日時 平成30年10月2日(火曜日)22時48分~23時51分 於:本省会見室
主な質疑事項
  • (大臣から)就任に当たっての挨拶
  • 農政改革について
  • 災害対応について
  • 収入保険について
  • 共済制度について
  • 中山間地域の振興について
  • 水産改革について
  • 日米通商交渉について
  • 総理発言(農林水産大臣の任命理由)について
  • 諫早干拓問題について
  • 農協改革について
  • コメ政策について
  • 豊洲市場について
  • 農地中間管理機構について
  • 酪農政策について
  • 大臣就任への受け止めについて
  • 自民党道連会長について
  • 農協の準組合員について
  • 経済産業副大臣としての経験の活用について
  • 国際捕鯨委員会(IWC)について
  • ワシントン条約における商業捕鯨について
  • 農業委員会について
  • スマート農業の推進について

 

大臣

  どうも皆さんこんばんは。大変夜遅くになりまして恐縮に存じております。本日、第4次安倍内閣で農林水産大臣を拝命いたしました吉川貴盛でございます。以後どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。
  まず、今年はですね、大阪北部の地震、更には西日本の7月における豪雨災害、そして、台風21号による災害、更には、私の地元でもありまするけれども、今まで経験したことのない震度7という大きな地震が起きました。震源地は胆振東部地域でございまして、厚真、むかわ、安平の3町であります。私自身の地元札幌におきましても、札幌の東区が震度6という大きな地震でありました。札幌市民の皆さんも初めて経験するというこの震度の大きさでございまして、札幌市は清田区というところが液状化現象で、住宅が大変な状況になりました。まだ避難されている方がいらっしゃいます。私の東区というところも約4kmに渡って道路が陥没をするというような、そういう事態も起きました。そして更に、台風24号であります。この地震や災害におきまして多くの皆様が犠牲になられました。心からお悔やみを申し上げ、哀悼の誠をささげたいと存じます。更に、被災をされた全ての皆様にお見舞いを申し上げたいと存じます。
  私も党において農林・食料戦略調査会の会長代理を務めておりました。先週、この災害対策をまとめることができました。そして政府側におきましても極めて迅速に災害対策等々をまとめていただいて、いよいよ災害対策に本格的に入ってくるだろうと思います。まずは応急的な復旧はもちろんのこと、更には復興を成し遂げていくためにもですね、このまとまった対策そのものは極めて有意義なものになってくるのではないかなと思っております。
  我が国の農林水産業は、世界に評価をされる和食、更には美しい農山漁村の風景など、わが国の成長の糧となる潜在力を有していると思います。私はこうした潜在力を最大限に引き出すことによりまして、農林水産業を若者の皆さんが夢や希望を託すことができるそういった産業として、美しく活力ある農山漁村を実現できることを確信いたしております。
  安倍内閣におきましては、今まで農林水産業に活力を取り戻し、魅力ある成長産業にしていくために抜本的な改革を進めてまいりました。また、農山漁村に活力を取り戻すため、日本型直接支払制度の創設や、農泊など都市と農山漁村の交流等にも力を入れてきました。これらによりまして、農林水産物、食品の輸出が5年連続で過去最高を更新をしてきました。生産農業所得も過去18年で最高に達するなど、着実に成果があらわれ始めていると思っております。引き続き、これまで行ってきた改革を確実に推進するとともに、新たな改革にも果敢に挑戦をしていかなければなりません。特に、農業の生産性を飛躍的に高めるために、ロボットやAIなどの先端技術の開発、実装を強力に推進をしていきたいと思いますし、そのことがまた世界トップレベルのスマート農業の実現ということにも繋がっていくのではないでしょうか。
  更に、林業と水産業につきましても、適切な資源管理と成長産業化を両立するための抜本的な改革を強力に推進をしてまいります。山や海の潜在力を十分に引き出して、地域の活力向上につなげてまいりたいと存じております。
  農林水産業は、国の基でもあります。農林水産省には、豊かな食生活とそれを支える農山漁村を次世代に引き継ぐという重要な責務があると考えております。私自身も先頭に立ちまして、強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村を実現できるよう、全力で取り組んでまいりたいと思っております。
  なお、総理からはですね、TPP、更にはこれから、多分、来年になろうかと思われますが日EU、EPAも発効が迫ってきております。そういったことに対して農林水産省として、更にしっかりと対応をしていただきたい、というお話が出ました。そしてまた水産関連の改革につきましても、ご指示をいただいたところでもございます。
  私からは以上を申し上げまして就任のご挨拶にさせていただきたいと存じます。

