ちにさせていただいたところです。

記者

  先日、台湾でですね、日本産の食品の輸入を巡って、住民投票を実施することが決まりました。これは東日本大震災後の措置が続いているわけですけれども、台湾以外の東アジアの国々を中心に原発事故の被災地か、またその東日本からのですね、日本産食品の農産物の輸入規制が続いている状況ですけれどもその辺解除に向けて、大臣どのように取り組んで行かれるか、改めてお考えをお聞かせ下さい。

大臣

  日本食品に対する輸入規制でありますけれども、輸入規制につきましては、我が国といたしましては、これまでもですね、台湾側に対して、交流協会を通じて食品の安全性等に関する各種の情報提供をしながら、科学的根拠に基づき早期の撤廃を行うよう働き掛けを行ってまいりました。今後も、あらゆる機会をとらえまして、台湾側が日本産食品に対する正確な理解を深め、規制の早期撤廃が実現するようにですね、台湾側に対して粘り強く働き掛けていく必要があるのではないかと、このように思っております。

記者

  何か、大臣御自身として何かこういった働きかけの機会とか今お考えのことは。

大臣

  そういう機会がありますれば、私も台湾のみならずですね、そういった規制をしているそれぞれの国、地域に対してもしっかりと働きかけも行いたいなと思いますけれども、これもいろいろな外交チャネルを駆使しながらやっていく努力をする必要があろうかと思いますので、ただ1点だけ、一つだけ考えていればいいということではないと私は思いますので、全てのチャネルを通じながらこれからもしっかりと努力をしていく必要があるなということを強く感じております。

報道官

  ほかにございますか。よろしいですか。それでは以上で会見を終わります。

以上