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坂本農林水産大臣記者会見概要

日時 令和6年5月10日(金曜日)9時31分~9時50分 於: 本省会見室
主な質疑事項
  • (大臣から)熊本県、佐賀県及び長崎県出張について
  • (大臣から)花き業界による「母の日」の取組について
  • 5月3日から5日のタイ出張での成果について
  • 子実とうもろこしの生産に対する継続支援と粗飼料の自給率向上に向けた取組等について
  • 食料供給困難事態対策法案の国会審議について
  • 商業捕鯨における捕鯨対象鯨種にナガスクジラを追加することについて
  • 岸田総理の南米訪問を受けてのメルコスールとのEPA交渉について
  • 有明海再生の今後の取組について

冒頭発言

大臣

  本日、私から2点、報告がございます。
  まず、明日11日(土曜日)から12日(日曜日)まで、熊本県、佐賀県及び長崎県へ出張いたします。
  11日(土曜日)は、熊本市の秋津地区等を訪問し、熊本地震から創造的復興を遂げた現場などを視察する予定です。
  12日(日曜日)は、佐賀県有明水産振興センターにおいて、二枚貝の資源回復の取組の現場を視察するほか、諫早湾干拓地を訪問し、営農状況等についてもお話を伺いたいと考えています。現地視察の詳細は、この後、プレスリリースします。
  2点目は花き業界による「母の日」の取組です。
  先般、大手花き店が実施したアンケートによると、母の日の贈り物にかける予算が増加傾向であることがわかりました。
  また、もらうと嬉しいものでは、花が6割以上で最多という結果であり、花を通じて、感謝の気持ちが贈られた方の心に届いているということだと思います。
  是非、この機会に、花を贈っていただき、多くの方に花のある暮らしを楽しんでいただければと思います。本日、私からは以上です。

質疑応答

記者

   大型連休中、タイに出張され、現地で農業・協同組合大臣との会談や日系企業の視察をされましたが、今回の出張の成果や、今後の農林水産行政にどのように活かすか、聞かせてください。

大臣

  5月3日から5日にかけて、タイに出張してまいりました。
  3日にはタマナット農業・協同組合大臣と会談し、「日アセアンみどり協力プラン」に基づき、タイで優先的に進める4つのプロジェクトを協力して進めることについて確認したほか、日本産水産物の安全性について改めて説明して、日本産水産物の輸出先の多角化に向けた、我が国の取組に対する協力を要請しました。4つのプロジェクトでは、衛星技術による土壌診断等をやってまいります。
  4日には日本産水産物のメニューの提案会に出席し、タイで人気の「アイアン・シェフ」であるアールさんが調理した北海道産ホタテ料理を通じて、インフルエンサーやメディアに対してホタテの美味しさを訴えるなど、日本産水産物のPR活動を行いました。 また、タイ輸出支援プラットフォーム総会に出席し、日本産水産物の輸出先多角化に向けた「販売網拡大プログラム」への支援を表明しました。
  そのほか、現地の気候に合わせた農業技術の実証展示を行うクボタファームを訪問し、最先端の様々なスマート農業技術のタイにおける活用事例について理解を深めました。
  今回の出張は、私の農林水産大臣就任後初めての国外出張となりましたが、重要な輸出先国であるタイの大臣や現地の事業者の方々と、バイ会談や会合等の場で直接お話をすることができ、また、現地における日本企業の活動をじかに拝見することができました。今後の農林水産施策の推進に、大変有意義であったと感じています。

記者

  大臣は、この前(4月25日)の衆議院農林水産委員会で、子実用とうもろこしについて、「生産を今後大きく引き上げることは現実的に困難」との認識を示しました。一方で産地では子実用とうもろこしの生産機運が高まっており、水田では転作作物として増産する動きがあったり、一層の増産に向けて畑での生産にも支援を求める声もあります。食料安全保障を確立する観点からも、長らく横ばい状態が続く飼料自給率の向上に向けて、子実用とうもろこしの増産は重要だと考えますが、今後、どのように生産支援に臨むのか、方針を聞かせてください。