記者

  2点伺いますけども、これまで大臣も党でも長く農政に関わられてきたと思いますけど、今いくつか課題をあげられましたけれども、まず取り組むべき課題として第一に上げればどういったことかと、ご経験を生かしてご自身のカラーを出していくようなお考えの分野があれば、併せてお聞かせください。

大臣

  まず取り組まなければいけない課題といえば、農林水産業全てのことだろうと思います。そういう中にありましても、やはり農業・林業・水産業を成長産業化として育てていくためにはですね、攻めの農林水産業というのが、とても必要かなと思っております。そういった意味におきましては、どうしても通商交渉の中で、TPPや日EU・EPA、RCEP等々もありますけども、守りになるのではないかと言われておりますが、そういう中にありましても、攻める部分というのも、十分にこれから発揮をしていかなければなりません。例えば、日EU・EPAはですね、いまEUに関しましては牛肉は輸出ができるようになっていますけども、豚、さらには鶏、鶏卵もそうですね、乳製品もそうですけど、まだまだ輸出が可能な状況となっておりませんので、できますれば日EU・EPAが発効する折には、そういったこともしっかりと解決をしておかなければならない、それがまた攻めの農林水産業にも繋がっていくのでないかと思います。常にそういう姿勢を持ちながらこれからの農林水産業対策にあたっていきたいなと思っております。そしてやはりなんと言っても喫緊の課題はですね、この災害対応であろうかと思います。私も、少し長くなって申し訳ありませんが、できるだけ早く、福島、東日本大震災、これはもう閣僚全てが復興大臣となるべく、努力をすることが今日も申し合わせの中にございましたので、そういう思いを持ちながら福島を訪問したいなと思っております。さらには、7月の豪雨災害で農業にも非常にですね、被害がございました地域にも、いち早くまいりたいと思います。そして、また、大阪北部地震と21号台風で、全国で3万1千棟のハウスが倒壊をしました。大阪21号台風で5千棟、北海道は7千棟という大きな被害でありましたけれども、そういった地域にもいち早く足を運ばせていただきたいなとこのように思っております。

記者

  ご自身のこう色を出されていくような分野っていうのは、何かございますでしょうか。

大臣

  もともと私は浅学非才の身であると自分で、そういう自覚をいたしておりますので、色というよりもですね、今日農林水産の幹部の皆さんにお話申し上げたんですが、楽しく仕事しながらですね、さらに色々なアイデアを出していただきたいと、そういう中でみなさんの持っているものを十分に発揮をしていただくような、そういう農林水産行政にしようではありませんか、という問いかけをさせていただきましたので、十分心を合わせながらですね、色々な懸案事項もございますので、ひとつひとつ解決ができるかなと、なんと言っても未来が見える、将来が見えるような、そういった農林水産行政に携わって行けるのであれば幸せだなと思います。

記者

  大臣就任おめでとうございます。私からは大きく2点お伺いいたします。さきほど大臣がおっしゃられている通り、今年の夏は豪雨や台風、地震などの災害がたくさん起こっております。そういったことも含めてですね、喫緊の課題として大臣がおっしゃられたように、災害対応に力を入れていくと仰っていましたけれども、そこに関して、早期の復旧、復興への決意を改めてお伺いしたいということと、まさに昨日から加入申請が始まった収入保険制度ですね、後は災害対策の基幹である農業共済制度、これらを含めて農業者自らが災害に備える重要性についてお考えをお伺いしたいと思います。

