議案審議経過情報

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項目 内容
議案提出者 堀場幸子 君外二名
衆議院審議時会派態度
衆議院審議時賛成会派
衆議院審議時反対会派
議案受理年月日 2024-04-24
公布年月日

要項または提出時法律案

   サイバー安全保障態勢の整備の推進に関する法律案
目次
 第一章 総則(第一条―第四条)
 第二章 サイバー安全保障態勢の整備の推進に関する基本方針(第五条・第六条)
 第三章 サイバー安全保障態勢整備推進本部(第七条―第十五条)
 附則
   第一章 総則
 (目的)
第一条 この法律は、国際情勢の複雑化、社会経済構造の変化等に伴い、我が国の安全保障を確保するためには、重大サイバー攻撃事態の発生の未然防止等が極めて重要となっていることに鑑み、サイバー安全保障態勢の整備の推進に関する基本理念及び基本方針その他の基本となる事項を定めるとともに、サイバー安全保障態勢整備推進本部を設置することにより、サイバー安全保障態勢の整備を総合的かつ集中的に推進することを目的とする。
 (定義)
第二条 この法律において「重大サイバー攻撃事態」とは、サイバー攻撃(情報通信ネットワーク又は電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録に係る記録媒体を通じた電子計算機に対する攻撃をいう。次条第二項において同じ。)により、我が国及び国民の安全を損なうおそれのある重大な事態をいう。
2 この法律において「重大サイバー攻撃事態の発生の未然防止等」とは、重大サイバー攻撃事態の発生を未然に防止し、及び重大サイバー攻撃事態が発生した場合にはこれに的確かつ迅速に対処することをいう。
3 この法律において「サイバー安全保障態勢」とは、重大サイバー攻撃事態の発生の未然防止等のための態勢をいう。
 (基本理念)
第三条 サイバー安全保障態勢の整備の推進は、重大サイバー攻撃事態の発生の未然防止等並びに重大サイバー攻撃事態が発生する前の段階及び重大サイバー攻撃事態が発生した段階を通じた機動的かつ効果的な対処が可能となるようにすることにより、我が国及び国民の安全の確保に資することを旨として、行われなければならない。
2 サイバー安全保障態勢の整備の推進に当たっては、能動的サイバー防御措置(サイバー攻撃の兆候について情報を収集し、サイバー攻撃の主体を探知し、又はサイバー攻撃を排除するための措置であって、サイバー攻撃の発生が回避されるようにし又はサイバー攻撃が発生した場合にはこれを排除しつつその速やかな終結を図るために講ぜられるものをいう。第五条第一号において同じ。)の重要性に留意しなければならない。
 (国の責務等)
第四条 国は、前条の基本理念にのっとり、サイバー安全保障態勢の整備に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
2 国、地方公共団体、事業者その他の関係者は、サイバー安全保障態勢の整備を推進するため、相互に連携を図りながら協力するよう努めるものとする。
   第二章 サイバー安全保障態勢の整備の推進に関する基本方針
 (基本方針)
第五条 サイバー安全保障態勢の整備は、次に掲げる基本方針に基づき、推進されるものとする。
一 重大サイバー攻撃事態の発生の未然防止等が可能となるよう、能動的サイバー防御措置の実施のための体制を整備すること。
二 重大サイバー攻撃事態が発生する前の段階及び重大サイバー攻撃事態が発生した段階を通じた機動的かつ効果的な対処が切れ目なく行われるようにすること。
三 重大サイバー攻撃事態の発生の未然防止等に係る措置の実施は、事態に応じ合理的に必要と判断される限度においてなされなければならないこと。
四 前号の措置の実施においては、自衛隊その他の関係行政機関及び関係事業者が国民の協力を得つつ相互に連携協力するとともに、関係する外国との協力を緊密にしつつ国際社会の理解が得られるようにすること。
五 第三号の措置の実施においては、日本国憲法の保障する国民の自由と権利が尊重されなければならず、これに制限が加えられる場合にあっても、その制限は当該措置を実施するため必要最小限のものに限られ、かつ、公正かつ適正な手続の下に行われなければならないこと。
六 重大サイバー攻撃事態の発生の未然防止等の必要性に関する国民の理解と関心を深めるために必要な施策を講ずること。
七 重大サイバー攻撃事態の発生の未然防止等に係る専門的な知識又は技能を有する人材の確保、養成及び資質の向上のために必要な施策を講ずること。