大臣

  (飼料用の)子実とうもろこしは、効率の良いエネルギー源として、ほぼすべての畜種に給与でき、輪作体系に組み込むことで連作障害の回避にも寄与しうる、使い勝手の良い濃厚飼料です。
  一方、家畜の飼料は、できるだけ低いコストで生産することが重要ですが、子実とうもろこしは国内の生産コストが輸入価格を上回る状況にあるとともに、耕地面積や気候の制約があることから、条件に恵まれた地域では生産を行うことは可能ですが、全国的に普及することは想定されないため、先般の農林水産委員会では、「生産を大きく引き上げることは現実的に困難」とお答えしました。
  このため、子実とうもろこしについては、耕畜連携や品質表示による販売拡大、初めて生産に取り組む際の種子などの資材、乾燥・保管施設の整備などの支援を継続する一方で、輸入品に対して競争力があり、収量も高く、また、全国的な生産が見込まれる青刈りとうもろこしなどの粗飼料の生産・利用を推進してまいります。

記者

  食料供給困難事態対策法案の審議で、野党から罰金は過重ではないか、警察の捜査の対象にもなるなどの議論になっており、他にも過料や公表といったパターンが想定され、やや複雑だと。これについては法案成立後に丁寧に説明すると言っていますが、具体的にどのように国民に納得していただく考えですか。

大臣

  食料供給困難事態対策法案における罰則は、事業者が供給計画の届出を行わなかった場合に20万円以下の罰金を科すもので、増産などの行為を行わなかった場合に科されるということはありません。
  また、本法案における罰則は、食料供給困難事態という非常時において、計画の届出が供給確保対策を講ずる際の現状を把握する上で不可欠なものであることと、物価高騰の際の対策を定める国民生活安定緊急措置法においても、農業者の生産計画の届出義務違反について、同様に20万円以下の罰金を規定していることを踏まえ規定しているものであり、罰則が重過ぎるものであるとは考えておりません。
  この国民生活安定緊急措置法というのは、狂乱物価の時に制定された法律であり、この時に農業者も含めて届出をしていなければ罰金を科すというように、すでに農業者にも罰金制度というのは科されてます。今回の場合は、その狂乱物価ですべての物(の価格)が上がった時と違い、米が凶作になったとか、輸入が途絶えたとか、個別の品目の時にも発動するものですので、すでに20万円の罰金が農業者の方にも、生産者の方々にも科されているというのも含めて、今回もこの食料供給困難事態対策法では、同様の措置をとったということです。法案が成立しましたら、さらに丁寧にその趣旨を説明してまいります。

記者

  捕鯨について、(5月)7日からナガスクジラを捕鯨の対象に加えることについてパブリックコメントが始まったと認識していますが、理由と、対象が広がることで捕鯨にどのような影響が期待できるか、考えをお願いします。

大臣

  捕鯨については、鯨類は貴重な食料資源であり、他の海洋生物資源と同様に科学的根拠に基づき持続的に利用すべきであるとともに、我が国において、伝統的な食文化などを継承することが重要であると考えています。
  ナガスクジラについては、これまで国際捕鯨委員会(IWC)等とも連携をして積み重ねてきた資源調査の結果から、北太平洋において資源量が豊富であることが確認されたことを踏まえ、商業捕鯨における捕鯨対象鯨種にナガスクジラを追加することについて、5月7日にパブリックコメントを開始しました。
  今後のスケジュールとしては、パブリックコメントの結果を踏まえ、6月中旬に水産政策審議会を開催し、漁獲可能量(TAC)を諮問する予定となっています。