大臣

  極めて重要なことだと思います。例えば、今回の台風21号でハウスが倒壊をいたしました。大阪の農業者の皆さんが共済に入っている率が約16%でございました。北海道の場合も約七千棟近く倒壊ということになりましたけれど、具体的に申し上げますと長沼という地域がございます。そこは約8割の方が共済に入っていると、すぐ近くの当別町という町がございますが、そこの方は5割の加入率ということでありました。それぞれ共済保険はまちまちでありまして、なるべくこういった毎年起きている災害等々を考えると共済保険にお入りをいただくことがよろしいのかなと思いますが、さはさりながら、現実を見て我々は色んな救済措置をしていかなければなりませんので、今回のハウスの倒壊に関しましては、経営体育成支援事業では10分の3の補助でしたけれども、10分の5の補助率にかさ上げをしていただきました。大変うれしいことであります。さらにこの倒壊しているハウスのですね、これ産廃になっていくと思いますが、これは環境省の事業ですとか、あるいは農林水産省の事業を持っておりますので後片付けの方もしっかりとできるような体制をとらせていただいております。色々なことを駆使しながら農業者、生産者の皆さんがご苦労が今後ないように、また営農意欲が沸いていただくような、そういった対策を講じさせていただいたところでございます。収入保険でありまするけれども、10月1日から加入申請の手続きが始まりました。これは、ご承知のように品目の枠にとらわれずに自然災害や農産物の価格下落などによる個々の農業経営者の収入減少を広く補填する全く新しいセーフティネットでございますので、私どもとしては、より多くの皆さんに収入保険に御加入をいただきたいなと思っております。そういったことをですね、しっかりと行政の方としても後押しをさせていただくことが大切ではないかなとこのように思っております。

記者

  もう一点、自民党内でもですね、次の検討が進められている中山間地域の振興についてなんですけれども、さきほど大臣もおっしゃられました国の基となる食を支える農山漁村を次世代に引き継ぐというところを考えますとですね、地域政策として特に力を入れていきたいというふうに考えていらっしゃる点をお伺いしたいと思います。

大臣

 中山間地域というのは、私は最も日本の農業地帯において大切な地域だとこの様に思っております。地域の活力の維持、あるいは多面的機能の発揮の観点から、特色ある地域資源を活用した所得向上や地域の活性化に向けた取組への支援が更に必要なのではないのかなと、そのように認識いたしております。これまでも、先ほど申しあげましたが、日本型直接支払いによって、農業農村の多面的機能の発揮や営農継続性への支援をしてまいりましたし、地域の下支えをしつつ、中山間地の農業ルネッサンス事業ですとか、中山間地域所得向上支援対策によりまして、地域の特色を活かした多様な取組への総合的な優先的な支援というものも行ってまいりました。これからも、中山間地域の皆さんが元気の出るような施策をしっかりと行ってまいりたいし、サポートしてまいりたいとこのように思っております。

記者

  今回6月に水産改革の方向が示されて、この次の秋の臨時国会で法案が提出されるというふうに聞いております。先ほど冒頭ですね、総理からも水産改革の指示を頂いたということなんですが、まずちょっと具体的にどのような指示があったのかということと、法案が成立を仮定するのはあれなんですが、法案成立後にどのようにですね、各漁業者や漁村にこれを伝えていくのか、まだほとんど理解していないというのが現状だと思うのですが、そういったお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。

大臣

  総理からはですね、事細かな指示ではございませんで、水産改革これからの水産政策においてはですね、水産改革というのは、大切な分野であるので、しっかりと進めてほしいということでした。ご承知のように、本年6月1日に「農林水産業・地域の活力創造プラン」を改訂をして、政府の方針として「水産政策の改革について」ということが位置付けられたところでございます。
  その具体的な内容といたしては、まず1つには新たな資源管理システムの構築があります。2つめには漁業者の所得向上に資する流通構造の改革というのがございます。3つめには生産性の向上に資する漁業許可制度の見直し、4つめには養殖・沿岸漁業も発展に資する海面利用制度の見直し、5つめには水産政策の改革の方向性に合わせた漁協制度の見直し、6つめでありますが、漁村の活性化と国境監視機能を始めとする多面的機能の発揮等を進めることとしているところであります。
  これらの申し上げました取組を進めることによりまして、水産資源の適切な管理と水産業の成長産業化を両立させるということが大切なことではないかと思っておりまして、更にこれらを両立させながら漁業者の所得向上と年齢バランスのとれた漁業就業構造の確立も目指してまいりたいなと考えております。まあ特に水産関係はですね、どうしても私の北海道にしても、今年はサンマはわりかし豊漁だと思います。昨年は本当に大変でございました。この資源の回復は気候変動によるのか海流によって、相当毎年変わってきております。特に、全国的に資源によってご苦労されている水産業の地域がたくさんあろうかと思いますけれども、そういったことも勘案しながら、この水産政策の改革というものは親切丁寧に進めていく必要があるのではないかと思っております。

記者

  通商分野のですね、総理からあらためてTPP、日EUとしっかり対応するようにとの指示があったと思うんですが、当面の焦点としてアメリカとの通商交渉ですが、日本は農産物の市場開放の争点化となることが予想されますが、あらためて農産品をめぐる交渉の見通しと対応方針について伺えれば。

