平成30年11月2日(金)

 今朝の閣議において,「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。また,法務省案件として,主意書に対する答弁書が6件ありました。
 本日,閣議決定された「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案」の趣旨については,人手不足が深刻化し,我が国の経済・社会基盤の持続可能性を阻害する可能性に鑑み,生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において,一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を我が国に受け入れて活躍していただく仕組みを構築するためのものです。
 また,我が国を訪れる外国人は増加を続け,我が国に在留する外国人数も,平成30年6月末現在で過去最多となっている中で,厳格かつ円滑な入国審査を両立し,特に,増加する外国人に対する在留管理を的確に行っていくため,法務省の外局として出入国在留管理庁を設置するものであり,今回の法改正は,重要かつ急務であると考えています。
 本日,閣議決定を経て,成案を得たことから,今国会における成立に向けて,しっかりと御説明をして,慎重かつ丁寧な御審議をお願いしたいとに考えています。
 私から他に4点報告があります。まず1点目として,昨日,香港特別行政区のテレサ・チェン法務長官とお会いし,意見交換を行いました。
 法務省と香港法務庁は,日・香港刑事共助協定や国際紛争解決の分野などにおいて,これまで様々なレベルでの交流がありました。  長官とは,これからも法務省と香港法務庁との強固な信頼と緊密な関係を築いていくため,協力関係を発展させていくことを確認しました。
 2点目に,先月31日に,第1回目の「第三国定住による難民の受入れ事業の対象の拡大等に係る検討会」が開催されました。
 第三国定住による難民の受入れについては,平成27年度の本格実施から,難民を取り巻く国際情勢等が大きく変化しています。そこで,第三国定住事業の受入れ対象及び受入れ人数の拡大等を検討するため,先月22日に難民対策連絡調整会議において,内閣官房内閣参事官を座長とする本検討会の設置を決定したところです。
 第1回はキックオフとして,法務省を含む関係省庁構成員,有識者間で,第三国定住難民の受入れ事業の現状と課題を共有し,国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)等の関係団体からヒアリングを行ったと承知しています。
 法務省としても引き続き,第三国定住難民の受入れ事業の対象の拡大等の議論に積極的に参画してまいります。
 3点目に,今般の平成30年秋の褒章において,福岡県の有限会社野口石油代表取締役野口義弘氏及び徳島県の株式会社鷹鉾組代表取締役下坂登氏のお二方が,協力雇用主として初めて藍綬褒章を受章されることとなりました。これは,お二方が,協力雇用主として長きにわたって刑務所出所者等を雇用していただいたことにより,その改善更生に寄与された功績が認められたものと承知しています。法務省としても,大変喜ばしく,お二方のこれまでの再犯防止に対する貢献に感謝申し上げます。
 今般のお二人の協力雇用主の褒章受章が,今後の刑務所出所者等の雇用の拡大の弾みとなることを期待するとともに,法務省としても,再犯防止で重要な役割を果たしている協力雇用主に対する支援の一層の充実に努めてまいりたいと思います。
 最後,4点目ですが,人権擁護局LINE(ライン)公式アカウントにおいて,昨日から人権イメージキャラクター「人KENまもる君・人KENあゆみちゃん」の無料スタンプの配布を開始しましたので皆様に御紹介します。
 人権擁護局では,SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を利用して,人権啓発のイベントや人権相談窓口など,法務省の人権擁護機関が行う人権擁護活動に関する情報発信を行っています。
 無料スタンプの配布は,人権擁護局の公式アカウントの周知を図るとともに,情報発信力を強化することを目的として実施したものです。スタンプの配布期間は昨日から来年1月23日まで,使用できる期間は取得してから180日間です。
 より多くの国民の皆様に,人KENまもる君・人KENあゆみちゃんのスタンプを取得して活用していただくことにより,法務省の人権擁護機関の取組や相談窓口を知るきっかけにしていただきたいと思いますので,よろしくお願いします。
 

入管法改正案に関する質疑について

【記者】
「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律案」の閣議決定を受けて,今後,委員会,本会議で法案審査に入って,論戦が予想されるかと思いますが,これからどのように審議を乗り切っていくお考えか,改めてお聞かせください。

【大臣】
 的確に受け入れた外国人の方にしっかり働いていただき,暮らしていただくことが重要であるということを御理解いただけるよう,この法案の必要性について丁寧に御説明してまいりたいと思っています。ただ,昨日の予算委員会では,丁寧に御説明したいという想いが募り,前提条件から説明しようとして答弁が長くなってしまい,お叱りを受ける場面もありました。それは丁寧に御説明したいという気持ちの表れであり,時間制限もある中で与野党の議員の皆様もこの法案についてお聞きになりたい点が多々あるでしょうから,しっかりと丁寧に答えていくということで臨みたいと思います。

【記者】
 公明党からも悪質なブローカー対策などについて決議が示されましたが,それについて大臣はどのように受け止められましたか。

【大臣】
 従来,悪質ブローカーが,技能実習生に対して,保証金を多額に取ったりということがありました。そういうことについてはしっかりと対応するということで,技能実習に関しては昨年11月に法改正がありました。そういった趣旨を踏まえて,ブローカーとして介在する者が不当な経済的利益を得て,その負担を外国人が負うことがあってはならないので,その点についてはしっかりと取り組んでまいりたいと思っています。

【記者】
 「特定技能2号」に関して,5業種を検討しているとの報道がありますが,そういう状況にあるのか教えてください。

【大臣】
 1号,2号に限らず,様々な官庁から受け入れたいという要望はあります。今,それを精査しており,現段階では1号,2号を切り分けてということではありません。

(以上)