八 我が国において重大サイバー攻撃事態の発生の未然防止等に関する技術力を自立的に保持することの重要性に鑑み、重大サイバー攻撃事態の発生の未然防止等に関し、研究体制の整備、研究開発の推進その他の必要な施策を講ずること。
 (法制上の措置等)
第六条 政府は、前条に定める基本方針に基づく施策を実施するため必要な法制上の措置その他の措置を講ずるものとする。この場合において、必要となる法制上の措置については、この法律の施行後一年以内を目途として講じなければならない。
   第三章 サイバー安全保障態勢整備推進本部
 (設置)
第七条 サイバー安全保障態勢の整備の推進を総合的かつ集中的に行うため、内閣に、サイバー安全保障態勢整備推進本部(以下「本部」という。)を置く。
 (所掌事務等)
第八条 本部は、次に掲げる事務をつかさどる。
 一 サイバー安全保障態勢の整備の推進に関する総合調整に関すること。
 二 サイバー安全保障態勢の整備の推進を総合的かつ集中的に行うために必要な法律案及び政令案の立案に関すること。
 三 サイバー安全保障態勢の整備の推進に関する関係機関及び関係団体との連絡調整に関すること。
2 本部に係る事項については、内閣法(昭和二十二年法律第五号)にいう主任の大臣は、内閣総理大臣とする。
 (組織)
第九条 本部は、サイバー安全保障態勢整備推進本部長、サイバー安全保障態勢整備推進副本部長及びサイバー安全保障態勢整備推進本部員をもって組織する。
 (サイバー安全保障態勢整備推進本部長)
第十条 本部の長は、サイバー安全保障態勢整備推進本部長(以下「本部長」という。)とし、内閣総理大臣をもって充てる。
2 本部長は、本部の事務を総括し、所部の職員を指揮監督する。
 (サイバー安全保障態勢整備推進副本部長)
第十一条 本部に、サイバー安全保障態勢整備推進副本部長(次項及び次条第二項において「副本部長」という。)を置き、国務大臣をもって充てる。
2 副本部長は、本部長の職務を助ける。
 (サイバー安全保障態勢整備推進本部員)
第十二条 本部に、サイバー安全保障態勢整備推進本部員(次項において「本部員」という。)を置く。
2 本部員は、本部長及び副本部長以外の全ての国務大臣をもって充てる。
 (資料の提出その他の協力)
第十三条 本部は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関、地方公共団体、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。)、地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。)及び国立大学法人等(国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二条第五項に規定する国立大学法人等をいう。)の長並びに特殊法人(法律により直接に設立された法人又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法(平成十一年法律第九十一号)第四条第一項第八号の規定の適用を受けるものをいう。)の代表者に対して、資料の提出、意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができる。
2 本部は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者に対しても、必要な協力を依頼することができる。
 (事務局)
第十四条 本部の事務を処理させるため、本部に、事務局を置く。
2 事務局に、事務局長のほか、所要の職員を置く。
3 事務局長は、本部長の命を受けて、局務を掌理する。
 (政令への委任)
第十五条 この法律に定めるもののほか、本部に関し必要な事項は、政令で定める。
   附 則
 (施行期日)
1 この法律は、公布の日から施行する。
 (調査研究等)
2 政府は、この法律の施行後速やかに、情報通信技術を用いた虚偽の情報の拡散が我が国の安全保障に及ぼす影響について調査研究を行い、その結果に基づき、必要な措置を講ずるものとする。
     理 由
 国際情勢の複雑化、社会経済構造の変化等に伴い、我が国の安全保障を確保するためには、重大サイバー攻撃事態の発生の未然防止等が極めて重要となっていることに鑑み、サイバー安全保障態勢の整備の推進に関する基本理念及び基本方針その他の基本となる事項を定めるとともに、サイバー安全保障態勢整備推進本部を設置することにより、サイバー安全保障態勢の整備を総合的かつ集中的に推進する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。