大臣

  つい最近先月でしたよね、アメリカにおいて通商交渉が行われました。そこで新たにTAGという言葉が、この出てまいりました。これは、日米物品貿易協定とこう呼んでおりますけれども、この日米間において、まずは9月26日に開催された日米首脳会談においてTAGについて申し上げましたけれども、交渉を開始することが合意されたのでありまして、このことはすでにご承知のとおりだろうと思いますが。
  米国側が「農林水産品について、過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限であるという日本側の立場を尊重すること」が日米共同声明に明記されております。これ私どもにとりましても大変心強いことだろうと思っております。
  農林水産省といたしては、本共同声明を踏まえて、我が国の農林水産業の維持・発展を旨として、関係府省と連携をしながら、交渉に臨んでいくことになろうかと思います。
  TPPの範囲を超えないという、ありていに言いますと、そういったことが、しっかりと共同声明の中で明記をされているということであります。しかしながら、新たにアメリカとの交渉が始まる、更には、このTAGとFTAとの違いとかですね、いろんな事が、農業生産者の不安を考えますとあろうかと思いますので、しっかりとそのことを農林水産省としても説明責任を果たしていくことが大切でもあろうと思いますので、これからもそういった努力を怠りなくですね、しっかりと、私どもが交渉の矢面に立っているのではないのではありますけれども、交渉については、しっかりと気を遣いながら臨んでいきたいなとこのように思っております。

記者

  総理が大臣を選ばれた理由として、改革マインドということをおっしゃっていましたが、先ほども自分が重視したい政策を色々と仰っていましたが、特にどこか変えたいという思いがございましたら教えてください。

大臣

  総理から改革マインドというお言葉をちょうだいいたしましたけれども、これはなかなか、農林水産新時代を築き上げるということだろうと思いますけれども、私は今まで、農業改革を副大臣を今から5年前に経験してまいりました。その時がちょうど農業改革の真っ最中でありました。中間管理機構という機構を作り、更にはコメ政策におきましても減反政策を30年で終了するといった、そういったこともありました。更には農協改革というものもございました。一つずつそういった改革を進めて、今日の農業があるわけでありますけれども、改革そのものは何を改革をするという改革が前提になるものではないと私は思います。改革をしてどういったことが得られるのか、どういった強さが出てくるのか、そこにどういった成長が生まれてくるのかということを前提にしながら改革を進めていかなければならないだろうと思っております。これからも必要であればですね、そういった観点からもう一度改革を進めていく、ということになるんだろうなと、そういうふうに認識しております。

記者

  諫早湾干拓の開門調査問題における大臣の現状認識と今後この問題に対してどう取り組んでいくのかというところのご所見をお伺いしたいと思います。

大臣

  この諫早干拓問題につきましてはですね、皆さんもご承知のように本年の7月30日に福岡高裁におきまして、開門を命ずる平成22年の福岡高裁確定判決に基づく強制執行を許さないとする判決が出されました。この判決に対して、開門を求める方々が最高裁への上告及び上告受理申立を行ったと聞いております。国としてはですね、引き続き昨年4月の農林水産大臣談話で示しました、開門によらない基金による和解を目指すことが本件の問題解決の最良の方策という、その方針の下で、一連の訴訟について、関係省庁と連携をしながら、適切に対応していく必要があるのではないかとこのように思っております。

記者

  これまで諫早干拓関連で歴代の大臣は現地の方に足を運ばれていますが、吉川大臣は現地の方に行かれるご予定はありますか。

大臣

  まずですね、今申し上げましたけれども、開門によらない基金による和解に向け、更には現在進められている複数の訴訟の状況等みながらですね、今後慎重にその件については検討してまいりたいと思っております。

記者

  先ほどの話に少し戻りますけれども、農協改革が進められておりますが、5年前に副大臣の時に進められておりますが、現在JAグループの自己改革をどのように評価されておりますでしょうか。