記者

  広がることでの影響や期待はありますか。

大臣

  諸外国とのやりとりについては、相手国との関係もあるので、説明を差し控えさせていただきますが、農水省としては、捕鯨を取り巻く国際環境の改善を図るため、必要に応じ、関係国との連携や関係国への働きかけの強化、その他必要な外交上の措置を講じながら、引き続き、鯨類の持続的な利用を進めてまいりたいと考えています。

記者

  大型連休中に総理が南米を訪問され、牛肉の輸入についても話題が出ていたと認識していますが、対応について考えを聞かせてください。

大臣

  ブラジルやパラグアイからは、牛肉の対日輸出について強い関心が示されたと承知していますが、両国との首脳会談では、「日・メルコスール経済関係緊密化のための対話」の機会等を活用し、幅広い分野においてメルコスールとの経済関係強化の在り方を検討していくこととなりました。
  これまでも我が国とのEPA(交渉)について、ブラジルやパラグアイ等は強い関心を示していますが、日本政府としての立場は現時点で一切決まっておりません。
  いずれにせよ、メルコスールとのEPAについては、国内農業等への影響を懸念する声もあると承知しており、国内の様々な意見も踏まえる必要があると考えています。

記者

  佐賀・長崎の有明海再生と諫早湾干拓への視察に関して伺います。就任時も、長く続く課題ということで視察の意向・意欲は示されたと思いますが、視察に向けての意義など所感を伺えればと思います。
  加えて、歴代大臣が訪問される際には、開門派の漁業者の方との意見交換もセットされていたと思いますが、今回はセットがなされていないということで、地元からは戸惑いとか疑問の声も上がっているようです。これに対する考えと、今後、別途で対話の場をセッティングされる考えがあれば聞かせてください。

大臣

  今回は、有明海再生の取組への私自身の理解を深めるため、お伺いさせていただければと思います。今回の現地訪問において、知事や訴訟当事者の方々などとの意見交換は行いませんが、訴訟当事者の方々やその弁護団に対しては、令和5年3月の大臣談話の趣旨等を事務方から説明する説明会の開催を現在調整中です。今後、説明会の議論の状況もみて、事務方と原告団体の皆さんとの説明会の議論の状況も踏まえ、私自身が開門を求める漁業者の声を聞く機会についても検討してまいります。

記者

  特に今回の視察でここは見たいという部分があれば教えてください。

大臣

  特に、佐賀、福岡、熊本の漁業団体の方々のご意見をお聞きしたいと思います。先に大臣談話に対するご賛同をいただきましたので、それに対して私の方から謝意を表明すると同時に、今後の有明海再生に向けて、それぞれどういうことをしていくべきなのか、しっかりお伺いしてまいります。

記者

  子実用とうもろこしについて、青刈りとうもろこしにも言及がありましたが、飼料を大きく分けると粗飼料と濃厚飼料に分かれ、青刈りとうもろこしが入る粗飼料の方は、すでに一定程度自給率があるかと思います。一方で、今後、国内の飼料自給率向上を図る上で、濃厚飼料の自給率をどう上げていくかが重要と思いますが、対応を聞かせてください。

大臣

  現実問題として、濃厚飼料の自給率向上というのは、自家配合もありますが、なかなか厳しい面もあります。まずは、自給率向上のために麦、大豆、青刈りとうもろこしも含めて、粗飼料の自給率をいかに向上させるのかを進めていかなければいけないと思っています。配合飼料についても、各団体、あるいは農家共同でTMRセンターを作って、それぞれの地域で配合されたり、養豚等においては、輸入丸粒とうもろこしを、自分たちで配合しています。配合飼料については、そういった創意工夫も含めながらやられていますが、配合飼料で自給率を一気に上げるというのはなかなか厳しい部分もありますので、粗飼料をまず引き上げることによって、自給率全体をアップさせると考えているところです。

報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

大臣

  (胸のコサージュを見せながら、)これは、熊本のカーネーションとトルコギキョウですので、しっかり撮っていただければと思います。

以上

 

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