大臣

  農協改革につきましては、JAが自己改革案を作って頂きました。そのことについては、私は敬意を表しているというところでございます。系統団体全農さんをはじめとして、単位農協におきましても、農協改革についてしっかりと私は取り組んで頂いているというそういう認識をもっています。これからも、その自己改革というものを進めて頂く上においてですね、農林水産省としてしっかりとサポートをしていきたいとこのように考えています。農協改革の関連で、私からいくつか申し上げますと、いよいよ平成31年来年から監査も民間の監査ということになってきます。その民間の監査への移行がしっかりと出来るような体制というものを、我々はサポートしていかなければならないとこうだろうと思っていますので、引き続きサポートをしていきたいなと思っています。更に都道府県の中央会が農協連合会という組織になります。そうなりますと、課税団体になる可能性がございます。まあ今1県1JAというのが4県ほど出てまいりました。この1県1JAは経済事業等々が行われる可能性もございますので、そういったところは別にいたしましてもですね、経済事業等々をやらない、利益を上げないという、利益を追求しないという、そういった都道府県の連合会は中央会という名前を使うことが許されていますけれども、そういったところに対しての税制面での優遇策というものをこの秋から冬にかけてしっかりと対応してあげなければならないなと思っています。そういったことを全般に亘って農林水産省として改革をしっかりと進めて頂いているグループに対して手を差し伸べていく、サポートしていくということが必要ではないかと考えています。

記者

  少しお話し戻りますけれども、TAGについてなんですけれども、TAGの交渉の結果ですね、TPPやFTAで懸念されていた中小零細農家の経営難や食料自給率の更なる低下、それから農業関連産業への影響、食の安全、自治体の税収減のマイナス面が考えられるのではないか、自由貿易によって大臣の地元の北海道農業にも大きなダメージを受けると思います。その点についてお伺いしたいと思います。

大臣

  TAGにつきましては、これから交渉が始まります。私どもが聞いている範囲ではアメリカの議会でこれを了承を取らなければならない、90日ですね。その後の交渉ということになっていきますので、今すぐにですね、TAGの物品の交渉が始まるということではないと認識をいたしているところでございます。これはまずは、TAGがですね、あくまで物品貿易に限定されるものでありますので、私たちといたしましてはですね、そこのところをしっかりと見届けていくということが大切であろうかと思います。農林水産の関係の皆さんからですね、今回、TAGという言葉は初めて出てきたわけでありますので、TAGというのはどういうことであるかということは、しっかりと私どもも説明をしていかなければなりません。そして交渉をしていただいているTPP等対策本部、あるいは外務省の方からもですね、しっかりと説明をしていただきたいなとこのようには思っておりまして、断固たる姿勢で交渉に臨んでほしいという声があることも承知いたしておりますので、しっかりとですね、日本としての農林水産品について過去の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限であるという共同声明においてもそういうことが明記をされておりますので、生産者の皆さん、農家の皆さんが不安にならないように私たちもそういったことについては、説明にも努力をして、これからもいきたいと考えております。
  私自身の地元の北海道も、まだ具体的に声は聞いてはおりませんけれども、不安な声が多々あろうかと思いますので、不安払拭のためにですね、しっかりと努めてまいらなければならないなと思っております。

記者

  TAGなんですけれども、ホワイトハウスの発表した原文にはこういった略称というのはありません。これはやっぱり実質的には2国間貿易協定FTAのことではないかと、そのように思います。原文に沿った正しい名称は、物品及びサービス等の重要領域に関する貿易協定と書いてあります。TAGはこれを途中で意図的に区切って作った造語だと思います。もしこうした懸念がないのであれば、なぜこうした操作を行って実質的にFTAである交渉をTAGと偽るのでしょうか、その理由をお聞かせください。

大臣

  今TAGは実質的にFTAではないかと、そういった質問であると思いますけれども、FTAの定義につきましては、外務省にお問合せいただくのが一番よろしいかと思います。TAGは私の理解といたしましては、あくまでこの物品貿易に限られたものでございまして、いわばこれまでのEPA、FTAと異なっている包括的なFTAとは言えないのではないかと、私はこのように理解をしております。

記者

  もう1点、豊洲のですね。豊洲市場についてちょっとお伺いしたいと思います。豊洲の新しい市場について。卸売市場法ではですね、農水大臣は、開設者がこの法律に違反した場合に、業務停止等の処分が下せるとあります。築地女将さん会や築地市場営業店組合は、豊洲移転に取り組む都知事に対して4度に渡って公開質問状を出したんですけれども、これを小池都知事はこれを無視して、築地の人たちとの約束を何ひとつ守っていないとそのように訴えています。豊洲市場は手抜き工事や設計ミス、汚染問題など未解決のままですけれども、この問題についての大臣の考えを伺いたいと思います。

大臣

  その件につきましてはですね、後ほどまた事務方からよく経緯、経過というものをの説明して、私なりにしっかりとした判断をしていきたいと思います。

記者

  大臣、先ほど副大臣時代の政策に言及なさいましたけれども、米の生産調整については、見直しを初年で今後、需給安定に向けてどうすべきかという議論が待っておりますし、農地中間管理機構についてもですね、5年後見直しの議論が行われていると思いますが、そういった喫緊の農政課題に関する大臣の問題意識を伺いたいのですが。

大臣

  まず米ですけれども、非常にですね、農林水産省として米の生産調整というものを手を引いたといいますか、有り体に言いますと、そういう状況を作りましたけれども、非常に今、全国的にですね、極めて、生産数量目標の配分を廃止した中でですね、需要に応じた生産を促してきたわけでありまするけれども、米の需給及び価格の安定を図っていくことが重要であるとの認識いたしておりますので、極めてですね、団体の皆さんも生産者の皆さんも含めて御協力をしていただいているのが、今年の姿なのかなという、そんな率直な私は感想は持っております。
  それから中間管理機構でありまするけれども、施行後5年見直しについてであります。これは担い手への農地集積につきましてはですね、今後10年間、2023年で全耕地面積に占める担い手の利用面積の割合を現在5割から8割まで拡大させることといたしております。一方で平成29年度担い手の農地の利用面積のシェアは55.2%でありまして、対前年比1.2%の増加、増加面積は4.1万ヘクタールとなりましたけれども、23年度の目標の達成に向けてですね、これから機構を中心とした取組の加速化を今年は図っていく必要があるだろうと思います。このような中にありまして、法制5年後、先ほど申し上げましたけれども、5年後を目処として農地中間管理機構及び関連事業の在り方を、全般について見直しを行うこととされております。現在ですね、まず人・農地プラン等の地域協議の活性化、更には機構の手続きの簡素化、3つ目には他の農地集積手法の見直しなどについて検討を進めているところであります。そのほかにも更にこの中間管理機構の検討を加えてですね、農地集積が図られていくように一層の努力をしなければならないと考えております。

記者

  酪農関係で一つお伺いいたします。生乳生産基盤の弱体化が特に都府県で叫ばれております。こうした状況の中ですね、生乳生産基盤の強化に向けて、どう取り組んでいくか、大臣の考えをお聞かせください。

大臣

  生乳生産に関しましてはですね、全国のこの生乳生産量について、酪農家戸数の、確かに今御指摘をいただいたように、減少しておりますが、乳用牛の頭数が減少しているということでありますけれども、将来のですね、生産を担う2歳未満の頭数が反面増加傾向にあるとも聞いておりまして、生産基盤の回復の施しが見え始めて、私はいるのではないかと思っております。農林水産省といたしましては、このことに注目もしながらですね、酪農ヘルパー等の作業の外部化や、搾乳ロボット等の作業のですね、省力化機械の導入も図ってまいりましたし、更にこういったことも充実をさせていかなければとこのように思っております。やはり酪農のこの生産基盤の確保強化の取組というものは大切でありますので、酪農は本当に朝早くから厳しい仕事でもございます。そういったことに思いを寄せながらですね、多くの皆さんがしっかりと将来が見えるような、そういった酪農にしていく必要があるのではないかと、このように思っております。

記者

  自民党が2012年に政権に復帰してからの北海道の議員が入閣するのは今回が初めてだと思うんですけれども、今北海道では大臣仰ったように地震が起きたりとか、一方ではアメリカとの通商交渉について不安を抱いている方がいらっしゃると思うんですけれども、そういった状況にあるということを踏まえた上で、大臣就任への受け止めを改めて教えていただけますか。

大臣

  確かに、北海道からの選出議員の中で、久しぶりの閣僚かもしれません。でも、私はあまり気負いを持たずにですね、しっかりと地に足を付けた形で、農林水産行政に携わっていきたいなと思っております。
  北海道は今、食と観光がものすごく元気でございます。食はもちろん、この農林水産業でございまして、この農林水産業が元気が出ることによって、北海道の力強さというのがですね、ますます出てくるんだろうなと思っております。観光に関しましては、北海道胆振東部地震におきまして、インバウンドの皆さんが激減を致しております。でもこれは、国内外で御利用いただける復興割を政府は予備費で用意を致しました。そういったことを鑑みても、これから魅力ある北海道、安全な北海道を上手に伝えることによって、国内外のお客様がまた北海道に訪れてくれるのではないかと、こう思っております。そのためにも、食の面で、美味しい北海道の味というものをしっかり提供ができるような、そういうことも努めていかなければなりませんし、そのためには、生産基盤というものをしっかり作っておかなければなりませんので、そういったことを協力ができるようにですね、頑張らせていただきたいなと、このように思います。

記者

  吉川大臣なんですけれども、北海道の自民党の道連の会長を務められていますよね。それで来年は知事選とかあると思うんで、かなり御多忙だと思うんですけども、続投はされるのでしょうか。道連の会長。

大臣

  意外な質問が飛んできて戸惑いがありますけれども、自民党道連会長は引き続きやるようになると思います。実は今日ですね、大臣に就任をするということで、北海道からわざわざ道議会の代表の皆さんがおいでになられて、是非、続けて欲しいという、そういう御要請をいただきましたので、できる限り、頑張ろうと思っています。

記者

  TAG直接の矢面には立たないということだったですが、いろいろ水産改革とかテーマが多いと思いますので、体調面とかその辺とかって、大丈夫なんでしょうか。

大臣

 頑張るしかないですよね。

報道官

  そろそろ時間でございますので、今、手を挙げられた方で終わりにしたいと思います。

記者

  農協改革について、8月に自民党の方でですね、準組合員規制についてなんですけれども、組合員が決める問題だという決議をされて、政府の方にも申し入れたと思うんですが、大臣御就任になられてですね、今この問題についての御認識をお聞かせいただければと。

大臣

  準組合員に関しましては、農協改革の一つでございました。これは、5年かけて、准組合員のあり方について、色々と情報をいただく、調査をするということになっておりまして、まだその時期が来ておりませんので、どういうふうにするか、こういうふうにするかというのはお答えかねますけれども、農協の皆様にとりましては、正組合員の皆さんと同じように準組合員の皆さんも大切にしていかなくちゃなりません。そういったこともですね、しっかりと勘案しながら、準組合員制度についての結論っていうのを見いだしていかなければならないのかなと、私はそういう思いを持っておりますけれども。

記者

  2つあるんですが、まず1つ。齋藤前大臣に続いてですね、経産省のキャリアをお持ちだと思うんですけれども、経産省のキャリアをお持ちの方が続いて大臣になられたと思うんですが、その経産省での経験を何か生かせるところがあると思ったのですが、それを何か具体的にお聞きしたいんですけれども。

大臣

  私は経産副大臣も経験をいたしましたけれども、齋藤前大臣に関しましては、経産省のキャリア職員として活躍もされた方でありますから、私は政治家として、行政に携わったとして、若干その違いがあろうかと思いまするけれども、経産省も農林水産省もですね、時より通商交渉においては、今まではですよ、若干立場が違っていたという部分もあります。農林水産省はどちらかというと守りだったじゃないか、あるいは経産省は自動車関係を含めて攻めの部分だったじゃないかとよく思われがちではありまするけれども、決してそうではなくてですね、どちらもやはりこれからは攻めの部分というものを大切にしていかなければなりません。農林水産業はある面守りの部分というのももちろんありまするけれども、守りながらも、やはり攻めに転じていくという力強さも私は出していく必要があるのではないかと思っておりまして、経産行政と若干違う部分というのがありますけれども、いいところはやはり、取り入れていく必要があるのかないうそんな率直な感じがします。

記者

  2つ目なんですけれども、それこそ経済効率を農林水産業に当てはめたときに、経済効率との就業人口のどちらをとるのかという議論があると思うんですけれども、水産改革でも企業参入がしやすくなると漁業者が減っていますのではないかという心配が一部でているんですけれども、そこら辺についてですね、いかに冷静の議論をするかということ、今、感情的な議論になりがちだと思うんですけれども、相互理解を作って行きたいところ何かアイデアがあればお聞きしたいのですが。

大臣

  そこはですね、漁業者の皆さんも今回の水産改革においてはですね、御理解をいただけてきているのではないかと私は思っております。この水産政策の改革についても、しっかりとですね、漁業者や漁業関係者に説明をしてきております。全国的にですね。更に必要であれば、地方説明会というものも進めていかなければなりません。やはり漁業に関しましては、資源ですよね、この資源が、例えば私の北海道なんかでも、本当に日本海側は大変な状況にございます。栽培漁業等々、あるいはまた新たな資源をつくらなければならないのではないかという、そういったものもあります。ですからしっかり現場により添えるようなそういう水産行政というものももちろん必要です。更に今までの漁業で頑張っていらっしゃる皆さん、最大限その漁業権を生かして頑張ってきている皆さん、併せてこの度はですね、新たに漁業に進出しようとしている方も入っていただくということでありますから、お互いに切磋琢磨というと語弊があるかもしれませんけれども、そこはですね、将来を見据えながら、担い手も育てていかなければなりませんので、しっかりとですね、我々としては、サポートをしていきたいなと思っておりまして、力強い水産行政をこれからも是非ですね、新たしくこの水産に取り組もうとしている皆さんも含めて力強さというものを作り出していければなとそのように思っております。

記者

  ワシントン条約の委員会なんですが、日本が北西太平洋で行っているイワシクジラの調査捕鯨について、国内で鯨肉を流通させているのは、商業目的の取引にあたるということで条約違反と認定して、是正措置をとるように勧告をしたという報道が出ているんですが、まずこの事実関係を教えてください。もし、勧告を受けられているようでしたら、勧告を踏まえてどのような対応を取られるのか教えてください。併せてIWCのことで伺います。今回、今年の総会で日本の提案が否決されたことを受けてあらゆる可能性を検討すると日本政府の代表団が表明しています。今後の検討のスケジュール等についてお考えをお聞かせください。

大臣

  まず最初の部分に関しましては、事実関係をよく確認したいと思います。それからIWCとのことでありまするけれども、今年9月に行われました、IWC総会におきまして、我が国の提案に基づきまして、IWCの資源管理機関としての機能を回復させて、異なる立場を有する加盟国が共存するための、改革案を議論をしましたけれども、これは残念ながら否決をされました。これらの議論によりまして、IWCが異なる立場や意見の共存を受け入れる意志がない場であることが明らかになったと考えざるを得ないのでありまするけれども、今後につきましてはですね、総会の場で我が国の代表から発言があったようにですね、IWCの締約国としての立場の根本的な見直しを行わなければならないと思っております。これはですね、あらゆるオプションを精査せざるを得ないと考えておりますので、しっかりとですね、あらゆるオプションというものを政府としてですね、検討していくことになるのではないかと思っています。

記者

  農協改革と同時期に農業委員会改革も実施されました。改革から3年が経ちまして、現在の農業委員会の評価と期待することをお願いします。

大臣

  農業委員会の皆さんは、私は一生懸命やっていただいてもらっていると思っております。28年に農業委員会が農地利用の最適化によって、よりよく果たせるようにする制度改正が行われました。御指摘をいただいたところでありますが、今年度をもってすべてのこの農業委員会において、新制度への移行が完了することとなっております。新制度にいってですね、農業委員や農地利用最適化推進委員が、担い手へのですね、農地利用の集積ですとか、あるいは集約化に向けた現場活動を積極的に行っている委員会がある一方でですね、移行後間もないということもありまして業務の理解が進んで、残念ながらおらず、活動が本格化していない委員会もあるやにも聞いております。そこで農林水産省といたしましては、全ての農業委員会が制度改正の趣旨をしっかりと認識をしていただくように活発にですね、現場活動が行われるような、引き続き指導してまいりたいなとこのように思っております。農業委員会ともしっかりと対応してまいります。

記者

  本日は大臣、就任おめでとうございます。スマート農業について伺いたいんですが、今、AIやドローンの活用などそういうスマート農業というものが出てきておりますが、今労働人口減少ということで、働き方改革などもありますが、そういった関連で大臣としてのスマート農業についてどのようにお考えでしょうか。

大臣

  このスマート農業に関しましては、私がもちろん大臣になる前でしたけれども、与党自民党の中でもですね、スマート農業をどのように発展させていくかという、そういうチームを作っていろいろと勉強もしてまいりました。これから農業において、極めてですね、画期的な事業だと思っております。ロボットですとか、AI等のですね、先端技術を生産から出荷まで現場において、一気通貫で実証をするということが大切なのかなと考えております。この速やかな現場への普及を推進するためにこのたびの概算要求では、50億円ほど要求させていただいております。これからの担い手がですね、だれもがデータを駆使して、生産性向上や経営の改善に挑戦できるようなスマート農業の確立ができますような環境を整えていくことがとっても大切かなと、このように思っております。

報道官

  本日のところは以上でよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、これをもちまして、吉川農林水産大臣の就任記者会見を終了したいと思います。

大臣

  ありがとうございました。

以上